グーグルマップと旅の思い出。

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2017年03月24日 10:16むかし話全体に公開

まっつぁんが『匂いで思い出す風景がある・・・』みたいなことを
日記に書いていたので、私もとある風景を思い出した。

それは、南米にあるチロエ島での風景で、
夕暮れ時に小高い丘に登って見下ろした古い街並み。
ちょうど晩飯をこしらえる時間で、
街中に炭火の煙が漂っていた。
とても暖かみがあって美味しそうな煙の匂い。

たしか水産系商社で働く男が、加工場で働く現地の娘と恋をして、
赤ん坊が生まれたというので遊びに寄ったときの事。
嫁さんが晩餐の支度をしている間に、
赤ん坊を抱いたばあさまと父であるその男と、
夕焼けを見に出かけたときの事。

教会の鐘なんかも響いてたんじゃないだろうか。
妙に神々しく、幸せなひと時だったと記憶している。

煙の匂いに郷愁みたいなものが感じられるのは、
火を使うことを覚えたばかりの遠い祖先の記憶に繋がっているからなんじゃなかろうか。

なーんてことを思いながら、
そういえば！とグーグルマップをぐりぐり。
チロエ島はカストロへひとっ跳び。

ただ、肝心の小高い丘がどこだったのか全然わからなかった。
まぁそれでいいんだけど。

つづいて暇に任せて、昔暮らしていた路地やら訪れた場所やらをつらつらと。

サンチャゴの街の記憶もずいぶんとあやふやだった。
直ぐに見つけられると思ったお店もなかなか分からず、
最初に見つけた記憶にある場所は、
魚を仕入れにてくてく通ったマポチョの市場だった。

その後ふと、住んでいた、働いていた通りの名を思い出した。
すごいね!ストリートビュー！！
あっという間にお店の前にやってこれたのだが、
古びた日本食料理屋はすでに無く、立派なガラス張りの建物に代わっていた。
20年の歳月はチリを、というかサンチャゴをずいぶん豊かにしていた。

唯一覚えていた景色は、はす向かいの十字路にある雑貨屋で、ほぼ昔の姿のまま。
ちょっと陽当たりが悪くなったかな？

12,3歳の小娘が店番をしていて、よくからかったりからかわれたりしていたが、
あの娘もいい歳したおっかさんになっているんだろう。
てか、店主のヨコさんなんてもう70過ぎか・・・。

旅行中は本当にいろいろな人々のお世話になったけど、
自分がいい歳になっても、若い人達に何一つしてあげていないのは、
情けなくもある。

カリブのウティラ島は、空港までできていてえらいことになっていた。
馬を借りてパカパカ散歩したチレチコでは、
メインストリートがすっかり舗装されて、
アメリカンなピックアップがたくさん並んでいた。
もう馬なんて飼ってる家もなくなったんだろうか。

まぁしかし、モニター越しに眺めてもちっとも嬉しくないな。

ネットの普及する前の時代にプラプラできて良かったと思う。
今どき、人とは違った経験をしようと思ったらリアル辺境とか紛争地域にでも
行かなきゃならんのかも知れない。

最近、ヒッピーじみた音楽がお気に入りだったので、余計に懐かしくもなった。
旅行中は、写真も日記もとっていなかったので、
記憶はどんどん美化されているような気もする