|
好日山荘主催【登山学校】2,000m以上の雪山を登るためのギア&スキル講習会
日時：1/22 (木) 18:30〜20:10
場所：好日山荘銀座店地下1F
テーマ：ひとつ上の雪山へ！環境に応じた雪山ギア・ウェアの選択方法を学ぶ
講師：田中敦 氏(好日山荘白馬店勤務、日本山岳ガイド協会認定登山ガイドステージ��)
http://www.kojitusanso.jp/school/guide/#tanaka
田中講師は笑顔が素晴らしい。普段、好日でギアを販売しているのに、「ここだけの話、〇〇は初心者にはススメナイ…(笑)」など、初心者・初級者向けに本音トーク。実際に山に登っていないとわからないこと、初心者が陥りやすい点なども教えてくれた。
【気象・雪山環境】
◇2,000m超級の雪山は厳冬期(12月下旬〜2月頃)はー20℃以下に。ジェット気流で風も強い
◇標高が高いと遮るものがなく強風の影響をもろに受ける。着雪しにくく岩が露出し氷化
◇標高が低い（森林限界より下）は風の影響が少なく積雪は多くなり雪崩も起きやすい
◇日本海側は西高東低の冬型の気圧配置で大雪に。晴天は高気圧に覆われたときくらい
◇太平洋側は南岸低気圧が通過する際、大雪に。高気圧のとき、冬型のときに晴天
◇移動性高気圧配置では全国的に好天に（冬の八ヶ岳は好天が多い）
◇冬の気圧配置は2〜3日周期で変動。天気図から登山日の気圧配置や風の強さを確認
◇上空の寒気は約5,500mで−30℃以下、約1,500mで−6℃以下になるときは荒天になる
◇積雪の増える時は雪は軟らかい可能性、変化なしや減少時は締まり気味の可能性
◇てんくらなどだと特に高所の天気・風はわかりにくい。有料だがヤマテンが参考に
◇低気圧は反時計回りで回りの空気を取り込む、高気圧は時計回り
◇稜線の西側斜面は強い季節風で雪が飛ばされ岩肌露出、東側は堆積する
◇トップローディングといい稜線を西から東に向けて季節風が通り抜けることが
◇ルートがどちら向きの斜面からどちら向きの斜面に抜けるかにより日射と風が影響。要注意
◇同じ−5℃でも東京と高所では体感温度が異なる、高所のほうが寒く感じる
→高所では身体が赤血球値を増やそうとする＝体液が減る＝まず内臓や脳を優先＝末梢部に 血液が行き渡らなくなる＝手や足の先から凍傷に（低酸素感）
→右利きは右をやられやすい（何かと作業で使う）
【装備】
◇冬山登山靴もグレードがある。保温力が高い順に、ダブルブーツ→ビルトインゲータ→冬登山靴
◇予想される気温が低いほど、入山日数が長いほど保温力の高い靴がいい
◇過去に凍傷になった人は保温力に余裕を持たせる必要(同じ個所が凍傷になりやすい←角幡氏も書いてた)
◇冬登山靴は外見ではわからない（保温材が入っている）
→重量的に片足700gまでは3シーズン用、冬靴は800g以上。店員やカタログで要確認
→価格的に5万円以下の冬用登山靴はないと思ったほうがいい
◇靴はウェアと違い重ね着や山行途中で交換できない。自分に合うものをしっかり選ぶ必要
◇ピッケルは登る斜度によって形、長さが違う
→なだらかな斜面はケインポジション（柄が長く真っすぐ）シャフトを使う
→中斜面はダガーポジション（ピックを使う）
→急斜面はトラクションポジション（柄の曲がりが大きく短い）
◇最初の1本は「長く（60�僂�らい）」「ストレートで」「安い（1万円くらい）」のものがいい
→ピッケルを使う目的は、�．丱薀鵐垢鬚箸襦�3本目の脚にする）、�∋澆瓩襪如↓，魍个┐襪燭�
→ピッケルを上手く使ってバランスをとる癖をつける（曲がって短いのだと持って歩くことに）
→急斜面用のピッケルはピックと柄の末端の両方を刺せる、小指などが雪面に着かないメリットがある
◇シャフトが刺さるのか、ピックが刺さるのか、雪の硬さと深さでケースにより考える
◇ピッケルは山側の手で持つ、登りはピックが前、下りは後ろ（刺せるように）
◇登りは山足が進行方向、谷足はやや開く、下りは山足が進行方向、谷足は足先は開く
◇体重60kg＋荷物20kgと、体重80kgでは同じ重さでも足の裏にかかるバランスが異なり沈みが違う
◇スノーシューとわかん、浮力が大きいのは前者だが最初はわかんとストック（スノーバスケット）で
→バックカントリーや新雪にいくならシューでないといけないが
◇よほどの高所・強風でない限り、アウトシェルはレインウェアで代用できる
→ただし、レインウェアは弱い（ピッケルやアイゼンをひっかけるとすぐに穴があく）
→また、滑落時に滑る（ただ、滑落時にはウェアで止めることは事実上ムリ）
◇首回りは大切。オススメはネックゲーター＋ニット帽（バラクラバはそれ用にしかならない）
◇グローブは絶対に雪面に置かない（胸に入れる、バックパックに入れる）
→外側のグローブは大きめに、それに１枚別のを内側に使うほうがいい
→予備はウールがいい
Ｑ．最初の冬用登山靴はどこのがいい？
Ａ．冬用登山靴はイタリアが強い。スカルパ、スポルティバ、ザンバラン、シリオ（メーカは日本だが製品はイタリア）、ローバー、ボリエール（スペイン）などの中からとにかく履いて決めるべし
こんにちは。講習会のポイントありがとうございます。
こういうことって、時間の経過とともに忘れてしまいますので助かります。
show696さん、コメントありがとうございます。
そうですね、翌々日にはすっかり忘れてますね。振り返りやすいように備忘録としています。お役にたてば幸いです。
書き忘れたことがあったので追加しました。
◇靴はウェアと違い重ね着や山行途中で交換できない。自分に合うものをしっかり選ぶ必要
今回、ツボだったのは、同じ気温でも気圧が低い高所のほうが冷えやすい、凍傷になりやすい、ということと、初めのピッケルは長くて真っ直ぐで安いの(笑)、というところでした。
この要約でも凄く勉強になります。
fatcreekさん、ありがとうございます。
田中さんはとてもわかりやすくフレンドリーでした。
最初のピッケルが真っ直ぐで長くて安いのでいいのはバランスをとる癖をつけやすいのと、曲がって短い高〜いピッケルを買ってしまうと、使いづらくてもなかなか買い直せないからだそうです(笑)。
コメントを編集
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する