こちらはお仕事なので合格祈願の登山に行くわけにもいかず、気張って働いた帰り道。
「やばい」
と、普段はメールなんぞ寄越さない息子から一言だけ送られてきた。
さては試験で何かやらかしたか?
出来が悪くてパニクってるのか?
不肖の親父としては、かる〜い雰囲気にしてやろうと、
「どうした〜」
とお気楽な返事を返したが、その後連絡がない。
ま、いっか〜と帰宅してみると、なんとまぁ、電車の中にカバンを置き忘れて来たのだという。
受験票やらなんやらそっくり入ったまま。
しかも気付いたのは電車を乗り換えて15分も経ってからで、すぐに駅員に連絡すればいいものを、もたもたしながら帰ってきたのだとか。
祖母はパニクり、もここは、
「なんですぐに連絡しないの?」
「網棚に置いたらダメなんだよ!」
「忘れ物狙ってる人もいるから、もう無いんじゃないの?」
「友達が3回カバン忘れたけど、1つも戻ってこなかった!」
「すぐに駅に行かなきゃダメじゃん!」
等々、何故か俺を叱る……。
そのときMizは少しも慌てず、
「こういうときは落ち着きが肝心なのだ」
山で困難に遭遇したときも同様だ。慌てちゃいけない。
第一、時間が経ちすぎてるから急いで連絡したところで手遅れなら手遅れだ。
第二、運良く駅に届けられていれば、すでにカバンは安全だ。
第三、腹が減っている。
まずは夕飯をモソモソ食い、その後おもむろにカバン捜索に着手した。
結局カバンは無事に高尾駅に届いていることがわかった。
「じゃあ受け取りに行くか。身分証が必要だな」
「学生証があるからOK」
と言う息子に、
「保険証持っていったほうがいいんじゃないの?」
心配性の祖母が保険証を持ってくる。
「いつも学生証で受け取ってるし。3回目だからよくわかってる」
……って、そこでドヤ顔するな息子よ。お前は反省しろ反省を。
息子と一緒に電車に乗って、のんびりと高尾駅へ。
「せっかく高尾まで行くなら、ついでに登ってくるか〜?」
と息子を誘うが、
「今から登ったら死ぬ」
とツレナイお返事。
ま、受験生だしなぁ〜。
高尾駅の忘れ物保管所の係員さんは丁寧に対応してくれた。
「乗客の人が見つけて届けてくれたんですよ。礼金を期待して連絡先を言ってく人もいますが、今回は何も言わすに届けてくれました」
これが東京方面の電車だったなら、見つからなかった可能性もある。
高尾は登山者じゃなくても優しいなぁ〜。
運も良かったのだろう。
どこの誰だか知らないけれど、息子のカバンを見つけて届けてくれた親切な方に、この場を借りてお礼を言いたい。
ありがとね〜、ありがとね〜

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