霧の中のイチゴ谷山
- GPS
- 04:31
- 距離
- 8.1km
- 登り
- 631m
- 下り
- 632m
コースタイム
- 山行
- 4:32
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 4:32
天候 | 曇り 700mあたりから雲の中 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2018年02月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
一般コースなし 林道平良谷線の針畑川にかかる橋を渡ってしばらくいくた、右手に分岐する尾根の取り付きへの林道あり。林道の最初の200mはどの間に倒木が集中しているが、ここを迂回出来れば、そこからは倒木は疎らになる。 尾根には頻繁に赤テープあり |
写真
感想
京都の北山でも最もマイナーな山の一つであり、先日の比良に於ける森山岳以上に知られざるヤマレコ ではないだろうか。国土地理院の地図においては山名すら与えられていない。かの有名な高島トレイルは三国岳で終焉することになっているが、三国岳から東に続く尾根は丹波越えで南へと方向を転じ、経ヶ岳よりもさらに南で大きくなだらかな隆起を形成する。その北端に位置するのが、このイチゴ谷山である。名前からは甘酸っぱく可憐な果物を連想するが、漢字は市後と充て、市子すなわち巫女を意味するらしい。ちなみにイチゴ谷はこの山の西の京都側の谷であり、イチゴ谷山とは京都側からの呼称。近江は高島側からはヘラ(平良)谷奥と呼称されるらしい。
本日もこれから明日の出張かのため、夕方から長距離を移動しなければならないので、軽い山行に。なぜ、このマイナーなイチゴ谷山を選択するのか?一つはトレースのついていない深い雪の上を歩く悦びをもう一度、味わいたいから、それから曇りだったので眺望を求める山行を除外、針畑川の流れに沿って北上するアプローチの風景の魅力も選択理由に挙げられるが、もう一つ、この山に惹かれる理由があるのだった。
このイチゴ谷山に至るルートは山と高原地図では見後越えと呼ばれる鞍部に平良谷林道の終点からミゴ谷から遡上するルートが破線で記されているが、雪が緩みはじめた状況では躊躇なく平良谷右岸の尾根を登ることを選択。
平良谷林道から入るとスノーシューのトレースがあるが、林道をまっすぐに見後越えのほうに向かっている。針畑川を渡るとトレースとお別れして、すぐに左手の斜面に取り付くがまもなく林道の上に出る。昨秋の台風21号によると思われる大きな倒木が散在するが、通常は急斜面に難儀することの多い取り付きを一挙に尾根の始点まで運んでくれる。
尾根に入ると、先週に登った経ヶ岳の丹波越えの雰囲気によく似て、杉林の中に石楠花の群落が散見する明るい雰囲気の尾根筋だ。頻繁に赤テープがつけられており、ルートに迷う心配は全くない。勿論、雪の上には人のつけたトレースはないが、鹿のトレースが点々とついている。やがて山頂が近づくにつれ、尾根は極めて狭細なものとなり、傾斜も急になる。左手にしばしば小さな雪庇も発達しているので慎重に足場を考えるが、多くの場合、鹿のトレースを追うこととなった。
このような雪道を行く時、毎度のように思うことだか、鹿のトレースをみていると闇雲に歩行しているわけではなく、常に斜面に対して理想的にコースを選択しているように思われる。鹿は常に同じルートを辿るという習性があるが、それはこのような選択が重複する結果なのか?鹿のトレースが赤テープを意識しているかのように、ほとんどのテープの脇を掠めていくのは驚くばかりだ。そもそも赤テープは鹿による獣道に沿ってつけられているからなのか?コースの取り方という意味において、毎度とても参考になるのであった。
鹿のトレースが導かれるように山頂に辿り着くと、幾つもの私製の山頂標がかけられていた。山頂は杉の樹林の中であり、展望は全くないようだ。リュックをデポすると、いざ909m峰を目指して尾根を南下する。杉林の中の降下が終了するとコナラ、ヒメシャラ、ブナの明るい混合林となり、ますます濃密さを増していく霧は遠くの樹木のシルエットを滲ませていく。右手に市後谷、左手には平良谷のなだらかな源頭が次々とあらわれる。この辺りから聳立するブナや芦生杉の巨木が次々と現れる。大きな杉に樹か密集して生えていると思いきや、芦生杉の幹からブナ、ヒメシャラ、ヤマザクラと数種類の樹木が生えているではないか。
普通に往けば909m峰まで片道半時間もかからないであろうが、濃霧の中、樹々と戯れ、源頭に降りたりしているうちに1時間近く費やしてしまった。909m峰のピークは東に大きく開け、晴れていれば正面に白倉山、その彼方に比良山系を望むことが出来るやうだ。しかし、この濃霧によるめくるめく樹々への幻想的な演出は遮られた展望を補ってるなお余りあるものだった。この山行の真の目的はこの稜線で美しい樹木と戯れることであったのだから。
下山後はかねてより念願であった安曇川沿いの瀟洒なレストランへ。店に入ると「どちらの山に登っていらしたのですか」、と極めて品の良いマダムから尋ねられるが、「イチゴ谷山というのは始めてお伺いしました」とのこと。
山域があまりにもマイナーなせいか、ヤマレコ のキッシュがないので、参考までに今回のコースの通過時間を記す。
平良谷林道入口: 9:10
イチゴ谷山: 11:20
909m峰: 12:15
イチゴ谷山: 12:45
平良谷林道入口: 13:40
コメント
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ツボ足で結構沈んだのではないでしょうか。又、ガスってホワイトアウト状態だしと不安材料ばかり。gps軌跡では道迷いでウロウロした形跡が見られず流石ですかねぇ。
コメント有難うございます。重要なインフォメーションを入れておりませんでした。丹沢とは異なり、登山口の林道に入ったあたりからツボ足ではかなり沈みますので、終始スノーシューでした。それでも腐れ雪で柔らかくなっているところは雪を踏み抜いてしまうことがあり、ヒヤヒヤしました。
鹿のトレースのお陰もありますが(笑)、コースは尾根筋なので道には迷いにくいと思います。
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