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Yamareco

記録ID: 1273139
全員に公開
沢登り
九州・沖縄

西表島横断【ユツン川-イタジキ川-仲良川-南風見田の浜】

2017年09月15日(金) 〜 2017年09月20日(水)
 - 拍手
GPS
128:00
距離
34.5km
登り
1,080m
下り
1,062m

コースタイム

一日目
1000 出発 ユチン橋
1030 ユチン大滝
1045 休憩
1155 休憩
1315 休憩
1420 休憩
1640 終了

二日目
500 起床
630 出発
735 まぼろし
820 イタジキ川懸垂1p
1340 マヤグスク滝懸垂失敗
1440 懸垂開始
1550 イタジキ川本流出合い
1615 幕営

三日目
0620 古屋跡出発
0720 カンビレーの滝
0800 マユドゥの滝展望台
1000 ギンゴガーラの滝
1600 幕営地到着

四日目
500 起床
630 出発
750 休憩
920 休憩
1010 尾根超え
1030 仲良川支流入渓
1050 仲良川支流滝懸垂1p
1140 仲良川支流滝懸垂1p
1300 仲良川支流滝懸垂1p
1315 仲良川支流滝懸垂1p
1330 仲良川本流入渓
1420 休憩
1445 ナーラの滝懸垂
1600 終了

五日目
500 起床
630 出発
8:50 10m滝名から川支流
12:00 クイラ川支流
13:20 クイラ川本流
1550 ルンゼ懸垂
17:30 大浜

六日目
1000 出発
1330 バス停
1345 バス発
天候 快晴
過去天気図(気象庁) 2017年09月の天気図
アクセス 羽田空港より飛行機で石垣空港→石垣島離島ターミナルより船で大原港→大原港より豊原行バスに乗りユチン橋で下車
2017年09月15日 09:57撮影 by  COOLPIX AW130, NIKON
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2017年09月15日 10:59撮影 by  COOLPIX AW130, NIKON
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2017年09月15日 11:08撮影 by  COOLPIX AW130, NIKON
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2017年09月15日 11:27撮影 by  COOLPIX AW130, NIKON
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2017年09月15日 11:38撮影 by  COOLPIX AW130, NIKON
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2017年09月15日 11:50撮影 by  COOLPIX AW130, NIKON
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2017年09月15日 11:56撮影 by  COOLPIX AW130, NIKON
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2017年09月15日 12:03撮影 by  COOLPIX AW130, NIKON
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2017年09月15日 16:05撮影 by  COOLPIX AW130, NIKON
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2017年09月16日 15:28撮影 by  COOLPIX AW130, NIKON
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2017年09月17日 07:22撮影 by  COOLPIX AW130, NIKON
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2017年09月17日 07:27撮影 by  COOLPIX AW130, NIKON
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2017年09月19日 16:34撮影 by  COOLPIX AW130, NIKON
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2017年09月19日 17:31撮影 by  COOLPIX AW130, NIKON
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2017年09月19日 18:52撮影 by  COOLPIX AW130, NIKON
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2017年09月19日 19:42撮影 by  COOLPIX AW130, NIKON
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2017年09月20日 09:01撮影 by  COOLPIX AW130, NIKON
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2017年09月20日 10:00撮影 by  COOLPIX AW130, NIKON
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2017年09月20日 10:10撮影 by  COOLPIX AW130, NIKON
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撮影機器:

装備

個人装備
?衣類:長袖Tシャツ1 長ズボン{タイツ1 ショートパンツ1} 着替え1式 毛下着上下 化繊下着1 沢用靴下1 毛靴下1 雨具上下 フリース薄手1 渓流シューズ1 サンダル1 帽子 革手袋1 軍手1 タオル。<br />?生活用具:ザック シュラフカバー シュラフマット(銀マでも可) 食器2 ガスヘッド<br />?登攀具:ヘルメット ハーネス ATC(環付カラビナ含む) カラビナ3(うち 環付きビナ2) ロープスリング3(ロング1 ショート2) 細引き6mm×5m<br />?小物:コンパス・ナイフ・笛 ヘッドランプ(電池予備2セット) ライター トイレットペーパー 水筒2L テーピングテープ ビニール袋 持薬 保険証コピー 計画書 財布 学生証 腕時計 油性ペン 筆記用具 地形図、携帯電話 充電器 非常用パック(固形燃料 予備ライター エマージェンシーシート 赤布5枚 三角巾) 防虫ネット ジップロック予備2 防水袋予備2<br />? 食料:行動食8日分+非常用1日分。
共同装備
?幕営具:1 2人用テントセット2(本体 フライ ポール) 3 4人用テントセット1(本体 テントマット3 ツェルト3 EPI缶大2 EPI缶中5 鍋セット(大 ペーロン トング 漏斗) ろ過装置<br />?登攀具:ロープ8 6mm×50m2、カラビナ5(うち環付3) テープスリング5(ロング3 ショート2) ハンマー2 ハーケン6<br />?内傷:ドルマイシン(化膿予防) ロキソニン(鎮痛剤) ビオフェルミン(整腸剤) パブロン(風邪薬) バファリン(頭痛 薬)<br />?外傷:イソジン ワセリン 包帯5 テーピングテープ 絆創膏14 ガーゼ5 消毒綿20 ステロイド剤2 ポイズンリムーバー ピンセット 日焼止 体温計<br />? 修理具:ペンチ 針金 あて布 安全ピン ガムテープ1m フレームジョイント<br />? 食糧:朝食8食分 夕食8食分<br />?その他:ノコギリ 蚊取り線香 虫よけスプレー 充電器 カメラ ラジ天(ラジオ 天気図8 予備電池1セット)
備考 スパッツを穿いていても蚊が刺してきたため、全身長袖長ズボンが適した格好。
また幕営地でも蚊が多いため、蚊取り線香とかゆみ止めを持って言った方が無難。
水質に不安がある西表では水は浄水器(ソイヤー製)を持って行った。
防水パッキングは3重でもいいかもしれない。

感想

9月14日 強風
朝一番の便で石垣空港へ。台風18号が先島諸島に直撃中ということで羽田から飛行機が飛ぶのかすら半信半疑だったが、機長のプロ根性によりなんとか到着することができた。石垣島は台風の影響が残り強風が吹き荒れていたが、ジメジメとした湿気がいくらか和らいでいるようでむしろ心地よかった。しかし石垣島から西表島に向かう高速船がすべて欠航ということで、本日は石垣島にて買い出しを兼ねたレスト日とする。
K-MAXにてガス缶と鉈を購入し、八重山そばを昼夜連続で腹に入れ、明日からの山行に備えた。

9月15日 晴れ
ユチン橋10:00→10:30ユチン大滝10:45→11:45イタジキ川分水嶺11:55→16:40 390mP直下 幕営
朝一番の便で西表島の大原港へ。昨日の時点で、本日の高速船が動くかどうかは朝にならないとわからないということでドキドキしていたが、我々が目指す大原港行きは動いているようで一安心であった。朝日が水面を照らす中、高速船が動き出す。まさに冒険の始まりという感じでわくわくしたが、波が高い影響で高速船が上下左右に揺れまくって怖い思いをした。
港近くの売店「じゅごん」で店員さんの厚意に甘えて荷物を預かっていただき、森林管理事務所と駐在所に登山届を提出する。他大学の記録では条例の影響で登山届が受理されずに泣く泣くルートを変更している事例が散見されたが、我々の登山届はあっさり受理されてしまった。島内における建前としてはジャングル内を含めた全域幕営禁止ということになっているらしく、我々は幕営ではなくビバークで夜を明かすのだ、という屁理屈をこねる用意までしていったが、そんな問答をすることもなかった。
島内の海岸沿いを走る唯一の路線バスに乗りこみ、ユチン橋まで。同乗した現地のおじ様方から野太いエールをいただく。
ユツン川の右岸に入渓点となる赤テープを発見し、いよいよ遡行を開始することになった。
ユツン大滝まではトレッキングコースの使用を交えての遡行となる。所々に林野庁のピンクテープがあり、ルートを外すことはないだろう。ユツン大滝は右岸から巻く。フィックスロープまで張っており、拍子抜けだ。大滝は下から見てももちろん綺麗だったが、滝の落ち口から見渡す海岸線はまさに絶景だった。ルートからは少し外れるが、見に行って損はないだろう。
大滝からは分水嶺越えとなる。情報では2011年に林野庁が残したテープがあり、容易に超すことができたという記録もあったが、分水嶺付近にそんなものはなく、コンパスで角度を合わせて藪漕ぎを交えつつ、イタジキ川の支流へと乗越した。支流から幻の湖まではヘドロが湧き出す淵が連続する不快な区間であった。ところどころ巻きを交えて幻の湖手前の平坦地で幕営。

9月16日 晴れ
起床5:00→出発6:30→7:35幻の湖7:50→8:20 10mナメ滝WR30m 9:00→13:40マヤグスク懸垂20m登り返し14:10→14:40マヤグスク滝WR30m 15:10→イタジキ川本流15:50→第二小屋跡16:15 幕営
幻の湖までは昨日と同様、ヘドロ淵に突っ込んだり巻いたりして超えてゆく。2時間ほどで幻の湖へ。期待外れだの思ったより汚いだのといった記録を見ていたので正直そこまで期待していなかったが、これまで超えてきたヘドロ区間からのギャップなのか、鈍く濁ったシアンブルーが妙に神秘的に見えた。
高巻きも可能らしいがむしろ危険を伴うということで、ザックごと湖へ飛び込んで泳ぎで対岸を目指す。何がいるか分からない濁った水中を足がつかない中泳ぐのは少し怖かったが、ザック浮き輪に慣れてしまえば問題はない。幻の湖から少し行った先のナメ滝で30mの懸垂下降。その後も足がつかない淵が連続し、長短距離交えた泳ぎを強いられることになる。泳ぎが苦手な太田も最初は溺れそうになりつつも、徐々に慣れていったようだ。泳ぎにつかれたころ、苔むした巨岩が連続する地帯となる。アスレチックのようで面白いが、岩と岩の間に落ちたら復帰は困難かつ大怪我の可能性もあり、緊張しつつ越える。そこからも所々泳ぎ区間が連続した後、大ナメ区間へ。日本離れした、まるでアフリカのジャングル地帯のような雰囲気であった。大ナメを越えると、本日の核心であるマヤグスクの滝に入る。古代遺跡のようなゴルジュ帯の雰囲気が素晴らしい。右岸のテラスを進んで行き、下部の水流が少なくなったところで懸垂を始めるが、20mほど降りたところで着地点の奥にも激流がある場所を発見し、空中で登り返す。戻ってテラスのさらに奥を進むと古びた残置スリングがあり、その場所からなら安全に降りられるようだった。空中懸垂でテラスに降り、マヤグスクの下部は左岸の傾斜が緩い場所から降りた。
本流までは緩やかな渓相が続き、やがてイタジキ川に沿って走るトレッキングコースへと合流。途中の第二小屋跡で幕営とした。

9月17日 晴れ
起床5:00→第二小屋跡出発6:20→カンピレー滝7:20→8:00マリュウド展望台8:30→ギンゴガーラ川出合9:05→10:00ギンゴガーラ大滝10:20→高巻き終了15:10→幕営16:00
薄暗い中トレッキングコースを歩くと、やがて展望台へ。ここからはまたジャングルに突入していくことになる。緩やかな尾根の中、角度を合わせて藪をこいでいくと、ギンゴガーラ川とイタジキ川の合流点へドンピシャで出る。イタジキ川の水流が弱い地点を渡渉し、いよいよ西表島の最奥へと入っていった。
ギンゴガーラ川は苔が豊かな巨岩帯と2m~10m級の滝が連続する場所である。出合いから1時間強ほど歩くと、40mほどのギンゴガーラ大滝が姿を現した。円形のコロッセオのような形状の岩壁をまっすぐに流れ落ちる大水量は、西表の強い日差しと相まって非常に絶景であった。そしてこの滝の大高巻きで4時間にわたる我々の迷走が始まる。
ギンゴガーラ川は西表の最奥に位置しており、その遡行記録は非常に少ない。我々が参照していた中でもっとも参考になったものは京大ワンゲルのそれだったが、実地での様子と食い違う部分が多く、現地に入ってからはあまり当てにしていなかった。ということでこの大高巻きは現地判断となったわけだが、我々がまず選択したのは右岸巻きだった。岩壁に沿って少し戻ると右へ折り返せる部分があり、そこからトラバースを開始すると滝の落ち口のテラスの手前でいきなりスパッと切れた断崖絶壁になる。井熊がリードでトライするがあまりにも足場が悪いため引き返し。その後コロッセオまで戻って左岸からの可能性を試すが、30分ほど岩壁沿いを後退させられた後、ルンゼの弱点を登り上げた先でまたも岩壁に詰んでしまった。西表島の滝全般に言えることだが、滝の形状として落ち口の周囲を絶壁が囲み、その中心から本流の水が流れ落ちるといったパターンが非常に多い。少し戻った場所から緩やかな場所を探して尾根にいったん上がってトラバースするか、岩壁の割れ目に弱点を見つけて登攀するかの選択をするわけだが、そのような形状に初めて直面した我々は上手いルート取りをすることができなかったというわけだ。
そんなこんなで左岸からの巻きも諦めてコロッセオに戻った時には、すでに3時間が経過していた。どうしたものかと考えた後、上級生で最後の可能性である右岸の奥を偵察に行くことにした。先ほど折り返した地点よりさらに奥まで岩壁沿いを戻ると、7.8mはあるスダレ状の滝が出てきて、その水流を浴びながらさらに奥へ進むと岩壁が切れた場所に傾斜が緩いルンゼが10mほど続く。ここからなら上がれそうだと感じ、全員を集めて高巻きを開始した。ルンゼが終わって少し傾斜が緩んだ場所から落ち口へトラバース。1時間弱ひたすら藪をこぐと、大きな涸れた沢型が出現した。下部の大水量がここから流れ落ちているとは考えにくかったが、京大ワンゲルの記録にあった沢型と判断し、高巻きは終了した。
本日は仲良川まで行く予定だったが、大幅な時間のロスによってそれも夢のまた夢。1時間ほど苔むした巨岩帯を詰めていき、平坦地で幕営とした。

9月18日 晴れ
起床5:00→出発6:30→仲良川分水嶺10:10→仲良川北側支流10:30→10:50 10m滝WR25m 11:20→11:40 8m滝WR25m 12:10→12:40ゴルジュ出口WR10m 13:00→13:15 10m滝WR30m 13:40→仲良川本流14:00→14:45ナーラの滝WR40m 15:35→仲良川南側支流出合15:50→16:20 幕営
昨日の遅れを取り返すべく出発。その後は特に難所もなく巨岩帯を歩いていくと、右奥に滝がかかった淵が出現する。地形図上の二俣だと判断し、右俣を取るべく淵を泳いで滝にとりついた。急に水量が減っていき、ギンゴガーラ/仲良川の分水嶺となる。個人的にはこの分水嶺が一番難しいように感じた。右俣をとっていき、小さいゴルジュを越えて仲良川北側支流へ。
仲良川の北側支流は中サイズの滝が連続する川で、4,5回の懸垂で突破していく。途中に残置スリングがある場所もあり、それがマヤグスクに残されたものと同じ色だったことから、同パーティーのものだろうと推測された。途中マヤグスクのミニチュア版のようなゴルジュが出てくるが、高巻きの途中の立木からゴルジュ内に降りることができる。
仲良川本流は幅広の穏やかな渓相で、一部段差が高い場所があるが快適である。2時間ほどでナーラの滝落ち口へと出る。ナーラの滝は観光地ということで左岸に踏み跡があるという情報があったが、そんなものはどこにも見当たらず、代わりに懸垂支点が残置されていた。下部にも観光客などおらず、少し思案した後左岸の立ち木から大滝の際を懸垂で降りることとした。立ち木が水流にあまりにも近かったためか、下部は大水量の流れに打たれての懸垂になってしまった。もう少し奥まで行って木を見つけるか、振られ防止に長めの残置をするべきだった。最初に降りた時はロープの絡みをほどきながらの懸垂で、滝の中で溺れるかと思った。ナーラの滝から巻き道を探してみたが見当たらず、記録にあった巻き道は実質消滅していると見ていいだろう。幅広の渓相を下降していくと、やがて南側支流の出合いが現れ、いよいよ最終区間へと入ってゆく。懸垂で時間を食ってしまったこともあり、本日の行動は出会いから1時間ほど入ったところで幕営とした。

9月19日 晴れ
起床5:00→出発6:30→7:00 10m滝St25m 8:00→三段テーブル滝8:20→8:50 10m滝St20m 9:30→クイラ川分水嶺11:20→クイラ川北側支流12:00→クイラ川本流13:20→クイラ川南側支流出合い15:00→分水嶺15:30→15:50 WR20m 16:30→大浜17:30
爽やかな砂浜と海岸線に憧れてジャングルを渡り幾数日。合宿のゴールを目指すべく、気合十分で出発した。
いきなり10m弱の滝が現れるが、これはどこの記録にもない滝であった。左岸の岩壁沿いに弱点を見つけてロープを出し突破。次に三段テーブル上の滝は右岸から小さめに巻くことができた。次の10mの滝は右岸から巻いたが、ほぼ垂直の木登りでリスクが高く、これもロープを出して巻いた。その後は特に難所なく進み、最初の二俣を右にとり、次を左へ。そこからはほぼ真南へ方角をとってミニゴルジュとわずかな藪漕ぎを超え、クイラ川の北側支流へと合流した。クイラ川の支流は一度懸垂をしたのみで、それほど困難さはない渓相であった。本流は非常に穏やかで、ところどころ水深が深いところを泳いだのみで河原歩きのようなものに終始する。最後の水汲みをした後、大浜へ直に出る滝へ向けて分水嶺越を開始した。この最後の川のルート取りは記録ではまったく判然としなかったのでほぼ現地判断としたが、顕著なゴーロ状の水流を詰めたあと、わずかに地形に残るルンゼをさらに詰めて分水嶺へ。藪漕ぎもほとんどなく最後の本流へと注ぐ支流へ降りるが、大岩が挟まったチムニー状のルンゼが突然現れ、懸垂を強いられる。藪をこぎつつ下ってゆくと、さらに10mほどの滝が出現。これは左岸からなんとか巻くことができた。時間がないため焦りつつも慎重に巨岩を下っていくと、最後の沢の本流になんとか合流することができた。ちらちらと視認できる水平線と波が打ち寄せる音に心を奪われつつも巨岩を降りていくと、遂に南海岸へと辿りついた。その時の感情をここに著すことはできない。
雲一つない青空と砂浜に心を洗われるような時間を過ごし、夜は満点の星空と焚き火がはぜる音に抱かれながら、静かな眠りについた。

9月20日 晴れ
出発10:00→南風見田キャンプ場12:20→大原港14:00
干潮が13時ということでゆっくりと7時ごろ起床し、10時に出発とする。何ひとつ遮るもののない海岸線に容赦なく照り付ける日射はまさに殺人的で、こまめな休憩を余儀なくされた。途中から歩きやすい干潟を選んで海岸線を歩いていくが、途中であまりにも外側を歩いていることに気付いて砂浜へと復帰した。途中で出会った全身真っ黒なお兄さんに食用貝をいただく。もはや同じ人種だとは思えなかったが、何者なのだろう。途中でぽつぽつと釣り人に出会うも、向こうからしてみたら我々は同じように不気味だったに違いない。
日射にうだりながらも砂浜を数時間歩くと、南風見のキャンプ場へ。途中通りがかった地元の方の厚意で、車に荷物のみ積んでバス停まで運んでいただいた。悪魔的な美味のコーラを携えて路線バスに乗りこみ、大原港に到着。我々の西表横断計画は成功に終わった。

◇総括
昨年度から目標としていた西表島の継続遡下降による横断。台風通過後の好天に恵まれ、行程を完遂することができ、大きな達成感を得ることができた。なにより1年生3名を連れてこのルートをトレースできたことは大きな自信となり、リーダーとして、またルーム全体として今後の活動の糧になっていくだろう。

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