山へ行く途中、峠の入り口にあたる丁字路で自損事故をを起こして一ヵ月。
廃車はともかく、同乗者に怪我をさせてしまったことが心苦しい。
このひと月、事故までの流れやこれからの雪道の処し方について、
あれこれと考えた。
現場検証の警察官から言われた事故原因は、
『スピードの出しすぎですね。今夜みたいな路面だと四駆でも滑りますよ。』
とのこと。
事故当初は、浮かれていた自分に腹も立ったが、
冷静に考えてみるとそれ以前に改めないといけないことがあると感じたので、
ここに記しておく。
よくよく考えてみると、
19歳の時に札幌で免許を取って以来の5年間は、雪道が当たり前の暮らしをしていた。
滑っている車両もよく見かけたし、自分でも何度か滑ったことがある。
そんなこともあり、自分の雪道に対する警戒心というのはかなり薄い方だったと思う。
松氏の草津運転日記を読むにつけ、私にはそこまでの警戒心は無かったなと反省した。
それと同時に、学生時分は一般道ではそれほどスピードを出さないものの、
雪道や林道を走るのが好きで、けっこうスピードを出していた自分を思い出した。
結局のところ、元々私はそういうタイプで、雪道に対して『馴れ』きっていた。
浮かれること自体は、それほど悪い事じゃないのかもしれない。
たとえ浮かれていなかったとしても、警戒心の無い状態で雪の峠道に入れば、
そこで事故を起こしていたんじゃないかとも思う。
或いは、疲れた帰り道の下りカーブで。
事故を回避できたかも。というタイミングも一度はあった。
高速を降りたあとの最終コンビニで、持参したチェーンをつけようかと一瞬だけ考えた。
けれども、仮眠所までもうすぐだったし、実際、もう眠気が出始めていたので先を急いだ。
後から考えてみると、いずれにせよ翌朝もチェーンを付ける必要があったのだから、
最終コンビニで着けてしまえばよかったとも思う。
実際には、そのような『選択肢』や『判断』もなく惰性で運転を続け、事故を起こした。
このひと月、考え続けてみて、
肝心なことは『気持ちの切替え』なんじゃないかと。
速度超過の遠因。
浮かれ気分とか、焦りとか、眠気とか。
浮かれないようにするとか、
焦らないようにするとか、
眠くならないようにするとか。
そういう対策はあまり現実的でない気がするし、
そういう状態を維持できる人間は殆どいないんじゃないかとも思う。
浮かれる時もあるだろうし、焦ったり、眠くなったりすることもあるだろうけれど、
肝心な時には『気持ちの切替え』をちゃんとしなければいけないと。
それが出来てさえいれば、そうそう事故は起こらないんじゃないかと。
そういう意味で『最終コンビニ』の役割はけっこう大きかったと思う。
山岳部時代、毎週開かれていた検討会では、
山行の核心がどこにあるのか。
その核心でL-s、メンバーはどのような対処をするのか。
が、いつも焦点になっていた。
それはある意味、クルマの運転でも同じことなのかなと。
核心に入る前には、やはりそれまでとは気持ちを入れ替えないといけない。
思い出した点で、もう一つ。
今回、八風山トンネルを通過中にスマホのナビが現在地をロストした。
気付いた時には、小諸ICも湯ノ丸ICも通過したあとで、上田ICからの引き返しとなった。
最初のナビ通り、小諸ICで降りていたならば、事故を起こしたT字路は通らなかったのだが・・・。
やはり、ナビに丸投げというのは良くない。
気持ちにメリハリを付けにくいと思う。
昔のように、紙の道路地図を確認しながら走るというわけにはいかないけれど、
せめてこれからは、降りるインターや最終コンビニくらいは、
事前にちゃんと把握して、意識しながら運転しようと思う。
でないと、気持ちの切替えもできない筈。
最後にもう一つ。
今回、ネットで知り合った初対面の方と同乗して怪我をさせてしまった。
身内だったり、職場の同僚だったり、地元山岳会のメンバーだったなら、
意識せずとも毎日あるいは毎週顔を合わせることができるので、
相手の様態を伺い知ったり、苦労を聞いたり、
ちょっとした差し入れをしたりもできるのだけど。
遠くに住んでいて、ネット以外の繋がりがない関係だとそうもいかない。
心配だからといって毎日メールを送るのも、相手にとって負担になるだろうし、
かといって様態が全然わからないというのもまた、自分の不安材料になる。
そして、様態が知れないと相手を思いやる気持ちも、
不本意ではあるけれど、だんだんと薄らいでしまうような自覚もある。
こういう思いをすると、ネット登山の安易さを否定する人達の気持ちもすごくわかる。
やはりリアルで日常的な繋がりのある地元の山岳会の方がいいのかなとも。
とはいえ、ネットの無かった学生時代から山の行き帰りにヒッチハイクをしたり、
山小屋や旅先のYHで出会った人達と即席パーティで山歩きをしていた自分にとっては、
こういう繋がりは今に始まったことではなく。
ヒッチハイクで乗せてもらった車で事故に遭ったこともある。
現場検証に来たおまわりさんに『よかったら運転代わってあげて。』
と言われたが、当時は免許も持っておらず何の役にも立てない自分がいた。
なので、事故が起きた時に大変な思いをするのが嫌だからという理由で、
こういうスタイルの山登りを諦めるのは、なにか違う気もする。
事故を起こさなければいいのだ。というのは簡単なことだけど、
現実はそうもいかない時もあるので、この辺りの答えはでない。
あまり多くの課題を抱えても、それを果たせる自信はないので。
とりあえずは『気持ちの切替』を確実に行えるように、
その上で雪道での安全運転ができるように、少しずつ行動を改めていこうと思う。
怪我をされた同乗者が一日も早く回復することを祈りつつ。
２０１８．１．１８
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