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アルプス4000ｍ峰（ゲーゲケ版）

オーバーガーベルホルン(Obergabelhorn) / Ober Gabelhorn

オーバーガーベルホルンの情報を編集

最終更新：ベルクハイル

縦構図での「逆さオーバーガーベルホルン」の絵。

ヨーロッパ 2019年08月01日スイスアルプスの山旅（4）ツエルマットとその周辺。

基本情報

標高	4063m
場所	北緯46度02分18秒, 東経07度40分03秒

カシミール3D

オーバーガーベルホルン（“Ober gabelhorn” ; 4063m）は、スイス中南部、ヴァリス(Wallis/Valais）山群のうち、ツェルマット渓谷(“Mattertal”)と、ツェルマット渓谷の西側で、同じく南北に走る、ツィナール渓谷（“Val du Zinal”）との間を画する、ヴァイスホルン山群（“Weisshorn gruppe” (独)）と呼ばれる大きな山脈の中の、一峰である。

ツェルマット付近から西側を望むと、北側のヴァイスホルン、南側のマッターホルンが特に目立つが、その間を繋ぐ稜線上にある２つの岩峰状の4000ｍ峰のうち、北側が、ツィナールロートホルンで、南側がこの、オーバーガーベルホルンである。
この山の周辺には、４０００ｍ峰が多い。この山の北側　約３ｋｍの位置には、ツィナールロートホルン（“Zinalrothorn“ ; 4221m）がある。西側　約４ｋｍの位置には、ダンブランシュ（”Dent Branche” ; 4358m）がある。また南側　約６ｋｍの位置には、マッターホルン（“Matterhorn” ; 4478m）がひときわ大きくそびえている（文献２）、（文献４）。

この山の山頂部付近は、ツィナールロートホルンと同様に岩山であり、４つの岩稜と、４つのフェイスを持ち、ピラミッド状の形をしている。（文献２）では、マッターホルンを小さくしたような形、と表現している。
４つの岩稜は、北東稜、北西稜（クール稜 ; “Arete du Coeur” とも呼ばれる）、南東稜(ガーベルホルン稜 ; “Gabelhorngrat“ とも呼ばれる)、南西稜（アルベン稜；“Arbengrat” とも呼ばれる）である。
このうち、北東稜には、ヴェレンクッペ（“Wellen kuppe” ; 3900m）という顕著なピークがあり、ツェルマット側から望むと、兄弟峰のように見える。また南東稜には、途中のオーバーガーベルヨッホ（”Obergabeljoch ; 3594m）というコルを隔てて、ミッテルガーベルホルン（”Mitter Gaberhorn” ; 3685m）という兄弟峰がある。
この山の４つのフェイスのうち、北壁は氷河に覆われているが、残りの３つのフェイス（東壁、南壁、西壁）は、岩の多いフェイスとなっている（文献２）、（文献４）。

この山の中腹以下は、周辺をいくつかの氷河に囲まれている。
東～南東側には、本峰、ヴェレンクッペ、ミッテルガーベルホルンが囲んでいるカール状地形の部分を源頭部とした、ガーベルホルン氷河（“Gaberhorn Glacier”）があり、ツェルマット側から良く目立つ。南西側には、やや小型のアルベン氷河（“Arben Glacier”）がある。北東側と北西側は、長大なツィナール氷河（”Glacier de zinal“）の上部の源頭部が広がっている（文献４）。

この山の山名のうち、オーバー（Ober）は、ドイツ語で「上」の意味、ガーベル（Gabel）は、ドイツ語で農具の「熊手」の意味である。

この山の初登頂は、1865年7月に、A. W. Moore, H. Walker , J. Andereggによる３人パーティにより、ガーベルホルン氷河のある東面を登攀するルートによって、達成された。
なお、現在一般的な登攀ルートとなっている北東稜ルートは、1890年に初登攀された。（文献１）、（文献２）、（文献３）。

オーバーガーベルホルンへの一般的な登攀ルートについて、(文献１)に基づいて説明する。
登攀ルートは、ツェルマット側から拓かれている。ツェルマットから西側へと斜面を歩き、ロートホルン小屋（“Rothorn hutte”；3177ｍ）まで登り一泊する。ここまでは、ティナールロートホルンへのルートと同じ。
小屋からは、トリフト氷河（“Trift Gracier”)の上部をトラバース気味に南東側へと大きく弧状に進んだのち、岩稜を登攀して、ヴェレンクッペに至る。そこからさらに、岩と雪の稜線（北東稜；N-E grat）を登攀して、頂上に至る。

ツェルマットからロートホルン小屋まで、登りで約５時間、標高差；約1700ｍ。
ロートホルン小屋から頂上まで、登りで約５－６時間、標高差；約850ｍ。

登攀ルートのルートグレードは、フレンチグレードで、AD。
岩場のピッチグレードは、部分的にはⅢを含み、多くがⅠ～Ⅱ。

本稿は、「アルプス４０００ｍ峰登山ガイド」リヒャルト・ゲーゲテ著、島田　訳、山と渓谷社　刊　（１９９７）の「オーバーガーベルホルン」の項（文献１）、
ウイキペディア英語版の、オーバーガーベルホルン（“Ober gabelhorn”）の項（文献２）、
ウイキペディア　ドイツ語版の、オーバーガーベルホルン（“Ober gabelhorn”）の項（文献３）、
及びスイスの公的なインターネット地形図（Swiss Topo）（文献４）
を参照して記載した。

※　ウイキペディア英語版の、オーバーガーベルホルン（”Ober gabelhorn”）の項

https://en.wikipedia.org/wiki/Ober_Gabelhorn

※ ウイキペディア　ドイツ語版の、オーバーガーベルホルン（”Ober gabelhorn”）の項

https://de.wikipedia.org/wiki/Ober_Gabelhorn

※ スイスの公的なインターネット地形図（Swiss Topo）のサイト

　https://map.geo.admin.ch/