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更新日:2021年11月22日 訪問者数:125456
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スマホはどの程度低温に弱いのか実験!2021年11月追記
keizi666
スマホ(※)は冬山では使えないというイメージが強くあります。しかし簡単に電源が落ちちゃうときもあれば、意外に強いときもあります。実際どうなのか?家の冷凍庫にスマホを入れて冷凍し、電源が落ちるのか?バッテリー残量はどうなるのか?を検証しました。

2016年にiPhone5や5s、Xperia Z5などで実験したのですが時間が経って内容が古臭くなってきたので再検証しました(2021/11/15)。検証の結果iPhone12Proはとんでもなく寒さに強いことがわかりました(結果は下の方)。

※…スマートフォンの略称。たまに『スマホ=Android』でiPhoneはスマホではないと思ってる方がいますが、iPhoneもAndroidもスマホです。
リチウムイオン二次電池の温度特性
まずは、現在のスマホに使われているリチウムイオン二次電池という充電池について解説します。

リチウムイオン電池の電圧は、電力を消費すると緩やかに下がっていきます。

保護回路が入っている場合は一定まで下がると自動で給電を止めます。本当にカラにしてしまうと壊れてしまうからです(リチウムイオン電池の性質です)。壊れない限界の電圧(例えば3.0V)が残量0%で、それを下回ると壊れないように自動シャットダウンします。

保護回路が無いリチウムイオンバッテリーは使い続けると電圧が下がりすぎて壊れてしまいます(ラジコンやサバイバルゲームの電動ガンなどで使われるやつ)。

電池は全般的に温度が低い状態では電圧低下が早まります。リチウムイオン電池はニッケル水素やアルカリと比べて低温に強いのですが、それでも-20℃では33%速く減ります。低温になると電圧が下がってしまうのです。

■温度による変化
一般的なリチウムイオン電池は、例えば25℃の場合に3.0Vを保てる時間を100%とすると、0℃で86%、-10℃で80%、-20℃で66%となってしまいます。つまり25℃で20時間保つ電池は-20℃では13時間しか保たなくなります。

常温で残量が20%あっても、低温によってバッテリーの電圧が下がればシャットダウンしてしまいます。

バッテリー残量が少ない状態(ある程度電圧が落ちた状態)で冷やせば温度変化により更に電圧が下がってしまい、スマートフォンの動作に必要な電圧を下回りやすくなります。残量が多い状態なら電圧の低下もわずかなので電圧の下がり方も小さくなります。

まとめるとこんな感じです。

低温→電圧が下がる→バッテリー残量が少なく表示される

バッテリー残量が少ない=バッテリーの電圧が低くなっている=低温で電源が落ちやすい

バッテリー残量が多い=バッテリーの電圧が高い=低温に耐えられる
2021年の実験と結果 2021/11/15
2016年に試して以来時間が空いたので追加実験をしました。ログとして下記情報を残しておきます。読むのが面倒な方はログ部分を飛ばして、まとめだけ読んでください。

■条件
温度:-25℃(-20℃〜-25℃ 平均-23℃)
時間:1時間
操作:1時間の冷凍後室温に出して動作をチェックする。シャットダウンしていなければジオグラフィカやカメラアプリで負荷を掛ける。シャットダウンした場合は起動するまで電源を入れる。
機種:
iPhone7、iPhoneX、iPhone12Pro
arrows M03、Xperia Z5 Compact、Xperia Ace 2、Android One S4、AQUOS R2、Pixel4、Pixel6

冷蔵庫を2020年に買い替えたので冷凍庫は-25℃まで冷えるようになりました。
(当初デジタル温度計で計って-26℃していたがプローブ付きの温度ロガーで測ったところ-20℃〜-25℃くらいをウロウロしていた)

冷凍時間は、以前は30分でやってましたが1時間でやってみました。1時間冷凍して出すと、あっという間に真っ白な霜が降りるくらい冷えます(30分でも霜は付きますが)。

バッテリー残量100%で冷凍1時間を耐えた機種のみ、80%と50%での追試も行っている。
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■iPhone7 iOS14.6(2016年発売 1年使用 バッテリーの状態89%(つまり満充電にしても買った時の89%までしか容量が無い))

100%→1時間冷凍で電源が落ちた→加温後100%
冷凍庫から出したら電源が落ちていた。
1分後起動したが、バッテリー残量は10%程度。
カメラやジオグラフィカは起動したがほぼ操作できず、バッテリー残量が1%になって再度シャットダウン。
室温で置いたら5分後に起動できて、バッテリー残量は100%に戻った。

雪山で使ったこともありますが、ウェアのポケットに入れているので今回の実験よりも冷えなかったためか、行動中に電源が落ちたことはありませんでした(厳冬期の八ヶ岳などで使用。最低で-20℃くらい)。
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■iPhoneX iOS15.1(2017年11月発売 3年使用 バッテリーの状態83%)

100%→1時間冷凍で電源が落ちた→再起動後59%→41%→加温後に再起動で100%
2回電源を入れて落ちたあと、3回目で起動。バッテリー残量は59%を示したあと40%まで下がった。体温で加温後に再起動したら100%に戻った。バッテリーの劣化が進んでいるため本来の性能とは言えないが、12Proよりは寒さに弱い様だ。Xも冬山で使ってきたが電源が落ちたことはない。今回の検証は、ちょっとした冬山(-20℃程度)より厳しいということか。

100%→30分冷凍1%→負荷を掛けたら電源が落ちた→加温後再起動で98%
30分冷凍では電源は落ちなかったがバッテリー残量は1%で、アプリを動かしたら電源が落ちた。体温で加温後常温に戻って再起動したら98%に戻った。
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■iPhone12Pro iOS15.1(2020年10月発売 約1年使用 バッテリーの状態96%)

100%→1時間冷凍100%
動作に問題は見られない。写真を連写してもジオグラフィカを起動して地図をどんどんスクロールさせても問題なく動作する。カメラに霜が付いて撮影に支障が出たが、霜を取れば写真は撮れた。嘘でしょ?ってくらい影響がない。

30分と1時間の2回冷凍したが2回とも問題は見られなかった。

バッテリー残量80%の場合
80%→1時間冷凍82%→操作後シャットダウン→室温2分後に再起動で10%→加温後再起動で82%
冷凍庫から出した直後は動作したが、ジオグラフィカを起動して操作しようとしたらシャットダウンした。室温で2分後に再起動したがバッテリー残量は10%を表示。再度再起動したら、なぜかバッテリー残量の表示は冷凍前より少し増えて82%になった。

バッテリー残量50%の場合
50%→1時間冷凍50%→電源が落ちた→再起動後10%→加温後47%
冷凍庫から出した直後は、処理の遅さは感じつつもジオグラフィカで地図のスクロールをしても問題なかったが、カメラアプリを起動したらシャットダウンしてしまった。その後1分以内に再起動したがバッテリー残量は10%になった。体温で加温後再起動したら47%に戻った。
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■arrows M03 Android6.0.1(2016年9月購入、稀にテストで使用)

100%→1時間冷凍98%
多少液晶の表示が遅くなっているがバッテリー残量は98%で動作も問題ない。MIL規格対応ということだが、低温にも強いようだ。

バッテリー残量50%の場合
100%→1時間冷凍で46%後、0%と表示されてシャットダウン→室温で2分後再起動。29%
冷凍庫から出した直後は残量46%と表示されて画面が点いたが、操作したら0%になってシャットダウンした。室温で放置後に再起動したがバッテリー残量は29%になった。
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■Xperia Z5 Compact Android7.1.1(2015年購入、稀にテストで使用)
100%→1時間冷凍100%
液晶の表示がやや遅れ気味で残像が見えるが、バッテリー残量は100%を示し電源が落ちることもない。動作に問題は見られない。-20℃で1時間冷凍しても問題は出なかったが、-25℃でも大丈夫みたい。

バッテリー残量80%の場合
80%→1時間冷凍後、操作をしたらシャットダウン→室温で3分後に再起動。69%
冷凍庫から出したときは画面が点いたが、操作をしたらシャットダウンした。室温で3分後に再起動完了し、バッテリー残量は69%になった。

バッテリー残量50%の場合
50%→1時間冷凍で電源が落ちていた→4分半後起動後42%→加温後再起動したら39%
冷凍庫の中で電源が落ちていた。電源ボタンを押しても起動しない。1分半後起動画面が点灯したが起動中にシャットダウン。3回ほど繰り返して4分半後起動。バッテリー残量は42%となった。加温後39%になっていた。再起動で使った分?
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■Xperia Ace 2 Android11(2021年購入、購入当日に検証)
100%→1時間冷凍でシャットダウン
冷凍庫から出したら電源が落ちていた。室温で1分後電源が入るようになり、更に1分後起動。バッテリー残量は99%と表示された。以降は普通に使用可能。一応もう一度やってみたけど同じ結果だったので、同じXperiaでもZ5 Compactとは耐寒性能が違うらしい(値段が違いすぎるか)。
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■Android One S4 Android10(2019年1月購入、稀にテストで使用)

100%→1時間冷凍で電源が落ちた→加温後再起動で100%
2回電源を入れて起動を始めたが落ちて、3回目に起動した。起動後のバッテリー残量は100%に戻ったことから、低温で電圧は低下したが残量が減ったわけではなさそう。起動後の動作に問題はない。
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■AQUOS R2 Android8.0.0(2018年6月発売 2021年2月に中古で購入、稀にテストで使用)

100%→1時間冷凍で電源が落ちた→2回目の起動でホーム画面まで進んで30%→加温後再起動で88%
1時間の冷凍で電源が落ちた。室温で2分後に電源が入ったが起動中に落ちた。再度電源投入、4分後にホーム画面が表示されたがバッテリー残量は30%。電源を切ったあと体温で加温。再起動後、バッテリー残量は88%に戻った。
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■Pixel4 Android12(2019年10月発売 約2年間使用)

100%→1時間冷凍74%→再起動してもバッテリー残量は戻らず70%になった。実際に消費した?
霜が降りるほど凍ったがカメラもジオグラフィカの操作も可能。多少画面の表示がもたつく感じがあるが(有機ELだが処理がもたついてる?)、動作自体は問題ない。-25℃で凍っても動作するなら冬山でも問題ないと思われる。実際、冬山で使っても問題は起きていない。ただし、バッテリーの消費は多くなる様だ。

バッテリー残量80%の場合
画面は点灯し、ジオグラフィカを起動。操作できた。若干処理の遅さを感じる程度。バッテリー残量表示は68%。カメラアプリを起動したらシャットダウンした。カメラアプリは負荷が高いようだ。室温で30秒後再起動した。バッテリー残量は21%を表示。その後シャットダウンはしなかったがバッテリー残量は10%に下がった。再度再起動後70%に戻った。
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■Pixel6 Android12(2021年10月発売 3週間使用)

100%→電源が落ちていた→再起動後74%
冷凍庫から取り出して1分後に電源を入れたら再起動。バッテリー残量は74%。
高温のためにシャットダウンしたと表示された。そう言えば、iPhone5なども厳冬期に高温になっていると表示されたことがある。低体温症で錯乱した?

追試
100%→1時間冷凍100%
2回目は電源が落ちることもなくバッテリー残量も100%を示したままだった。1回目はたまたま?画面表示が遅くなることもなく、アプリもカメラも問題なく動作した。

バッテリー残量80%の場合
冷凍庫から出した時点で電源が落ちていた。Pixel4の80%と同時に冷凍したので条件は同じなので、カメラアプリを使うまで保ったPixel4の方が耐寒性能的には上ということになる(発売時の価格はPixel4の方が高い)。室温で2分後に再起動。バッテリー残量は62%を示し、アプリなど普通に使えた。
-25℃で1時間冷凍したスマホは表面が冷え切っているので、冷凍庫から出すと直ちに霜が付く。
カメラのレンズも霜が付いてしまう。指などで霜を撮れば撮影できるが、低温に弱い機種だと写真の連写でシャットダウンしてしまうことがある。

そういう機種は連写せず、1枚撮ったら時間を置いてから撮ると電源が落ちにくい。
1回目の検証でPixel6の電源が落ちた理由。温度センサーの誤作動なのか、低温に抗うために熱を発したのかは不明だが、以前iPhone5を雪山で使ったときに同様の警告が出たことがある。

慌てず騒がず再起動すればだいたい直るけども。
冬山でテント泊をすると、朝スマホがこんな感じで凍ってたりする。っていうかテント内のものがだいたいこんな感じで凍る。

こうなると結露で充電できなくなるので、出来れば冷やさないほうがいい。画面を体側に向けて上着のポケットに入れておくのがよいでしょう。
最低温度-25℃の1時間冷凍で生き残ったスマホのまとめ
iPhone12Pro
バッテリー残量100%の場合は余裕。80%の場合は負荷を掛けたらシャットダウンした。直後の再起動時のバッテリー残量は10%を表示。室温で2分後に再起動したら82%になった。50%の場合もほぼ同様の結果。

Xperia Z5 Compact
バッテリー残量100%のときは余裕。80%と50%の場合は、冷凍中に電源が落ちることはなかったが、操作をして負荷を掛けたらシャットダウンした。室温で放置して再起動したが、バッテリー残量は10%程度減っていた。

arrows M03
100%のときは余裕で動作した。50%では、冷凍中のシャットダウンはしなかったものの、操作をしたら0%になってしまった。2分後に再起動。バッテリー残量は29%

Pixel4
100%の場合は問題ないが、80%の場合はカメラアプリの起動でシャットダウンした。カメラアプリの負荷はかなり大きいようだ。

Pixel6
1回目は高温エラーで電源が落ちたが2回目は100%のまま動作した。80%の場合はPixel4と同時に検証したがシャットダウンしていた。Pixel4より耐寒性では劣る。

■まとめて検証
上記5台をまとめて冷凍庫に投入して同時検証しました。投入時の温度は-25℃。冷凍庫を強にしておいそぎ冷凍をオンにしたのですが5台のスマホが発する熱のせいか温度がじわじわ上がり20分後に-20℃で安定しました。その後は40分間-20℃で安定。

すべてのスマホが1時間後に冷凍庫から出した時もシャットダウンしておらず、ジオグラフィカやカメラを操作しても問題は起きませんでした。上記5台は冬山でも問題なく使えそうです(ただしバッテリー残量は多く保つほうが良い)。
弱かった5台を-20℃で再検証
-25℃で電源が落ちてしまった5機種について、温度を少し上げて検証しました。

■条件
温度:-20℃(-18℃〜-20℃ 平均-19℃)
時間:1時間
操作:1時間の冷凍後室温に出して室温22℃で動作をチェックする。シャットダウンしていなければジオグラフィカやカメラアプリで負荷を掛ける。シャットダウンした場合は起動するまで電源を入れる。
機種:
iPhone7、iPhoneX
Xperia Ace 2、Android One S4、AQUOS R2

■iPhone7 iOS14.6
電源は落ちていなかったが、画面を点灯させたらシャットダウンした。1分半後起動した。バッテリー表示は10%。カメラのフラッシュが使えないという表示が出た(負荷を抑えるためと思われる)。完全に室温に戻ったあと再起動して95%になった。

■iPhoneX iOS15.1
冷凍中にシャットダウンした。再起動を試みたが途中で再度シャットダウン。3分後再起動に成功。バッテリー表示は73%。完全に室温に戻ったあと再起動して100%になった。

■Xperia Ace 2 Android11
シャットダウンはしておらず、アプリの操作やカメラも動作した。負荷を掛けてもシャットダウンはせず、バッテリー表示は100%を維持した。

■Android One S4 Android10
シャットダウンはしておらず、アプリの操作やカメラも動作した。負荷を掛けてもシャットダウンはせず、バッテリー表示は39%になった。完全に室温に戻ったあと再起動して83%になった。

■AQUOS R2 Android8.0.0
冷凍中にシャットダウンした。4分後に再起動したがシャットダウンした。5分半後再起動してバッテリー表示は33%。完全に室温に戻ったあと再起動して73%になった。
-20℃でなら使えそうなスマホのまとめ
Xperia Ace 2とAndroid One S4は使えそうです。特にXperia Ace 2は、さすが廉価版でもXperiaだなと思いました。

iPhone7はバッテリーの状態が89%でiPhoneXはバッテリーの劣化が83%と、それなりに劣化している影響もあると思います。体温で保温してバッテリー残量を多めに保てば冬山でも使えると思います。

これまで、実際に最低気温-20℃くらいの環境では使ってきました。その時は行動中は懐に入れ、GPSを見たり写真を撮ったりするときだけ外気に触れるため、今回の検証よりゆるい条件となります。なので、今回ダメだった機種でも注意すれば冬山で使えるかもしれません。

ただし、AQUOS R2は話にならない感じでした。中古なのでバッテリーの劣化具合はよく分からないのですが、室温に戻して5分も掛かるのでは冬山で使うのは厳しそうです。
2016年に行った実験と結果(一応残しておきます)
冷凍庫にスマホを入れてその後どうなるかテストしてみました。
温度:-20℃
時間:30分
機種:iPhone5、iPhone5s、Xperia Z5 Compact、AscendG6

(温度は-20℃となっているが、おそらく正確に計測したら-15℃〜-20℃くらいで平均は-18℃くらいと思われる。当時は温度ロガーを持っていなかった)

iPhoneとAndroid両方とも単に冷凍しただけでは電源は落ちませんでした。

■iPhone5 100%→冷凍後100%
・写真撮影5枚後、ジオグラフィカを起動中に落ちた。
・体温で加温後は起動して100%に回復。
※ジオグラフィカは私が開発している登山用GPSアプリです。

■iPhone5 90%→冷凍後83%
・写真を3枚撮影したらシャットダウン。
・すぐ再起動したら残量61%と表示された。
・電源を切って加温後に再起動したら88%に回復。

■iPhone5s 50%→冷凍後5%
・ジオグラフィカの操作をしたら落ちた。すぐには復活しない。
・加温して3分後に起動→35%。でもすぐ落ちた。
・再度加温して起動→47%。

■Xperia Z5 Compact 90%→89%(これだけ1時間冷凍しています)
・電源は生きていたし写真を撮ってもジオグラフィカを使っても大丈夫。

■AscendG6 50%→冷凍後28%
・カメラ撮影、ジオグラフィカの動作ともに問題無し。
・バッテリー表記は加温後に再起動で44%に回復。

■Xperia Z5 Compact 30%→28%
・カメラ撮影もアプリの起動、動作、操作感も問題無し。

※iPhoneの動作温度は0℃〜35℃です。XPERIA、AscendG6は不明です。動作温度以外で使用して故障しても自己責任です。
結果のまとめ
■iPhoneシリーズ
5と5sは、-20℃で30分なら電源は落ちない。ただしiPhone7とiPhoneXが-25℃1時間でシャットダウンしていたことを考えると、古い機種は寒さに強いとは言えない(これらは使用によりバッテリーが劣化している影響もあるが)。

iPhone12Proは-25℃で1時間冷凍しても問題なく動作する。新しめのiPhoneは寒さに強い部類なのかも。iPhone12や13とProとの違いは、持っていないので未検証。防水防塵等級はすべて水深6mの30分で同じ。

iPhone12Proは100%の時は1時間の冷凍にも余裕で耐えて冷凍後もアプリを普通に使えたが、50%では負荷を掛けた途端にシャットダウンしてしまった。すぐに再起動したらバッテリー残量は10%になっていたことから、やはり低温ではバッテリー残量が少なく出てしまう(電圧が下がってしまう)。

バッテリーの残量が多いほうが低温環境では有利。ただし、低温により残量ゼロでシャットダウンしても加温すればほぼ元の残量まで戻る。

■Android
-20℃で30分凍らせても電源は落ちないし使用も出来る機種が多かったが、-25℃で1時間だと電源が落ちてしまう機種があった。MIL規格対応の機種や新しめの機種は寒さに強い傾向がありそう。

XPERIAはMIL規格とは言ってないが噴流にも耐えられるなど堅牢。Xperia Z5 Cpmpactの場合はバッテリーが少ない状態でも残量低下は(少なくとも見かけ上)見られなかった。厳冬期の山でも問題なく使える。

同じXPERIAでもAce2の様な廉価版はフラッグシップモデルほどの堅牢さは期待できないが、それでも-20℃ならシャットダウンはしなかったので緩めの冬山でなら使えると思われる。

Pixelシリーズも悪くはない。Pixel6は1回目に高温エラーでシャットダウンしたが2回目はなんの影響も見られなかった。動作がおかしくなったら体温で加温して再起動すればいい。
低温シャットダウン対策
iPhoneでもAndroidでも、バッテリー残量は多いほうが低温に強い。少なくとも朝イチの段階では100%にしておきたい。冬は大きめのモバイルバッテリーを使いましょう。

スマホを冷やさないにこしたことはないので、ウェアのポケットに入れて体温で保温したほうがよい。

寝る時は電源を切ってザックの雨蓋などに入れておき、起床したらウェアのポケットに入れて加温後に起動するとよい。または、ウェアのポケットにれたまま寝てもいいが潰して画面を割らないように注意。胸ポケットに入れて、画面を体側にすると割れにくい。

なお、ガーミンのGPS専用機でも低温時は同様に注意が必要。アルカリ乾電池は低温では通常の30%しか使えなくなる(通常は16時間なら5時間)。エネループなどのニッケル水素電池は7割に減ります(通常は16時間なら11時間)。

リチウム乾電池は低温でも使えるが、2本500円と高価で使い捨て(充電不可)。電池の予備を多めに持っていく、出来るだけ冷やさないなど、低温時の対策はスマホと同じです。
冷え切ったスマホの充電には注意
バッテリーメーカーの説明では『0℃より大分低い温度』と表現されているが、冷え切ったバッテリーの中ではイオンの動きが悪くなっているそうだ。その状態で充電するとバッテリーが故障する可能性があるらしい。

『0℃より大分低い温度』が実際何度なのか、-10℃なのか-50℃なのかは不明、一応あまりに冷え切った状態での充電はおすすめしない。

手で触って大丈夫なくらいには加温してから、結露や霜を取り除いて充電するとよさそう。冷え切ったスマホを山小屋やテントに持ち込むと結露でビショビショになる。その状態で充電するとショートして故障する危険性もあります(ただし、最近のスマホはエラーになって充電が自動で止まる)。

まずはポケットなどに入れて加温し水分を取ってから充電しましょう。
冬はタッチペンとストラップを使うと便利
手袋をしていると細かい操作が出来ないのでタッチペンを使います。ストラップを付けておくと、懐へのスマホの出し入れがしやすくなります。アクセサリーカラビナでストラップとタッチペンを連結すると使いやすいです。

タッチペンでの地図アプリのズーム操作は、地図上をダブルタップの2回目を離さず上下させると出来ます。
総合的なまとめ
iPhone12Proは、バッテリー残量が多ければ最低温度-25℃で1時間冷やしても問題なく動作した(-20℃〜-25℃くらい)。一般的な登山者が行く冬山なら問題なく使えると思われる。普通は外気に1時間も晒すような使い方はしないはずだし。

Androidは低温に強い機種が多いが、最低温度-25℃で1時間冷凍すれば電源が落ちる機種も出てくる。機種によってはバッテリー消費が早くなるようなのでモバイルバッテリーは必須。新しめの機種や、MIL規格の機種は寒さにも強い。

スマホをGPSロガーとして使う場合はバッテリー残量に注意。残量が多い方が低温には強いため、朝の段階で100%になっているようにしましょう。

カメラアプリは意外と負荷が高いので、スマホが冷えているなら体温で温めてから撮影するとよい。連写は避けて処理に余裕を持たせたほうがいい(連写は画像処理で負荷が高まるようだ)。

もし電源が落ちてしまったら、慌てず騒がず体温で温めて再起動。ジオグラフィカを使っているなら、再起動後にジオグラフィカを起動すればトラックログの記録などを再開する。

実際に冬山で使ってきたiPhone7、iPhoneX、12Pro、Pixel4などは行動中に電源が落ちたことはなく、-20℃くらいならウェアのポケットに入れて保温すれば使えると思われる。今回の検証で実力がわかったarrowsやXPERIAも冬山で使えると思われる。Pixel6も、Pixel4には劣るが冬山で使えそう。

雨蓋やスマホポーチなど、体から離れて冷える場所に入れるとバッテリー消費やシャットダウンで不利になるので、体に近い場所(ウェアのポケットなど)に入れて使う方がよい。

以上です。
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コメント

ジオグラフィカについて
愛用させていただいている者です<m(__)m>
スマホが悪いのか?設定が悪いのか?良く分からないのですが、
GPSが途中から認識しなくなり最後までログがとれません。今回2回目なのですが、前回も往路までは取れているのに復路がとれませんでした。またログ記録を見ると行っていない場所へも行ってるような線が多数存在しています。これはスマホが持っているGPS機能の精度の問題なんですかね?格安スマホなんで性能が低いのか?今回のレポのような寒さで影響があるものなのか?設定を変えると精度はあげられるのでしょうか?
2016/1/28 23:09
Re: ジオグラフィカについて
機種など書いていただけるといいのですが、多分Androidでしょうか?

XperiaZ5Compactですが、ごく稀に、突然GPSの位置情報が受信出来なくなることがあります。感じとしては高架線の下とか高圧線の下を通ったときに発生するような気がしますが条件はよくわかりません。現象が発生するとGoogleマップなどでも位置情報が出なくなり(つまりシステム全体の問題)、しばらくして回復することもありますが本体再起動をしないと回復しないこともあります。

という様な現象でしょうか?この場合は、根本的には発生したら本体再起動というのが、今のところ一番手っ取り早い対策です。

精度については、Androidの場合安い機種はそれなり、高い機種は値段なりに良いという傾向にあります。手持ちのAndroid6台で検証すると値段が高く発売時期が新しいほど高精度になっています。また、地形によっては精度が下がります。ビル街や谷では位置情報にブレが出ます。これはGPSというシステムの仕様上仕方ありません。

ジオグラフィカの一般設定にGPS精度という項目があり、通常は標準になっています。これを高精度にすると理論上は精度が上がると思うのですが、効果はよくわかりません。ただ、高精度にするとnexus5の場合は、数時間ログを取るとGPS自体が止まってしまう事がたびたびありました。なので設定にして、標準をデフォルトにしています。

あと、本体の位置情報サービスの設定は『高精度』とか『精度優先』にしてください。多分なってると思いますが。なってないとジオグラフィカの起動時にアラートを出すようになってます。

この辺の動作は機種次第、OSのバージョン次第で変わると思います。一度高精度で試して、効果がないとか動作が悪くなった場合は標準に戻してください。

現状提供されている情報からはこのくらいの返信となります。どうぞよろしくお願いいたします。
2016/1/28 23:44
Re[2]: ジオグラフィカについて
早速のご回答ありがとうこざいました。ジオグラフィカの設定を確認したら高になっていたので標準に変更しました。これで様子を見てみます。DIY-DPSを使ってましたが、バージョンアップしないと聞いたのでこちらを活用させてもらいます。因みに機種はARROWSm02です。
2016/1/29 0:18
Re[3]: ジオグラフィカについて
arrowM02ですか。ミドルレンジのMIL規格対応ってことで注目してましたがGPS精度はイマイチでしょうか?

ヤマレコ内だとこの記録がarrowsM02みたいです。アプリは山旅ロガーですが。
http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-777458.html
稜線はきれいですね。斜面部分がちょっと乱れてる感じです。

高でお使いだったんですね。そうですね、とりあえず標準精度でお試しください。最近は標準でテストしていますが、手持ちの端末はXPERIA以外GPSが止まる現象は起きていません。せっかくのログをちゃんと取れなくてすみません。

高は、なぜかジオグラフィカだけGPS精度が悪いって言う方がいたので、理論上高精度になるようにセッティングしたものです。実際の挙動は端末によって違いそうなので調べようがないんですが。

DIY GPSは数年間の増改築で内部構造が複雑化してしまい、手を加えるのが難しくなってしまいました。
2016/1/29 10:41
分かり易い文章と綿密な比較実験で素晴らしい!
冷凍庫から取り出した環境温度はおそらく室温だと思うので、温度落差は雪山テントより厳しいかもと思いました。状況によっては結露現象などによって何がしかのダメージを受ける機種もあるかもしれませんね。(その時は起動、機能しても)
2021/11/17 7:50
chocoluckyさん
ありがとうございます。大体のスマホは保管温度が-20〜45℃となっていますので、少なくとも防水で気密性が高いものは、動作はともかくシチュエーションとしては問題ないのかなと思っています。動作保証は0℃以上となっているので、いずれにせよ冬山で使うのは自己責任になってしまいますが。
2021/11/18 13:24
貴重な情報をありがとうございます。
これまでガーミンのハンディタイプを常用していましたが、スマホアプリが優秀でGPS捕捉精度も高くなってきたので、今冬からスマホのGPSロガー(ヤマレコアプリ)を初めて使う予定です。
過酷な環境に強いと思っていたガーミン(アルカリ電池)では、昨冬の雪山で、登山開始後の3時間後、稜線に出る直前で電源が切れてしまい、ショックでした。
雪山は、先行者のトレースがないと道迷いしやすいので、おもいっきりGPSに頼っています(^^ゞ
今冬はガーミンとスマホの並行運用で動作検証をしたいと思っていますが、念のため使い捨てカイロとセットで持ち歩く予定です。
2021/11/22 9:13
ozakkyanさん
こんにちは、コメントありがとうございます。ガーミンは、本体の堅牢性は非常に高いしトラブルも少ないようです。電池は、冬はリチウム乾電池を使うといいみたいです。
2021/11/22 20:46
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