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それに関連して、医療系論文を読んでみたので紹介します。
論文)『高所(海抜3,000メートル超)登山中の心肺停止でありながらAEDにより救命し得た1例』(前田ら, 2010)
事例紹介のようなタイトルですが、それにとどまらず、登山者の心疾患リスクについても記されています。
内容は、富士登山8合目で突然昏倒した50代登山者に対して、たまたま居合わせた医師の応急処置と、駆け付けた救護所医師のAED処置、およびその後の治療によって回復した例から、全山小屋にAED設置し、スタッフに講習会を年に1回やってるのが功を奏したね!というものです。
AED着くまで30分胸部圧迫し続けたお医者さん(と多分周りの協力者さんたち)すげー!(ちなみにこの医師、外国籍だそう。)
やっぱりAED講習受けておくのは役に立つよね、山でも。
そして、ほほーぅ!と思ったのが、
論文では、2003年から2008年の、富士山での心肺停止の9例の概要を挙げているのだけど、年齢は45歳から69歳で平均年齢は59.6歳。…別に老齢じゃない!むしろ中年、壮年。
「心臓に実はリスクのある人が、高齢になって(も)無理な登山して発症し、遭難(死亡)」ではなく、「普通に元気な現役世代が、心疾患に気づいておらず、いつも通りに登山したら発症して遭難(死亡)」なんだってこと。こえぇ〜!
この論文が引用している他の論文(股引きになっちゃうけど)も、
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1:高山(*「こうざん」ではなく、人名「たかやま」です)は2008年の北アルプスの遭難事故199例のうち48例(24%)が死亡しており,そのほとんどを中高年が占め,しかも死亡例の約半数は突然死
2:Fauhaberらはオーストリアアルプスにおいて1,431名のハイカーと1,043名のスキーヤーをサンプル調査したところ,ハイカーの12.7%,スキーヤーの11.2%がひとつ以上の心血管系の疾患を抱えており,その頻度は年齢とともに増加し,男性においてより深刻
→1割以上の人に心疾患!!動画でDr.市川が仰っていたのと合致している。
3:Woodsらは埋め込み型の心電図記録装置を用いて高所における不整脈を検討し,全員(!)に何らかの不整脈
+
4:Hainsworthらは高所における低気圧,低酸素,運動負荷により血中アドレナリンの上昇と肺高血圧症を起こし,これにより不整脈や心筋虚血を来す
→登山自体が心疾患のリスクってことだね。
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心疾患、自分は違うと根拠のない願望を妄信せず、…登山者健診受けたいけど、もっとあちこちでやってくれるといいなぁ〜
論文は、タイトルでGoogle Scholar(論文検索サイト)で検索、誰でも閲覧可能です。
富士山だけでなく他の山でも、山小屋だけでなく避難小屋にも、AED設置が広まるといいですね!
まとやん社長とDr.市川の対談
【調べてみたら遭難予備軍かも!?】実は中高年こそ必要な登山者検診について解説!
初めまして
らくルートの×の点をクリックすると遭難の内容が略記されています(例えば転倒、軽傷など)。
今年4月に富士山の吉田ルートを調べたら10名以上の方が病死されていました(↓)(心臓病かは不明です)。
https://www.yamareco.com/modules/diary/170425-detail-357856
「北アルプスの遭難事故199例のうち48例(24%)が死亡しており,そのほとんどを中高年が占め,しかも死亡例の約半数は突然死」とのことですが、高所になると空気が薄く心臓に負担がかかるのでしょうか。
自分は高齢者です。吉田ルートのデーターを見て不安になり慎重になろうと考えを改めました。
でも3か月が経過したら自分は大丈夫だろうと元に戻ってしまいました(ダメですね)。
コメントありがとうございます。
人間は自分を実際よりも良いもの(健康だ、イケてる、など)と認識しているそうです。
だからこそチャレンジできるし、向上していけるのだと思います。
リスクがあると知り、備えつつも、過度に恐れることなく、楽しく登山できるといいですね♪
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