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〔文治二年の春の比、法皇、建礼門院大原の閑居の御住ひ、御覧ぜまほしうおぼしめされけれども、・・・
春過ぎ、夏きた(ッ)て、北祭も過ぎしかば、法皇夜をこめて大原の奥へぞ御幸なる。〕
*[北祭]=葵祭
*[夜をこめて]=夜がまだ明けないうちに。
法皇〈池水に みぎはのさくら 散りしきて なみの花こそ さかりなりけり〉
池のほとりの桜は、花びらが水面に散り、波の上が今は花盛りだなぁ
声をかけてみるが、答えるものなし。
しばらくして老いた尼ひとり。
〔「女院はいづくへ・・」
と仰せければ、
「この上の山へ、花つみにいらせ給ひてさぶらふ」〕
壁に女院のらしき
〈おもひきや 深山(みやま)のおくに すまひして 雲ゐの月を よそに見んとは〉
〔さる程に、上の山より、こき墨染の衣着たる尼二人、岩のかけぢをつたひつつ、おりわづらひ給ひけり。
法皇是を御覧じて、
「あれは何者ぞ」
と御尋ねあれば、老尼涙おさへて申しけるは、
「花がたみひぢにかけ、岩つつじとり具してもたせ給ひたるは、女院にてわたらせ給ひさぶらふなり。・・・」〕
*[かけぢ]=懸道。けわしい山道。がけに木などを段になるようにかけわたしてつくった道。
*[花がたみ]=花筐。花を摘んで入れるかご。花かご。
[*]は、〈語釈〉より
(水泳を始めようかとそのやさき二万人超え続く大阪)居彷人
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