アルプス4000m峰(ゲーゲケ版)
ヨーロッパ
アラリンホルン(Allalinhorn) / Allalinhorn
最終更新:ベルクハイル
基本情報
標高 | 4027m |
---|---|
場所 | 北緯46度02分46秒, 東経07度53分41秒 |
アラリンホルン(”Allalinhorn” ; 4027m)は、スイス中南部、ヴァリス(Wallis/Valais)山群のうち、ザース渓谷(“Saastal”)の最奥部(最南部)に位置する一峰。
麓の山岳リゾート地、ザースフェー(“Saasfee”)から、ロープウエーとアルペンメトロ(Mettro Alpin)を使えば、中腹のミッテルアラリン駅(“Mittelallalin” ; 3456m)まで容易にアクセスでき、ミッテルアラリン駅から標高差約600mの雪面を登って、半日で登れる山である。
4000m峰としては非常に登りやすいことから、「おばあさんの4000m峰」とか、「最も簡単なアルプス4000m峰 ( ”One of the easiest and popular 4000-meter peaks of the Alps”)」とも呼ばれる(文献1)、(文献2)。
アラリンホルンは、上記のとおり、ザース渓谷の最南部、ザースフェーの南西 約7kmの場所に位置する。
その周辺には、アルプフーベル(”Alphubel” ; 4206m), リンプフィッシュホルン(”Rimpfischhorn” ; 4199m)、シュトラールホルン(“Strahlhorn” ; 4190m) などがあり、これらはまとめてアラリン山群(“Allalin Group”(英)/ “Allalin Gruppe“ (独))とも呼ばれる(文献3)。
アラリンホルンは、雪に覆われたドーム状の緩やかな山頂部を持つ。
またその周辺はいくつもの氷河が広がっている。その北側と北西側は、広いフェー氷河(”Fee Glacier”)の源頭部となっている。このあたりはスキー場となっている。東面には、ホーラウブ氷河(“Hohlaub Glacier”)とアラリン氷河(“Allalin Glacier”)が広がっている。南西側には、メリッヒ氷河(“Mellich Glacier”)が広がっている。
アラリンホルンからは、3つの稜線が延びている。北西へと延びるなだらかな稜線は、アルプフーベルへと続いている。南側はいったん、アラリンパス(”Allarinpass” ; 3564m)と呼ばれるコルへと大きく標高を落としたのち、再び標高を上げ、リンプフィッシュホルンへと続いている。また北東方向に延びる稜線はホーラウブ稜とも呼ばれ、フェー氷河とホーラウブ氷河との境をなしている。(文献3)、(文献4)。
アラリンホルン(”Allalinhorn”)という山名の由来であるが、(文献3)によると、「アラリン」(Allalin)とは、ザース渓谷を含むこの一帯が、ドイツ語圏になる前の古い時代からの地域名だという。またその「アラリン」の語源はケルト語由来という説や、アラブ系民族の言葉由来、といった学説が紹介されているが、詳しいことは不明のようである。
地質学的には、アラリンホルンを含む一帯は、複数のナップ(Nappe/Decke)が積み重なったナップ構造を持ち、変成した各種岩石が複雑に混じった地質構造となっている。
具体的には、広義の「緑色岩」である、変成した玄武岩(Meta-Basalt)、変成したハンレイ岩(Meta-Gabbro)、蛇紋岩(Serpentinit ;(独))、に加え石灰岩(Kalkschiefer ;(独))、頁岩などがあり、これらの一部は、海洋プレートの断片であるオフィオライト(Ophiolite)と考えられている(文献3)。
また、このアラリンホルン一帯に分布している岩石は、氷河期に広く広がった氷河の流れによって遠くまで運ばれており、ザース渓谷の下流にあたるローヌ渓谷沿いにもアラリンホルン由来の岩石(まとめて「アラリンガブロ」と呼ばれている)、特に、変成したハンレイ岩(Meta-Gabbro)が多数見つかる、という。これらの岩石のうちオンファス輝石系(Omphacit;(独))の岩石は、「スイスのヒスイ」(“Schweizer Jade”)とも呼ばれる、という(文献3)。
アラリンホルンの初登頂は、1856年8月に、E. L. Ames , F.-J. Andenmatten, 及びヨハン・ヨーゼフ・イムボーデン(原語表記は不明)による3人パーティーにより、アラリン氷河を登攀して、アラリンホルンの南側のコルである、アラリンパス(” Allalinpass”)を経由するルートによって、達成された(文献1)、(文献2)、(文献3)。
アラリンホルンへの一般的な登攀ルートについて、(文献1)に基づいて説明する。
登攀ルートは、ザースフェーから、ロープウエーと「アルペンメトロ」を使ってミッテルアラリン駅(Mittelallalin;3456m)まで上がり、ここからスタートする。
ミッテルアラリン駅付近のスキー場を抜けて、フェー氷河(“Fee Glacier”)の最上部の斜面をフェーヨッホ(“Feejoch”;3807m)まで登り、そこからやや急な山頂部の雪の斜面を登れば、十字架が建ち、やや地面がでている山頂に至る。
ミッテルアラリン駅から、登りで約2時間、標高差 600m弱。
上記ルートの難易度は、フレンチグレードで、PD。
ほぼ全て氷雪面のルートで、氷雪面の最大斜度は約40度。
本稿は、「アルプス4000m峰登山ガイド」リヒャルト・ゲーゲテ著、島田 訳、山と渓谷社 刊 (1997)の「アラリンホルン」の項(文献1)、
ウイキペディア英語版の、アラリンホルン(”Allalinhorn”) の項(文献2)、
ウイキペディア ドイツ語版の、アラリンホルン(”Allalinhorn”)の項(文献3)、
及びスイスの公的なインターネット地形図(Swiss Topo)(文献4)
を参照して記載した。
※ ウイキペディア英語版の、アラリンホルン(“Allalinhorn”)の項
https://en.wikipedia.org/wiki/Allalinhorn
※ ウイキペディア ドイツ語版の、アラリンホルン(“Allalinhorn”)の項
https://de.wikipedia.org/wiki/Allalinhorn
※ スイスの公的なインターネット地形図(Swiss Topo)のサイト
https://map.geo.admin.ch/
麓の山岳リゾート地、ザースフェー(“Saasfee”)から、ロープウエーとアルペンメトロ(Mettro Alpin)を使えば、中腹のミッテルアラリン駅(“Mittelallalin” ; 3456m)まで容易にアクセスでき、ミッテルアラリン駅から標高差約600mの雪面を登って、半日で登れる山である。
4000m峰としては非常に登りやすいことから、「おばあさんの4000m峰」とか、「最も簡単なアルプス4000m峰 ( ”One of the easiest and popular 4000-meter peaks of the Alps”)」とも呼ばれる(文献1)、(文献2)。
アラリンホルンは、上記のとおり、ザース渓谷の最南部、ザースフェーの南西 約7kmの場所に位置する。
その周辺には、アルプフーベル(”Alphubel” ; 4206m), リンプフィッシュホルン(”Rimpfischhorn” ; 4199m)、シュトラールホルン(“Strahlhorn” ; 4190m) などがあり、これらはまとめてアラリン山群(“Allalin Group”(英)/ “Allalin Gruppe“ (独))とも呼ばれる(文献3)。
アラリンホルンは、雪に覆われたドーム状の緩やかな山頂部を持つ。
またその周辺はいくつもの氷河が広がっている。その北側と北西側は、広いフェー氷河(”Fee Glacier”)の源頭部となっている。このあたりはスキー場となっている。東面には、ホーラウブ氷河(“Hohlaub Glacier”)とアラリン氷河(“Allalin Glacier”)が広がっている。南西側には、メリッヒ氷河(“Mellich Glacier”)が広がっている。
アラリンホルンからは、3つの稜線が延びている。北西へと延びるなだらかな稜線は、アルプフーベルへと続いている。南側はいったん、アラリンパス(”Allarinpass” ; 3564m)と呼ばれるコルへと大きく標高を落としたのち、再び標高を上げ、リンプフィッシュホルンへと続いている。また北東方向に延びる稜線はホーラウブ稜とも呼ばれ、フェー氷河とホーラウブ氷河との境をなしている。(文献3)、(文献4)。
アラリンホルン(”Allalinhorn”)という山名の由来であるが、(文献3)によると、「アラリン」(Allalin)とは、ザース渓谷を含むこの一帯が、ドイツ語圏になる前の古い時代からの地域名だという。またその「アラリン」の語源はケルト語由来という説や、アラブ系民族の言葉由来、といった学説が紹介されているが、詳しいことは不明のようである。
地質学的には、アラリンホルンを含む一帯は、複数のナップ(Nappe/Decke)が積み重なったナップ構造を持ち、変成した各種岩石が複雑に混じった地質構造となっている。
具体的には、広義の「緑色岩」である、変成した玄武岩(Meta-Basalt)、変成したハンレイ岩(Meta-Gabbro)、蛇紋岩(Serpentinit ;(独))、に加え石灰岩(Kalkschiefer ;(独))、頁岩などがあり、これらの一部は、海洋プレートの断片であるオフィオライト(Ophiolite)と考えられている(文献3)。
また、このアラリンホルン一帯に分布している岩石は、氷河期に広く広がった氷河の流れによって遠くまで運ばれており、ザース渓谷の下流にあたるローヌ渓谷沿いにもアラリンホルン由来の岩石(まとめて「アラリンガブロ」と呼ばれている)、特に、変成したハンレイ岩(Meta-Gabbro)が多数見つかる、という。これらの岩石のうちオンファス輝石系(Omphacit;(独))の岩石は、「スイスのヒスイ」(“Schweizer Jade”)とも呼ばれる、という(文献3)。
アラリンホルンの初登頂は、1856年8月に、E. L. Ames , F.-J. Andenmatten, 及びヨハン・ヨーゼフ・イムボーデン(原語表記は不明)による3人パーティーにより、アラリン氷河を登攀して、アラリンホルンの南側のコルである、アラリンパス(” Allalinpass”)を経由するルートによって、達成された(文献1)、(文献2)、(文献3)。
アラリンホルンへの一般的な登攀ルートについて、(文献1)に基づいて説明する。
登攀ルートは、ザースフェーから、ロープウエーと「アルペンメトロ」を使ってミッテルアラリン駅(Mittelallalin;3456m)まで上がり、ここからスタートする。
ミッテルアラリン駅付近のスキー場を抜けて、フェー氷河(“Fee Glacier”)の最上部の斜面をフェーヨッホ(“Feejoch”;3807m)まで登り、そこからやや急な山頂部の雪の斜面を登れば、十字架が建ち、やや地面がでている山頂に至る。
ミッテルアラリン駅から、登りで約2時間、標高差 600m弱。
上記ルートの難易度は、フレンチグレードで、PD。
ほぼ全て氷雪面のルートで、氷雪面の最大斜度は約40度。
本稿は、「アルプス4000m峰登山ガイド」リヒャルト・ゲーゲテ著、島田 訳、山と渓谷社 刊 (1997)の「アラリンホルン」の項(文献1)、
ウイキペディア英語版の、アラリンホルン(”Allalinhorn”) の項(文献2)、
ウイキペディア ドイツ語版の、アラリンホルン(”Allalinhorn”)の項(文献3)、
及びスイスの公的なインターネット地形図(Swiss Topo)(文献4)
を参照して記載した。
※ ウイキペディア英語版の、アラリンホルン(“Allalinhorn”)の項
https://en.wikipedia.org/wiki/Allalinhorn
※ ウイキペディア ドイツ語版の、アラリンホルン(“Allalinhorn”)の項
https://de.wikipedia.org/wiki/Allalinhorn
※ スイスの公的なインターネット地形図(Swiss Topo)のサイト
https://map.geo.admin.ch/
山頂 | |
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展望ポイント |
山の解説 - [出典:Wikipedia]
アラリンホルン(独:Allalinhorn)は、スイスヴァレー州のペニン・アルプス(ワリス・アルプス)にある山。同州のザースフェーの西側に位置する。ドーム山やナーデルホルン、テッシュホルン、レンツシュピッツェなどと共に、ミシャベル山群を形成している。ミッテルアラリン(Mittelallalin)に向かうメトロ・アルピン(Metro Alpin)の乗り場が北西斜面にある。メトロ・アルピンによってアルプスの4000m級の山に容易にアクセスできるようになった。
付近の山
- [2.7km] リムプフィッシュホルン(4199m)
- [2.9km] アルプフーベル(4206m)
- [3.7km] シュトラールホルン(4190m)
- [5km] ティッシュホルン(4491m)
- [5.8km] ドム(4545m)
- [6.8km] レンツシュピッシェ(4294m)
- [7.4km] ナーデルホルン(4327m)
- [7.8km] シュテックナーデルホルン(4241m)
この場所を通る登山ルート
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