(2014年度英国ブッカー賞受賞)
読んだ、震えた!!
昨年7月の書評で目にしながら手に取るまで(借りるまで)
半年余、ここ三日掛けてようやく読了した(453ページ)。
途中でページを閉じようかとも思ったが、気を奮立たせ圧倒され
ながら読み進んだ。一度読んだだけでは人物相関図がはっきり
しないが再読は苦しいだろう。「愛と死と暴力」の物語である。
太平洋戦争中、日本軍はビルマからタイの国境をまたいで
泰緬鉄道を突貫工事で敷設しようとした。苦役を担うのは数万人
の捕虜である。捕虜は虐待され凄惨極まる扱いを受け、死者は
1万数千人に及んだという(記述に何度か目を蔽いたくなる)。
オーストラリア人の捕虜で外科医のドリコ・エバァンスが
物語を運んでいく。ほそ道は奥深く人間の本質を問いかける。
処々に俳句が挿入されている。下記はその中の一句。
世の中は地獄の上の花見かな 一茶
ともかく凄い。傑作中の傑作、と評した人もいる。
翻訳者に敬意を表したい。
(渡辺佐智江訳 白水社 4104円)
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