快晴&ちょっぴり雪道の御前山
- GPS
- 06:50
- 距離
- 12.3km
- 登り
- 1,231m
- 下り
- 1,426m
コースタイム
天候 | 快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2017年02月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
|
コース状況/ 危険箇所等 |
雪は北斜面の深い所で10〜15cmほど。トレースがあるので新雪ラッセルの苦労はなく、軽アイゼンがあれば滑らず歩けました。 |
その他周辺情報 | いつも混んでる印象のある「もえぎの湯」も、冬のせいか待たずに入れました。 |
写真
感想
ホリデー快速は楽々座れたが、奥多摩湖方面のバス停は長い列。先発の増発便には惜しくも積み残されたが、おかげでバスも座ることができた。そうして着いた奥多摩湖畔は快晴、無風。空気は冷たいが雪はない。
ダムの堤体上で7、8人の中高年グループを抜き、左に折れて登山口のベンチに至ると、男性が独り何やらストックと格闘している。伸びなくなってしまったらしい。手を貸してみたが、どうにもならない。ダブルストックだったから「初めから私と同じ一本杖だったと思えば?」と、あまり慰めにもならない言葉を掛けて、カチリカチリとアイゼンを響かせて歩いていく男性を見送った。
この先の階段に雪が着いているので、当方も軽アイゼンとスパッツを装着して後を追う。ジグザグの階段で尾根に乗り、いきなりの急傾斜に取りついた。この辺り雪はほとんどない。幸い土踏まずに着ける4本爪だからさほど歩行に支障はないが、アイゼンの刃が傷みそうだ。
標高700mを超えて若干勾配が緩くなり、800m付近の植林帯から雪が目立ち始めた。ただ、トレースがしっかりあるので夏道と変わらない。ためしに数センチ積もった雪の上を踏むと、ズッと滑りかけてからアイゼンが効く感じ。深雪のラッセルとは比較にならないが、わずかな雪でもバランスを取るため力を使うことが分かる。
サス沢山で西の方の景色を楽しみながら呼吸を整える。リュックから早弁用のお握り一つを取り出してポケットに入れ、出発。緩い下りで高齢の夫婦を追い抜き、10時半ごろ、日当たりの良い平らな尾根で少し温まったお握りを胃袋に納めた。1000mを超え、時おり風が吹いて寒さを感じるが、総じて穏やかな天候と言える。
あたりは雪で真っ白になってきたが、相変わらずしっかり踏まれているので滑らず歩ける。気が付くと、右手の木々の隙間に富士山が見えていた。枝が邪魔ですっきり見える所がないのが残念だ。標高1300m付近の胸突き八丁を経て惣岳山に到着。先着者2人が休憩中で、うち一人が下でストックと格闘していた男性、横浜のJさんだった。
言葉を交わしたのを機に一緒に御前山への最後の区間に挑み、15分ほどで無事頂上を踏むことができた。ここは、木々の枝に邪魔されずに見通せるのは南の丹沢方面だけで、石尾根、都県境尾根方面もすっきりは見えない。風は少なく暖かいと言ってもいい山頂だったが、やはり避難小屋で弁当にしようと意見が一致し、Jさんとさっさと進発した。
その避難小屋では、中ではなく日当たりのいいウッドデッキ部分で人が休んでいた。我々も真似をしておのおの持参のカップ麺で昼にする。食べながら聞いた話によると、Jさんは毎週のように山に来ており、今日は当初、大岳山の方へ抜けるつもりだったとのこと。一方、当方は雪の具合によっては小屋の前から境橋に下るルートへ逃げるつもりだった。ただ、この分なら鋸山尾根経由奥多摩駅のルートも問題なさそうだ。コース変更の意思を告げると、彼は逆に大岳山は厳しいと感じていたそうで、「じゃあ、一緒に下りましょうか」と臨時パーティーを組むことになった。
しばらく下ると、日当たりの良い所では雪のない道が現れるようになった。道連れができたおかげで互いの仕事のことなどを話して退屈しない。ただ、記憶が薄れかけていたが結構なアップダウンと距離のある道で、このピークを越えたら大ダワか?と思うたび裏切られた。
1時間歩いて大ダワ到着。林道の路面にうっすら雪が着いている。標高約1000m、溶けてはいないから気温は0度以下なのだろう。林道を横切ると、道が左の尾根筋と右の巻道に分かれて「あれっ?」と思ったが、ものの50mで合流する人騒がせな分岐だったことを思い出した。
さて、ここから俄然と道が登り出す。鋸山の山頂脇をショートカットするルートへ向かっているのだが、大岳山方面との分岐を経て一層勾配が増した。いささか消耗して鋸山尾根の道に合流。雪はすっかり目立たなくなっており、ここでJさんは6本爪アイゼンを外した。
しばらくは下り基調の緩やかな尾根が続く。三角点ピークの先の急坂を下りた所で当方もアイゼンを脱いだ。方角的には北斜面の尾根だが、西日も差しこんで暖かい。やがて唯一の鎖場と梯子を降りると、岩場を少しよじ登って天狗のレリーフが立つ天聖神社に着いた。
雲は増えたが、御前山を含めた奥多摩の山々がよく見える。「暑い」とJさんがトップを1枚脱ぐのを見て、こちらももゴアのレインウエアをしまってヒートテック風のハイネック1枚になった。少し寒い気もするが、汗をかいて冷えるよりずっといい。
もう下界は近い。急な尾根をジグザグに下ると、やがてうっすら雪の積もった伐採地を横切る。配電設備を横目に植林帯を行くと、右に短い階段が見えて林道に合流した。ほどなく愛宕山の愛宕神社。2人ともいささか消耗して、鳥居の先に伸びるわずかな上り階段が恨めしい。神社には寄らず裏手の小ぶりな五重塔へ。Jさんが「このあいだ、この裏で転落死した人をレスキューが引き揚げているのを見た」と教えてくれた。急斜面とはいえ、登山道から転落することはなさそうな場所だ。神社裏あたりに入って落ちたのだろうか。
ジグザグに急坂を少し下ると、名物?恐怖の直線急階段。一体だれがこんな階段を設計施工したのか謎だが、とにかく一気に50mほど下れるのは便利ではある。無事に登計園地へ降り立ち、Jさんは初めてという東寄りの下山路を辿ってもえぎの湯に向かった。こちらの方が若干近道になる。
ワサビ漬けの山城屋でお土産を買うJさんに付き合い、吊り橋を渡ってもえぎの湯へ。実はここ数年、いつも満員であることに嫌気がさして寄りつかなかったのだが、さすがに真冬とあって駐車場も空きが目立ち、大した混雑ではなかった。久々のヌルヌルのアルカリ泉を堪能して、Jさんと湯上りのビールで乾杯。旅ならぬ「山行は道連れ」で一期一会の楽しいひと時を過ごせたことに感謝した。
*********
立川でJさんと別れ、武蔵野線に乗ってリュックをふと見ると、ストックがない! 記憶を辿ると、おそらくもえぎの湯のどこかに忘れてきたらしい。朝、壊れたストックと奮闘するJさんが「私はすぐストックを壊しちゃうんです」と話すので、「私はしょっちゅう置き忘れそうになるんです」と応じたのだが、その通りに“有言実行”してしまった……。
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