第4部 現世の「アルプス地域」
(はじめに)
この連載を振り返ると、まず第1部では、古生代及びそれより前に形成された地質体、第2部では中生代に形成された地質体について説明しました。また第3部では、新生代における「アルプス造山運動」について説明してきました。
この第4部では、それらの結果として、現世の「アルプス地域」はどのような地質構成、地質構造を持っているのかなどについて、(文献1)に基づき、色々な角度から説明します。
なお、続く第5部では、「ヨーロッパアルプス」にある具体的な山々の地質を説明する予定ですが、この第4部は、そのための解説の役割も持っています。
この第4部では、それらの結果として、現世の「アルプス地域」はどのような地質構成、地質構造を持っているのかなどについて、(文献1)に基づき、色々な角度から説明します。
なお、続く第5部では、「ヨーロッパアルプス」にある具体的な山々の地質を説明する予定ですが、この第4部は、そのための解説の役割も持っています。
4−1章 広域地質図による、各地質グループの分布と構成概説
この4―1章では、まず第(1)節で、「アルプス地域」において、どのような地質グループ、地質体があるかについて説明します。第(2)節以降では、「アルプス地域」の広域(平面)地質図を参照しつつ、それらの「地質グループ」、地質体の分布について、より詳しく説明します。
この章の内容は、第1―3章とも多少重複しますが、1−3章は概略版、この4−1章は詳細版という位置付けです。
なお、この章では、(文献1)にある広域(平面)地質図を参照用として添付しましたが、より詳しい「ヨーロッパアルプス」の地質図は、スイス、オーストリア、フランス各国がオンライン地質図として提供しています。詳しくは、「補足説明1」をご参照ください。
この章の内容は、第1―3章とも多少重複しますが、1−3章は概略版、この4−1章は詳細版という位置付けです。
なお、この章では、(文献1)にある広域(平面)地質図を参照用として添付しましたが、より詳しい「ヨーロッパアルプス」の地質図は、スイス、オーストリア、フランス各国がオンライン地質図として提供しています。詳しくは、「補足説明1」をご参照ください。
4−1章―(1)節 「アルプス地域」を構成している主な地質グループ、地質体の概要
この第(1)節では、「アルプス地域」を構成している主な「地質グループ」、地質体を、8つに分け、(文献1)、および(文献2)〜(文献9)を元に、それぞれの概要を説明します。分布についてもある程度説明しますが、より詳しくは(2)節でも説明します。
この(1)節の説明に関しては、添付の、図1(アルプス地域の広域的地質構造図)も、ご参照ください。(図1は、(文献1)の図2−1から引用)。
なお、(文献2)にも同様な、「アルプス地域」の地質図がありますので、参考までに図2として掲載します。ただし図1と基本的な違いはありませんので、説明は略します。
「アルプス地域」のうち、山地となっている「ヨーロッパアルプス」本体には、以下(1)〜(5)の「地質グループ」が広域的に分布しています。日本の広域地質図でいうと「地帯」(あるいは「地体」)に相当するものです。 注1)
それ以外には、第1部で説明した、「外側地塊」(external massif)と呼ばれる基盤岩体や、第3部で説明した新生代の「貫入岩体」が点在しています。それぞれ、第(6)項、第(7)項で説明します。
また「外側地塊」については、「補足説明2」で少し解説しました。
「ヨーロッパアルプス」周辺部である、北側の「モラッセ盆地」や、南麓の「ポー盆地」では、新生代の破砕性堆積物(モラッセ性堆積物など)が分布しています。これは第(8)項で説明します。
この(1)節の説明に関しては、添付の、図1(アルプス地域の広域的地質構造図)も、ご参照ください。(図1は、(文献1)の図2−1から引用)。
なお、(文献2)にも同様な、「アルプス地域」の地質図がありますので、参考までに図2として掲載します。ただし図1と基本的な違いはありませんので、説明は略します。
「アルプス地域」のうち、山地となっている「ヨーロッパアルプス」本体には、以下(1)〜(5)の「地質グループ」が広域的に分布しています。日本の広域地質図でいうと「地帯」(あるいは「地体」)に相当するものです。 注1)
それ以外には、第1部で説明した、「外側地塊」(external massif)と呼ばれる基盤岩体や、第3部で説明した新生代の「貫入岩体」が点在しています。それぞれ、第(6)項、第(7)項で説明します。
また「外側地塊」については、「補足説明2」で少し解説しました。
「ヨーロッパアルプス」周辺部である、北側の「モラッセ盆地」や、南麓の「ポー盆地」では、新生代の破砕性堆積物(モラッセ性堆積物など)が分布しています。これは第(8)項で説明します。
【各地質グループ、地質体の説明】
第(1)項;「ヘルベチカ系」(Helvetic)地質グループ (図1では、黄緑色ゾーン)
「ヘルベチカ系」地質グループは、第2部(中生代の地史)で説明したように、主に「ジュラ紀」〜「白亜紀」にかけ、「ヨーロッパ大陸ブロック」のマージン部の「ヘルベチカ系地質区」で形成された、堆積岩類からなるグループです(文献1)、(文献3)、(文献4)。具体的には、泥質岩、砂岩、石灰岩類が多く、また弱〜中程度の変成作用を受けています(文献1−3)、(文献1−6)。
現世での分布域は、主に、「中部アルプス」(スイスアルプス)の、中軸部より北側にかけて分布しています。また「東部アルプス」のうち、「タウエルン地域」(Tauern)や北麓部にも一部分布しています(文献1―1)、(文献3)、(文献4)。
なお、このゾーンには、「外側地塊」(external massif)群が含まれていますが、これは第(6)項で説明します。
第(2)項;「ドーフィネ系」(Dauphinois)地質グループ (図1では、黄緑色ゾーン)
「ドーフィネ系」地質グループは、「ヘルベチカ系」地質グループと同様、主に「ジュラ紀」〜「白亜紀」にかけ、「ヨーロッパ大陸ブロック」のマージン部の「ドーフィネ系地質区」で形成された堆積岩類です。具体的には、泥質岩、砂岩、石灰岩類が多く、また大部分が弱〜中程度の変成作用を受けています(文献1−3)。
現世での分布域は、「西部アルプス」(フレンチアルプス)の、中軸部より西側にかけて分布しています(文献1−1)。
この地質グループは「ヘルベチカ系」とは兄弟のような関係で、主に地理的な違いで区分されています。(文献1)では、独立した「地質グループ」として扱っていますが、「ヘルベチカ系(ドーフィネ系)」とまとめる場合もあります。図1でも両者の境界は明確に書かれていません(文献4)。
なお、このゾーンにも、「外側地塊」(external massif)群が含まれていますが、これは第(6)項で説明します。
第(3)項;「ペニン系」(Penninic)地質グループ (図1では、青紫色ゾーン)
「ペニン系」地質グループとは、第2部(中生代の地史)で説明したように、「ジュラ紀」〜「白亜紀」にかけて存在した、リフトゾーンが発達した海洋域であった「ペニン系地質区」(=ペニン海;the Penninic Ocean)注2)由来の地質グループです(文献1―3)、(文献5)、(文献6)。
現世での分布域は、「中部アルプス」では中軸部のほか、北麓の一部に飛び地状にあります。「西部アルプス」では中軸部から東側(イタリア側)に「中部アルプス」から連続して分布しています。「東部アルプス」では局所的で、「タウエルン地域」や北麓部に点在している、とやや複雑な分布域です(文献1−1)。
「ペニン系」地質グループ分布域で見られる実際の岩石は、元々の原岩が変成作用を受けて変成岩となっている場合がほとんどで、具体的には、片麻岩類、結晶片岩類、角閃岩、蛇紋岩などです。
「ペニン系」は、図1では区分されていませんが、実際には、中生代に存在した「地質区」の違いにより、更に以下3つの地質グループに細分化されています。(文献1−1)、(文献1−3)、(文献1−5)、(文献5)、(文献6)。
(3−1)項;「ピエモンテ海系」(Piemonte)地質グループ(図1では青紫色ゾーン);
(「上部ペニン系」(upper Penninic)、「南部ペニン系」(south Penninic)とも呼ぶ)
この地質グループは、中生代の海洋地殻を持ったゾーンである「ピエモンテ海」由来の地質体で、海洋地殻を構成する玄武岩、ハンレイ岩、マントル構成物質であるカンラン岩、海洋底に堆積したチャートを元とした変成岩が多い、複雑な構成のグループです。
玄武岩、ハンレイ岩、カンラン岩のセットは、「オフィオライト」(ophiolite)とも呼ばれ、海洋プレートの断片とみなされるものです。
なお、「オフィオライト」の定義は文献により多少の違いがあります。
(3−2)項;「ブリアンソン・ライズ系」(Brianson rize)地質グループ;
(図1では青紫色ゾーン)、(「中部ペニン系」;(middle Penninic)とも呼ぶ)
この地質グループは、「ジュラ紀」、「白亜紀」に存在した、大陸地殻を有する半島状の「地質区」である「ブリアンソン・ライズ」由来のもので、中生代の堆積物及び、その下の基盤岩を原岩とし、それらを元とした変成岩が多い、複雑な構成のグループです。
(3−3)項;「ヴァリストラフ系」(Valais trough)地質グループ(図1では青紫色ゾーン);(「下部ペニン系」(lower Penninic)、「北部ペニン系」(north Penninic)とも呼ぶ)
この地質グループは、「ジュラ紀」、「白亜紀」に存在した、「ヴァリストラフ」と呼ばれるリフトゾーン由来の地質体群で、深海性堆積物、海洋地殻由来の玄武岩などを原岩とし、それらを元とした変成岩が多い、複雑な構成のグループです。
第(4)項;「オーストロアルパイン系」(Austro-alpine)地質グループ(図1では、黄色ゾーン)
この地質グループは、「アドリア大陸ブロック」のマージン部で形成された中生代の堆積物、その下位の古生代の堆積物、更にその下位の基盤岩体からなる地質グループです(文献1−1)、(文献1−2)、(文献1−3)、(文献1−5)、(文献7)。
古生代の堆積物は、「グレイワッケ」とよばれる泥質岩や、「クオーツ・フェライト」と呼ばれる砂質岩が多く、中生代の堆積物は、主に泥質岩や石灰岩類からなります。またこれらの堆積物の一部は、弱〜中程度の変成作用を受けているものもあります。
現世での分布域は、その名の由来のとおり、「オーストリア」(国)の山岳地帯、つまり「東部アルプス」に広く分布しています。
また「中部アルプス」には「ダンブランシュ・ナップ」(the Dent Blanche nappe)と呼ばれる、クリッペ状の孤立した地質体があります。一般的には、この地質体は浸食によって、「東部アルプス」の本土部から離島のように切り離された「オーストロアルパイン系」地質グループ、とみなされています。
第(5)項;「サウスアルパイン系」(South-alpine)地質グループ(図1では、黄土色のゾーン)
この地質グループは、「オーストロアルパイン系」地質グループと同様、「アドリア大陸ブロック」のマージン部で形成された、古生代〜中生代の堆積物を主体とし、基盤岩類も一部、分布しています(文献1−1)、(文献1−3)。
主な堆積物としては、特に石灰岩類(ドロマイトも含む)が多く、その他には泥質岩、砂質岩などを含みます。他の地質グループと大きく違う点は、ほとんど変成作用を受けていない点です(文献1−6)。
また「ペリ・アドリアティック断層系」によって、他の地質グループとは区切られています。
分布域は、「ヨーロッパアルプス」を縦断する重要な地質境界線である「ペリ・アドリアティック断層系」(peri-Adriatic fault system)(図1では東西走向の赤い線)よりも南側である、イタリア北部になります。
またイタリア北東部のドロミティ地域(Dolomiti)は、(文献1)では、「サウスアルパイン系」地質グループ分布域としていますが、ドロマイトが大量に堆積している場所です。
第(6)項;「外側地塊」(external massifs) (図4にて表示)
一般には(external massifs)と呼ばれる地塊群は、この連載では「外側地塊」と訳しましたが、「ヘルベチカ系」、「ドーフィネ系」地質グループの分布域の中に、孤立した地塊として地表に表れているものです(文献1−1)、(文献1−2)、(文献1−5)。
(文献1)では、「ヘルベチカ系」、「ドーフィネ系」地質グループの構成要素の一部として扱っていますが、ここでは説明の都合上、別扱いとしました。
「外部地塊」を構成している地質体は、第1部でも述べましたが、「アルトクリスタリン」(Altkristallin)と呼ばれる、複数回の変成作用を受けた、古い起源をもつ片麻岩類などの変成岩、古生代の堆積物、古生代の深成岩体、火山岩類などからなる複合岩体です。
この「外側地塊」については、「補足説明;2」にて多少詳しく説明しました。
第(7)項;新生代 貫入岩体(図1では、中央部の、いくつかの朱色のかたまり)
第3部でも述べたように、新生代の「アルプス造山運動」において、マグマの活動(火成活動)は不活発でしたが、約30Ma頃に一時的な火成活動が生じ、「ペリ・アドリアティック断層系」に沿って、貫入岩体が形成されました。主なものは、第3部でも取り上げた、「ブレ―ガリア」(Bregaglia)貫入岩体や「アダメッロ」(Adamello)貫入岩体があります。岩質は、花崗岩質(felsic)なトーナル岩、花崗岩などです(文献1−4)。
第(8)項;新生代 破砕性堆積物(図1では、薄い黄色ゾーンの一部)
第3部でも述べたように、新生代の「アルプス造山運動」に伴い、隆起した山地部から浸食によって運ばれてきた破砕性堆積物(clastic sediments; 礫、砂、泥)が、北麓の「モラッセ盆地」(Molasse basin)と南麓の「ポー盆地」(Po-Basin)に分厚く堆積しています(文献1−4)、(文献9)。また、西側の山麓であるフランス側や、東側の山麓であるウイーン盆地などにも同様のものが堆積しています。
このほかにも、図1では書かれていませんが、「ヨーロッパアルプス」の前山にあたる低めの山々などにも、ナップ群によっていったん上から覆われてしまった後、再び地表に現れた、古い時代の破砕性堆積物があります。
新生代の破砕性堆積物は、礫を多く含むものは「モラッセ」(molasse)、砂と泥が主体のものは、「フリッシュ」(flysch)と呼ばれています。
なお「モラッセ盆地」内のモラッセ性堆積物のうち、主要部は、細かくは、下位から順に以下の4グループに分けられています。詳細説明は省きますが、これらが堆積した時代は、古第三紀「漸新世」〜新第三紀「中新世」と推定され、これらの堆積物の解析により「アルプス造山運動」の状況や古地理が解明されています。
・「LMM層群」(Lower Marine Molasse)
・「LFM層群」(Lower Freshwater Molasse)
・「UMM層群」(Upper Marine Molasse)
・「UFM層群」(Upper Freshwater Molasse)
〜〜〜〜〜
以上が、「アルプス地域」に分布する主な地質グループ、地質体の説明でした。
このうち、(1)、(2)、(3)、(4)の地質グループは、形成されたのは、主に中生代ですが、新生代の「アルプス造山運動」に伴い、「ナップ群」(nappe system)として、元々の位置から、北、あるいは北西へと、数十km移動して現世の位置に至っています。かつ造山運動の過程のなかで浸食により失われてしまった部分が多くあり、そのために、各地質グループの分布は複雑な様相を示しています。
なお(5)の「サウスアルパイン系」は、他の地質グループと同じく、主に中生代に形成されましたが、ナップ群としての移動はほとんどなかった、という違いがあります。
「ヘルベチカ系」地質グループは、第2部(中生代の地史)で説明したように、主に「ジュラ紀」〜「白亜紀」にかけ、「ヨーロッパ大陸ブロック」のマージン部の「ヘルベチカ系地質区」で形成された、堆積岩類からなるグループです(文献1)、(文献3)、(文献4)。具体的には、泥質岩、砂岩、石灰岩類が多く、また弱〜中程度の変成作用を受けています(文献1−3)、(文献1−6)。
現世での分布域は、主に、「中部アルプス」(スイスアルプス)の、中軸部より北側にかけて分布しています。また「東部アルプス」のうち、「タウエルン地域」(Tauern)や北麓部にも一部分布しています(文献1―1)、(文献3)、(文献4)。
なお、このゾーンには、「外側地塊」(external massif)群が含まれていますが、これは第(6)項で説明します。
第(2)項;「ドーフィネ系」(Dauphinois)地質グループ (図1では、黄緑色ゾーン)
「ドーフィネ系」地質グループは、「ヘルベチカ系」地質グループと同様、主に「ジュラ紀」〜「白亜紀」にかけ、「ヨーロッパ大陸ブロック」のマージン部の「ドーフィネ系地質区」で形成された堆積岩類です。具体的には、泥質岩、砂岩、石灰岩類が多く、また大部分が弱〜中程度の変成作用を受けています(文献1−3)。
現世での分布域は、「西部アルプス」(フレンチアルプス)の、中軸部より西側にかけて分布しています(文献1−1)。
この地質グループは「ヘルベチカ系」とは兄弟のような関係で、主に地理的な違いで区分されています。(文献1)では、独立した「地質グループ」として扱っていますが、「ヘルベチカ系(ドーフィネ系)」とまとめる場合もあります。図1でも両者の境界は明確に書かれていません(文献4)。
なお、このゾーンにも、「外側地塊」(external massif)群が含まれていますが、これは第(6)項で説明します。
第(3)項;「ペニン系」(Penninic)地質グループ (図1では、青紫色ゾーン)
「ペニン系」地質グループとは、第2部(中生代の地史)で説明したように、「ジュラ紀」〜「白亜紀」にかけて存在した、リフトゾーンが発達した海洋域であった「ペニン系地質区」(=ペニン海;the Penninic Ocean)注2)由来の地質グループです(文献1―3)、(文献5)、(文献6)。
現世での分布域は、「中部アルプス」では中軸部のほか、北麓の一部に飛び地状にあります。「西部アルプス」では中軸部から東側(イタリア側)に「中部アルプス」から連続して分布しています。「東部アルプス」では局所的で、「タウエルン地域」や北麓部に点在している、とやや複雑な分布域です(文献1−1)。
「ペニン系」地質グループ分布域で見られる実際の岩石は、元々の原岩が変成作用を受けて変成岩となっている場合がほとんどで、具体的には、片麻岩類、結晶片岩類、角閃岩、蛇紋岩などです。
「ペニン系」は、図1では区分されていませんが、実際には、中生代に存在した「地質区」の違いにより、更に以下3つの地質グループに細分化されています。(文献1−1)、(文献1−3)、(文献1−5)、(文献5)、(文献6)。
(3−1)項;「ピエモンテ海系」(Piemonte)地質グループ(図1では青紫色ゾーン);
(「上部ペニン系」(upper Penninic)、「南部ペニン系」(south Penninic)とも呼ぶ)
この地質グループは、中生代の海洋地殻を持ったゾーンである「ピエモンテ海」由来の地質体で、海洋地殻を構成する玄武岩、ハンレイ岩、マントル構成物質であるカンラン岩、海洋底に堆積したチャートを元とした変成岩が多い、複雑な構成のグループです。
玄武岩、ハンレイ岩、カンラン岩のセットは、「オフィオライト」(ophiolite)とも呼ばれ、海洋プレートの断片とみなされるものです。
なお、「オフィオライト」の定義は文献により多少の違いがあります。
(3−2)項;「ブリアンソン・ライズ系」(Brianson rize)地質グループ;
(図1では青紫色ゾーン)、(「中部ペニン系」;(middle Penninic)とも呼ぶ)
この地質グループは、「ジュラ紀」、「白亜紀」に存在した、大陸地殻を有する半島状の「地質区」である「ブリアンソン・ライズ」由来のもので、中生代の堆積物及び、その下の基盤岩を原岩とし、それらを元とした変成岩が多い、複雑な構成のグループです。
(3−3)項;「ヴァリストラフ系」(Valais trough)地質グループ(図1では青紫色ゾーン);(「下部ペニン系」(lower Penninic)、「北部ペニン系」(north Penninic)とも呼ぶ)
この地質グループは、「ジュラ紀」、「白亜紀」に存在した、「ヴァリストラフ」と呼ばれるリフトゾーン由来の地質体群で、深海性堆積物、海洋地殻由来の玄武岩などを原岩とし、それらを元とした変成岩が多い、複雑な構成のグループです。
第(4)項;「オーストロアルパイン系」(Austro-alpine)地質グループ(図1では、黄色ゾーン)
この地質グループは、「アドリア大陸ブロック」のマージン部で形成された中生代の堆積物、その下位の古生代の堆積物、更にその下位の基盤岩体からなる地質グループです(文献1−1)、(文献1−2)、(文献1−3)、(文献1−5)、(文献7)。
古生代の堆積物は、「グレイワッケ」とよばれる泥質岩や、「クオーツ・フェライト」と呼ばれる砂質岩が多く、中生代の堆積物は、主に泥質岩や石灰岩類からなります。またこれらの堆積物の一部は、弱〜中程度の変成作用を受けているものもあります。
現世での分布域は、その名の由来のとおり、「オーストリア」(国)の山岳地帯、つまり「東部アルプス」に広く分布しています。
また「中部アルプス」には「ダンブランシュ・ナップ」(the Dent Blanche nappe)と呼ばれる、クリッペ状の孤立した地質体があります。一般的には、この地質体は浸食によって、「東部アルプス」の本土部から離島のように切り離された「オーストロアルパイン系」地質グループ、とみなされています。
第(5)項;「サウスアルパイン系」(South-alpine)地質グループ(図1では、黄土色のゾーン)
この地質グループは、「オーストロアルパイン系」地質グループと同様、「アドリア大陸ブロック」のマージン部で形成された、古生代〜中生代の堆積物を主体とし、基盤岩類も一部、分布しています(文献1−1)、(文献1−3)。
主な堆積物としては、特に石灰岩類(ドロマイトも含む)が多く、その他には泥質岩、砂質岩などを含みます。他の地質グループと大きく違う点は、ほとんど変成作用を受けていない点です(文献1−6)。
また「ペリ・アドリアティック断層系」によって、他の地質グループとは区切られています。
分布域は、「ヨーロッパアルプス」を縦断する重要な地質境界線である「ペリ・アドリアティック断層系」(peri-Adriatic fault system)(図1では東西走向の赤い線)よりも南側である、イタリア北部になります。
またイタリア北東部のドロミティ地域(Dolomiti)は、(文献1)では、「サウスアルパイン系」地質グループ分布域としていますが、ドロマイトが大量に堆積している場所です。
第(6)項;「外側地塊」(external massifs) (図4にて表示)
一般には(external massifs)と呼ばれる地塊群は、この連載では「外側地塊」と訳しましたが、「ヘルベチカ系」、「ドーフィネ系」地質グループの分布域の中に、孤立した地塊として地表に表れているものです(文献1−1)、(文献1−2)、(文献1−5)。
(文献1)では、「ヘルベチカ系」、「ドーフィネ系」地質グループの構成要素の一部として扱っていますが、ここでは説明の都合上、別扱いとしました。
「外部地塊」を構成している地質体は、第1部でも述べましたが、「アルトクリスタリン」(Altkristallin)と呼ばれる、複数回の変成作用を受けた、古い起源をもつ片麻岩類などの変成岩、古生代の堆積物、古生代の深成岩体、火山岩類などからなる複合岩体です。
この「外側地塊」については、「補足説明;2」にて多少詳しく説明しました。
第(7)項;新生代 貫入岩体(図1では、中央部の、いくつかの朱色のかたまり)
第3部でも述べたように、新生代の「アルプス造山運動」において、マグマの活動(火成活動)は不活発でしたが、約30Ma頃に一時的な火成活動が生じ、「ペリ・アドリアティック断層系」に沿って、貫入岩体が形成されました。主なものは、第3部でも取り上げた、「ブレ―ガリア」(Bregaglia)貫入岩体や「アダメッロ」(Adamello)貫入岩体があります。岩質は、花崗岩質(felsic)なトーナル岩、花崗岩などです(文献1−4)。
第(8)項;新生代 破砕性堆積物(図1では、薄い黄色ゾーンの一部)
第3部でも述べたように、新生代の「アルプス造山運動」に伴い、隆起した山地部から浸食によって運ばれてきた破砕性堆積物(clastic sediments; 礫、砂、泥)が、北麓の「モラッセ盆地」(Molasse basin)と南麓の「ポー盆地」(Po-Basin)に分厚く堆積しています(文献1−4)、(文献9)。また、西側の山麓であるフランス側や、東側の山麓であるウイーン盆地などにも同様のものが堆積しています。
このほかにも、図1では書かれていませんが、「ヨーロッパアルプス」の前山にあたる低めの山々などにも、ナップ群によっていったん上から覆われてしまった後、再び地表に現れた、古い時代の破砕性堆積物があります。
新生代の破砕性堆積物は、礫を多く含むものは「モラッセ」(molasse)、砂と泥が主体のものは、「フリッシュ」(flysch)と呼ばれています。
なお「モラッセ盆地」内のモラッセ性堆積物のうち、主要部は、細かくは、下位から順に以下の4グループに分けられています。詳細説明は省きますが、これらが堆積した時代は、古第三紀「漸新世」〜新第三紀「中新世」と推定され、これらの堆積物の解析により「アルプス造山運動」の状況や古地理が解明されています。
・「LMM層群」(Lower Marine Molasse)
・「LFM層群」(Lower Freshwater Molasse)
・「UMM層群」(Upper Marine Molasse)
・「UFM層群」(Upper Freshwater Molasse)
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以上が、「アルプス地域」に分布する主な地質グループ、地質体の説明でした。
このうち、(1)、(2)、(3)、(4)の地質グループは、形成されたのは、主に中生代ですが、新生代の「アルプス造山運動」に伴い、「ナップ群」(nappe system)として、元々の位置から、北、あるいは北西へと、数十km移動して現世の位置に至っています。かつ造山運動の過程のなかで浸食により失われてしまった部分が多くあり、そのために、各地質グループの分布は複雑な様相を示しています。
なお(5)の「サウスアルパイン系」は、他の地質グループと同じく、主に中生代に形成されましたが、ナップ群としての移動はほとんどなかった、という違いがあります。
4−1章―(2)節 「アルプス地域」を構成している各地質グループの分布状況
第(1)節では、「アルプス地域」の各地質グループ、各地質体について、その概要を説明し、分布状況についても多少説明しました。
この第(2)節では、「ヨーロッパアルプス」を、「東部アルプス」、「中部アルプス」、「西部アルプス」の3つの地域に分け、それぞれの地域ごとに、各地質グループ、地質体の分布状況と、地下を含めた地質構造について、より詳しく説明します。
なお、この(2)節の説明に関しては、図1に加え、(文献1)から引用した、図3(東部アルプス)、図4(中部アルプス)、図5(西部アルプス)の各地質図もご参照ください。
この第(2)節では、「ヨーロッパアルプス」を、「東部アルプス」、「中部アルプス」、「西部アルプス」の3つの地域に分け、それぞれの地域ごとに、各地質グループ、地質体の分布状況と、地下を含めた地質構造について、より詳しく説明します。
なお、この(2)節の説明に関しては、図1に加え、(文献1)から引用した、図3(東部アルプス)、図4(中部アルプス)、図5(西部アルプス)の各地質図もご参照ください。
(2−1)項 「東部アルプス」
「東部アルプス」では、図1では黄色で示される「オーストロアルパイン系」地質グループが広範囲に分布しています。また、赤い線で示される「ペリ・アドリアティック断層系」より南側では、黄土色で示される「サウスアルパイン系」地質グループの分布域となっています。
なお「東部アルプス」のより詳しい地質図としては、添付の図3もご参照ください(図3は、(文献1−5)の、図5-3-1を引用)。
「東部アルプス」では「オーストロアルパイン系」地質グループが大部分を占めていますが、図1を見ると、「タウエルン地域」(Tauern)と、「東部アルプス」の北麓部だけは、青紫色で示される「ペニン系」地質グループ、黄緑色で示される「ヘルベチカ系」地質グループが、多少、分布していることが解ります(図3でも表示しています)。
このような地表での地質グループの分布状況は、実際は地下まで含めた地質構造によって理解されています。すなわち、「ペリ・アドリアティック断層系」より北側の「東部アルプス」では、4つの地質グループが重なり合った「ナップパイル構造」注4)となっていると考えられています(文献1−5)。
4階建ての建物になぞらえると、1階部分(1層目)が基盤岩類で、その上、2階部分(2層目)が「ヘルベチカ系」地質グループ、3階部分(3層目)が、「ペニン系」地質グループ、最上部の4階部分(4層目)が、「オーストロアルパイン系」地質グループ、という構造となっていると推定されています。
このような構造となっているという開析は、特に「タウエルン地域」(Tauern)が「地窓」(フェンスター(fenster))注5)となっており、構造的下位の層が地表に現れていることから考察されたものです(文献1−5)。以下、少し詳しく説明します。
図6に、「タウエルン地域」のより詳しい地質平面図を示します。((文献1−2)の、図2−8を引用)。細かい説明は略しますが、中央部に最下層(1層目)の基盤岩類(朱色、茶色、ピンク色など;アルトクリスタリン、古生代の深成岩類、古生代の堆積岩類)があり、その周辺部に、第3層にあたる、「ペニン系」地質グループ(青緑色とグレー色)があります。第2層の「ヘルベチカ系」地質グループは、図3では解りにくいのですが、左手(北西側)にわずかに顔を出しています。それらから構成された「地窓」(フェンスター)部分を囲む黄色のゾーンが、最上位の第4層目に位置している、「オーストロアルパイン系」地質グループです(文献1−2)、(文献1−5)。
また図7には、「タウエルン地域」の地質断面図を示します(文献1の図5-3-5を引用)。複雑な褶曲を伴っているので解りにくいですが、全体的には中央部を軸として大きく隆起しており(背斜構造)、隆起に伴う浸食によって、中央部に第1層(最下層)の基盤岩体、その周辺に、第2層の「ヘルベチカ系」、第3層の「ペニン系」が顔を出しています。このフェンスターの外側に、最上位の第4層である「オーストロアルパイン系」が分布していることが解ります。
また図1や図3を見ると、「東部アルプス」の北麓部では、「オーストロアルパイン系」地質グループ分布域の裾のように、東西に細長く、青紫色の「ペニン系」地質グループと、黄緑色の「ヘルベチカ系」地質グループが分布しています。これらは、各地質グループがナップ群として北方向へ移動した際、より北側まで移動した「ヘルベチカ系」、「ペニン系」が北麓部に顔を出している、と解釈されています(文献1−5)。
一方、図1、図3で、赤い線で示す「ペリ・アドリアティック断層系」より南側は、「サウスアルパイン系」地質グループの分布域(ドロミティ地域)ですが、この地質グループは大きな移動はせず、この場所に留まっていたと考えられています。従って、このゾーンでは、「ナップパイル構造」をとっておらず、「サウスアルパイン系」地質グループの直下は基盤岩類となっていると考えられています(文献1−5)。
最後に、第(1)節で説明した、「新生代の貫入岩体」ですが、図3を見ると、「東部アルプス」のうち、「ペリ・アドリアティック断層系」に沿って、3か所ほどに、朱色のかたまり状に分布しているのが解ります。このうち最大のものは「アダメッロ」(Adamello)岩体、その西側にあるのが、「ブレ―ガリア」(Bregaglia)岩体です。
なお「東部アルプス」のより詳しい地質図としては、添付の図3もご参照ください(図3は、(文献1−5)の、図5-3-1を引用)。
「東部アルプス」では「オーストロアルパイン系」地質グループが大部分を占めていますが、図1を見ると、「タウエルン地域」(Tauern)と、「東部アルプス」の北麓部だけは、青紫色で示される「ペニン系」地質グループ、黄緑色で示される「ヘルベチカ系」地質グループが、多少、分布していることが解ります(図3でも表示しています)。
このような地表での地質グループの分布状況は、実際は地下まで含めた地質構造によって理解されています。すなわち、「ペリ・アドリアティック断層系」より北側の「東部アルプス」では、4つの地質グループが重なり合った「ナップパイル構造」注4)となっていると考えられています(文献1−5)。
4階建ての建物になぞらえると、1階部分(1層目)が基盤岩類で、その上、2階部分(2層目)が「ヘルベチカ系」地質グループ、3階部分(3層目)が、「ペニン系」地質グループ、最上部の4階部分(4層目)が、「オーストロアルパイン系」地質グループ、という構造となっていると推定されています。
このような構造となっているという開析は、特に「タウエルン地域」(Tauern)が「地窓」(フェンスター(fenster))注5)となっており、構造的下位の層が地表に現れていることから考察されたものです(文献1−5)。以下、少し詳しく説明します。
図6に、「タウエルン地域」のより詳しい地質平面図を示します。((文献1−2)の、図2−8を引用)。細かい説明は略しますが、中央部に最下層(1層目)の基盤岩類(朱色、茶色、ピンク色など;アルトクリスタリン、古生代の深成岩類、古生代の堆積岩類)があり、その周辺部に、第3層にあたる、「ペニン系」地質グループ(青緑色とグレー色)があります。第2層の「ヘルベチカ系」地質グループは、図3では解りにくいのですが、左手(北西側)にわずかに顔を出しています。それらから構成された「地窓」(フェンスター)部分を囲む黄色のゾーンが、最上位の第4層目に位置している、「オーストロアルパイン系」地質グループです(文献1−2)、(文献1−5)。
また図7には、「タウエルン地域」の地質断面図を示します(文献1の図5-3-5を引用)。複雑な褶曲を伴っているので解りにくいですが、全体的には中央部を軸として大きく隆起しており(背斜構造)、隆起に伴う浸食によって、中央部に第1層(最下層)の基盤岩体、その周辺に、第2層の「ヘルベチカ系」、第3層の「ペニン系」が顔を出しています。このフェンスターの外側に、最上位の第4層である「オーストロアルパイン系」が分布していることが解ります。
また図1や図3を見ると、「東部アルプス」の北麓部では、「オーストロアルパイン系」地質グループ分布域の裾のように、東西に細長く、青紫色の「ペニン系」地質グループと、黄緑色の「ヘルベチカ系」地質グループが分布しています。これらは、各地質グループがナップ群として北方向へ移動した際、より北側まで移動した「ヘルベチカ系」、「ペニン系」が北麓部に顔を出している、と解釈されています(文献1−5)。
一方、図1、図3で、赤い線で示す「ペリ・アドリアティック断層系」より南側は、「サウスアルパイン系」地質グループの分布域(ドロミティ地域)ですが、この地質グループは大きな移動はせず、この場所に留まっていたと考えられています。従って、このゾーンでは、「ナップパイル構造」をとっておらず、「サウスアルパイン系」地質グループの直下は基盤岩類となっていると考えられています(文献1−5)。
最後に、第(1)節で説明した、「新生代の貫入岩体」ですが、図3を見ると、「東部アルプス」のうち、「ペリ・アドリアティック断層系」に沿って、3か所ほどに、朱色のかたまり状に分布しているのが解ります。このうち最大のものは「アダメッロ」(Adamello)岩体、その西側にあるのが、「ブレ―ガリア」(Bregaglia)岩体です。
(2−2)項 「中部アルプス」
図1で見る「中部アルプス」の地質構造は、南側から北側へと順に、黄土色の「サウスアルパイン系」、青紫色の「ペニン系」、黄緑色の「ヘルベチカ系」地質グループと、3つがキレイに並んでいるような見かけ状の配列となっています。「中部アルプス」のより詳しい地質図として、図4もご参照ください(図4は(文献1―5)の、図5-2-1を引用)。
一方で、図1,図4を詳しく見ると、青紫色の「ペニン系」地質グループ分布域の中に、黄色い「オーストロアルパイン系」地質グループが小島のように孤立して分布していることが解ります(図1、図4では、DBと表示)。
これは「ダンブランシュナップ」(Dent Blanche nappe)と呼ばれているゾーンです(文献10)。これは地質学的には「ナップ」(nappe)(注4)というより「クリッペ」(klippe)(注4)というべき地質体ですが、元々は「東部アルプス」では広範囲に広がっている「オーストロアルパイン系」地質グループが、かつては「中部アルプス」でも「ナップパイル構造」の最上位を占めていて、その後、隆起と浸食により、大部分が失われ、この領域のみ、残存しているもの、と解釈されています(文献1−2)、(文献1−5)、(文献10)。
また、図1、図4では、黄緑色の「ヘルベチカ系」地質グループ分布域の北西側に、青紫色の孤立した「ペニン系」地質グループのゾーンがあることが解ります。これは、元々は「ヘルベチカ系」地質グループの上に、広範囲に「ペニン系」地質グループがナップ群として覆っており、その後、隆起と浸食によって途中の部分が失われたためにできた小島のようなもので、「ダンブランシュナップ」と類似した、「ペニン系」のクリッペと言えるものです。
なお、このクリッペ状のゾーンの地域名称ははっきりしませんが、図4では、(”klippen-Decke”(独))と、図2では、(”Pre-alpes du Sud”(仏))と表記されており、またネットで調べると「スイス・プレアルプス」(“The Swiss Prealps”(英))とも呼ぶようです。図4では、「スイス・プレアルプス」の略として、(S-PA)と表示しました。
これらのクリッペ状の地質体の存在は、「中部アルプス」においても、かつては「東部アルプス」と同様に、4層からなる「ナップパイル構造」が存在したことを示唆しています。
推定される構成は、下から順に、第1層が基盤岩類、第2層が「ヘルベチカ系」、第3層が「ペニン系」で、最上部の第4層は「オーストロアルパイン系」だったと推定されます。
このうち最上部となっていた第4層(オーストロアルパイン系)は浸食によってほとんど失われ、「ダンブランシュナップ」ゾーンのみに残っている、と考えられます(文献1−5)。
また、第3層目にあたる「ペニン系」も浸食によって部分的に失われたことで、「スイス・プレアルプス」ゾーンに、クリッペ状の地質体が取り残された、と考えることができます。
さて図1、図4において、南側に目を移すと、赤い線で示す「ペリ・アドリアティック断層系」より南側は、「東部アルプス」と同じく、「サウスアルパイン系」地質グループの分布域です。この地質グループは大きな移動はせず、この場所に留まっていたと考えられています。従って、このゾーンでは、「ナップパイル構造」は無かったと考えられています(文献1−5)。
一方で、図1,図4を詳しく見ると、青紫色の「ペニン系」地質グループ分布域の中に、黄色い「オーストロアルパイン系」地質グループが小島のように孤立して分布していることが解ります(図1、図4では、DBと表示)。
これは「ダンブランシュナップ」(Dent Blanche nappe)と呼ばれているゾーンです(文献10)。これは地質学的には「ナップ」(nappe)(注4)というより「クリッペ」(klippe)(注4)というべき地質体ですが、元々は「東部アルプス」では広範囲に広がっている「オーストロアルパイン系」地質グループが、かつては「中部アルプス」でも「ナップパイル構造」の最上位を占めていて、その後、隆起と浸食により、大部分が失われ、この領域のみ、残存しているもの、と解釈されています(文献1−2)、(文献1−5)、(文献10)。
また、図1、図4では、黄緑色の「ヘルベチカ系」地質グループ分布域の北西側に、青紫色の孤立した「ペニン系」地質グループのゾーンがあることが解ります。これは、元々は「ヘルベチカ系」地質グループの上に、広範囲に「ペニン系」地質グループがナップ群として覆っており、その後、隆起と浸食によって途中の部分が失われたためにできた小島のようなもので、「ダンブランシュナップ」と類似した、「ペニン系」のクリッペと言えるものです。
なお、このクリッペ状のゾーンの地域名称ははっきりしませんが、図4では、(”klippen-Decke”(独))と、図2では、(”Pre-alpes du Sud”(仏))と表記されており、またネットで調べると「スイス・プレアルプス」(“The Swiss Prealps”(英))とも呼ぶようです。図4では、「スイス・プレアルプス」の略として、(S-PA)と表示しました。
これらのクリッペ状の地質体の存在は、「中部アルプス」においても、かつては「東部アルプス」と同様に、4層からなる「ナップパイル構造」が存在したことを示唆しています。
推定される構成は、下から順に、第1層が基盤岩類、第2層が「ヘルベチカ系」、第3層が「ペニン系」で、最上部の第4層は「オーストロアルパイン系」だったと推定されます。
このうち最上部となっていた第4層(オーストロアルパイン系)は浸食によってほとんど失われ、「ダンブランシュナップ」ゾーンのみに残っている、と考えられます(文献1−5)。
また、第3層目にあたる「ペニン系」も浸食によって部分的に失われたことで、「スイス・プレアルプス」ゾーンに、クリッペ状の地質体が取り残された、と考えることができます。
さて図1、図4において、南側に目を移すと、赤い線で示す「ペリ・アドリアティック断層系」より南側は、「東部アルプス」と同じく、「サウスアルパイン系」地質グループの分布域です。この地質グループは大きな移動はせず、この場所に留まっていたと考えられています。従って、このゾーンでは、「ナップパイル構造」は無かったと考えられています(文献1−5)。
(2−3)項 「西部アルプス」
図1で見る「西部アルプス」の地質構造は、非常にシンプルで、西側から北西側には、黄緑色の「ドーフィネ系」地質グループが分布し、東側には青紫色の「ペニン系」地質グループが分布しています。(文献1−1)、(文献1−5)。
「ドーフィネ系」、「ペニン系」ともに「アルプス造山運動」に伴って、北西〜西方向へと移動したと推定されていますが、「東部アルプス」、「中部アルプス」のような「ナップパイル構造」は作らなかったと推定されています。
より詳しい、図5で見ると、大局的には上記2つの地質グループの境界(青色の線)が中央部にあり、それより西側が「ドーフィネ系」、東側が「ペニン系」という配置ですが、「ドーフィネ系」ゾーンには「外側地塊」群が、「ペニン系」ゾーンにも、いくつかの地塊群があり、細かく見ると、結構複雑です。
「ドーフィネ系」、「ペニン系」ともに「アルプス造山運動」に伴って、北西〜西方向へと移動したと推定されていますが、「東部アルプス」、「中部アルプス」のような「ナップパイル構造」は作らなかったと推定されています。
より詳しい、図5で見ると、大局的には上記2つの地質グループの境界(青色の線)が中央部にあり、それより西側が「ドーフィネ系」、東側が「ペニン系」という配置ですが、「ドーフィネ系」ゾーンには「外側地塊」群が、「ペニン系」ゾーンにも、いくつかの地塊群があり、細かく見ると、結構複雑です。
補足説明1;スイス、オーストリア、フランスのオンライン地質図について
日本では、産総研・地質調査総合センターが、「シームレス地質図v2」というオンライン地質図(20万分の1)を無料公開してます。以下のヨーロッパ各国にも、それと似たオンライン地質図があり、「ヨーロッパアルプス」の地質を確認するのに便利です。以下、それらの紹介をします。いずれも無料で見られますが、説明は、英語など、外国語です。
(1−1) スイスのオンライン地質図;
(map geo admin,ch)というサイト、
スイス連邦政府が運営するポータル地図情報サイトで、その中に地質図がある。
縮尺は20万分の1、英語対応だが、ポップアップの地質説明はドイツ語
(アドレス)
https://map.geo.admin.ch/#/map
※ 地質図を表示するには、メニューより、以下2つの項目にチェックを入れて下さい
(1) >Advanced tools > Geo catalog > Nature and environments >
Geology > Geo cover Vector datasets
(2) >Advanced tools > Maps displayed > Geo cover Vector datasets
(1−2) オーストリアのオンライン地質図
(Geo Sphere Austria)というサイト
オーストリア政府配下の、気象・地質学などの情報を提供する国立研究所(Geo-Sphere Austria)が運営しているポータルサイトで、その中の(geology)セクションに、オンライン地質図がある。地質図の縮尺は50万分の1のほか、5万分の1もある。英語対応。
(アドレス)
https://maps.geosphere.at/en?basemap
※ 地質図を表示するには、メニューより以下を選択してください。
> Available layers > Geology > geology 1:500000 (50万分の1地質図)
なお、メニューより、5万分の1地質図など、他の縮尺の地質図も見られます。
(1−3) フランスのオンライン地質図
(Info Terre)というサイト
フランス政府配下の、国立地質研究所(BRMG)が運営するサイト。
地質図説明はフランス語のみで、かつ地質説明がポップアップで出ないので解りにくい。
(アドレス)
https://infoterre.brgm.fr/viewerlite/MainTileForward.do
※ 地質図を表示させるにはメニューより以下2つの項にチェックを入れてください
> Themes > Cartes geologiques
> Fonds > Cartes geologiques
(1−1) スイスのオンライン地質図;
(map geo admin,ch)というサイト、
スイス連邦政府が運営するポータル地図情報サイトで、その中に地質図がある。
縮尺は20万分の1、英語対応だが、ポップアップの地質説明はドイツ語
(アドレス)
https://map.geo.admin.ch/#/map
※ 地質図を表示するには、メニューより、以下2つの項目にチェックを入れて下さい
(1) >Advanced tools > Geo catalog > Nature and environments >
Geology > Geo cover Vector datasets
(2) >Advanced tools > Maps displayed > Geo cover Vector datasets
(1−2) オーストリアのオンライン地質図
(Geo Sphere Austria)というサイト
オーストリア政府配下の、気象・地質学などの情報を提供する国立研究所(Geo-Sphere Austria)が運営しているポータルサイトで、その中の(geology)セクションに、オンライン地質図がある。地質図の縮尺は50万分の1のほか、5万分の1もある。英語対応。
(アドレス)
https://maps.geosphere.at/en?basemap
※ 地質図を表示するには、メニューより以下を選択してください。
> Available layers > Geology > geology 1:500000 (50万分の1地質図)
なお、メニューより、5万分の1地質図など、他の縮尺の地質図も見られます。
(1−3) フランスのオンライン地質図
(Info Terre)というサイト
フランス政府配下の、国立地質研究所(BRMG)が運営するサイト。
地質図説明はフランス語のみで、かつ地質説明がポップアップで出ないので解りにくい。
(アドレス)
https://infoterre.brgm.fr/viewerlite/MainTileForward.do
※ 地質図を表示させるにはメニューより以下2つの項にチェックを入れてください
> Themes > Cartes geologiques
> Fonds > Cartes geologiques
補足説明2;「外側地塊」とは
(external massif)「外側地塊」という地塊群の名称は、(文献1)に限らず、「ヨーロッパアルプス」の地質学に関する論文などで良く出てくる用語ですが、特有の用語で馴染みがないので、ここで補足説明しておきます。
「外側地塊」(external massif)とは、「西部アルプス」、「中部アルプス」の「ヘルベチカ系」、「ドーフィネ系」地質グループ分布域にある、古生代あるいはそれ以前に起源を持つ、結晶質基盤岩類(crystalline basements)を主体とする複合岩体を意味し、「ヨーロッパ大陸ブロック」の基盤岩が隆起して地表まで現れている場所です(文献1−5)、(文献12)。
「外側」(external)という意味は、弧状をした「ヨーロッパアルプス」を、イタリア側を内側、ドイツ、フランス側を外側とみなして付けられたものだと思います。
但し、これに対しての「内側」(internal)地塊という用語はないようです。
図8に、その「外側地塊」群の分布状況を示します。この図は、図1と同じく(文献1―2)の図2−1を元にしたものですが、原図では解りにくい主要な「外側地塊」を赤い線で囲んで表示したものです。なお各「外側地塊」の名称は、図8に記載しました。
これらは元々、上記の「中生代の地質グループ」より構造的下位に基盤岩類として存在していたものですが、新生代の「アルプス造山運動」の過程で局所的に隆起し、加えて構造的上位にあった中生代の地質体が浸食によって失われた為に、地表に現れているものです。
これら「外側地塊」がある場所は、「アルプス造山運動」の間の隆起量も大きかった場所で、現世でも「モンブラン山群」、(〜モンブラン地塊)、「ベルナーオーバーラント山群」(〜アール地塊)など、4000m級の高峰群を多く有するゾーンとなっています。
さて、上記の「外側地塊」は、「ヘルベチカ系」、「ドーフィネ系」地質グループ分布域にある、「地塊」群ですが、「ペニン系」地質グループ分布域には、「外側地塊」とは異なる「地塊」群があります。
従って、マッターホルンなど、4000m級の高峰群が多い「ヴァリス山群」は、この「外側地塊」が隆起した山群ではなく、「ペニン系」地質グループ分布域であり、地質的にも異なります。図4「「中部アルプス」の地質図」もご参照ください。
「ペニン系」地質グループ分布域にある、「地塊」群については、次の4−2章で取り上げます。
「外側地塊」(external massif)とは、「西部アルプス」、「中部アルプス」の「ヘルベチカ系」、「ドーフィネ系」地質グループ分布域にある、古生代あるいはそれ以前に起源を持つ、結晶質基盤岩類(crystalline basements)を主体とする複合岩体を意味し、「ヨーロッパ大陸ブロック」の基盤岩が隆起して地表まで現れている場所です(文献1−5)、(文献12)。
「外側」(external)という意味は、弧状をした「ヨーロッパアルプス」を、イタリア側を内側、ドイツ、フランス側を外側とみなして付けられたものだと思います。
但し、これに対しての「内側」(internal)地塊という用語はないようです。
図8に、その「外側地塊」群の分布状況を示します。この図は、図1と同じく(文献1―2)の図2−1を元にしたものですが、原図では解りにくい主要な「外側地塊」を赤い線で囲んで表示したものです。なお各「外側地塊」の名称は、図8に記載しました。
これらは元々、上記の「中生代の地質グループ」より構造的下位に基盤岩類として存在していたものですが、新生代の「アルプス造山運動」の過程で局所的に隆起し、加えて構造的上位にあった中生代の地質体が浸食によって失われた為に、地表に現れているものです。
これら「外側地塊」がある場所は、「アルプス造山運動」の間の隆起量も大きかった場所で、現世でも「モンブラン山群」、(〜モンブラン地塊)、「ベルナーオーバーラント山群」(〜アール地塊)など、4000m級の高峰群を多く有するゾーンとなっています。
さて、上記の「外側地塊」は、「ヘルベチカ系」、「ドーフィネ系」地質グループ分布域にある、「地塊」群ですが、「ペニン系」地質グループ分布域には、「外側地塊」とは異なる「地塊」群があります。
従って、マッターホルンなど、4000m級の高峰群が多い「ヴァリス山群」は、この「外側地塊」が隆起した山群ではなく、「ペニン系」地質グループ分布域であり、地質的にも異なります。図4「「中部アルプス」の地質図」もご参照ください。
「ペニン系」地質グループ分布域にある、「地塊」群については、次の4−2章で取り上げます。
【他の連載へのリンク】
この連載の各項目へのリンクがあります
一つ前の連載へのリンクです
【注釈の項】
注1) 各「地質グループ」と「地質区」との関係
ここで説明している、各「地質グループ」(文献1での、”nappe system”)と、第2部で説明した「地質区」(文献1での、”realm“)との関係ですが、主に中生代の各時代に、異なったテクトニクス的環境で地質体が形成された「場所」を、各「地質区」と呼び、そこで形成された、各「地質体群」を、各「地質グループ」と呼ぶ、という関係になります。
注2) 「ペニン海」の名称について
第2部でも説明しましたが、ここで「ペニン海」(the Pennnic Ocean)と呼んでいる、中生代の海洋域は、文献によっては別の名前で呼ばれることがあります。例えば、「ピエモンテ・リグーリア海」(the Piemnte-Liguria Ocean)や、「アルパイン・テティス海」(the Alpine Tetys(Ocean))とも呼ばれています。この連載では、「ペニン海」で統一しています。
注3) 「ナップパイル構造」という用語について
「ナップパイル構造」(nappe pile)という用語は、この連載ではしばしば使用していますが、「地学事典」などにも載っておらず、明確な定義はないようです。ただし(文献1)ではしばしば、(nappe pile)として使われています。他の文献では、(stacked groups of units)という表現も見られます。
この連載では、複数の「地質グループ」が、スラスト断層によってナップ群となって水平方向に移動し、その結果、座布団を重ねたような構造となったもの、として使用しています。
注4) 「ナップ」(nappe)、「クリッペ」(klippe)、「地窓」(フェンスター、fenster)について
(文献11)、(文献13)に基づいてこれらの用語を簡単に解説します。添付の図9も、ご参照ください。これは(文献11)からの引用です。
・「ナップ」(nappe);スラスト断層(thrust)などによって、ある地質体が数km以上、水平方向に動いた、異地性の地質体。ドイツ語では(Decke;(デッケ))。日本語では「ナッペ」とも表記する。
・「クリッペ」(klippe(n));スラスト断層などによって移動した「ナップ」が、その後の浸食により、周辺部から孤立した地塊。
・「フェンスター」(fenster);元々、ある地質体の構造的下位にあり、上位の地質体によって覆われていた地質体が、局所的隆起や浸食によって、上位の地質体の「窓」から顔をだしたような地質構造。なお(fenster)はドイツ語で、日本語では、「地窓」(じまど)、英語では「テクトニックウインドウ」(tectonic window)や、単に(window)とも呼ぶ。
注5) “Ma” は、百万年前を意味する単位です。
ここで説明している、各「地質グループ」(文献1での、”nappe system”)と、第2部で説明した「地質区」(文献1での、”realm“)との関係ですが、主に中生代の各時代に、異なったテクトニクス的環境で地質体が形成された「場所」を、各「地質区」と呼び、そこで形成された、各「地質体群」を、各「地質グループ」と呼ぶ、という関係になります。
注2) 「ペニン海」の名称について
第2部でも説明しましたが、ここで「ペニン海」(the Pennnic Ocean)と呼んでいる、中生代の海洋域は、文献によっては別の名前で呼ばれることがあります。例えば、「ピエモンテ・リグーリア海」(the Piemnte-Liguria Ocean)や、「アルパイン・テティス海」(the Alpine Tetys(Ocean))とも呼ばれています。この連載では、「ペニン海」で統一しています。
注3) 「ナップパイル構造」という用語について
「ナップパイル構造」(nappe pile)という用語は、この連載ではしばしば使用していますが、「地学事典」などにも載っておらず、明確な定義はないようです。ただし(文献1)ではしばしば、(nappe pile)として使われています。他の文献では、(stacked groups of units)という表現も見られます。
この連載では、複数の「地質グループ」が、スラスト断層によってナップ群となって水平方向に移動し、その結果、座布団を重ねたような構造となったもの、として使用しています。
注4) 「ナップ」(nappe)、「クリッペ」(klippe)、「地窓」(フェンスター、fenster)について
(文献11)、(文献13)に基づいてこれらの用語を簡単に解説します。添付の図9も、ご参照ください。これは(文献11)からの引用です。
・「ナップ」(nappe);スラスト断層(thrust)などによって、ある地質体が数km以上、水平方向に動いた、異地性の地質体。ドイツ語では(Decke;(デッケ))。日本語では「ナッペ」とも表記する。
・「クリッペ」(klippe(n));スラスト断層などによって移動した「ナップ」が、その後の浸食により、周辺部から孤立した地塊。
・「フェンスター」(fenster);元々、ある地質体の構造的下位にあり、上位の地質体によって覆われていた地質体が、局所的隆起や浸食によって、上位の地質体の「窓」から顔をだしたような地質構造。なお(fenster)はドイツ語で、日本語では、「地窓」(じまど)、英語では「テクトニックウインドウ」(tectonic window)や、単に(window)とも呼ぶ。
注5) “Ma” は、百万年前を意味する単位です。
【参考文献】
(文献1) O. A. Pfiffer 著 “Geology of the Alps”, 2nd edition ,Wiley Blackball社刊,
(2014); (原著はドイツ語版で、2014年にドイツの出版社刊)
(文献1−1) (文献1)のうち、第1―4章「アルプス地域の構造」の項、
及び 図1−10「アルプス地域のテクトニックマップ」
(文献1−2) (文献1)のうち、第2部「アルプス地域のトリアス紀以前の基盤岩」の項
(文献1−3) (文献1)のうち、第3部「中生代のアルプス地域」の項
(文献1−4) (文献1)のうち、第4部「アルプス造山運動」の項
(文献1−5) (文献1)のうち、第5部「アルプス地域テクトニックな構造」の項、
及び、図5−1−1「「西部アルプス」の概略地質図」
図5−2−1「「中部アルプス」の概略地質図」
図5−3−1「「東部アルプス」の概略地質図」
(文献1−6) (文献1)のうち、第6−1章 「アルプス地域の変成作用」の項
(文献2) ウイキペディア英語版の、「アルプスの地質学」(Geology of the Alps)の項
及び そこに添付された「アルプス地域」の広域的地質図
https://en.wikipedia.org/wiki/Geology_of_the_Alps
(2025年8月 閲覧)
(文献3) ウイキペディア英語版の、「ヘルベチカ系」(Helvetic)の項
https://en.wikipedia.org/wiki/Helvetic_(geology)
(2025年8月 閲覧)
(文献4) ウイキペディア・ドイツ語版の、「ヘルベチカ系」(Helvetisches System)の項
https://de.wikipedia.org/wiki/Helvetisches_System
(2025年8月 閲覧)
(文献5) ウイキペディア英語版の、「ペニン系」(Penninic)の項
https://en.wikipedia.org/wiki/Penninic
(2025年8月 閲覧)
(文献6) ウイキペディア・ドイツ語版の、「ペニン系」(Penninikum)の項
https://de.wikipedia.org/wiki/Penninikum
(2025年8月 閲覧)
(文献7) ウイキペディア英語版の、「オーストロアルパイン系」
(Austro-alpine nappes)の項
https://en.wikipedia.org/wiki/Austroalpine_nappes
(2025年8月 閲覧)
(文献8) ウイキペディア英語版の、「サウスアルプス」(Southern Alps (Europe))の項
https://en.wikipedia.org/wiki/Southern_Alps_(Europe)
(2025年8月 閲覧)
(文献9) ウイキペディア英語版の、「モラッセ盆地」(Molasse basin)の項
https://en.wikipedia.org/wiki/Molasse_basin
(2025年8月 閲覧)
(文献10) ウイキペディア英語版の、「ダンブランシュ・ナップ」
(Dent Blanche nappe)の項
https://en.wikipedia.org/wiki/Dent_Blanche_nappe
(2025年8月 閲覧)
(文献11)ウイキペディア英語版の、「ナップ」(nappe)の項、
及びそこに掲載の概念図
https://en.wikipedia.org/wiki/Nappe
(2025年8月 閲覧)
(文献12) ウイキペディア英語版の、「外側地塊」(external massif)の項
https://en.wikipedia.org/wiki/External_massif
(2025年8月 閲覧)
(文献13) 地質団体研究会 編 「新編・地学事典」 平凡社 刊 (1996)のうち、
「ナップ」、「クリッペ」、「地窓」の各項
(2014); (原著はドイツ語版で、2014年にドイツの出版社刊)
(文献1−1) (文献1)のうち、第1―4章「アルプス地域の構造」の項、
及び 図1−10「アルプス地域のテクトニックマップ」
(文献1−2) (文献1)のうち、第2部「アルプス地域のトリアス紀以前の基盤岩」の項
(文献1−3) (文献1)のうち、第3部「中生代のアルプス地域」の項
(文献1−4) (文献1)のうち、第4部「アルプス造山運動」の項
(文献1−5) (文献1)のうち、第5部「アルプス地域テクトニックな構造」の項、
及び、図5−1−1「「西部アルプス」の概略地質図」
図5−2−1「「中部アルプス」の概略地質図」
図5−3−1「「東部アルプス」の概略地質図」
(文献1−6) (文献1)のうち、第6−1章 「アルプス地域の変成作用」の項
(文献2) ウイキペディア英語版の、「アルプスの地質学」(Geology of the Alps)の項
及び そこに添付された「アルプス地域」の広域的地質図
https://en.wikipedia.org/wiki/Geology_of_the_Alps
(2025年8月 閲覧)
(文献3) ウイキペディア英語版の、「ヘルベチカ系」(Helvetic)の項
https://en.wikipedia.org/wiki/Helvetic_(geology)
(2025年8月 閲覧)
(文献4) ウイキペディア・ドイツ語版の、「ヘルベチカ系」(Helvetisches System)の項
https://de.wikipedia.org/wiki/Helvetisches_System
(2025年8月 閲覧)
(文献5) ウイキペディア英語版の、「ペニン系」(Penninic)の項
https://en.wikipedia.org/wiki/Penninic
(2025年8月 閲覧)
(文献6) ウイキペディア・ドイツ語版の、「ペニン系」(Penninikum)の項
https://de.wikipedia.org/wiki/Penninikum
(2025年8月 閲覧)
(文献7) ウイキペディア英語版の、「オーストロアルパイン系」
(Austro-alpine nappes)の項
https://en.wikipedia.org/wiki/Austroalpine_nappes
(2025年8月 閲覧)
(文献8) ウイキペディア英語版の、「サウスアルプス」(Southern Alps (Europe))の項
https://en.wikipedia.org/wiki/Southern_Alps_(Europe)
(2025年8月 閲覧)
(文献9) ウイキペディア英語版の、「モラッセ盆地」(Molasse basin)の項
https://en.wikipedia.org/wiki/Molasse_basin
(2025年8月 閲覧)
(文献10) ウイキペディア英語版の、「ダンブランシュ・ナップ」
(Dent Blanche nappe)の項
https://en.wikipedia.org/wiki/Dent_Blanche_nappe
(2025年8月 閲覧)
(文献11)ウイキペディア英語版の、「ナップ」(nappe)の項、
及びそこに掲載の概念図
https://en.wikipedia.org/wiki/Nappe
(2025年8月 閲覧)
(文献12) ウイキペディア英語版の、「外側地塊」(external massif)の項
https://en.wikipedia.org/wiki/External_massif
(2025年8月 閲覧)
(文献13) 地質団体研究会 編 「新編・地学事典」 平凡社 刊 (1996)のうち、
「ナップ」、「クリッペ」、「地窓」の各項
【書記事項】
初版リリース;2025年8月8日
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