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〔(維盛の)北の方と申すは・・桃顔液にほころび、紅粉眼に媚をなし、柳髪風に乱るるよそほひ、又人あるべしとも見え給はず。
六代御前とて、生年十になり給ふ若公、その妹八歳の姫君おはしけり。〕
(北の方は、・・露をふくんで咲きそめた桃の花のようなお顔、紅、白粉に化粧してあでやかに、なまめかしいまなざし、風にみだれる長い黒髪、その美貌はならぶものがあろうとは思われないほどであった。
六代御前という十歳になられる若君と、その妹八歳の姫君がおられた。)
皆、一緒に行きたいといいます。
〔・・若公、姫君はしり出でて、父の鎧の袖、草摺に取りつき、
「・・・我も参らん、われもゆかん」
と面々にしたひ泣き給ふにぞ・・〕
涙の別れです。
*[草摺(くさずり)]=鎧の胴の下に垂れて、腰から下を守るもの。
(休み中留守をしていた物語。鎌倉殿はどんどん先へ)居彷人
昼から雨の寒い一日でした。
【写真】ヤマボウシ
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