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Big Sky InternationalのChinook 1.5p。
4シーズン対応(ポール3本仕様)ながら1800g弱と割と軽量。インナーを最大使用すると二人寝れるほどの内部空間ができ、最小使用すると左右に2つの大きな前室を作ることができる。スキーを含めた荷物一式を置いて更に中で煮炊きができる。ポールを1本省いて3シーズン用にすると1600gほどになる。最近の超軽量テントと比べると重いが、雨の中でも苦労なく煮炊きできる前室の広さはよい。
ただし4シーズン対応といっても強度的には厳冬期には対応していないだろう。Hillebergで言えばBlackレーベルではなくRedレーベル、それもYellowよりのRedと考える。
購入から7年経ち、インナー内部が劣化してきた。
もう買い替えかと諦めて後継を探すが、気に入るものが見つからない。同様の機能を提供してくれる幕はHillebergしかない。残念ながら近年の価格高騰でとても手が出ない。数年前に検討したときに購入しておけば良かったと心底後悔した。しかしそのHillebergの幕とて重量は比較にならないくらいに重い。購入したとて持ち歩く気になるだろうか?
となるとこの劣化したテントのメンテナンスの可能性を探ることになる。果たしてDIYで復活は叶うか?
参考ページは
https://imp.webike.net/diary/169761/
と
https://www.yamareco.com/modules/diary/558-detail-189207
<インナー>
1日目
底面内側はコーティングが一部剥がれて白くなっている。シームテープはほぼ白くなってほとんどはがれかけの状態。テープの残骸が多数転がっている状況。
シームテープを剥がす。手でむしったりガムテープでくっつけたりして除去した。細かいゴミは掃除機で吸引。
湯船でファイントラックの洗剤all washを用いて温水手押し洗い。撥水剤との相性を考えるとニカワックスがbetterか。
洗浄中、底面外側は撥水が効いていた。内側のコーティングは一部剥がれていたりいわゆる加水分解で白くなっているためか、撥水は全く効いていなかった。コーティングは外側と内側で異なるのか?
商品のページには、PU/シリコンの両方の表記がありはっきりしない。内部はPU、外部はシリコンなのだろう。
ある程度水切りして、湯船の中でニカワックスのDirect Wash Inを温水でのばしてつけ込み撥水処理。濯がずに水分を出来るだけ切って、そのまま干した。
一晩自然乾燥。
2日目
内部のアイロンがけ実施。低温、アイロン台の上で布当て(両面シリコン加工のクッキングペーパー)しつつ実施。低温でもペーパーが薄いのでやや温度が高すぎたかもしれない。
写真1の左アイロン後、右アイロン前。
虫食い状にコーティングが無い部分もほとんどがスムーズな表面に生き返った。ただし剥がれの強い部分は溶解したコーティングで覆いきれず、白いままとなった。ある程度は仕方ない。
一晩乾かす。
3日目
リンレイのハイテクフローリングコートをバスタブ内部にスポンジで伸ばしつつ塗る。出来るだけ薄く均一に。バスタブより上の側面は通気性のある素材なので塗る必要なし。
一晩自然乾燥。
4日目
白く残っていた部分もほとんどがスムーズな艶のある表面になった。少しざらざらするが。特に変わった匂いはしない。
写真2。シームシールを貼り低温アイロンで透明になるまで熱圧着固定。セロテープでずれないように固定しつつ、布当ては上記のクッキングペーパーを使用した。
クッキングペーパーは熱に強く、この手の作業にうってつけ。スキーのベースワックス掛けやシールののりの追加に大活躍する。
シームテープは透明になるまで熱圧着(左側)。セロテープで留めながらするとズレにくい。セロテープには熱を加えないように。取れなくなる。
表裏を間違えないようにしたい。底面は平らだし2mほどの長さなのですぐに終了した。
写真3。6箇所ある角の立ち上がり部分の縫製は立体形状で難しい。段ボールの小ブロックを作り下敷きにした。段ボールの角をくるくる回しながら立体的な部分にシームテープをつける。
すべて終えるのに2時間ほど要した。
シームテープで塞げない縫製部分は外側からシームグリップを塗り防水強化した。
一晩自然乾燥。
<アウター>
十分に撥水能力が残っている。おそらくシリコンコーティングされているのだろうが、剥がれのような表面の変化は見当たらない。シームテープはもとよりされていない。原産国(USA)がドライな環境かつ冬季を意識した4シーズン対応なのでそこまで浸水を気にしていないのだろう。内部の縫製端もシームテープ処理しにくい形状になっている。
シームテープ処理はせずに生地の撥水加工と縫い目のシーリンググリップ処理を目的にした。
5日目
まず湯船で温水手押し洗いで汚れを落とした。それほど汚れていないので洗剤は使わず。洗浄中も撥水が効いていて、大きな問題はなさそう。
お湯を替えて、そのまま湯船でDirect Wash Inにつけ込み撥水。濯がずに水切りして干した。
一晩自然乾燥。
6日目
外側から縫い目にシーリンググリップを塗布した。この作業はきれいに塗るのが難しく、やや広めに塗ることになってしまった。これは残念ながら素人作業になった。プロと差がでてしまうところだろう。
入口ジッパーの縫製部分は当然ジッパーに近い。シーリンググリップの塗り方によってはジッパーの噛み込みを邪魔してしまうかもしれないので、ここの浸水は許容することとした。一番濡れる部分ではあるのだが、今後困るようならシームグリップを追加することにしよう。
一晩自然乾燥。
帰宅後のわずかな時間を使っておよそ1週間かかった。
かかった費用は、シームテープ749円(長さ30m、5mも使っていない)、リンレイハイテクフローリングコート1573円(1L、100mlほど使用)、シームグリップ1509円(小チューブの半分ほど使用)、ニクワックスTX.ダイレクトwash-in2934円(300mlのうち200mlを使用)、ファイントラックのall washは自宅にあるものを使用。
ちなみにテントクリーニング.comに依頼すると、クリーニングと撥水処理で17000円ほどになる。シームテープ張替えは別途実費らしい。インナーで15000円くらいフライシートも15000円くらいのよう。全部すると5万弱になるので、それは新品を買ったほうがよいと思うかもしれない。
大事な道具のために、質の良いサービスと仕上がりを求めるか、自分で手入れする喜びを享受するか、それとも諦めて買い替えるか、はあなた次第。
さて、先日の聖平小屋で使用してみた。残念ながら雨もふらず地面もdryで参考にならず。
次回の使用後にまた追記・報告します。
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