『更級日記』第四章［春の夜の形見］

［上総（千葉県）］から京に帰って

〔おばにあたる人からお祝いに「欲しがっておいでだと伺った品をさしあげましょうね」と、
［源氏物語］五十余巻が箱に入っているのをそのまま、さらに［在中将］［とほぎみ］［せりかは］［しらら］［あさうづ］などという物語が袋に入れてあるのをくださった。〕

［源氏物語］以外の物語は現存しておらず、そんなのもあったんだと、知るばかりです。

仲のいい姉がまもなく、出産して亡くなってしまいました。
のちに、お姉さんが探していた［かばねたづねる宮］という物語を親戚の人が届けてきました。

［かばねたづねる宮］という物語もどんなお話しなのか不明です。


久し振りに［更級日記］読んで、意外だったのは豊富な［歌］、以前読んだ現代文は、おそらく和歌としては書かれてなかったのかも知れません。

［上総］から帰って、長く父親の任官ならず、１３年たってやっと決まった先は［常陸（茨城県）］、今度は６０歳の父親のみで。
もしかしたら、最後の別れと。

４年後任期が果て、帰京。

（作者の）〈かかるよも　ありけるものを　かぎりとて　きみに別れし秋はいかにぞ〉

に、父親は涙を流して
〈思ふこと　叶はずなぞと　いといこし　命のほども　今ぞうれしき〉

【写真】は［ユウスゲ］