さてどうしたものか。この天気で出発するか?単独行なので自分で決めなければならない。周囲を見ると3組が出発したようだ。装備も十分だし、行けるところまで、とりあえず最後尾から7:30に出発。さくさく歩いていたら20分もたたないうちに先頭に出てしまった。自分が先頭に出たら慎重にならざるを得ない。ガスはひどいが道は整備されていて迷うことはない。そのうち雨がひどくなってきたので雨具上下を着込む。紅葉の撮影にきたのに、それどころではない。修行のような登りである。
まあこんな日もあるさということで、登り続け御浜小屋を過ぎた。稜線に出たら一気に風が強くなった。ピッケルは持っていないので岩につかまり耐風姿勢をとる。とても歩ける風ではない。そのうちどんどん気温が下がりヒョウが降ってきた。雨具の上からでもピシピシと痛い。これはこのまま進んでも楽しくないな、と小屋へ戻り始めたら、風が弱まり、なんとなく進めそうになった。
これなら行けるかとまた頂上を目指す。ところがさらに強い風と横殴りのヒョウ混じりの雨。行きつ戻りつを3回くらい繰り返した。今回の秋田遠征は翌日のサッカーの試合がメインで登山はオマケである。今日体力使い果たして翌日の試合でチームメイトに迷惑かけるのもなんだし、この天候で修行のような登山を続けても楽しくない。撤退決定。
下山を開始してしばらくするとスタートして一番後ろで抜いたソロの女性と次に抜いた男性が一緒に登ってきた。稜線の様子を話すと、しばらく考えていたが二人とも撤退を決め、なんとなく下まで3人一緒に下ることになった。何パーティかとすれ違ったが、上の様子を話すと皆とりあえず御浜小屋までは行ってみるようだ。ソロの女性は停車位置が隣だったので、一緒に登山口の小屋で濡れた衣類を乾かして休憩し、早めの昼食を食べながら、しばし山談義に花が咲いた。福島から来たその女性は、頂上で雲が流れるの見たりしながらボーッとするのが好きだと言っていた。まあそれだったらこの天気では無理だろうな。飯豊山近くの出身だそうで、コーヒーを飲みながら東北の山のことを色々教えてもらった。楽しいときを過ごすことができた。
別れ際に、「なんか撤退につき合わせたみたいで申し訳なかったですね」と言ったら、「いいのよ。あの天気じゃ登っても楽しくなかっただろうし、一度登ったことあるから。」と。少し心が軽くなった。自分は客観的に情報を伝えただけで、登るのはやめたほうが良いとか、逆に登っても大丈夫ですよというような主観的なことは言わなかった。
撤退だけで車で即帰っていたらこうはならなかっただろう。撤退もまたこれ楽しである。撤退の判断はシンプルな方が良い。楽しくなければ即撤退。これでたぶん酷いことにはならないだろう。
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