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Yamareco

記録ID: 1301022
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沢登り
剱・立山

北ア・K沢でイワナの手づかみ

1999年08月20日(金) [日帰り]
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GPS
--:--
距離
7.8km
登り
739m
下り
614m
天候 晴れ。
アクセス
利用交通機関:
自家用車

感想

 北アルプスの岐阜県側、K川(S渓谷)の支流に渓流釣りに出かけ た。
 イワナの手づかみは、北海道の沢では経験してきたが、本州ではまだない。以前に入ったことのある沢のいくつかの中から、K沢を選んで、試してみた。

 7月後半以来の連続的な山行で、下半身はかなり鍛えられて、もう山へ出かけ ても筋肉痛はおきないほど体調は良好。
 ただ、今度も午前3時半に起床して、高 速・一般道そして林道を片道300キロも走った。帰りの運転は、さすがにへとへ とになった。

 20日午前3時55分、東京・西多摩の自宅発。八王子インター(4時06分)か ら中央道へ上がり、諏訪SAまで走って「豚汁定食」を食べる。厚い雲の上によう やく朝日が顔を出した。

 岡谷から長野道に入って、トンネルをくぐる。抜けたところで前方の視界がひら けると、えっと驚いた。穂高連峰が蝶ガ岳の左上に大きな姿を見せている。
 今まで、中央道の茅野付近からは、ずっと遠くに小さな穂高連峰をながめたこと はあったけれども、松本の近くまで行くと長野道からは穂高は常念の陰になって見 えないと思ってきた。

 それはとんでもない思いこみで、左手前方にものすごく鮮明に、朝日に照らされ た北穂高、涸沢岳、奥穂高岳、西穂高の稜線が、大きく見える。槍は穂先が見え隠 れしているようだが、少しガスがかかっていて、確認できない。それにしても、近 いだけにすごい迫力。今までは晴れた日の明るい時間帯に、ここを走ってなかった から、気がつかなかったのだろうか。

 よそ見運転にはなるが、今日はイワナを接写するレンズしかもってきていない。 車を止める余裕がないので、ともかくじっくり観察した。トンネルを抜けてから見 え始め、塩尻北インターのあたりまで奥穂のピークが見えていた。

 6時07分、松本インターを降りる。今度は常念岳が、前常念を前衛峰のように 従えて、ずいぶんと見映えがする。高度感もあるし、いつもの三角錐の形と違って 新鮮。

 平湯側へ安房トンネルを抜ける(7時ちょうど)。新平湯の先で新穂高への道を 分け、神通川沿いの国道を下る。このあたりは、川沿いにガケが切り立っている。 田部重治が大正元年の夏、このルートを神岡町へ下っているが、そのときに切り 立った崖の道で、馬が体を横にしていて通せんぼされた記述があった。馬は黙々と 草を食んでいる。田部は馬の腹下をくぐるのは危険と、仕方なく尾根を登り馬を高 巻きしてやり過ごしたが、崖の陰では馬方が、煙草を吸って一休みしていたとのこ と。その神通川沿いのルートを、今は車でびゅんびゅんと立派な舗装道を走りぬけ る。

 目的の沢の登り口には8時少しすぎに到着した。ここからの入渓がたいへん。

 作業道をたどり、ついで踏み跡を急登して、尾根を二つ越して、支流 の枝沢に達し、これを下降する。滝の下降を考えて装備を用意してきたので、荷物 も重い。

 歩く人はめずらしい道で、途中、何か金茶色の子猫くらいの獣が根曲がり竹のヤ ブに逃げ込んだ。まさか、テン? サル? 身軽な奴。不意に踏み跡の両側から鳥 の鳴き声と、大きめの鳥がうごめく音がした。キジか山鳥の親子連れの行進を、通 りがかった私が分断してしまったらしい。

 ようやく目的の沢へ下降する。両岸は、密生した笹薮で覆われたブナの林で、ブ ナはなかなか太くて立派だ。流れに立つと、人の姿を見つけたイワナがさっと、岩 陰に走った。

 遡行を開始してすぐに、ちょうどいい淵に出合い、道の途中で見つけたミミズを 餌に竿を振る。この日いちばん大きめの岩魚が、ここで釣れた。ルアーが使えると ころは、これも試してみる。上流に行くとイワナが多くなる。浅い流れを逃げ惑う イワナもいる。歩いていてサッと岩陰に隠れたイワナがいると、両手を使って手づ かみに。イワナは奥に身を隠して動かない。それに前には敏捷に動けるが、バック は苦手。指先を切った綿の手袋をつけて頭の側を押さつつ全身を包みこめば、簡単 に捕らえることができる。

 手づかみは、追いこんで体に触れる瞬間がたまらない。何度も逃げられても、胸 の動悸はしっかり残る。田舎の川で、昔、アユやオイカワを手づかみで獲ったころ のことを思い出す。

 少し大きめの深い淵の底に、2匹のイワナがじっと体を沈ませていた。私の姿を 見られてしまったので、もう餌をながしても反応しない。そのイワナを眺めなが ら、おにぎりを食べた。この沢は茶色か黄色の岩が多く、そのせいなのか黄色っぽ いイワナが6,7割いる。緑がかった黒色のイワナも混じる。

 沢を最上流まで遡行して、小さな流れにも稚魚や小型のイワナたちがしっかり生 息していることを確認した。引き返して、涌き水の場所に保管しておいた8匹のイ ワナを手に、下山にかかった。この地域も最近、大雨に見まわれたのか、沢も踏み 跡も、崩壊や土砂崩れの跡が何ヶ所もあり、足場が悪い。

 車にもどって、沢水で冷やしながら運んできたイワナをクーラーボックスに入れ る。帰りは松本までの国道がやや渋滞気味。中央道も渋滞が少しあって、仮眠を入 れて6時間(行きは4時間)もかかってしまった。

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