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映画を鑑賞した結果は、登場人物が誰も同じヒゲおやじに見えて、ストーリーの展開も早く、誰が誰なのかさっぱり分かりませんでした。恥ずかしながら、私は山に興味をおぼえだしたのがここ数年のことであり、1996年に発生したエベレスト大量遭難事件に関する記憶も興味も知識もゼロだったのです!
こういう者がこの映画を見ても、IMAX 3Dの技術を駆使した映像・音響の迫力や、エベレストに行った気になる疑似体験は十分に楽しめます。ブリザードのシーンなんかで、4D映画館で猛冷風を流したら更に迫力あるでしょうね!(爆)
ただ、このままでは話し半分しか分かってないことになるので気持ちが悪く、早速大阪市立図書館に直行して、この映画のネタの大きな部分を占めてるであろう翻訳本3冊を借りてきて、読んでみました。
いや〜、一気に読んでしまいましたね。映画との関係、3冊の本のそれぞれの立場からの主張のギャップ、エベレスト商業登山の実態が分かり、たいへんおもしろかったです。
あの大量遭難事件の本質的原因はどこにあったのか?
この問いについては、多くの方が語ってらっしゃいますし、山の経験が足りない私にはいささか資格不足なので、少し別の面から3つほど、感想を書いてみたいと思います。
1)ベック・ウェザースについて
私はこの人の本が一番おもしろく、人物に対して親近感をいだきました。映画も、この人の人間ドラマに肩入れしていたように思えました。どうやらベックは、無意識的に「エベレストへ死にに行く」と思っていたフシがあります。もちろん、意識的には「待つ人のために生きて帰ってくる」と答えていたようですが、どうやら魂は別のところにあって、スルスルと山の神さまに命を召されてもよし、むしろ本望!的な生き様だったような気がします。これは、決して健全な精神状態とは言えないのですが、わかるなぁ、その気持ち。山には、そんな悪魔的な要素ってありますよね。ありませんか???
鬱をわずらい、これを克服するために山にのめり込み、今度は山によって家族を喪失しかけていた時にあの事故が起き、死の淵から還ってきて、両手を失うも、そのことによって家庭や職場で自分の居場所や自分以外との係わり、アイデンティティーを見事に再構築して充実した人生を送る... いささか脚色が入ってるかも知れませんが、できすぎた話しですね。人生とは抜き差しならないものですなぁ。。。
でも、山に行ったら絶対に帰ってこなくてはいけませんね!
2)低酸素状態と意識について
高度7900m以上のデスゾーンはおろか、それよりもっと低い高度で、低酸素が人間の意識、精神に及ぼす影響は多大なものがあるようですね。例えば、私の拙い経験でも夏の富士山の山頂に立った時、気分がすごくハイで、判断力がいささかおかしかったような記憶があります(いわゆるイッてしまってる状態)。 あるいは、1985年の日航ジャンボ機墜落事故でもコックピットクルーが、機内減圧が発生してから高度が高い間、極端に会話が少なく、低酸素症に陥っていた痕跡が認められるとあります。1996年の大量遭難事故では、結局、酸素を十分に摂取できなかった人ほど、間違った方向の判断や、判断を遅延していたような気がいたしました。生還したクラカワーですらC4近くで人物誤認をしたり、無酸素登頂を果たしたブクレーエフはアンビリバボーですが、彼でさえ、テントに戻るまで本当に正常な判断力があったのか? いかに、人間の全器官、特に脳にとって酸素が重要かと思い馳せてしまうのです。語り尽くされていることではありますが、低酸素状態の脳に、命に関わるコントロールを委ねること自体がいかに危険なことであるか....
3)現代にこの事故が起こってたなら
事故から19年。今はデジタル登山世代だと思います。かくいう私も典型的なデジタル登山世代の申し子で、コンパスの使い方や読図より先にGPSの使い方を覚えました!(今は反省してコンパスも使えるように努力してます。諸先輩ゴメンナサイ...) 当時も衛星電話だの何だの持ち上げていたみたいですが、C4では動作温度範囲外で使い物にならなかったとか...
サウス・コルの死の彷徨の場面で、現代のギアがあったならどうだったのでしょうか? あの彷徨で、難波康子が命を落とし、ベックウェザースが死の淵から奇跡的に生還したものの両手を失い、他の3人も死の淵に晒されたのです。この5人が自力でキャンプまで帰ってくることができていればブクレーエフも他の救援に行けたかも知れません。ガイドがいなくなっても誰かがガーミンを持っていれば...???
GPSはそのままではマイナス20度以下では動作しないでしょうから、超寒冷地対策が必要ですね。それができたとして、あのブリザードの中で操作ができたでしょうか? 手袋はアウターさえ絶対に外してはいけません。初心者冬山講習会で、アウターをしたままでアイゼン脱着、ザックの操作を何度も練習させられたことがあります。既に手は強張り始めてるかも知れません。果たして、GPSを取り出したり、最低限の操作ができるのでしょうか? 酸素ボンベも空かすごく希薄な状態で意識も朦朧としているでしょう。もうこれは現実にそこに行ってやってみないと分かりませんね!
蛇足)航空機ファンの私にとって、マダン・KC中佐が操縦するユーロコプターAS350 スクイレルの飛行シーンは迫力満点で楽しかったです。その後、同機種はエベレスト山頂着陸の記録を打ちたてますが、それはよほどのコンディションが整っていてのこと。当時は最高でもBCまでしか上がったことがなかったとか....
初めまして😃
私も映画をみましたが、髭のおじさんの見分けがつかず、名前を覚えきれずに、終わってしまいました💦
私も本を読んで復習したいと思います💡
生還した本人が書いた本は一番興味がありますね。
gucchisanさん、こんにちは、はじめまして。
本読みしたらおもしろいと思いますよ。そしてもう一度みると更におもしろいかも?
配給会社の思う壺かも知れませんが〜(笑)。
ベックの本を読むと、身につまされる思いになるのは私だけ!? 私はエベレストこそ行きませんが、家庭で雪崩発生〜!?
nanfutsuさん、こんにちは! おもしろい映画をご紹介いただき、ありがとうございました!
おっしゃる通り、諸々の論争は上手くスルーして、カラッとした人間ドラマに仕上がってましたね。本読んでよく分かりました。
難波康子さんの山頂シーンは多分あんな感じだったんでしょうね〜。ヘリは凄かったですね。上昇気流を捉えることができなかったらそのまま墜落!神技ですなぁ。
こんにちは。
誰かを責めることなく史実を伝えることに留意した作品なのかなと思いました。
難波康子さんが日の丸を立てるシーンが感動的
それにしてもヘリのシーンは凄かったですね
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