白屋岳: 白屋(廃村)から周回
- GPS
- 02:46
- 距離
- 6.5km
- 登り
- 859m
- 下り
- 853m
コースタイム
- 山行
- 2:44
- 休憩
- 0:02
- 合計
- 2:46
天候 | 曇り時々晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2018年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
白屋集落から大平に至るまで、また大平から尾根筋を下るルートはいずれも地図に記載されたコースはないが、前者トレースは明瞭。後者は尾根筋が明瞭なので、ルート・ファインディングは困難ではないと思われる |
写真
感想
この週末は天気がよければ残雪を求めて奥越か湖北か、或いは氷ノ山かと思案していたのだが、奥越は土日共に予報では天気が優れない。氷ノ山はすでにあまりにも雪が消失しているようで、奈良に南下することとした。午前中に京都で片付けなければならない用事があったので、午後の短時間で登れる山という制約の中で山を探すことになった。
この白屋岳、大和上市から吉野川に沿って国道169号を南下すると、台高山脈の前衛として吉野川の右岸に大きな山容を広げるのがこの白屋岳である。この白屋岳という名称、この白屋集落に由来するが、奈良県の分間登山ガイドの記載によると、義経が八幡神社に奉納した白矢によるという、歴史の深さを感じさせるものである。しかし、この集落の歴史に突如として打たれた終止符は悲劇といか云いようがない。2003年の大滝ダムの湛水試験の際に生じた地滑りのために全集落37戸が移転を余儀なくされ、廃村となる。
吉野川を堰き止めて造られた大きな大滝ダムを越えると、その大滝ダムに架けられた斜張橋である白屋橋を渡り、急峻な坂を登ると鹿除けのためのフェンスを開けて、白屋展望台公園に辿り着く。ダム湖が一望のもとであり、大所山が目の前に聳える。このガイドブックにも載っていない展望台公園、その立派な東屋とトイレは移転を余儀なくされた人々への義理なのだろうか。
上を見上げると急峻な斜面に段々に築かれた立派な石垣がかつての住居跡を示すよすがであり、非常に歴史の古い集落であったとこを寂しげに物語る。陽当たりも良好で、かつては長寿の村であったらしい。茫々と吹き抜けていく風が弥が上にも廃村の荒涼に拍車をかけるようだ。
展望台から立派な石垣の間を階段を登ってゆくと、再び鹿除けのフェンスの扉を開けて、いよいよ登山道に入り、杉の植林の中を登る。地図には載っていないルートではあるものの、踏み跡は非常に明瞭だ。対岸の川上集落にある川上中学校が学校行事としてこの山に登る際に辿るルートらしい。
踏み跡のすぐ脇には深く剔られた登山道の跡がある。樹々の枝や倒木で荒れているが、おそらく古くから使われた山道なのであろう。斜面に対して右にトラヴァースするように登っていた山道が左に向きを変えるとヤマプラの地図に記されている登山道と合流し、すぐに伐採された展望地、大平に着く。正面に見えるのは吉野の山々だろう。雲の合間からは漏れ出る光が幾つもの筋をつくる。
ここからは尾根道を上がってゆく。山頂直下のコルになるとそれまでの杉林は突如として終わり、落葉樹林となる。下は湿地帯となり一面にバイケイソウの若葉か芽吹いている。程なく樹林に囲まれた山頂に到着する。山頂からは南西に展望が開けるが、大峰山脈の方は霞んでおり、山稜が辛うじて同定できる程度だ。
下山は尾根道から逸れて林道へ降りる一般登山路の道標があったが、敢えて尾根を直進する。道は明瞭ではないものの、随所に赤テープがあり、道に迷うことはない。最後は林業の作業道と思われる踏み跡を辿り、取水施設と思われる小さな小屋の前で舗装された林道に出た。
この山の印象は白屋の廃村、あるいは石垣の遺構の圧倒的な印象に凌駕されてしまう。いつか、またこの道を通ることがあれば再び立ち寄りたいところだ。
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
ルートを登録する
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する