滝谷山 - (秩父)ムジナ沢周回。秘境の岩峰に鎮座する神に出会った。
- GPS
- 10:49
- 距離
- 12.4km
- 登り
- 1,472m
- 下り
- 1,472m
コースタイム
07:02 スタート(鎌倉橋)
07:11 取り付き
07:30 踏跡発見(誘われる)
07:48 ムジナ沢の神(仮称)
08:41 ムジナ沢広場(仮称)
09:26 ルンゼ状斜面取り付き
09:38 右岸尾根に乗る
10:44 P1386(つぶれ小屋)
11:41 P1505
12:23 ランチ(約40分)
13:24 P1546
14:04 滝谷山(P1659)
15:16 P1562
15:55 P1538
16:20 P1480
17:25 P1079
17:52 ゴール(鎌倉橋)
天候 | だいたい晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2017年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
バリエーションルートです。 十分な経験と装備を持つ人にのみ、このレコ情報の利用を許可します。 <取り付き〜P1546> 序盤の岩稜帯をどう攻略するかが鍵でしたが、私は途中で現れたテープと踏み跡を辿り結果的に東側を大きく巻くことになったため、直登できたかどうかは不明です。岩稜帯を越えてからも、岩やヤブ(灌木)がありペースが上がりません。P1386にはつぶれ小屋がありそこまではテープも散見しました。1400m辺りからは残雪もあり岩峰の北側を巻くのが大変でした。 標高1100付近の岩稜帯の攻略情報がないままこの尾根を下山で使用することは非常に危険です。 <P1546〜滝谷山> 稜線上の右(東)側に残雪(10〜30cm)があるものの、特に危険な場所はありませんでした。 <滝谷山〜P1538> 滝谷山直下の鞍部まではスズタケ、次に砂地に岩が埋まったような斜面の急降下です。その後P1562までは岩尾根に加え濃い灌木で泣きが入ります。この間標高はほとんど下がらず、岩に着いた雪が嫌らしかったです。 <P1538〜下山> ロープを出すほどではありませんが、岩混じりのとにかく激下りです。崩落場所もあるので注意です。標高1250付近からしばらくは防火帯となり一気に高度を下げ、末端は植林帯の急降下で鎌倉橋到着です。登りなら体力勝負です。 |
ファイル |
計画ルート図
(更新時刻:2017/04/30 00:07) |
写真
感想
いつやろうかと思っていたムジナ沢の周回、ついに行っちゃいました。
人気度(低)と距離的には申し分ないんだけど、いかんせん地理院地図にあるムジナ沢右岸尾根(仮称)の崖マークがどれほどのものなのか、それが問題なんですよねぇ。ま、なるようになるさ。
7時、鎌倉橋からスタートして間もなく、ムジナ沢右岸尾根(仮称)とご対面。うぉ〜、遠目には間違いなく崖じゃん。登れるの〜?でも尾根筋にはそこそこ木もあるし、、、とりあえず行ってみよう。
そろそろ崖かと思われる辺りまで登ると、尾根筋を外し山腹を北にトラバースする明瞭な踏み跡に出会った。直登ルートを確認したい思いもあったが(実は少し直登にビビっていたのでコレ幸い)、これはきっと崖越えの巻き道に違いないと決め込み辿ることにした。
ルートはほとんど標高を変えずに岩斜面をトラバースしながら支尾根を乗越して行くが、2つ目の支尾根の突端にムジナ沢を見下ろす形で祠があったのには驚いた。信じ難いことではあるが、昔から何らかの目的で使われていたルート(道)ということなのだろうか。
どこまでトラバースするのか、どこから登り出すのかと思いながら進んでいくと、あろうことか着いた場所は周りを絶壁に囲まれたムジナ沢に接する広場でした。奥(上流)を覗くと両岸が壁になったムジナ峡谷(仮称)が口を開けています。そして、壁に生えた木の1本にはテープ・・・そう、ここまでのルートは(祠の由来はともかく)沢屋さん用だったようです。(涙)
参ったなぁ。近場の支尾根を偵察してみましたがとても登れそうになく、今回も七方塞がり、戻るしかありません。ココまで2時間近く費やしたので、今日は直登ルートの可否を確認して終了かと思いながら15分ほど戻ると、往路ではルートを追うことに集中していて素通りしたルンゼ状の急斜面に気付きました。見上げると尾根筋らしき地平線がわずかに見えます。この位置で尾根に乗れば例の崖はめでたく巻いたことになるので、これはもう行くしかないでしょう。
そんなこんなで、だいぶ遠回りしました(実はそうでもないのかもしれません)が、計画を続行できる状況になってしまったのでした(笑)。
その後は、岩峰やヤブや残雪など相応の困難はありましたが、幸いにも越えられない壁は現れず、無事に県境稜線上のP1546を経由し滝谷山に立つことができました。
滝谷山山頂からは噴煙を上げる浅間山など、時期的なこともあってか期待以上に眺望がありました。
が、まだこの先何が待ち受けているのかわからないというのに、すでに時刻は14時を回っています。確か日没は18時前だよなぁ。早々に南天山方向に進みます。
南天尾根は、南天山方向から来たらウンザリして引き返すかもしれないほど灌木がひどくペースが上がりません。草地には踏み跡もあったし、そこそこ歩かれているとも思ったんだけどどうなんでしょうか。それと高度が下がらないせいで残雪がなかなか消えず、登り下りと岩尾根がちょっと厄介でした。
それでも約2時間かかって南天山との分岐(P1538の先)に到着。いよいよ下山です。崖などありませんように(祈)。
下山した尾根は、予想通り総じて急降下のオンパレードです。ただし岩混じりの斜面が多く足掛かりは十分なので、集中力だけは切らさないように注意して下りました。途中からは長い防火帯もあり一気にスピードアップです。滝谷山を出る時には久しぶりのヘッ電も覚悟していましたが、幸運にも崖などはなく、また膝痛が起こらなかったことも幸いし、ほぼ太陽と同時にゴールすることができました。
いや〜、今回の山行は緊張の連続でいつも以上に探検したなって感じで満腹です。
Vルートの魅力の一つは、「あるかも知れない何か」の期待感だと思うんですけど、今回出会った尾根突端の高みに鎮座する祠は正にその「何か」でした。幸か不幸か、そういう予想外のモノに出会った時の感動が、次の秘境に足を向けるエネルギーになってしまうんでしょうね。
コメント
この記録に関連する登山ルート
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中津峡で時間的な制限がなければ今回のkinoeさんの歩いたルートか
ガク沢の右岸尾根でガク沢ノ頭経由で滝谷山に行きたいな〜なんて地図を
見ながらよく思っていました
鎌倉橋から滝谷山まで7時間ですか
やっぱり、このルートは自分にはムリなことがはっきりしました。
滝谷山まで2時間半でいかなくては帰れませんから
でも今回のルート、沢ヤさんの道に入らないで直進してたらどうだったんですかね?
それだけでも興味あります。
地形図見ると1200mあたりもヤバい感じですが普通に通過してますね
しかし下りも鎌倉沢の右岸尾根で下ってしまうのがkinoeさんらしいです
自分だったら絶対に南天山経由だろうな〜。南天山だったらヘッデンでOKだし。
南天山の西側、どんどん開拓お願いします
ワルさん、
中津川方面の通行止めは、休日は通行可だったので行くことができました。(気になったかもしれないので念のため)
http://www.chichibu.ne.jp/~furemori/H29.3tuukoudomeannnai.pdf
直登ルートもそうですが、あのトラバース道もすご〜く気になります。
現在は沢屋さんが利用しているのかもしれないけど、祠があるということはそれなりに歴史があるんだと思うんですよね。なんかロマンを感じます。
ムジナ沢左岸尾根を下ったのは計画通りでしたが、仮に南天山経由の計画だったとしても、あの状況ならそれを変更してこの尾根を下ったと思います。だって近道なんだもの。
滝谷山まで2時間半は、さすがのワルさんでも無理だろうなぁ。
でも、別に滝谷山まで行かなくてもいいんじゃないですかぁ?気になるんでしょ?
そう言う私も気にはなるんですが、いや〜アソコは遠いです。時間的には那須の方が近いんですよ。
いつか気が向いたら、ハンモック持って行くかもしれません。
って煩悩の数ではなく写真の枚数ですけど珍しく多いですネ
それだけ満足のいく山行だったんでしょう
108枚をしっかり見せてもらいました
お気に入りボタンは押しましたが、お気に入りにはなりませんので悪しからず
チョッとムリは時間的だけではないけど・・・わざと怖そうに書いているでしょう!
毎回
たしか南天山からは通行止テープがあったけどキノエルートからならOK!?
読んでいるこっちもハッピーエンドが嬉しかった
緊張の満腹山行オツカレサマでした
ビギさん、
よく108枚に気が付きましたねぇ。
この日は150枚くらい撮りました。撮る基準は普段通りのつもりなので、ポイントになりそうな場所が多かったんでしょう。ただ、悩みながらコメント付けるので大変なんですよね。
> わざと怖そうに書いているでしょう!
これは聞かないで欲しかった。
ココだけの話、この辺の表現には、これでもすご〜く気を使って書いてるんですよ。
・・・
思う所を書いていたら長文になってしまったので割愛しますが、好意的に受け取られないことが多々あることを承知で書いています。まぁ、察してくだされ。
あ、お気に入りに入れた責任は取ってくださいね。
キノエさん、こんにちは。
またまた興味深い所を歩かれましたね。南天尾根をP1538を経て滝谷山に出るのは、別のレコで読んだ事があり、それ以来心の中で引っ掛かっていたんです。でも、バスの時間を考えると、現実問題としては実行出来ませんでした…。
沢から尾根に出る所、ルンゼを登りましたよね?そこには踏み跡やテープはあったのですか?テキトーに登っちゃった感じですね。流石、野性の勘が冴えていますね!
自分、今度の海外駐在から戻ったら、テン泊や避難小屋泊をやろうかと思います。少しでも行動範囲を広げたいなぁと。テントの中で美味いツマミを作って飲めるし!自由に使えて冬にはスタッドレスまで履いた車が自宅にあるのですが、やっぱりお酒優先なんですよねー。😅💦
お疲れ様でした。
タケシさん、
はい、肉体的にも精神的にも充実した山行でした。
データ的には、歩行距離が約12km、累積標高は1040mしかないのに、久しぶりに筋肉痛にもなりました。常に目の前に障害が待ち構えている感じで、のんびり歩ける場所が本当に少なく、ワクワクドキドキで精神的にきつかったですね。
ルンゼ状の斜面にテープ類は見ませんでしたが、写真の通り登った先の尾根上にはありました。よくわかりませんが、斜面はけっこう幅があったので尾根筋寄りにルートがあるのかもしれません。不明な直登ルートを除けば、このルンゼを登るのが最も安全だと思います。
テン泊ですか?タケシさんがテント担いだら、どこへでも行けそうですね。
私には永遠の憧れかも。秘境でテントって想像するだけで怖いでしょ。リタイヤしたら考えます。
それにしてもレコを読ませて頂くだけで、こちらが汗をかきそうな激しいルートですね。登りで7時間。。はぁ。。こりゃ強烈。 でもキノエさんの顔、全然涼しい感じですねぇ〜 やはり藪漕ぎ岩越え急直下の未踏ルート、キノエさんらしさがバリバリにでてます
これだけ緊張の連続だとどうしても写真撮るの忘れんですが。。さすが、落ち着きも伝わってきます。激しすぎて、我々はムリだなぁ。そもそも南天山の先に行こうなんて考えもつかないし。群馬の果てに行って帰ってこれなそうで
新たな祠を見つけましたね!今回は奮発の5円。こりゃご利益ありそうで
ここはさすがにご利益分配しに追加賽銭は厳しいのでご安心ください
ガッツリ藪漕ぎドキドキ山行、お疲れ様でした〜
セキミさん、
日曜日組は雨天中止なので退屈だったようですが、セキミさんもお休みでしたか。飲み屋の話にはなかなかついていけないので、実は少しホッとしています。
徘徊のような7時間でしたが、ルートが決まっていれば5時間くらいでしょうか。甲武信に届かなかった時の8時間よりはだいぶマシでしたけど。でも、どちらも思い返せば充実していたように思えてしまうのが不思議です。
あの祠は私には正にミステリーです。
ムジナ沢を見下ろすように突き出た岩峰に鎮座する姿には、荘厳という形容詞がピッタリでした。私自身少なからず意外な場所で祠を見てきましたが、わざと人が近づけない場所を選んだという点で、これはその最たるモノですね。
そっかー、100円玉を持って行くんだった。
こんなディープなレコお待ちしておりました
左岸の方は幾つか山行記を見ているのですが、右岸は初めてです。
あの山域で記録なしの尾根は相当なプレッシャーだったんじゃないですか?
加えて崖記号が行く手を塞いでるんですから、自分ならその時点で選択肢から外れてます
実は自分も同日に中津川行くつもりだったんですよ。
尤も、こんな奥地じゃなくてもっと人の居る所ですが。
それでもプレッシャーから眠れず、最後は寝落ちというオチが付いてしまいました
でも良かったかも知れません。
同日にこんなレコ上げられたんじゃ、だいぶ見劣りしてしまいますから
yasuhiroさん、
実は私も山行前夜は寝付けないタチなんですよ。
今回も前日の22時頃に布団に入ったもののダラダラと時間が過ぎ、目覚ましをセットした3時より前に起き出す始末でした。
山とは無関係なことが頭に浮かんでくるので、ドキドキとは違う気がするんですけど、何とかならないもんですかねぇ。
中津川の予定でしたか。最近プチブームだった槍とか?
あの辺はあまり歩かれていない尾根が多いので興味は尽きないのですが、なんせ遠いのでねぇ。yasuhiroさんは少なくとも私よりは近そうですよね。情報上げてください。あ、この際、右岸尾根の直登ルートの偵察をお願いします。
山歩きは競うものじゃないでしょう。自己満足でいいじゃないですか。
地理院地図記載の埼玉全山制覇、残り僅かでしたよね。楽しみにしています。
kinoeさん、こんにちは、Boulder05です。
王冠キャンプ場から滝谷山へのレコを興味深く拝読しました。
で、貴殿が冒頭に辿った「尾根巻き道」は、インターネットサイト『武州と東甲州のバリエーションウォーキング』に登場するものにみごとに一致します。「茶色の破線」なので「道なし(未踏査)」となっていますが、彼のデータは秀逸なので誤りはないと思われます。また、これは沢屋のものではなく、普通の「山道」つまり、登山のための道ではなく、仕事のためのものと思います。祠は祭られた「山ノ神」でしょう。
先日の中津川行きで遭遇したwarutepo さんとも、バスの中でこの筆者のことなどを話しましたが、warutepo さんのみならずここのコメではどなたも言及されてないので、ご存じないのかなあと、僭越ながら紹介させていただきました。
Boulder05さん、こんにちは。
お待ちしておりました。
産泰尾根の祠の件から、少なからずご興味がおありではないかと感じておりましたので。
ネットで確認しました。(このサイト、ブックマークには入れてありましたが、事前に確認などはしていません。 )
確かに広場状の場所まで、掲載ルートを辿ったようです。
サイト情報に寄れば、その後山道はムジナ沢支流に入り、右岸ではなく左岸尾根に乗り、さらには南天尾根も越えていくようですね。
誤解を与えてしまったかもしれませんが、祠があったことだけで、元々が沢屋さんルートでないことは私にも想像できます。となると、集落間を繋ぐ生活道か林業などの作業道ということになるんでしょうが、果たして現在もその役目を担っているのかとの疑問と、広場からムジナ沢本流に向けて付けられたテープから、今となっては沢屋さんのルートとして利用されているのかなぁ、と思ったわけです。
それにしても、昔の人が私のような道楽ではなく、必要に迫られてあのような危険な道を開拓し歩いていたんだと思うと、あの祠も違って見えますね。
貴重な情報をありがとうございました。
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