危険予知訓練(KYT)とは?
※このノートは危険予知訓練(KYT)のお題です。
危険予知訓練の詳細については 危険予知訓練のススメをご参照下さい。
※ある登山中の一コマをテーマとして、どんな危険があり、どんな対策があるかを考える練習をするためのネタ記事です。
お題を見て、まずは“どんな危険があるか”を考えてみて下さい。
その後に危険要因の例を見て、各危険について“どんな対策があるか”を考えてみて下さい。
最後に対策の例を参考として挙げてあります。
※危険要因の例や対策の例はあくまでも参考です。
もっと他にも危険な要因があるとか、より良い対策があるという方はコメント欄で指摘いただくと参考になります。
危険予知訓練の詳細については 危険予知訓練のススメをご参照下さい。
※ある登山中の一コマをテーマとして、どんな危険があり、どんな対策があるかを考える練習をするためのネタ記事です。
お題を見て、まずは“どんな危険があるか”を考えてみて下さい。
その後に危険要因の例を見て、各危険について“どんな対策があるか”を考えてみて下さい。
最後に対策の例を参考として挙げてあります。
※危険要因の例や対策の例はあくまでも参考です。
もっと他にも危険な要因があるとか、より良い対策があるという方はコメント欄で指摘いただくと参考になります。
危険と対策の評価について
このノートでは危険に対して、以下の3つの観点から点数をつけて評価しています。
A、B、Cそれぞれ10点満点で、合計で最高は30点とします。
以下、点数の基準です。
■危険度
■発生頻度
■対応難度
対策前と対策後それぞれを評価することで対策の妥当性を把握するための点数です。
点数自体にそれほどの根拠があるわけではありませんので念のため。
(A)危険度:事故になった場合にどのくらい危険か?どんな怪我をするか?
(B)発生頻度:その危険要因はどのくらいの確率で事故につながるか?
(C)対応難度:危険要因に気付いたり、回避するのがどのくらい難しいか?
A、B、Cそれぞれ10点満点で、合計で最高は30点とします。
以下、点数の基準です。
■危険度
※事故になった場合にどの程度の負傷が起こりえるか?
・死亡する可能性が高いもの……10点
・後遺症が残るなど将来日常生活に支障をきたす大怪我……8点
・完治はするが入院や長期通院が必要となる怪我……5点
・短期通院で完治する程度の怪我……3点
・日常生活に支障のない些細な怪我……1点
・怪我の可能性なし……0点
■発生頻度
※危険状況がどの程度の確立で起こりえるか?
・ほぼ確実に発生するようなもの……10点
・10回のうち7〜8回程度の頻度……8点
・2回に1回程度の頻度……5点
・たまに起こりうるもの(10回中2、3回程度)……3点
・滅多に起こりえないもの(10%以下)……1点
・ほぼ発生可能性のないもの……0点
■対応難度
※危険に対する対処が容易かどうか?
・ほぼ対策が不可能なもの(気付けない、避けられない)……10点
・熟達したスキルや高度な装備がなければ対処できないもの……8点
・事前の練習や装備の準備、高い注意力が必要なもの……5点
・ある程度の登山経験があれば対応可能なもの……3点
・誰でも容易に対処できるもの……1点
・そもそも対処の必要がないもの……0点
対策前と対策後それぞれを評価することで対策の妥当性を把握するための点数です。
点数自体にそれほどの根拠があるわけではありませんので念のため。
お題:崩落した雪の林道
〔状況〕
雪が積もって凍結した林道を歩いています。倒木が道を塞いでいます。
〔ジャンル
雪山ハイキング(2000m以下の低山)
〔日程〕
日帰り
〔メンバー〕
40代男性単独
〔天候〕
12月、曇り、風速2m/s、気温5℃
〔装備〕
防寒着、水、お弁当、行動食、ストック、軽登山靴、手袋
※以上のような状況において、どのような危険が考えられるでしょうか?
※危険要因の例を見る前に、まずは自分で“どんな危険があるか?”をぜひ考えてみて下さい
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雪が積もって凍結した林道を歩いています。倒木が道を塞いでいます。
〔ジャンル
雪山ハイキング(2000m以下の低山)
〔日程〕
日帰り
〔メンバー〕
40代男性単独
〔天候〕
12月、曇り、風速2m/s、気温5℃
〔装備〕
防寒着、水、お弁当、行動食、ストック、軽登山靴、手袋
※以上のような状況において、どのような危険が考えられるでしょうか?
※危険要因の例を見る前に、まずは自分で“どんな危険があるか?”をぜひ考えてみて下さい
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危険要因の例
(1)アイゼン等の滑り止めが無いので、凍結箇所で滑って怪我をする
(2)登山届けの提出がなく、緊急時の通信手段も無いので、事故時に救助が期待できない
(3)倒木や崩落した土砂等を越える際に転倒したりして怪我をする
(4)ヘッデン/ツェルト等の緊急時の装備が無いため、日没後に行動不能になったり衰弱する
(5)地図・コンパス・GPS等が無いため、道に迷う
(6)雨具がないため、降雨の際に低体温症になる
※以上のような危険に対して、どのような対策をとれば回避が可能でしょうか?
※対策の例を見る前に、まずは自分で“どんな対策があるか?”をぜひ考えてみて下さい
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危険度:3点(捻挫など)
発生頻度:3点(ぼんやりしてたりすれば十分起こりえます)
対応難度:2点(注意深く歩けば対処は可能でしょう)
合計:8点
(2)登山届けの提出がなく、緊急時の通信手段も無いので、事故時に救助が期待できない
危険度:9点(自力下山できなくなった場合に最悪を想定すれば死亡の可能性大)
発生頻度:1点(林道ということもあり、自力下山できなくなる可能性は高くはない)
対応難度:1点(登山届けの提出、携帯の用意は簡単です)
合計:11点
(3)倒木や崩落した土砂等を越える際に転倒したりして怪我をする
危険度:7点(倒木や土砂が崩れて巻き込まれれば大怪我も)
発生頻度:2点(濡れた木は滑りやすい)
対応難度:3点(注意して通過することは可能でしょう)
合計:12点
(4)ヘッデン/ツェルト等の緊急時の装備が無いため、日没後に行動不能になったり衰弱する
危険度:8点(低山とはいえ冬季なのでビバーク装備無しで行動不能になったら凍死しかねない)
発生頻度:1点(林道ということもあり、自力下山できなくなる可能性は高くはない)
対応難度:1点(ヘッデン等の用意は簡単です)
合計:10点
(5)地図・コンパス・GPS等が無いため、道に迷う
危険度:8点(道迷いの末に遭難となった場合は死亡の可能性あり)
発生頻度:4点(地図もコンパスもなければ道迷いの可能性は高い)
対応難度:2点(地図・コンパスの用意+地図読みの練習が必要)
合計:14点
(6)雨具がないため、降雨の際に低体温症になる
危険度:8点(低体温症は死亡の可能性あり)
発生頻度:6点(雨が降った場合を前提とすれば体が冷えるのはほぼ確実)
対応難度:1点(雨具を用意するのは簡単)
合計:15点
※以上のような危険に対して、どのような対策をとれば回避が可能でしょうか?
※対策の例を見る前に、まずは自分で“どんな対策があるか?”をぜひ考えてみて下さい
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対策の例
(1)アイゼン等の滑り止めが無いので、凍結箇所で滑って怪我をする
[対策]
→凍結の可能性がある場合にはアイゼン等の滑り止めを用意する
→予期せぬ凍結で安全な通行が困難な場合は潔く撤退する
(2)登山届けの提出がなく、緊急時の通信手段も無いので、事故時に救助が期待できない
[対策]
→登山届けを提出する。登山ポストが無い場合でも、交番に提出したり、電子申請(メール)を利用する、車に置く、知人等に伝えておく、ヤマレコに計画を登録するなど、代替手段がいろいろあるので活用する。
→携帯を必携する。万一のために予備バッテリーを用意しておく
(3)倒木や崩落した土砂等を越える際に転倒したりして怪我をする
[対策]
→落ち着いてよく状況を確認し、安全が確保されないのであれば無理に通行しない(別ルートなどで迂回も検討)
→倒木は不安定で上に乗ると木もろとも斜面を滑り落ちる可能性もあるため、なるべく木に接触しない
(4)ヘッデン/ツェルト等の緊急時の装備が無いため、日没後に行動不能になったり衰弱する
[対策]
→ヘッデンを必携する。予備バッテリーを用意しておくとさらに安心。
→装備・体力に余裕があればツェルトを用意する。最低でもエマージェンシーシートは必ずザックに入れておく
(5)地図・コンパス・GPS等が無いため、道に迷う
[対策]
→地図・コンパスは必ず持っていく。
→万一地図を忘れた場合、分岐などの要所ごとにデジカメで周囲を撮影しておき、迷った際には撮像を頼りに戻るという手法も
(6)雨具がないため、降雨の際に低体温症になる
[対策]
→雨具は必携する
[対策]
→凍結の可能性がある場合にはアイゼン等の滑り止めを用意する
→予期せぬ凍結で安全な通行が困難な場合は潔く撤退する
(対策前)8点
(対策後)
危険度:3点(捻挫など)
発生頻度:1点(チェーンスパイクでも履けばスリップはほぼ防げる状況でしょう)
対応難度:1点(グリップがきけば誰でも難しい状況ではなさそうなので)
合計:5点
(2)登山届けの提出がなく、緊急時の通信手段も無いので、事故時に救助が期待できない
[対策]
→登山届けを提出する。登山ポストが無い場合でも、交番に提出したり、電子申請(メール)を利用する、車に置く、知人等に伝えておく、ヤマレコに計画を登録するなど、代替手段がいろいろあるので活用する。
→携帯を必携する。万一のために予備バッテリーを用意しておく
(対策前)11点
(対策後)
危険度:5点(自力下山できなくなった場合でも救助を期待できる)
発生頻度:1点(頻度は変化なし)
対応難度:1点
合計:7点
(3)倒木や崩落した土砂等を越える際に転倒したりして怪我をする
[対策]
→落ち着いてよく状況を確認し、安全が確保されないのであれば無理に通行しない(別ルートなどで迂回も検討)
→倒木は不安定で上に乗ると木もろとも斜面を滑り落ちる可能性もあるため、なるべく木に接触しない
(対策前)12点
(対策後)
危険度:7点(崩れた倒木や土砂に巻き込まれた場合の危険度は変わらず)
発生頻度:0点(迂回した場合は発生し得ない)
対応難度:0点(迂回した場合は対応の必要なし)
合計:7点
(4)ヘッデン/ツェルト等の緊急時の装備が無いため、日没後に行動不能になったり衰弱する
[対策]
→ヘッデンを必携する。予備バッテリーを用意しておくとさらに安心。
→装備・体力に余裕があればツェルトを用意する。最低でもエマージェンシーシートは必ずザックに入れておく
(対策前)10点
(対策後)
危険度:3点(十分な装備があれば悪くても多少の衰弱で済む)
発生頻度:0点(ヘッデンがあればビバークの必要はなくなるかも)
対応難度:1点(ツェルトは使うのに練習が要りますが、ヘッデンは誰でも使える)
合計:4点
(5)地図・コンパス・GPS等が無いため、道に迷う
[対策]
→地図・コンパスは必ず持っていく。
→万一地図を忘れた場合、分岐などの要所ごとにデジカメで周囲を撮影しておき、迷った際には撮像を頼りに戻るという手法も
(対策前)14点
(対策後)
危険度:6点(道迷いの場合でも自力下山の可能性が高まるので少し危険度は低下)
発生頻度:1点(地図があっても道を間違えることは起こり得る)
対応難度:2点(地図・コンパスの用意+地図読みの練習が必要)
合計:9点
(6)雨具がないため、降雨の際に低体温症になる
[対策]
→雨具は必携する
(対策前)15点
(対策後)
危険度:8点(低体温症は死亡の可能性あり)
発生頻度:1点(濡れないようにすることは重要)
対応難度:1点(雨具を持ってれば着るだけです)
合計:10点
最後に
ここで挙げた危険や対策が正解というわけではありません。
あくまでも危険予知訓練は危険に対する感受性を高めたり、対策を考える習慣をつけるための練習ですので、絶対的な正解が出るものでもありません。
とは言え、こうしてノート化することは危険対策の知識共有の側面もありますので、何か気付いたことがあればコメントいただけると幸いです。
あくまでも危険予知訓練は危険に対する感受性を高めたり、対策を考える習慣をつけるための練習ですので、絶対的な正解が出るものでもありません。
とは言え、こうしてノート化することは危険対策の知識共有の側面もありますので、何か気付いたことがあればコメントいただけると幸いです。
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