信越古道真川〜富士見峠ルート
- GPS
- 32:00
- 距離
- 12.1km
- 登り
- 1,119m
- 下り
- 1,117m
コースタイム
明科10:30-13:30真川(杉の沢)14:00-釣り-16:30真川(杉の沢)-17:00笹ヶ峰CP場・車中泊
8月31日(日)
真川(杉の沢)駐車広場6:00-釣り-納竿-6:20登山道-7:03金山谷渡渉点-釣り-納竿9:00-9:05登山道-9:27金山沢渡渉点-9:37休憩9:42-10:05地獄谷支沢通過(最終水場)-10:37小休止10:47-道を見失い薮漕ぎ直上-11:27コケモモの原-11:37撤退-11:57登山道発見-アオノツガザクラの岩原・行動食12:05-12:32富士見峠12:50-13:48最終水場・昼食14:03-14:27地獄谷渡渉点-14:37裏金山谷渡渉点14:47-15:07金山谷-15:37滝沢-15:52駐車広場・終了16:00-小谷温泉露天風呂入浴-19:00帰着
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2008年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
登山ルートはハッキリしているのだが利用頻度が少なく、地獄谷渡渉点から上はネマガリダケ等が密生していて歩きにくい。ルートの整備はなされているが、時期によってはその年のルート整備が間に合わない場合があると考えられる。 ペンキの矢印を見失って遮二無二進むと確実に迷い、場合によっては帰れなくなる場合があるので、目印を見失ったら戻って探すべきであろう。 沢沿いの道はガレ場や急斜面に細い道がつけられた所があり、慎重を要する。 |
感想
信越古道・杉の沢〜富士見峠ルート調査山行
08年8月30日(土)
jun1さんの友人グループが杉の沢(真川)で30cm超級を40尾釣ったと言う情報を聞き、信越古道の調査を決行するなら禁漁期に入る前にと8月30日に笹ヶ峰林道から杉の沢に向かった。
先日来の集中豪雨で日本中どこもかしこも雨。信越国境の妙高山域は雨雲はないものの予想では雨。6月28日にも調査を試みたが林道が封鎖されたままで通れず、対象を金山に変更したと言う経緯があり、今回も登山口まで行けるかどうかさえ不明。とりあえず小谷温泉経由で杉の沢に向かうつもりで4時に起きて用意したが雨が強く、しばらく様子を見て10:30に家を出る。
笹ヶ峰林道は乙見峠前後の非舗装部分の荒れこそ激しいものの通行に支障なく、13:30杉の沢橋に着く。
便宜的に杉の沢と書いたが、杉の沢と言うの地名であって沢の名は真川と言い乙見湖(笹ヶ峰ダム)に注ぐ。真川は杉の沢橋から200m上流で鍋倉沢を右に分ける。
真川本流は約1km上流で左に滝沢を分け、鎧山(1730m)の西を廻り込むように北進して2km先で金山谷,2.7km先で裏金山谷を左に分ける。さらに北進する本流は3.3km先で大きく2分し、左俣は地獄谷本流として裏金山へ、右俣はヌルイ沢などに分岐しながら火打山へ突き上げる。
杉の沢からの登山道は、この真川本流と左俣の地獄谷に沿って何度か渡渉を繰り返しながら最後は沢を離れて焼山の南斜面を1900m付近まで直登気味に登り、左(西)にトラバースしながら2003mの小ピークを廻り込んで焼山西方,金山への稜線に到達するとそこが目的地の富士見峠である。
これらの情報は後づけしたもので、出かける前に大急ぎで2.5万図を印刷して継ぎはぎしたものを歩き出す段になって初めて見ると言う不勉強で、相変わらずのドタバタ登山である。
林道の杉の沢橋から150m入った所に駐車場があり、新潟ナンバーの軽トラが停められてあった。駐車場から草叢越しに第1堰堤が見え、落ち口で2人の男性がフライを振っているのが見えた。そこより上流での餌釣りを試みるべく支度をして14:00から入渓。雨はたいしたこともなくささ濁りの好条件だが果たして如何・・。
杉の沢にて
小谷温泉からの道々,満開の萩の花が豪華なので写真を撮ろうとしてチップを忘れたことに気づき、せっかく釣行,山行なのに写真が撮れないとは・・,とがっかりする。なので今回は写真がない。
釣りの支度をして真川沿いの登山道を歩き始めると、上から2人連れのフライマンが下ってきた。『どうですか?』と聞くと『いやぁ〜,全然アタリがなくて〜』と、後半はゴニョゴニョ口ごもって足速に去った。この先に餌釣りの人は多分いないだろうと踏んで道を急ぐ。
第1堰堤から100mほど遡ったところにもう1つの堰堤があり、そこは山側に巻き道がつけられていて、そこを越えてぬかるんだ登山道を10分ほど歩くと沢に出たのでそこから入渓する。多分そこは先ほど下って行ったフライマンが竿を振るった場所で場荒れしていると思ったが、そこから先の登山道は100m以上の登りになり、しかもかなりの距離を沢から離れて歩かされることになるらしいので、あまり期待できないのを覚悟で入る。
ミチイト0.8のスーパーラインに出来合いのヤマメ8号,ハリスも0.8。餌はブドウムシ。淵あり、瀬あり、トロ場ありの3拍子揃ったいい渓相でボサや枝の張り出しもなく釣りやすい。それだけに入渓者は多いらしくアタリは出ない。
淵よりもトロ場で最初のアタリがあり姿を見せたが20cm弱ですぐに餌を離してしまい2度目はなかった。小滝の落ち口でも同じサイズが餌を追って姿を見せたがくわえずそれっきり。その後も2〜3度アタリがあったもののハリかかりせず、流し終わって返すハリに20cmにも満たない痩せたイワナがかかったのを放流する。全体に反応が弱く、1度しか餌を追わない。
その後は大きな淵でも瀬でもまったくアタリがなく、テンカラに切り替えて流しながら下るも反応がないまま入渓点に戻り、3時間遊んで釣果なく納竿。
杉の沢橋から3km走ると笹ヶ峰キャンプ場で、翌日の天候回復を期待してその駐車場に車を停めて朝を待つ。管理人が誰もいなかったので炊事棟を使わせてもらって食事し、早々に寝る。安曇野市から杉の沢Pまでは97.5km,笹ヶ峰CP場までは100.5km。
8月31日(日)
尺イワナヒット
5時起床。炊事棟で朝食の後、杉の沢へ移動。一点の雲もなく快晴。6:00発。第2堰堤の落ち込みで竿を出してみたがアタリがなく、6:20に竿を収めて登山道に戻る。
10分で前日の入渓点に到達。沢に寄らずにそのまま進むとロープが張られた崖があり、そこを下ると入渓点の少し先の河原に降りる。そのまま右岸を進むと滝沢という沢にぶつかり、これを渡って本格的な登りになる。
100mほどを一気に登って1427mのピークを右に巻きながらほぼ水平に進むと、本流に沿って谷底にまっすぐ滑り落ちるスリバチのような斜面の中腹につけられた道へと続く。その殆どがガレ場で途中に6ヶ所のロープがあると言う不安定な道を登り下りしながら進むこと40分余で金山谷の渡渉点に到達(7:03)。
降り口にちょっとした淵があり、試しに竿を入れるとすぐにアタリがあって25cmくらいのイワナが姿を見せたがハリがかりせず、再度の投餌にはまったく反応がなかった。ここで荷を降ろしてしばらく釣りに時間を割くことにする。
本流までは約180mでこの間に20cmクラスの痩せたイワナが1尾かかり放流。本流に出て釣り上がり、大き目の淵の落ち口に竿を入れた途端に強い引きがあり、水面まで引き上げると予想を越える30cm超級のイワナで、流心を避けて緩やかな方へ寄せようとした瞬間に身を翻し、いとも簡単にハリスを切って逃げた。
その後はアタリがなく、さらに200m余り釣り上がるもまったく反応がなくなって釣意を失い渡渉点に戻る。渡渉点の上流にもほどよい淵があり、竿を入れるとすぐに釣れたが20cm未満,さらに何度かアタリがあったがハリがかりせず。この沢のイワナはすれているのか1度しか餌を追わないようだ。9:00納竿。以後は登山に専念する。
1900m地点で道を失う
9:05発。沢を渡るといきなりの急登となり100mほど登って1454mのピークのすぐ北東を通過すると、左手に聞こえていた金山沢の沢音が消えて逆に本流の沢音が聞こえてくる。そこからは緩やかな下りとなり、40m下って本流に接近した後、裏金山沢の右岸に出る。すぐに対岸に渡るのでなくそのまま右岸に沿って50m余り進んだ所が渡渉点(1410m)で、9:27にここを通過する。
そこから先はほぼ本流に沿って平坦な湿地帯を進み、10分で地獄谷の渡渉点に到達。9:37から休憩5分。
9:42発。本流は渡渉点の70m下流で地獄谷を分けており、そこから先は本流を離れて地獄谷に沿って進むが、やがて地獄谷は西に折れて裏金山に向かい、一方,登山道は沢から離れてまっすぐ北進し、焼山の南斜面の登りにかかる。
1544mのピークから先は緩やかな登り。10:05に地獄谷の支流であり最後の水場でもある小沢を通過すると始めは左(西)よりにトラバースして1700mまでゆっくり高度を上げた後、一転して急登となる。
この後、200mあまりのこの急登の途中で突然道を見失うこととなる。
薮漕ぎ〜さまよう1時間
10:05,最後の水場を通過。ここまでの登山道は背丈の倍ほどもあるオオイタドリやネマガリダケの薮を切り開いたりしてよく整備されており、赤いテープの目印もよく目につくように取りつけられていた。
しかし、焼山の登りに入ってからはよく踏まれた間違いようのない道とは程遠い、よくもこんなところ道をつけたものだ感心するような道で、整備するにも難渋したであろうことが容易に推察できた。部分的には切った木の枝や葉が片づけられずに放置された所もあり、テープを探しながら歩くのも容易ではなかった。
10:37,小休止しておにぎりを食べる。10分後出発。道はジグザグを切りながらも焼山の正面を避けて西へ西へと斜上して行く。
沢状にえぐれた場所をまっすぐ上に向かっていた赤い目印が突然消えた。沢状の部分を遮二無二登って突破すればそのうちテープが見つかるだろうと見当をつけて上に行くとガレ場の下に突き当たり、滑りやすいその斜面を慎重に這い登ってさらに上を目指す。
ルートからはずれていることは明らかだったがその斜面を登り切った上に小さな雪田があり、その上にもう1つ裸地の斜面があって踏み跡のような感じのものがあり、そこを登れば何とか稜線に出られそうな気がした。
ズルズルと滑り落ちそうな裸地の斜面を横切り、左の潅木帯に入って踏み跡を探したがそれらしいものはなく、そこからはカバノキとネマガリダケの薮漕ぎとなる。裸地の上に到達して行く手の左右を見れば樹間に空が見えるが、迂闊に横に移動すると帰りで道に迷う恐れがあるのでまっすぐ上に登る。潅木やネマガリダケに掴まって腕力だけで自分を引っ張り上げるのはきつく、たちまち腕が鉛のように重くなる。ともすれば横に逃げたくなる誘惑を振り切ってまっすぐ登るのは精神的にもきつい。
まっすぐ上がっていると巨岩にぶつかることもあり、そう言う場合は左右どちらかに廻るしかないが、その場合は自分がどう動いたかを頭に叩き込みながらとにかくまっすぐ上に登ることを心がける。
11:27,斜面が幾分緩くなってそこにコケモモの実が群生している場所に着き、コケモモを頬張って喉を潤す。終らない斜面はない・・,と気張っては見ても2400m(後で知った)の山頂に向けて直登しているとするとまだまだ斜面は続く。(2100mくらいと思っていた)。
コケモモの広場からさらに斜面を10分ほど登ってようやく向こうに切り立った岩峰が見える位置まで来た(11:37)。小高い丘のようなその場所は、山頂から南に張り出した支尾根の末端と思われた。覗けばそこから下は断崖のようなものだが、そこまではその断崖を這い登ってきたのだった。その場所から岩峰までは厚い潅木帯でそこを突破する余力はすでになく、撤退を決める。
元の道に戻れるかどうかと言う不安を抱えながら、頭に焼きつけた岩や立ち木や倒木を辿りながら慎重に下る。途中まではよかったが、徐々に西に寄り過ぎている気がして左へ左へと修正しながら最後は適当にどんどん下る。最悪の場合でも来た道の1つ西の谷に下るかもしれないが、その行き着く先は最後の水場の沢の隣の枝沢で、そのさらに下が地獄谷であるとするなら、こちら側に間違うのは差支えない。
そんなことを考えながら下っていると突然見慣れた道に出た・・,と思った。見慣れたと言うのはオオイタドリを刈った整備された道と言う意味であるが、さっき通った道のようにも見えた。
時刻11;57。とまれ、これで無事帰れると思って引き返そうとしたが・・・,『ハテナ?』,下る途中で明らかに西へより過ぎていたのに元の道に出られる筈はないではないか・・?,と言う疑問が湧く。頭は正常に働いているようだ。
ハクサンフウロ咲き アサギマダラ舞う
兎にも角にも11:57分に登山道を発見した。だが薮の中を滑り降りる途中,あのずり落ちそうになりながら登ったガレ場は見なかった。それは、この登山道が道を見失った所より前方(西寄り)だと言うことを意味する。それに気づいて下山するのを止め、登り方向に向かって歩くとすぐに広いカール状の原っぱに出た。一帯は溶岩が点々とする平原でアオノツガザクラの大群落が見られた。
先刻来の激しい登降で右足の大腿部が硬直して引きつってきたのでその一画に座って周囲の景観に浸りながら休み、英気を養う。一度はガスに覆われて怪しくなりかけた空が再びパァ〜ッと晴れて涼しい風が吹き、花に囲まれて気分が爽快になると富士見峠を見極めたいと言う意欲が湧いて来るのを覚え、2つ目のおにぎりを食べて立ち上がる。
12:05発。そこからの道は刈り払ってはあるもののネマガリダケの鋭い切り株があったりオオイタドリに覆われたりして決して歩きやすくはなかったが、行く手に焼山〜金山の稜線と富士見峠であろうと思われる鞍部が見えるのが何よりの強みで、加えてハクサンフウロやエゾシオガマ,キンコウカ等の高山らしい花に彩られた周辺の雰囲気に魅せられて気分よく歩くことが出来そうだった。
4年前に宮下健司氏から『焼山の西に広がるお花畑を通って越後早川から信州に抜けるもう1つの善光寺街道がある〜』と聞かされて以来,夢に描いてきた楽園のようなそのお花畑に無数のアサギマダラが舞う中をゆっくり歩いて富士見峠に着く。時刻は12:32。
そこから裏金山や金山は指呼の間であるし、見上げれば東には焼山の岩峰が屹立している。北側を覗けばすぐ下にも湿地帯があってそこにも花が見えた。稜線を20分も歩けば『泊岩』まで行けるだろう・・,だが疲れていたし明るいうちに下山したかったのでこの日はそこまでとする。12:50発,下山路へ。
信越古道は必ずしも富士見峠を通るものだけではなく、いくつかのルートがあるようで、また富士見峠を通る場合でも今回調査の杉の沢〜富士見峠のルート以外に金山を通って乙見峠,または前回調査した金山〜天狗原山ルートも考えられる。
このうち奥裾花渓谷を経て鬼無里に向かうとすれば乙見峠のルートが最も有利な道取りであるように思う。いずれこのルートも探索してみたいものだ。
下山
12:50発,稜線付近の花を惜しみながら下る。ハクサンフウロがことのほかきれいだった。下りで道を見失った地点を確認したが、上から下ると難なく通過してしまうような間違いようのない場所で、ただ目印を見失った沢の中にある岩にはっきりと矢印で行く先が記してあったのを見落としていたことが分かった。
13:48,最後の水場まで下って弁当を食べる。14:03発,同27地獄谷の渡渉点を通過。登りの際、この先で道端にとんでもない大きさの真っ黒な糞を見た。さすがにギョッとして大きな声で『お〜い』とか『ヤッホー』,『ここにいるぞぉ〜』等と叫びながら歩くが、その声も周りに沢音があればまったく聴こえない。熊鈴などは何の役にも立ちはしないのだが、あんなもので安心できると言う人は余程度胸があるのだろう・・。
飛ぶように下り14:37、裏金山谷渡渉後に10分休憩。同47発,15:07金山谷に到達。イナゴを餌に釣って見ようとして竿が無くなっているのに気づき釣りを断念。途中で落としたらしい。渓流竿が残り1本になってしまった。
金山谷からはロープのある斜面の細道を辿って一山越え、30分で滝沢を通過。15:52,駐車場に帰着して調査山行を終える。16:00発,途中で小谷温泉露天風呂に入浴して19:00頃帰宅。走行距離215km
余談
山で見たくないものはペット。近頃は上高地などにペットを持ち込む人が多いそうだが、他人のペットと一緒に登山したくはない。野生動物にとって犬は脅威であるし、エキノコックス寄生虫病のように病気を持ち込んで伝染させたり、逆にもらったりする危険性もある。
山で聞きたくない音は熊鈴の音。すれ違う程度ならまだしも、同じ方向に行く場合は下手をすると一日中つき合わされる羽目になる。風の音や川のせせらぎ,鳥の声,あるいは無音の世界に浸りたいのにあの音は無神経で傍若無人でさえある。
風鈴殺人まで起きる時勢であるが、いつまでもなり続ける音と言うのは時に苦痛を感じさせるものだ。第1あんなもので熊がよけられるとは思えない。200mも離れたら人間には聴こえないし、沢音があればかき消されてしまう。尤も熊の聴力では聞こえてるのかもしれないが・・。
山で嗅ぎたくない匂いはタバコの匂い。せめて風下で吸うくらいの気配りをして欲しいものだ
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