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更新日:2016年07月02日 訪問者数:8014
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スマホはどの程度低温に弱いのか実験!
keizi666
スマホ(※)は冬山では使えないというイメージが強くあります。しかし簡単に電源が落ちちゃうときもあれば、意外に強いときもあります。

Androidの方が低温に強いような気もするけど実際どうなのか?iPhoneは低温に弱いと常々思っていましたが、経験則以外、実際どのように弱いのかはよくわかっていませんでした。そこで実際どうなのか調べてみました。

※…スマートフォンの略称。たまに『スマホ=Android』でiPhoneはスマホではないと思ってる方がいますが、iPhoneもAndroidもスマホです。
バッテリーの特性
iPhoneに使われているのはリチウムポリマー二次電池という充電池です。リチウムイオン二次電池の一種です。Androidの場合は機種によると思いますが、同様にリチウムイオン二次電池が使われています。

リチウムイオン二次電池というのはまったく一定の電圧を出力して残量が0%になったら使えなくなる訳ではなく、一定以上の電圧を出しつつジワジワと下がっていって最後のところで滝のようにストンと落ちます。残量が多い方が電圧は高く、スマホは電圧から残量を推定して%表示しています。一定の電圧を下回ると残量ゼロと判断されます。

■温度による変化
一般的なリチウムイオン電池は、例えば25℃の場合に3Vを保てる時間を100%とした場合、0℃で86%、-10℃で80%、-20℃で66%となってしまいます。電圧の低下も常温より早く進みます(加温すれば元に戻ります)。

バッテリー残量が少ない状態(ある程度電圧が落ちた状態)で冷やせば温度変化により更に電圧が下がってしまい、スマートフォンの動作に必要な電圧を下回りやすくなります。残量が多い状態なら電圧の低下もわずかなので電圧の下がり方も小さくなります。

つまりバッテリー残量を多く保つのは、低温による電圧低下防止に有効と考えられます。
実験
冷凍庫にスマホを入れてその後どうなるかテストしてみました。
温度:-20℃
時間:30分
機種:iPhone5、iPhone5s、Xperia Z5 Compact、AscendG6

iPhoneとAndroid両方とも単に冷凍しただけでは電源は落ちませんでした。

■iPhone5 100%→冷凍後100%
・写真撮影5枚後、ジオグラフィカを起動中に落ちた。
・体温で加温後は起動して100%に回復。
※ジオグラフィカは私が開発している登山用GPSアプリです。

■iPhone5 90%→冷凍後83%
・写真を3枚撮影したらシャットダウン。
・すぐ再起動したら残量61%と表示された。
・電源を切って加温後に再起動したら88%に回復。

■iPhone5s 50%→冷凍後5%
・ジオグラフィカの操作をしたら落ちた。すぐには復活しない。
・加温して3分後に起動→35%。でもすぐ落ちた。
・再度加温して起動→47%。

■Xperia Z5 Compact 90%→89%(これだけ1時間冷凍しています)
・電源は生きていたし写真を撮ってもジオグラフィカを使っても大丈夫。

■AscendG6 50%→冷凍後28%
・カメラ撮影、ジオグラフィカの動作ともに問題無し。
・バッテリー表記は加温後に再起動で44%に回復。

■Xperia Z5 Compact 30%→28%
・カメラ撮影もアプリの起動、動作、操作感も問題無し。

※iPhoneの動作温度は0℃〜35℃です。XPERIA、AscendG6は不明です。動作温度以外で使用して故障しても自己責任です。
結果のまとめ
■iPhoneの場合
・バッテリー残量が50%あれば、-20℃で凍らせても電源は落ちない。電力負荷が小さければ大丈夫。
・冷凍後にカメラや地図表示など電力負荷を掛けるとシャットダウンしてしまう。-20℃だと残量100%でも落ちる。
・バッテリー残量が多い方がシャットダウン後の回復が早い。
・加温後は残量も回復する。

■Androidの場合
・-20℃で凍らせても電源は落ちないし使用も出来る。
・ただしAscendG6で残量50%の場合は表示が28%になった事から低温による電圧低下は起きている(-20℃で66%の出力に下がるリチウムイオン電池の特性にほぼ一致します)。
・Xperia Z5 Cpmpactの場合はバッテリーが少ない状態でも残量低下は(少なくとも見かけ上)見られなかった。厳冬期の山でも使えると思われます(動作保証温度は不明)。

iPhoneもAndroidも低温による電圧低下は起きているようです。iPhoneの場合は電圧が低下するとすぐにシャットダウンするように作られていると考えられます。

Androidはその辺が鈍感に作られているのでしょう(逆に言えば不意の電源断が起こり不具合の原因になることも考えられます)。
低温シャットダウン対策
実験は-20℃で行ないましたが、iPhoneは晩秋の5℃くらいでも電源が落ちる事があります。低温対策という点ではそのくらいの気温から意識する必要があります。

■iPhoneの場合
・残量が少なくなるとちょっとした冷えでも電圧が落ちるので、残量多めに保つのは有効と思われます。残量10%の時は5℃でもシャットダウンしてしまいました。
・冷やさないのは大事。もし冷やしてしまったら負荷を掛ける前に前に体温で温める。
・冷えているバッテリーから取り出せる電力は多くないので、一気に何枚も撮らない。1枚撮ったら少し温めて時間を置く。
・電圧を意識して、低温環境では一度に電力を使わない様に意識するのが大事。

■Androidの場合
・残量50%でも-20℃で普通に使えるが、過信は禁物です。
・冷やしすぎない事、残量を多く保つことはAndroidでも有効です。

iPhoneもAndroidも、登山でGPSとして使うなら朝一には100%充電しておく事が大事です。ミドルウェアのポケットに入れて冷えないように使って下さい。

厳冬期はポケットから取り出して写真を撮るとき何枚も一気に撮るのではなく、1枚撮ったら加温して休ませるなど、無理をさせないようにしましょう。

なお、ガーミンの場合も低温時は同様に注意が必要です。アルカリ乾電池は低温では3割しか使えなくなります。エネループなどのニッケル水素電池は7割に減ります。リチウム乾電池は低温でも使えるそうですが2本600円と高価です。エネループの予備を多めに持っていくなど、低温時の対策はスマホとあまり変わりません。
冷え切ったスマホの充電には注意
バッテリーメーカーの説明では『0℃より大分低い温度』と表現されていますが、冷え切ったバッテリーの中ではイオンの動きが悪くなっているそうです。その状態で充電するとバッテリーが故障する可能性があります。『0℃より大分低い温度』が実際何度なのか、-10℃なのか-50℃なのかわかりませんが、一応あまりに冷え切った状態での充電はおすすめしません。

手で触って大丈夫なくらいには加温してから、結露や霜を取り除いて充電してください。冷え切ったスマホを山小屋やテントに持ち込むと結露でビショビショになります。その状態で充電するとショートして故障する危険性があります。まずはポケットなどに入れて加温し水分を取ってから充電しましょう。

ご注意ください。
結論
iPhoneは特に冷やさないのが大事、冷やしてしまったら加温する、一気に電力を使わないように注意してください。単にカメラとして使う場合も、厳冬期は一気に何枚も撮らないようにしてください。冷え切ったiPhoneは一度にたくさんの電力を取り出せない、無理させるとシャットダウンしてしまうと意識しましょう。

Androidの場合は結構低温に強いです。行動開始時に満充電にしておけば1日は余裕で保つでしょう(機内モード推奨)。

スマホをGPSロガーとして使う場合はバッテリー残量に注意しましょう。ちゃんと朝の段階で100%になっているようにしてください。残量が多い方が低温には強いです。

もし電源が落ちてしまったら、慌てず騒がず体温で温めて再起動してください。ジオグラフィカを使っていた場合は、再起動後にジオグラフィカを起動すればトラックログの記録などを再開します。

以上です。
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登録日: 2012/10/28
投稿数: 157
2016/1/28 23:09
 ジオグラフィカについて
愛用させていただいている者です<m(__)m>
スマホが悪いのか?設定が悪いのか?良く分からないのですが、
GPSが途中から認識しなくなり最後までログがとれません。今回2回目なのですが、前回も往路までは取れているのに復路がとれませんでした。またログ記録を見ると行っていない場所へも行ってるような線が多数存在しています。これはスマホが持っているGPS機能の精度の問題なんですかね?格安スマホなんで性能が低いのか?今回のレポのような寒さで影響があるものなのか?設定を変えると精度はあげられるのでしょうか?
登録日: 2010/12/2
投稿数: 147
2016/1/28 23:44
 Re: ジオグラフィカについて
機種など書いていただけるといいのですが、多分Androidでしょうか?

XperiaZ5Compactですが、ごく稀に、突然GPSの位置情報が受信出来なくなることがあります。感じとしては高架線の下とか高圧線の下を通ったときに発生するような気がしますが条件はよくわかりません。現象が発生するとGoogleマップなどでも位置情報が出なくなり(つまりシステム全体の問題)、しばらくして回復することもありますが本体再起動をしないと回復しないこともあります。

という様な現象でしょうか?この場合は、根本的には発生したら本体再起動というのが、今のところ一番手っ取り早い対策です。

精度については、Androidの場合安い機種はそれなり、高い機種は値段なりに良いという傾向にあります。手持ちのAndroid6台で検証すると値段が高く発売時期が新しいほど高精度になっています。また、地形によっては精度が下がります。ビル街や谷では位置情報にブレが出ます。これはGPSというシステムの仕様上仕方ありません。

ジオグラフィカの一般設定にGPS精度という項目があり、通常は標準になっています。これを高精度にすると理論上は精度が上がると思うのですが、効果はよくわかりません。ただ、高精度にするとnexus5の場合は、数時間ログを取るとGPS自体が止まってしまう事がたびたびありました。なので設定にして、標準をデフォルトにしています。

あと、本体の位置情報サービスの設定は『高精度』とか『精度優先』にしてください。多分なってると思いますが。なってないとジオグラフィカの起動時にアラートを出すようになってます。

この辺の動作は機種次第、OSのバージョン次第で変わると思います。一度高精度で試して、効果がないとか動作が悪くなった場合は標準に戻してください。

現状提供されている情報からはこのくらいの返信となります。どうぞよろしくお願いいたします。
登録日: 2012/10/28
投稿数: 157
2016/1/29 0:18
 Re[2]: ジオグラフィカについて
早速のご回答ありがとうこざいました。ジオグラフィカの設定を確認したら高になっていたので標準に変更しました。これで様子を見てみます。DIY-DPSを使ってましたが、バージョンアップしないと聞いたのでこちらを活用させてもらいます。因みに機種はARROWSm02です。
登録日: 2010/12/2
投稿数: 147
2016/1/29 10:41
 Re[3]: ジオグラフィカについて
arrowM02ですか。ミドルレンジのMIL規格対応ってことで注目してましたがGPS精度はイマイチでしょうか?

ヤマレコ内だとこの記録がarrowsM02みたいです。アプリは山旅ロガーですが。
http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-777458.html
稜線はきれいですね。斜面部分がちょっと乱れてる感じです。

高でお使いだったんですね。そうですね、とりあえず標準精度でお試しください。最近は標準でテストしていますが、手持ちの端末はXPERIA以外GPSが止まる現象は起きていません。せっかくのログをちゃんと取れなくてすみません。

高は、なぜかジオグラフィカだけGPS精度が悪いって言う方がいたので、理論上高精度になるようにセッティングしたものです。実際の挙動は端末によって違いそうなので調べようがないんですが。

DIY GPSは数年間の増改築で内部構造が複雑化してしまい、手を加えるのが難しくなってしまいました。
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