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更新日:2023年09月25日 訪問者数:1831
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野鳥撮影のコツ教えます(その2)−鳥撮の鏡(ちょうさつのレンズ)飛翔編−
Gen★chan
目次
1章.はじめに
2章.野鳥撮影の基本的な心構え
3章.野鳥撮影のコツ
1章 初めに
2021年10月にリリースしたヤマノート「野鳥撮影のコツ教えます−鳥撮の鏡−」から約2年弱。
おかげ様で訪問者数、お気に入り登録数とも少しずつ増えていき好評?を頂いています。
また、気のせいか?レコでも野鳥写真を上げる人が多くなってきた様な気もしています。

その後も修行に励み飛翔写真にチャレンジ。
そこそこアップできるほどのクオリティーレベルまで撮影できる様になってきました。

まだ“下手の横好き”レベルでプロどころかアマチュアカメラマンにも到底およびませんが、自己流で実践している方法を紹介します。
参考にして頂き飛翔写真へチャレンジされる人のきっかけにでもなればと思い記事をリリースします。

前回同様長くなりますが最後までお付き合いいただければと思います

また、ヤマレコバーダーさんで他の方法で撮影している。等あればコメント頂ければ幸いです。
ブッポウソウ飛翔(飛び出し)
APS-C 800mm(フルサイズ換算1200mm)
撮影モード:マニュアル
絞り:F5.6(開放)
S速度:1/2500秒
ISO:2500(AUTO)
2章.基本的な心構え
本題に入る前に野鳥撮影の基本的な心構えから。
ここは前回のヤマノート(1)〜(3)と変わりませんので割愛します。前回のヤマノートを必ず読んで下さい。
今回は飛翔写真撮影時の注意点(4)を付け加えます

(4)営巣・子育てへの配慮
飛翔写真は飛び出しや着地を狙うと撮影成功確率が上がります。
野鳥がそこに来ることが分かっていれば十分な撮影準備ができるわけです。
このため野鳥が営巣している巣からの飛び出しや巣への着地の飛翔写真を撮影するのが確実な方法の1つにはなります。
野鳥の親鳥は雛を育てるために多少の危険も顧みずに餌を巣に運びますが、警戒しないわけではありません。
巣の近くに人間の姿を確認すると巣に立ち寄らず子育てを放棄してしまう事例もあります。
また一度危険と判断したら二度と同じ場所には戻ってこないことが多いです。

このため、巣の近くで撮影する場合は細心の注意を払って、以下のことを念頭に置いて撮影してください。
●巣の凡そ50m以内には立ち寄らない
 →野鳥に警戒させない。
●巣の近くに長時間居座らない。
 →親鳥が雛に餌を与える時間をつくってやる。
●短距離で撮影する場合や、長時間粘る場合は観察小屋・テント等、体を野鳥から見えない様に隠してレンズのみを出す等の配慮・対応を取る
3章.撮影のコツ
お待たせしました。ここから本題です。
少し人気は落ち着きましたが繋がりもあるので、前回同様「鬼滅の刃」のパロディ風に「鳥撮の鏡(ちょうさつのレンズ)-飛翔編-」として紹介していきます。
鳥撮の鏡ー飛翔編−
ロゴも前回同様パロっていますが、ふざけている様に見えて内容はおおまじめで、シャッター速度、絞り値、ISO感度や被写界深度の関係についても詳しく解説しているので「鬼滅」には全く興味ない人も気にせず読んで頂ければと思います。
0.全集中の呼吸
この後説明する全ての「型」の基本となる呼吸法(=撮影術)です。

これも前回のヤマノートと同じ内容なので割愛します。前回のヤマノート(1)(3)(4)をご覧ください。
https://www.yamareco.com/modules/yamanote/detail.php?nid=3114
今回は飛翔写真撮影時としてカメラ設定内容が(2)通常用カメラ設定と変わります。

(5)飛翔写真用カメラ設定(例)
 鳥が現れてからあわててカメラ設定をしているとすぐに居なくなってしまいます。
特に飛翔写真はより瞬発力が要求されます。
 予め飛翔写真撮影用の設定にしておくか、今のカメラは設定内容を登録できボタン一つで呼び出せるので飛翔撮影モードを登録しておくのも手です。ちなみに自分が使っているCanon EOS7D mark2では以下の様に設定しています。
通常撮影用設定
カメラのカスタマイズダイヤル[C1]に登録しています。

撮影モード:絞り優先(Av)
絞り値:F4.0(開放)
ISO:100

通常に留まっている野鳥をキレイに撮影する様にISOは100に固定して、絞り開放にしています。
シャッター速度はカメラ内蔵の露出計が自動的に設定します。シャッター速度があまりに遅くなる場合は手ブレするのでISOを上げて対応が必要。
飛翔撮影用設定
カメラのカスタマイズダイヤル[C3]に登録しています。

撮影モード:マニュアル(M)
シャッター速度:1/2500秒
絞り値:F4.0(開放)
ISO:AUTO

飛翔写真を撮影する場合はダイヤルを回すだけでこの設定になります。シャッター速度固定にして動いている野鳥がブレずに写る様にしています。
被写界深度を深くしたい場合はこの設定のまま絞り値のみを変更することも可能。
※画質を気にしない(重きを置かない)方は、この設定を通常設定にしても全く問題なく、むしろ野鳥がブレないので確実に撮影できます。
図1.飛翔写真用カメラ設定一覧
この表の後に細かい解説を記載しますが、かなりマニアックな内容※になるため興味ない人や、設定値だけ分かれば良い人は詳細解説は読み飛ばして、「1.鳥の呼吸 ー肆ノ型−」からご覧ください。

※被写界深度と絞り値、被写体までの距離、焦点距離、センササイズの関係や、
絞り値やシャッター速度、露出とISO感度の関係を図解しています。
飛翔写真用カメラ設定(詳細解説)
(1)撮影モード=M:マニュアルモード
(2)シャッター速度=1/2500秒以下(速く)
これはマストです。飛翔写真は鳥の動きが早いため最低でも1/2500秒以下にしないと止まって写りませんのでマニュアルモードでシャッター速度固定にして1/2500秒以下に設定します。

※撮影モード=「S:シャッター速度優先」にしてもシャッター速度は固定できますが、絞り値(F値)が自動になってしまい意図するF値が設定できません。F値は飛翔写真では重要なファクターになるので「M:マニュアルモード」にしてシャッター速度と絞り値(F値)の組み合わせを設定できる様にします。

実際に例でみてみましょう
撮影例1:エナガ羽ばたき−S速度1/400秒
APS-C 560mm(840mm換算)
絞り優先モード
F4.0(開放) 1/400秒
ISO100

1/400秒と少し速めで手振れはしませんが、鳥の羽ばたき速度はそれ以上に速いので“滝シャー”の様に流れて写り、ピタッとは止まりません。
撮影例2:ホオジロ飛び出しーS速度1/200秒
APS-C 560mm(840mm換算)
絞り優先モード
F4.0(開放) 1/200秒
ISO100

更に遅い1/200秒になるとこの様に羽が透けた様になり体も動いているため鳥の種類の判別もままなりません。
※ISOを100固定にしている為、絞り開放にしてもシャッター速度がどうしても上がりません。
撮影例3:シジュウカラ飛び出し−S速度1/2000秒
APS-C 560mm(840mm換算)
マニュアルモード
S速度1/2000秒 F4.0(開放)
ISO2500(AUTO)

マニュアルモードでシャッター速度固定にして1/2000秒まで速くするとこの様に羽も止まって見えますが、羽先をよく見ると若干ブレています。
※シャッター速度を速くした分ISOが上がっています。
撮影例4:シマエナガ飛び出しーS速度1/4000秒
APS-C 560mm(840mm換算)
絞り優先モード
F4.0(開放)  1/4000秒
ISO100

絞り優先モードで撮影しましたが、画角全体が明るく奇跡的に1/4000秒 ISO100で撮影できました。
1/4000秒までシャッター速度を速くすれば羽の先までピタッと止まってくれます。
この様に最低でもシャッター速度を1/2500秒※以下(速度を速く)に設定する必要が出てきます。
※鳥の動くスピードによってはこれより遅いシャッター速度でも写る場合もあるし、この速度でもブレる場合もあるのであくまでも目安として考えてください。

上級者になるとシャッター速度をわざと遅くすることにより翼等をブレさして動きのある写真を撮ったりしますがこれは難易度も高く、またの機会(マスターしてから)に…
(3)絞り値=F8.0〜F9.0(あるいは開放でも良いが難易度が上がる)→ APS-Cの場合

この絞り値が飛翔写真では非常に重要なファクターです。
絞り値により「被写界深度※」が変わるためこの設定によって撮れる飛翔写真の質も量も変わってきます。
※被写界深度(ひしゃかいしんど)とは?
被写界深度とはピントが合う範囲をいいます
 深度が浅い=ピントが合う範囲が狭い
 深度が深い=ピントがあう範囲が広い
ことを指し、F値(=絞り値)で調整可能です。

 F値を小さくすると被写界深度は浅く
 F値を大きくすると被写界深度は深く
なります。

 下に被写界深度とF値の比較図を作ってみました。黄色く塗った部分が被写界深度(cm)です。
図2.絞り値と被写界深度の関係
F2.8だと被写界深度は23.6cm(前方11.7+後方11.9)
F8.0だと同67.5cm(前方33+後方34.5)
と3倍弱違ってくることが分かります。
つまり留まっている体長20cm程度の野鳥であればF2.8でもピントが合いますが、前方や後方に飛び出す野鳥はF5.6やF8.0にしないとピントが合わなくなります。

図例では、すべて
 センササイズ:フルサイズセンサカメラ
 焦点距離:400mレンズ
 被写体までの距離:15m
で撮影した場合で条件を合わせて比較してます。

これも、実際の撮影例で見てみましょう
撮影例5:シロチドリ夫婦 絞りF4
APS-C 560mm(840mm換算)
絞り優先モード
F4.0 1/1600秒
ISO100

奥にいる♂にピントを合わせて撮影。
絞り開放(F4.0)のため被写界深度が浅く、手前の♀がピンボケになります。
撮影例6:シロチドリ夫婦 絞りF8
APS-C 560mm(840mm換算)
絞り優先モード
F8.0 1/500秒
ISO100

同じく奥にいる♂にピントを合わせて撮影。
絞りをF8.0まで絞り被写界深度を深くすることで手前の♀にもピントがあいます。…がその分背景ボケが薄い写真にはなります。
撮影例7:ヤマガラ前方飛び出し 絞りF4
APS-C 300mm(450mm換算)
絞り優先モード
F4.0 1/2000秒
ISO800

○1_飛び出し前の位置にピントを合わせるが

○2_前方に飛び出した
絞り開放(F4.0)のため被写界深度が浅くピンボケとなる
カメラによっては深度を調整できる機能がついているものがあるが、野鳥の場合はそんな設定をしている時間はないので予め決め打ちで設定しておく必要があります。

この様にF値を調整することで被写界深度を最適な深度に設定することができます。

特に飛翔写真の場合は絞り値を絞って被写界深度を深くしてあげた方がピントが合いやすいです。
余り絞り過ぎても今度はシャッター速度が遅くなってしまうのでその時の明るさにより調整は必要。

また、被写界深度を決める要素は以下の通り他にもあるので、ケースバイケースで使い分ける経験値が必要となります。

<被写界深度へ影響を与える要素>
・絞り値設定(上記で説明した内容)
・カメラから被写体までの距離
・レンズの焦点距離
・カメラのセンササイズ

ちなみに被写界深度の計算は下記サイトで値を入力すると出てくるので参考までに
https://keisan.casio.jp/exec/system/1378344145#!

それではこれらを図解で説明していきましょう。
図3.被写体までの距離と被写界深度の関係
カメラから被写体までの距離が近ければ近いほど深度は浅くなり、遠くなるほど深度は深くなります。
 マクロレンズで接写すると被写体までの距離が近くなり背景がボケまくるのはこの原理です。

図例では、すべて
 センササイズ:フルサイズセンサカメラ
 焦点距離:400mレンズ
 絞り値:F2.8
で撮影した場合で条件を合わせて比較してます。
図4.レンズ焦点距離と被写界深度の関係
レンズ焦点距離が長ければ長いほど被写界深度は浅くなります。
つまり望遠レンズほど深度が浅くなるとういことです。広角レンズでF値を開放にしても景色がしっかりと写るのはこの原理です。

図例では、すべて
 センササイズ:フルサイズセンサカメラ
 被写体までの距離:15m
 絞り値:F5.6
で撮影した場合で条件を合わせて比較しています。
※図3の”被写体までの距離が近いほど”
図4の”レンズが望遠ほど”
を言い換えればファインダー内で”野鳥が大きく写れば写るほど(=アップになるほど)”被写界深度は浅くなるということと同意です。
図5.センササイズと被写界深度の関係
カメラのセンササイズが大きければ大きいほど背景ボケが強くなることは良く知られていますが
 =センササイズが大きければ被写界深度も浅くなるとういことと同義です。
 飛翔写真は被写界深度をいかに深くしてシャッター速度を速く切るか?が重要なファクターになるので、実はセンササイズが小さいカメラの方が撮影に有利になります。
 各センササイズのカメラでフルサイズセンサ300mm換算のレンズを使った場合、同じ絞り値であっても被写界深度にこれだけの差が出てきます。
 つまりコンデジ(1型センサ)で撮影すると絞り値F2.8の明るい状態のシャッター速度でF20相当の被写界深度の写真が撮れることになり、コンデジでは絞り開放にしておけば、これまでに説明した内容が全く関係なくなります。コンデジはセンササイズが小さいので連写性能も速いものが多くあり、まさに飛翔写真については”コンデジ最強”と言ってもいいかもしれません。

図例では、すべて
 焦点距離:300m(フルサイズ換算※)
 被写体までの距離:15m
 絞り値:F2.8
で撮影した場合で条件を合わせて比較しています。
※結局フルサイズ換算にするとレンズの焦点距離が変わるので図4と同じことになります。
ただし被写界深度が深い=ボケ味が薄い二次元(平面)の写真になってしまうため、そこに“こだわりがある人”にとってはやはりフォーサーズ以上のセンササイズで奥行きのあるキレイな飛翔写真を撮りたいものです。
※この辺はあくまでも“個人の趣味”の範疇になるので「どういう写真が撮りたいか?」によって最適なセンササイズのカメラや設定をチョイスしてもらえればよいかと思います。
(4)ISO感度=AUTO
(2)シャッター速度と(3)絞り値を意図的に設定するとISOはAUTOにしておかないとその時の環境(明るさ)によってオーバやアンダーになります。瞬発力が要求される野鳥撮影でいちいち毎回設定できないのでAUTOにしてカメラ任せにする必要があります。
ISO値と(2)シャッター速度、(3)絞り値には下記相関関係があります。
図6.ISO感度とシャッター速度の関係
ISO感度を上げると光量が多くなるので1段上げるといいます。
シャッター速度を速くするとシャッターを開いている時間が短くなり光量が少なくなるので1段下げるといいます。
適正露出からシャッター速度を1段下げる(速くすると)とISOを1段上げないと露出アンダーになります。
つまりシャッター速度を速くするとISO感度も上がってしまいす。ISOをAUTOにしておくことで適正感度(ISO)値にカメラが勝手に合わせてくれます。
図7.ISO感度と絞り値の関係
同様に絞り値を絞る(F値を上げる)と光量が少なくなるので1段下げるといいます。
適正露出から絞り値を1段下げる(絞ると)とISOを1段上げないと露出アンダーになります。
つまり絞りを絞るとISO感度が上がってしまいます。
ISOをAUTOにしておくことで適正感度(ISO)値にカメラが勝手に合わせてくれます。
飛翔写真を撮るためには
・シャッター速度を速く(光量を下げる)してピタッと止まる様にする。
・絞り値を絞って(光量を下げる)深度を深くしてピンボケしない様にする。
と光量を下げる+下げるの組み合わせとなるのでどうしてもISO感度が上がり、画質が下がってしまいます。ここが飛翔写真の難しいところで、どこで折り合いをつけるか?がポイントになります。
(5)露出=適正(±0)〜−1.0アンダー
露出をアンダーにすることでシャッター速度固定ならISO感度を下げれ、IOS感度固定ならシャッター速度を稼げます(速くできる)が、その分暗いアンダー目の写真になります。暗い林では真っ黒な写真になるので時と場合によります。
被写体が白く白飛びしてしまう様な野鳥にはアンダーにした方がいい場合もあります。
この辺は難しく経験とその日の天気(明るさ)にもよるのでここは適正露出にしてあまりいじらない方が確実かもしれません。
図8.露出とシャッター速度の関係
露出をアンダーにするとシャッター速度は速く、
露出をオーバーにるすとシャッター速度は遅くなります。
※F値、ISO感度が一定の場合

白飛びする場合は露出をアンダーにするとシャッター速度を稼げます。
図9露出とISO感度の関係
露出をアンダーにするとISO感度は下がり、
露出をオーバーにするとISO感度は上がります。
※F値、シャッター速度が一定の場合

同様に露出アンダーにするとISOが下がります。
(6)ドライブモード=高速連写モード(マスト)
  最低でも10コマ/秒以上の連写速度があるとベターです。
  最近は20〜30コマ/秒以上のものも出ており、早ければ早いほど有利なので飛翔写真を撮影するカメラを選ぶ際の重要なファクターの1つになります。
(7)フォーカスエリア=ゾーン
鳥にピントを合わせるのでピントがあう点を中心に限定して鳥に露出を合わせますが、飛翔写真の場合はフレームの中心に鳥を持ってくるのは至難の業です。
このため一般的にはフォーカスエリアを「ゾーン」にしておいた方がいいと言われています。
特に最新のカメラなどでは“ゾーン”にしておくとファインダー内の野鳥を追いかけてくれる機能がついたものもある様です。
私が持っているカメラは2017年発売の古い一眼レフなので鳥の飛翔の動きにはついていけず「中央スポット」で撮ってもあまり変わらない様なので「中央スポット」にしています。
メーカ別/カメラ別とフォーカスエリアの違いを簡単にまとめると以下の通りとなります。
ミラーレス一眼の方が一眼よりフォーカスエリアを広く設定できる様で野鳥撮影向きかと思われます。
図10.Canonミラーレスのフォーカスエリア
EOS Rの場合は先の様に設定可能です。ワイドにすれば更に拡くできます。
図11.Canon一眼のフォーカスエリア
今では新たに製造されていない従来の一眼レフ(EOS 7D Mark2)ではフォーカスエリアや測光点が中央周辺に限定されます。同じく「ゾーン」設定にすればフレームにさえ入ればピントを合わせてくれますがいわゆる被写体追従機能は最新機種=ミラーレスの方が性能が良く、Canonの一眼ではフォーカスエリアをゾーンにしてフォーカスモードを被写体追従にしても中央スポットとあまり大差はない様に思えます
図12.Nikonのミラーレス/一眼のフォーカスエリア
Nikonも同様にミラーレス(Z7)はフォーカスエリアがセンサ全体になるのに対し、従来の一眼(D750)では中央付近に限定されます。
同様にフォーカスエリアは中央、ゾーン、ワイドが設定できる様です。

Nikonは使ったことがないので追従性能については言及できません。
図13.Sonyのミラーレスのフォーカスエリア
Sonyはかなり前にミラーレス1本に絞ったためミラーレス(α7 Mark3)のみ載せます。同様にセンサ全体でフォーカスエリアが設定できる様です。

最新機種ではゾーンに設定すると飛翔している野鳥を追従してピントを合わせてくれる模様でバーダーさんのSony率があがっています。
(8)測光=多分割測光
(7)のフォーカスエリアを”ゾーン”にする場合は中央重点ではなく画角全体で測光する”多分割測光”にして画角全体で露出を合わせる様にします。
前段が長かったですが、お待たせしました。それでは実際の型(=撮影術)を紹介します。
1.鳥の呼吸 −肆ノ型−「僅隙瞬撮」(きんげきしゅんさつ)
 飛翔写真の入門的な型です。
 サギなどの大きな鳥は的も大きくて飛んでいてもフレームに入れやすく撮りやすいですが、20cm以下の小鳥となると話は別。動きが速いうえに体長が小さいのでフレームに入れることすら困難です。
 となるとやはり留まっている状態からの「飛び出し」を狙います。
この型のポイントは飛び出しタイミングをいかにつかむか?にかかってきます。
木の枝に留まったらすぐに飛び立つ場合もあるし、しばらくは動かない場合もあります。
飛び出したのを見てから反応してシャッターを押してもフレームアウトしてしまい撮れないことがほとんど。
このため飛び出す前の鳥の僅かな仕草や動作を見逃さずに“飛ぶ素振り”を見せた瞬間にてシャッタ−を押して連写し続けることが必要になります。
そんなこと言ったってどうやって?と思われる方も多いと思いますので具体的な撮影例で説明しましょう。
(1)餌場の飛び出しを狙う
最も簡単で分かりやすいのが餌場からの飛び出しです。
ビジターセンターや森林公園などには餌台が設置されて野鳥が餌を求めてやってくるのを観察できる場所があります。必ずそこに来ることが分かっているのでそこにフレームを合わせてピントも固定しておきます。
ピントの固定はフォーカスロック(シャッター半押し)でもマニュアルフォーカスにしておくどちらでもいいです。鳥がやってきて餌を咥えると数秒以内に飛び立つのでその瞬間を狙います。餌を咥えた瞬間から連写を開始します。

以下に具体的に例を示しながら説明します。
撮影例8-1:ヤマガラ飛び出し-Take1(連写1コマ目)-
APS-C 560mm(840mm換算)
マニュアルモード
S速度1/2500秒 F4.0
ISO6400(AUTO)

餌を咥えてコンマ何秒かで飛び立つのでシャッターを切り始めた1コマ目には既に飛ぶ体勢に入っています。
撮影例8-2:ヤマガラ飛び出し-Take1(連写2コマ目)-
何とかフレーム内にぎりぎり入りました。
被写体までの距離が近くアップになり、絞り開放F4.0のため被写界深度が浅く、真横に飛ばず少し斜めに飛んだため、ピントが尻尾にあってしまい少しずれています。
おまけに翼も真横に開いた状態で見た目もいまいち。飛翔体勢は運なので、うまくいくまで再チャレンジします。
撮影例9-1:ヤマガラ飛び出し-Take2(連写1コマ目)-
APS-C:560mm(840mm換算)
マニュアルモード
S速度1/2500秒 F4.0
ISO6400(AUTO)

既に飛ぶ体制ですが、この体勢になる前から連写開始しないと間に合いません。
今度は少しフレームを右にずらして飛ぶ方向に空間を空けます。
撮影例9-2:ヤマガラ飛び出し-Take2(連写2コマ目)-
今度はバッチりフレーム中央に収めれました。翼も下におろした状態でキレイな体勢。
飛び出しの初速は遅いので距離もそれほどずれずにピントもぎりぎり目に合いました。
F5.6まで絞ればもっとくっきり写ったと思いますがISOも倍の12800まで上がります
撮影例10:ヤマガラ飛び出し-BestShot-
APS-C 560mm(840mm換算)
マニュアルモード
S速度1/2500秒 F4.0 
ISO6400(AUTO)

今度は両翼も上がってキレイな体勢。
しかも飛び出し直後のため被写体までの距離が変わらずジャスピンで撮れました。絞り値はF4.0開放にこだわり背景もしっかりとボケて主役のヤマガラを引き立てました。

ISO6400でノイズが多く編集でノイズ除去して、少しだけトリミングして構図調整しています。
(2)鳥の飛び出しタイミングを察知する
餌場にやってくる野鳥は人馴れした種類に限られます。
いろいろな野鳥の飛翔写真は自然界の動作で飛翔の飛び出しを狙うしかありません。これはケースバイケースで経験値がものを言います。
野鳥の動きを観察して僅かな変化を察知するとともに次の動きを予測してシャッターを切ります。
<タイミング1>人が近づいてくるのを利用する
このパターンは意外と良くあります。野鳥を見つけて撮っていると向こうから人がやってくるのが見えます。
ちょうど鳥の方向へ歩いてくるので、一定の距離まで近づいたタイミングで野鳥が飛んで逃げるはずです。
人が歩いてくる方とは逆方向に空間を空けてフレーミング。そろそろと思うタイミングより少し早くからシャッターを切り始めます。運もありますがタイミングがあえばフレーム内に収まります。

これも撮影例を見ながら解説します。
撮影例11:ゴジュウカラ飛び出し
APS-C 300mm(450mm換算)
マニュアルモード
S速度1/2000秒 F4.0
ISO1250(AUTO)

画角の左方向から人が歩いてきて、ほぼ右真横に飛んだので深度内に収まりピントも合ました。
【改善点】
シャッター速度を1/2000秒にしていたのですこし羽がブレてしまったのと、最初のフレーミングが真ん中すぎて飛翔が右端ギリギリ。もう少し右に空間をあけておけば中間にフレーミングができました
撮影例12:シメ飛び出し
APS-C:560mm(840mm換算)
マニュアルモード
S速度1/2000秒 F4.0
ISO320(AUTO)

これも画角の左方向から人が歩いてきて、ほぼ右真横に飛んだので深度内に収まりピントも合ました。
【改善点】
上と同様、最初のフレーミングをもう少し右上に振っておけば端ギリギリにはならず、中心付近にフレーミングできました。
<タイミング2>鳥の予備動作から動きを予測
野鳥でも飛び立つ前には一瞬沈み込んだり、向きを変えたり予備動作が見られる場合があります。
特に25cm以上の少し大きな野鳥は体も大きいので、ずっと見ていると何となく“飛ぶっ!”というのが分かります。
“飛ぶっ!と思ったタイミングでシャッターを押し連写します。

これも撮影例を見ながら解説します。
撮影例13-1:ヤマセミ予備動作 1〜2コマ目
APS-C:800mm(1200mm換算)
マニュアルモード
S速度1/2500秒 F5.6
ISO1600(AUTO)
露出-0.3アンダー

ヤマセミはポイントで魚が出てくるのをじっと待つのでずっとカメラを構えていると集中力も持ちません。
すると体の方向を変えました。魚を見つけた様で、勢いをつけるためか?少し体を沈みこませる動作が見えたので、すかさず連写します。
撮影例13-2:ヤマセミ飛び込み 3コマ目
フレームの端ですが何とか画角内に入りました。
飛び出してからでは遅く、飛び出す素振りを見せた瞬間にシャッターを切らないとフレームから出てしまいます。
撮影例14:メジロ飛び出し 1〜4コマ
APS-C 560mm(840mm換算)
マニュアルモード
S速度1/2000秒 F4.0
ISO4000(AUTO)

これもメジロが飛び出す前に少し予備動作を見せたのでシャッターを切りました。この時は飛翔というよりジャンプで下に降りる動きで遅めだったので連写4コマまでフレームに入りました。
(3)野鳥が飛ぶ方向を予測する
野鳥が飛ぶ前兆となる動きを見せてくれればいいですが、この様な動きは稀で、大体は予備動作なしで飛び出します。
25cm以上の野鳥だと体が重く初速も遅いので何とかフレームに入れれる場合もありますが、20cm以下の小鳥はそうも行きません。
小鳥でもフレームに入れるためには飛ぶ方向を予測してフレーミングすることが必要になってきます。

これも撮影例で解説。
撮影例15:ベニマシコ飛び出し(失敗例)
APS-C 800mm(1200mm換算)
マニュアルモード
S速度1/2000秒 F5.6
ISO6400(AUTO)

何も考えずに野鳥が飛び出してから反応してもフレームに入りません。この写真は辛うじて左端に半身が写っていますが、フレームアウトしてしまう写真がほとんど。
撮影例16:ベニマシコ飛び出し(改善)
APS-C 800mm(1200mm換算)
マニュアルモード
S速度1/2000秒 F5.6
ISO1600(AUTO)

そこで今度は野鳥をフレームの右ぎりぎりに入れて左に空間をあけてから飛び出したタイミングでシャッターを切ってみました。
真横か左上に飛ぶと予想してフレーミングしましたが、左下に飛んだため隅っこに写る結果になりました。
飛んでからシャッタ−を切ると、人間の反射神経としてはこれくらいの大きさであればぎりぎりフレームに入る様に撮影できます。
この様に鳥が飛ぶ方向を予測するのが必要。
大体は体を向けている方向に飛ぶことが多いですが、逆方向や前方・後方に飛ぶこともあるのでこればかりはやはり良く観察して次の行動を予測することが必要になってきます。
(4)飛んだ方向へカメラを振る
そしてここからは応用編です。
フレーム固定だとどうしても野鳥が隅に写ってしまいます。
そこで飛んだ瞬間にシャッターを切り(連写し)ながらカメラを鳥が飛んだ方向に振ります。
カメラを振ることで2コマ目、3コマ目もチャンスが出てきます。
撮影例17:ホオアカ飛び出し
APS-C 800mm(1200mm換算)
マニュアルモード
S速度1/2500秒 F5.6
ISO1600(AUTO)

ホオアカが飛び出したと同時にシャッターを切りながらカメラを右に振りました。
中心付近にフレーミングが出来ました。
撮影例18-1:ヤマセミ飛び込み Take1/1〜2コマ目
APS-C 800mm(1200mm換算)
マニュアルモード
S速度1/2500秒 F5.6
ISO5000(AUTO)
露出-0.3アンダー

1コマ目で沈み込んだ瞬間にシャッターを切ります。2コマ目が飛び出した直後は少しだけフレームが左下に振られているのが分かると思います。
撮影例18-2:ヤマセミ飛び込み Take1/3コマ目
少しカメラの振りの方がヤマセミの動きより早く左上にフレーミングされましたが、フレーム内に入れれました。F5.6で深度が浅く目にジャスピンとはいきませんでしたが、まあ及第点でしょう。
深度をもう少し絞るか、最新のカメラの追従機能であればピントが合うはずです
撮影例19:ヤマセミ飛び込み Take2/1〜4コマ目
APS-C 800mm(1200mm換算)
マニュアルモード
S速度1/2500秒 F5.6
ISO3200(AUTO)
露出-0.3アンダー

かなりフレームに大きく写っており、こういったケースは追従の難易度が高です。2コマ目はカメラ振るのが間に合わず顔がフレームアウト、3コマ目も鳥の動きに明らかに遅れて尻尾の先しか写っていませんが、4コマ目で追いつきました。
残念ながら羽をたたんでおりこればかりは運です。ここから方向転換して急降下する手前なのでカメラが追いついたと思われます。運よく横方向に飛び出しているのでピントも合いました。
ここまでアップだとなかなかフレームに入れるのが難しく、もう少し離れていて小さく写る場合が飛翔写真には適しています。
撮影例20:カワセミ飛び出し 連写1〜3コマ
APS-C 560mm(840mm換算)
絞り優先モード
F4.0 1/125秒 ISO200

絞り優先にしていたのでシャッター速度が1/125秒と遅く羽がブレてますが、これはこれで動きがあっていい写真にはなりました。
最初のフレーミングが中央付近に鳥を持ってきているのでフレームの右端に写ってしまったのが残念ですが、これくらいの大きさだとフレームに入れやすくなり難易度も下がります。
撮影例21:ブッポウソウ飛び出し 連写1〜6コマ目
APS-C 800mm(1200mm換算)
マニュアルモード
S速度1/2500秒 F5.6
ISO6400
露出+0.3

F5.6開放ですが、被写体までの距離が遠いため被写界深度が深く、すべての写真にピントが合いました。
これくらい遠くて小さく写れば鳥も追いやすく、難易度もかなり下がります。
−肆ノ型−「僅隙瞬撮」まとめ
図14-1.−肆ノ型−「僅隙瞬撮」まとめ ○1〜○2
○1_野鳥にピントを合わせてフォーカスロック(ピント固定)します。

○2_フォーカスロックしたままフレームを振り飛び出すと予想される方向の空間を空ける
図14-2.−肆ノ型−「僅隙瞬撮」まとめ○3〜○4
○3_野鳥が飛び出す素振りを見せたら、シャッターを切り始め
○4_野鳥が飛んだらシャッター(連写)を切りながらカメラを飛んだ方向へ振って野鳥を追いかけます。
図14-3.−肆ノ型−「僅隙瞬撮」まとめ○5
○5_3コマ目までは何とか追いかけれますが、4コマ目以降は経験を積まないとなかなかフレームには入れれません。何度も試して経験あるのみです。
2.鳥の呼吸 −伍ノ型−「点撮」(てんさつ)
肆ノ型が飛び出しを狙うのに対しこの型では着地を狙います。
別の言い方をすると”一点決め打ち”あるいは”下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる”です。

餌台や巣箱など必ずそこに野鳥が飛んできて着地するポイントにフレーム及びピントを固定してピンポイントで撮影します。いわゆる”置きピン”というやつです。
飛び出しに比べ飛んでくる方向も分からない上に、シャッターを切るタイミングも難しく、ほぼピンポイントでの撮影となり飛び出しに比べると難易度が上がります

これも事例で説明します。
図15.Case1)斜め前方(奥)から飛んでくる場合
野鳥が飛んでくるのが見えたらすかさずシャッターを切り始め着地するまで連写します。
フレームに入るのははっきり言って運のみです。
上から降りてくる場合と下方から上がってくる場合もありフレームの中心に入れるのは至難の業です。
撮影例22:ヤマガラ着地(左斜め奥からの着地)
APS-C 560mm(840mm換算)
マニュアルモード
S速度1/2000秒 F8.0
ISO4000(AUTO)

左後方から飛んできて切り株に留まる瞬間を捕らえました。着地寸前に着陸体勢に入り速度が遅くなるので比較的フレームに入れやすいですが、斜めからくるのでピントが合うのは1コマのみ。
○1_の飛んでくるショットは絞りはF8まで絞っていますが被写界深度内に入らずピンボケになってしまってます。
撮影例23:コアジサシ着地(右斜め奥からの着地)
APS-C 560mm(840mm換算)
マニュアルモード
S速度1/2500秒 F4.0
ISO400(AUTO)

コアジサシは求愛の時メスに魚をプレゼントします。
地面で待っているメスの付近にフレームを固定しておき、オスが降りてくるタイミングを狙いました。
斜めからのカットとなり迫力が出ます。
図16.Case2)横方向から飛んでくる場合
成功確率を上げるためにはよりチャンスが多い、真横から飛んでくるシチュエーションを狙います。
餌台や巣箱は何度も出入りするので行動パターンが見えてきます。
事前に経由する枝と餌台や巣箱までの軌道が真横になる様な撮影位置を選びます。
真横から飛んでくる=被写界深度内を飛んでくるのでチャンスが増え、撮影成功確率が上がります
撮影例24:ヤマガラ着地(横方向からの着地)
APS-C 560mm(840mm換算)
マニュアルモード
S速度1/2500秒 F4.0
ISO6400(AUTO)

真横から飛んでくるので真横のショットになります。
多少ズレても被写界深度内を飛んでくるのでフレームにさえ入ってくれればピントが合い、チャンスが増えます。
撮影例25:ルリビタキ♀着地(横方向からの着地)
APS-C 560mm(840mm換算)
マニュアルモード
S速度1/2000秒 F8.0
ISO1600(AUTO)

餌場から飛び出した後、いつも良く留まる枝の左にフレームを固定して撮影。絞りをF8まで絞り被写界深度を深くしたのもあり、うまいことハマりました。
図17.Case3)前方(奥)から飛んでくる場合
真横からに比べると難易度が高くフレームに入れることすら難しいパターンです。
ひたすら連写して何度も試行すると運よくフレームに入れれます。
難易度が高い分、ピントが合えば正面からの迫力がある写真が撮れます。
撮影例26:ヤマガラ着地(奥から手前への着地1)
APS-C 560mm(840mm換算)
マニュアルモード
S速度1/3200秒 F4.0
ISO640(AUTO)

フレームの右端にギリギリ入りました。シャッター速度は1/3200秒まで上げています。
着地寸前で羽をたたんでいるのが残念。
撮影例27:ヤマガラ着地(奥からの手前への着地2)
APS-C 560mm(840mm換算)
マニュアルモード
S速度1/3200秒 F4.0
ISO4000(AUTO)

少しフレームからはみ出しているが今度は羽を開いている前面の迫力ある写真が撮れました。
近距離で被写界深度も浅く難易度が高いショットでしたが、もう少し離れた距離から撮るとフレームにも入れやすくなります。
−伍ノ型−「点撮」まとめ
図18-1.−伍ノ型−「点撮」まとめ○1〜○2
○1_カメラを構える場所(位置取り)
・餌台や巣箱など鳥が着地する着地点
・着地点へ飛んでくる前に良く留まる枝
 を線で結んだ時にカメラ視点と直角になる地点を選んでカメラを構える。
 つまり鳥が飛ぶ軌道が被写界深度に入る軌道になる様に位置取りをする。

○2_着地するポイントの少し手前にピントを合わせてフレームとピントを固定する。
※ピントを合わせた後にマニュアルフォーカスに切り替えピントがずれない様にしておくと良い
図18-2.−伍ノ型−「点撮」まとめ○3
○3_野鳥が枝等から飛び出したら連写し、
 着地するまで連写し続けます。
 あとはフレームに上手く入ってくれることを願う(運のみ)
 うまく行くまで何度もチャレンジあるのみ
3.鳥の呼吸 −陸ノ型−「流」(ながし)
紹介してきた2つの型
「肆ノ型」は留まった状態からの飛び出し
「伍ノ型」は地点を決め打ちにした着地
でありごく限られたシチュエーションになります。

それでは普通に飛んでいる際中の野鳥は撮れないものでしょうか?
フレーム内に入れることさえできれば撮影できますが、20cmを切る様な小さな野鳥は被写体も小さく相当の腕が要ります。
しかしサギ類などの大型な野鳥であれば飛んでいる最中でもフレームに入れて合わせられます。
また、凡そ25cmを超える野鳥でかつ”飛び方が一定”であれば何とか素人でも追うことができます。
一度フレーム内に入れれば野鳥の飛ぶスピードに合わせて追うことでいわゆる流し撮りができます。

これも撮影例で解説していきます。
撮影例28:コウノトリ飛翔(後ろ姿)
APS-C 560mm(840mm換算)
絞り優先モード
F4.0 1/800秒
ISO100

コウノトリくらいの大きな野鳥であれば、普通にフレームに入れれます。前方奥に飛んで行く場合や、こちらに向かって飛んでくる場合はフレームをそれほど動かす必要がないので難易度が低くなります。
更に大きい鳥の場合はシャッター速度1/800秒でも止まって写せますので絞り優先モード(通常撮影設定)でも十分です。
撮影例29:マナヅル飛翔(横から-1)
APS-C 600mm(900mm換算)
絞り優先モード
F5.6 1/1600秒
ISO100

これも飛翔中のマナヅルに合わせました。
飛ぶ方向にカメラを振りながら連写します。
撮影例30:チュウサギ飛翔(横から-2)
APS-C 300mm(450mm換算)
絞り優先モード
F4.0 1/1000秒
ISO100

これは結構近い距離を手持ち300mmで流し撮りしました。これも的が大きいのでフレームに入れやすく撮りやすいです。
撮影例31:ナベヅル飛翔(斜め前から)
APS-C 300mm(450mm換算)
絞り優先モード
F4.0 1/400秒
ISO250

斜めに飛んでくる場合も一直線に飛ぶ場合は非常に合わせやすいです。これは朝方で少し暗かったのでISO250まで上げて手持ち300mmで絞り優先(開放)で撮影
小さい鳥の飛翔を撮るには
サギ類やツルなどの大きな野鳥は動作も遅く、的が大きいため簡単に合わせられます。
しかし、小さな野鳥は簡単には合わせれませんが、25cm程度の大きさの鳥であれば一直線に飛び、飛ぶ方向が限定できれば何とか合わせることが可能。
撮影例32:コアジサシ飛翔(遠目から)
APS-C 560mm(840mm換算)
マニュアルモード
S速度1/2500秒 F4.0
ISO160(AUTO)

これくらいの大きさであればフレームの端から端まで時間がかかるので合わせれるが…
もう少し近くて画角に大きく写る場合は、鳥の飛ぶスピードに合わせてカメラを振りながら撮影する、いわゆる流し撮りが必要になる。
問題はどうやってフレームに入れるか?だがこれが難しい。
ここは経験を積んで目標点を1発でフレームに入れる技術が必要になります。
図19.
1発でフレームに入れても、ファインダーに目を移動する僅かな間に更に前に進んでしまうので、
気持ち 鳥が飛ぶ少し前方にカメラの向きを合わせて目をファインダーに移すとフレーム内に入れやすい。
ここでフォーカスエリアを「ゾーン」にしておくとフレームの中心から少しずれてもピントが合いやすいです。
また、フレーム内に入った時に野鳥と認識するためにはこの時点である程度ピントがあっていないと認識できない。
そのため鳥が飛翔するだろう軌道の近くの地上の目標物でピントをある程度合わせておいてから、野鳥をファインダーで追います。
撮影例33-1:コアジサシ飛翔1
APS-C 560mm(840mm換算)
マニュアルモード
S速度1/2500秒 F4.0
ISO250(AUTO)

フレームに入れてピントを合わせることが出来たら、後はひたすら連写しながら鳥を追い流し撮りをする。画角上にフレーミングされており気持ちカメラを上に振ると…
飛翔例33-2:コアジサシ飛翔2
APS-C 560mm(840mm換算)
マニュアルモード
S速度1/2500秒 F4.0
ISO200(AUTO)

高さ方向はあったものの、少し鳥の動きに遅れており画角左にフレーミングされている。
撮影例33-3:コアジサシ飛翔3
APS-C 560mm(840mm換算)
マニュアルモード
S速度1/2500秒 F4.0
ISO320(AUTO)

やっとフレームの真ん中で捉えた!
撮影例34:コアジサシ飛翔(近距離)
APS-C 560mm(840mm換算)
マニュアルモード
S速度1/2500秒 F4.0
ISO320(AUTO)

慣れてこれば近くを飛翔する野鳥もフレームに入れることができます。
−陸ノ型−「流」まとめ
図20-1.−陸ノ型−「流」まとめ ○1
○1_フレームに入れる際に鳥を認識できる様に近くの目標物でピントを飛翔軌道の近くに合わせておく

フレームに入れた時に多少ぼやけていても鳥と認識できれば追えます。
図20-2.−陸ノ型−「流」まとめ ○3〜○4
○2_フレームに入れる。
鳥が飛んで行く方向の気持ち前方に先回りしてカメラを振ってからファインダーを覗くのがコツ

○3_フレームに入れたらシャッターを半押ししてピントを合わせる。フォーカスエリアを「ゾーン」にしておくと合わせやすい

○4_ピントが合ったらひたすら連写しながら鳥を追う
4.奇跡の1枚(おまけ)
ここからは撮影術ではなくおまけ。
飛翔写真を撮影していると、偶然に奇跡の1枚が撮れる場合があります。
自分では意図していないが、野鳥がシャッターに合わせてくれるラッキーな1枚。
野鳥撮影を長く続けていると、こんな幸運もたまにはやってきます。
撮影例35:ジョウビタキ♀飛び出しリフレクション
APS-C 560mm(840mm換算)
マニュアルモード
S速度1/2000秒 F4.0
ISO1250(AUTO)

ジョウビタキの飛び出しを撮影したが、ちょうど池の上を飛び水面に飛翔姿が映り込んだリフレクションの奇跡
撮影例36:ジョウビタキ♂飛び出し(正面)
APS-C 400mm(600mm換算)
絞り優先モード
F2.8 1/800秒
ISO100

枝にとまったジョウビタキ♂を撮影しようとカメラを構えシャッターを押そうとした瞬間に飛び出し、偶然ピントが顔に合った。
中心からズレずに真正面に偶然飛んでくれた奇跡
撮影例37:ベニマシコとカワラヒワ飛翔
APS-C 800mm(1200mm換算)
マニュアルモード
S速度1/2000秒 F5.6
ISO6400(AUTO)

食事をするベニマシコを撮っていたら偶然カワラヒワが横切る。シャッターを切った絶妙のタイミングでしかも被らずにフレーム内に入り込んだ奇跡
最後に.
如何でしたでしょうか「鳥撮の鏡 ー飛翔編ー」

動く動物を撮影するのは難易度は高いですが、挑戦してみないことには一生撮影できません。
「成せば成る、成さねば成らぬ」なので、興味ある人は是非挑戦してみてください。

文中に記載の通り高級な一眼カメラよりコンデジの方が撮影には有利な部分もありますのでまずはコンデジでチャレンジしてみるのも良いかと思います。

私も引き続き修行(撮影)を続けて各々の技の完成度を上げていきたいと思っています。

長文失礼しました。最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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