記録ID: 1368220
全員に公開
積雪期ピークハント/縦走
白馬・鹿島槍・五竜
杓子岳双子尾根〜白馬岳
2016年04月29日(金) 〜
2016年05月02日(月)


- GPS
- 80:00
- 距離
- 14.6km
- 登り
- 1,910m
- 下り
- 1,310m
コースタイム
◆行動記録
4月29日 入山日 晴れのち曇り
4/28 ムーンライト信州23:58→白馬駅5:40→猿倉7:00→小日向のコル9:30→樺平(テント設営)13:00-14:30→幕営
新宿駅でCLチームの上級生、監督、コーチ方に見送っていただき、ムーンライト信州81号にて白馬駅まで。その後はバスを利用し、猿倉へとアプローチした。小日向のコルまでは猿倉台地をへて、谷上地形をコルまで詰め上げるルートを取ったが、その時点で稜線上を吹く風の音が聞こえ、上部は相当な強風が推測された。小日向のコルから双子尾根の登りとなるが、下部は雪が少なく藪が例年より出ていたため、逆にルート取りに悩まされることとなった。多少の藪こぎと雪面のトラバースを数回強いられた後、一目見ただけでそれとわかる、大きな広場状の樺平へと到着した。
翌日以降の荒天に備えて、すでに強くなり始めていた風に叩かれながら防風ブロックを四方に積み上げ、幕営とした。
4月30日 アタック日 晴れのち吹雪
起床3:00→強風のため一時停滞→TS発7:40→2250m付近岩場Fix8:45-9:30→杓子岳10:50→白馬頂上宿舎11:50→テント設営→幕営14:30
午後からの荒天が予測されたため早めの起床とするが、一晩中テントに叩きつけていた強風が収まる気配がなく、登はん箇所の難度を考慮し、一時停滞とする。6時ごろ日が昇り始めるころになると風も収まりを見せ始めたため、出発を決定した。テント撤収の最中他パーティーが1つ先を行ってしまったため、その後はトレースがついた登はんとなった。
雪は全体を通してアイゼンがよく効く状態で、サクサクと標高をあげる。2250m付近で岩稜が姿を見せ、想定どおりザイルを出す。長谷川のリードで岩場をトラバースするように尾根に上がり、井熊を引き上げる。その後は細いリッジが続き、JPに至る。JPにはテントサイトの跡があり、昨日の強風では相当堪えただろうと感じた。
JPの上部は急な雪壁が50m程続き、緊張のアイゼン歩行となった。ここはザイルを出して然るべき場所だったろうと今になって思う。その後はリッジをしばらく登り、小さい岩場を越えた後、杓子岳へと至った。晴天の中の登頂で気分もよかったが、午後からの荒天に備えて進むか引くか決めなくてはならない。結局、5月2日の好天まで頂上宿舎で耐えることとし、稜線上へ進む判断となった。
頂上宿舎到着前後から急激に天候が悪化し、風雪のなかでのテント設営となった。建物の脇に吹き溜まりとなっている部分があり、風が避けられそうであったので、雪を削ってテントを建てた。
その後も強風と降雪に見舞われ、日付が変わるまでに2回の雪かきを強いられることとなった。
5月1日 停滞日 吹雪
起床
朝4時に体に感じる雪の重みで起きる。雪かきをしようと外に出る際に入り口が埋まっていることに気づき少し焦るも、澤田さんにこじ開けていただき何とか脱出することができた。テントから出るといまだホワイトアウトした谷側から強風が叩きつけてくるのを感じ、ほとんど停滞を覚悟する。除雪作業のために壁とテントを離しているはずだが、跡形もないほど埋まっており、よくポールが折れないものだと感心した。入り口が埋まりかけた教訓を生かしてテント正面を深く掘り下げることにするも、井熊が頑張りすぎて1m近くも掘っていたのには笑ってしまった。これでは入るときに這い上がらなくてはいけないのはもちろん、出た瞬間に滑落の危険性があるので気をつけなくてはいけない。
昼ごろにもう一度除雪に出るが、風雪は若干弱まっており、作業量は前日ほどではない。除雪作業への慣れも相まって作業時間がどんどん短くなっていたのが嬉しかった。
テントを叩く風の強さは終日変わっていないように思えたが、わずかに弱まった降雪に翌日の好天の望みをかけ、濡れて冷たくなったシュラフへともぐりこんだ。
5月2日 曇り
起床2:50→TS発4:40→白馬岳5:20→小蓮華岳手前6:15-6:25→乗鞍岳8:35-8:45→自然園駅9:30
テントから出ると、強風は相変わらずだが、ほとんど降雪はなくなっていた。視界も前日と比べて格段に良くなっており、少しほっとする。日の出前に出発し、順調に白馬岳へと登頂した。その頃には完全に視界は良くなり、登ってきた双子尾根を見ることができた。その後は快適な稜線歩行となるが、三国境への急斜面のくだりで井熊がスリップし、30mほど滑落してしまった。ピッケルストップが効いたから良かったものの、滑落が許されない場所でのスリップは大いに反省しなければならない。長谷川が不調でペースが上がらず、井熊との距離が空いていたのも良くなかった。
その後は慎重に稜線歩行を続け、小蓮華岳、乗鞍岳を回り、天狗原を経由して自然園駅へと下山した。
<総括>
GWという比較的雪山をやりやすい時期にロープワークやアイゼン歩行といった技術の獲得を目的として、澤田ガイドに付き添っていただいた合宿であった。双子尾根ではアイゼン歩行、ロープワーク、稜線上では悪天候におけるテントキープなど、冬山の総合的な技術を満遍なく経験する良い山を行うことができた。しかし、三国境での井熊の滑落、ザイル判断などに多くの反省が出ていて、学生が自らの力で完遂できた山とは言い難い。一見テクニカルな部分に思える反省点も、根本を詰めてみれば気の緩みだったり、チームとしての意識といった精神的な部分の欠陥に集約される。今後学生主体で山行を実施していくにあたり、上級生の意識改善が必須事項と言える。安全な山登りを行っていくために、今回の教訓をチーム運営に生かしていきたいと思う。
4月29日 入山日 晴れのち曇り
4/28 ムーンライト信州23:58→白馬駅5:40→猿倉7:00→小日向のコル9:30→樺平(テント設営)13:00-14:30→幕営
新宿駅でCLチームの上級生、監督、コーチ方に見送っていただき、ムーンライト信州81号にて白馬駅まで。その後はバスを利用し、猿倉へとアプローチした。小日向のコルまでは猿倉台地をへて、谷上地形をコルまで詰め上げるルートを取ったが、その時点で稜線上を吹く風の音が聞こえ、上部は相当な強風が推測された。小日向のコルから双子尾根の登りとなるが、下部は雪が少なく藪が例年より出ていたため、逆にルート取りに悩まされることとなった。多少の藪こぎと雪面のトラバースを数回強いられた後、一目見ただけでそれとわかる、大きな広場状の樺平へと到着した。
翌日以降の荒天に備えて、すでに強くなり始めていた風に叩かれながら防風ブロックを四方に積み上げ、幕営とした。
4月30日 アタック日 晴れのち吹雪
起床3:00→強風のため一時停滞→TS発7:40→2250m付近岩場Fix8:45-9:30→杓子岳10:50→白馬頂上宿舎11:50→テント設営→幕営14:30
午後からの荒天が予測されたため早めの起床とするが、一晩中テントに叩きつけていた強風が収まる気配がなく、登はん箇所の難度を考慮し、一時停滞とする。6時ごろ日が昇り始めるころになると風も収まりを見せ始めたため、出発を決定した。テント撤収の最中他パーティーが1つ先を行ってしまったため、その後はトレースがついた登はんとなった。
雪は全体を通してアイゼンがよく効く状態で、サクサクと標高をあげる。2250m付近で岩稜が姿を見せ、想定どおりザイルを出す。長谷川のリードで岩場をトラバースするように尾根に上がり、井熊を引き上げる。その後は細いリッジが続き、JPに至る。JPにはテントサイトの跡があり、昨日の強風では相当堪えただろうと感じた。
JPの上部は急な雪壁が50m程続き、緊張のアイゼン歩行となった。ここはザイルを出して然るべき場所だったろうと今になって思う。その後はリッジをしばらく登り、小さい岩場を越えた後、杓子岳へと至った。晴天の中の登頂で気分もよかったが、午後からの荒天に備えて進むか引くか決めなくてはならない。結局、5月2日の好天まで頂上宿舎で耐えることとし、稜線上へ進む判断となった。
頂上宿舎到着前後から急激に天候が悪化し、風雪のなかでのテント設営となった。建物の脇に吹き溜まりとなっている部分があり、風が避けられそうであったので、雪を削ってテントを建てた。
その後も強風と降雪に見舞われ、日付が変わるまでに2回の雪かきを強いられることとなった。
5月1日 停滞日 吹雪
起床
朝4時に体に感じる雪の重みで起きる。雪かきをしようと外に出る際に入り口が埋まっていることに気づき少し焦るも、澤田さんにこじ開けていただき何とか脱出することができた。テントから出るといまだホワイトアウトした谷側から強風が叩きつけてくるのを感じ、ほとんど停滞を覚悟する。除雪作業のために壁とテントを離しているはずだが、跡形もないほど埋まっており、よくポールが折れないものだと感心した。入り口が埋まりかけた教訓を生かしてテント正面を深く掘り下げることにするも、井熊が頑張りすぎて1m近くも掘っていたのには笑ってしまった。これでは入るときに這い上がらなくてはいけないのはもちろん、出た瞬間に滑落の危険性があるので気をつけなくてはいけない。
昼ごろにもう一度除雪に出るが、風雪は若干弱まっており、作業量は前日ほどではない。除雪作業への慣れも相まって作業時間がどんどん短くなっていたのが嬉しかった。
テントを叩く風の強さは終日変わっていないように思えたが、わずかに弱まった降雪に翌日の好天の望みをかけ、濡れて冷たくなったシュラフへともぐりこんだ。
5月2日 曇り
起床2:50→TS発4:40→白馬岳5:20→小蓮華岳手前6:15-6:25→乗鞍岳8:35-8:45→自然園駅9:30
テントから出ると、強風は相変わらずだが、ほとんど降雪はなくなっていた。視界も前日と比べて格段に良くなっており、少しほっとする。日の出前に出発し、順調に白馬岳へと登頂した。その頃には完全に視界は良くなり、登ってきた双子尾根を見ることができた。その後は快適な稜線歩行となるが、三国境への急斜面のくだりで井熊がスリップし、30mほど滑落してしまった。ピッケルストップが効いたから良かったものの、滑落が許されない場所でのスリップは大いに反省しなければならない。長谷川が不調でペースが上がらず、井熊との距離が空いていたのも良くなかった。
その後は慎重に稜線歩行を続け、小蓮華岳、乗鞍岳を回り、天狗原を経由して自然園駅へと下山した。
<総括>
GWという比較的雪山をやりやすい時期にロープワークやアイゼン歩行といった技術の獲得を目的として、澤田ガイドに付き添っていただいた合宿であった。双子尾根ではアイゼン歩行、ロープワーク、稜線上では悪天候におけるテントキープなど、冬山の総合的な技術を満遍なく経験する良い山を行うことができた。しかし、三国境での井熊の滑落、ザイル判断などに多くの反省が出ていて、学生が自らの力で完遂できた山とは言い難い。一見テクニカルな部分に思える反省点も、根本を詰めてみれば気の緩みだったり、チームとしての意識といった精神的な部分の欠陥に集約される。今後学生主体で山行を実施していくにあたり、上級生の意識改善が必須事項と言える。安全な山登りを行っていくために、今回の教訓をチーム運営に生かしていきたいと思う。
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