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Yamareco

記録ID: 1448724
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雪山ハイキング
妙高・戸隠・雨飾

小谷村・残雪の大渚山/折れたピッケルで厳しい雪壁下降

2018年04月28日(土) [日帰り]
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GPS
--:--
距離
8.3km
登り
750m
下り
750m

コースタイム

出発6:00−小谷温泉登山口6:10−石碑6:50−休憩7:00〜7:20−1180m圏コブ8:05−林道に出る8:20〜8:55−湯峠9:35−1365m峰10:00〜10:25−1510m圏肩11:20−大渚山東峰頂上11:45〜12:30−1510m圏肩12:50−1365m峰13:30〜13:35−湯峠13:55−林道からの下降点14:20〜14:45−石碑15:25−小谷温泉登山口15:45−ゴール15:50
天候 無風快晴
過去天気図(気象庁) 2018年04月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
糸魚川街道(国道148号線)を北上し、中土のトンネルを抜けた直後の信号で、小谷温泉の案内に従って右折し、県道114号線に入る。小谷温泉の先で、路肩に駐車可。
コース状況/
危険箇所等
小谷温泉から鎌池の脇、湯峠を経て、大渚山を往復した。標高950m付近から残雪を踏むようになり、1050mを越えると全面雪上歩行となる。
頂上稜線の1510m圏肩に出る手前が一番の悪場。雪庇が崩れた跡を抜け、平均30度程、部分的に40度を越える雪壁を登降する。
東峰の手前は部分的に溝状の夏道が現れるが、雪面との段差が高いので切り抜けるのに苦労する。
小谷温泉のバス停前の山田旅館に入って行く
2018年04月28日 06:06撮影 by  Canon PowerShot D30, Canon
4/28 6:06
小谷温泉のバス停前の山田旅館に入って行く
旅館の庭の桜が満開だ。東京より1ヶ月も遅い
2018年04月28日 06:07撮影 by  Canon PowerShot D30, Canon
4/28 6:07
旅館の庭の桜が満開だ。東京より1ヶ月も遅い
旅館の庭先に敷地内の案内と一緒に、鎌池登山道の案内もあった。親切だ
2018年04月28日 06:08撮影 by  Canon PowerShot D30, Canon
4/28 6:08
旅館の庭先に敷地内の案内と一緒に、鎌池登山道の案内もあった。親切だ
案内に従って旅館の建物の間を抜けていく。他人の土地へ侵入する感じで、これで正規ルートなの?と不安だ
2018年04月28日 06:09撮影 by  Canon PowerShot D30, Canon
4/28 6:09
案内に従って旅館の建物の間を抜けていく。他人の土地へ侵入する感じで、これで正規ルートなの?と不安だ
旅館の建物の壁に鎌池への案内があった。ヤレヤレ間違いはなかった
2018年04月28日 06:09撮影 by  Canon PowerShot D30, Canon
4/28 6:09
旅館の建物の壁に鎌池への案内があった。ヤレヤレ間違いはなかった
旅館の裏の畑の中を登って行く
2018年04月28日 06:15撮影 by  Canon PowerShot D30, Canon
4/28 6:15
旅館の裏の畑の中を登って行く
登山道は明瞭だし、初めのうちは赤リボンが頻繁に付けられている。雪を踏むようになる
2018年04月28日 06:46撮影 by  Canon PowerShot D30, Canon
4/28 6:46
登山道は明瞭だし、初めのうちは赤リボンが頻繁に付けられている。雪を踏むようになる
古い石碑が祀られていた。何が書いてあるのか判読できない。ここは古道なのかしら。どなたか花を手向けていた
2018年04月28日 06:49撮影 by  Canon PowerShot D30, Canon
4/28 6:49
古い石碑が祀られていた。何が書いてあるのか判読できない。ここは古道なのかしら。どなたか花を手向けていた
木の幹の4, 5mの高い個所に道標が打ち付けてある。そこまで雪が積もるのかしら
2018年04月28日 07:35撮影 by  Canon PowerShot D30, Canon
4/28 7:35
木の幹の4, 5mの高い個所に道標が打ち付けてある。そこまで雪が積もるのかしら
急登が続いてきたが、標高1140m付近でやっと傾斜が緩んできた
2018年04月28日 08:02撮影 by  Canon PowerShot D30, Canon
4/28 8:02
急登が続いてきたが、標高1140m付近でやっと傾斜が緩んできた
1180m圏コブの辺りに来たが、なだらかなコブが波打っているので、地形図上のコブがどれかは判然としない
2018年04月28日 08:06撮影 by  Canon PowerShot D30, Canon
4/28 8:06
1180m圏コブの辺りに来たが、なだらかなコブが波打っているので、地形図上のコブがどれかは判然としない
夏道は池へと通じているが、今は雪上どこでも歩けるので、池の南側に伸びている写真正面の支尾根を上がることにする
2018年04月28日 08:13撮影 by  Canon PowerShot D30, Canon
4/28 8:13
夏道は池へと通じているが、今は雪上どこでも歩けるので、池の南側に伸びている写真正面の支尾根を上がることにする
平坦な雪原となっている鎌池と、その先の林の中の建物を支尾根から見下せる。奥は金山と天狗原山
2018年04月28日 08:19撮影 by  Canon PowerShot D30, Canon
4/28 8:19
平坦な雪原となっている鎌池と、その先の林の中の建物を支尾根から見下せる。奥は金山と天狗原山
林道に出た。直角に折れ曲がった地点だ。これで、池の縁を通って北岸で林道に出る夏道をショートカットできた
2018年04月28日 08:22撮影 by  Canon PowerShot D30, Canon
4/28 8:22
林道に出た。直角に折れ曲がった地点だ。これで、池の縁を通って北岸で林道に出る夏道をショートカットできた
湯峠まで林道を辿る。途中で、目指す大渚山が望まれた。なかなか迫力があり、登行意欲をそそられる
2018年04月28日 09:18撮影 by  Canon PowerShot D30, Canon
4/28 9:18
湯峠まで林道を辿る。途中で、目指す大渚山が望まれた。なかなか迫力があり、登行意欲をそそられる
湯峠に着いた。雨飾山が現れたが、これから先、何度もお目にかかれる
2018年04月28日 09:35撮影 by  Canon PowerShot D30, Canon
4/28 9:35
湯峠に着いた。雨飾山が現れたが、これから先、何度もお目にかかれる
まずは1365m峰へ登る。夏道が出ている
2018年04月28日 09:40撮影 by  Canon PowerShot D30, Canon
4/28 9:40
まずは1365m峰へ登る。夏道が出ている
雪面を登ったり、夏道を辿ったりしながら進む
2018年04月28日 09:55撮影 by  Canon PowerShot D30, Canon
4/28 9:55
雪面を登ったり、夏道を辿ったりしながら進む
1365m峰を越え、大渚山本峰の雪稜登りとなる。右上方に頂上が聳え立っている
2018年04月28日 10:47撮影 by  Canon PowerShot D30, Canon
4/28 10:47
1365m峰を越え、大渚山本峰の雪稜登りとなる。右上方に頂上が聳え立っている
雨飾山の南西側裾野まで見えるようになってきた
2018年04月28日 10:51撮影 by  Canon PowerShot D30, Canon
4/28 10:51
雨飾山の南西側裾野まで見えるようになってきた
次第に傾斜が増してきた。左の東側に張り出した雪庇の崩れた跡をぬって登る
2018年04月28日 10:57撮影 by  Canon PowerShot D30, Canon
4/28 10:57
次第に傾斜が増してきた。左の東側に張り出した雪庇の崩れた跡をぬって登る
先行者のトレースが残っているので、これを辿ると楽だ
2018年04月28日 11:01撮影 by  Canon PowerShot D30, Canon
4/28 11:01
先行者のトレースが残っているので、これを辿ると楽だ
二重に雪がずれているので、右寄りに進む
2018年04月28日 11:05撮影 by  Canon PowerShot D30, Canon
4/28 11:05
二重に雪がずれているので、右寄りに進む
この辺りが最も急な悪場。しかし雪が柔らかく、キックステップで大きな足場を刻めるので安定して登れる
2018年04月28日 11:08撮影 by  Canon PowerShot D30, Canon
4/28 11:08
この辺りが最も急な悪場。しかし雪が柔らかく、キックステップで大きな足場を刻めるので安定して登れる
この辺りは平均傾斜が30度ほど、部分的には40度を越える雪壁が連続する
2018年04月28日 11:12撮影 by  Canon PowerShot D30, Canon
4/28 11:12
この辺りは平均傾斜が30度ほど、部分的には40度を越える雪壁が連続する
前の写真の悪場を越えて振り返ると、登って来た雪壁が隠れて見えない
2018年04月28日 11:16撮影 by  Canon PowerShot D30, Canon
4/28 11:16
前の写真の悪場を越えて振り返ると、登って来た雪壁が隠れて見えない
大渚山頂上から北に落ちる岩稜とその側壁が圧倒する
2018年04月28日 11:17撮影 by  Canon PowerShot D30, Canon
4/28 11:17
大渚山頂上から北に落ちる岩稜とその側壁が圧倒する
標高1510m辺りで頂上稜線の肩に出た。もう頂上は目の前だ
2018年04月28日 11:27撮影 by  Canon PowerShot D30, Canon
4/28 11:27
標高1510m辺りで頂上稜線の肩に出た。もう頂上は目の前だ
狭い雪稜を進む。振り返ると自分のトレースがくっきり
2018年04月28日 11:31撮影 by  Canon PowerShot D30, Canon
4/28 11:31
狭い雪稜を進む。振り返ると自分のトレースがくっきり
頂上直下で再び急登。雪が途切れて溝状の夏道が現れている。夏道に降り、再び雪堤に乗ろうとするが、段差が大きく、周りは藪なので苦労する。ここでピッケルのシャフトが折れた
2018年04月28日 11:32撮影 by  Canon PowerShot D30, Canon
4/28 11:32
頂上直下で再び急登。雪が途切れて溝状の夏道が現れている。夏道に降り、再び雪堤に乗ろうとするが、段差が大きく、周りは藪なので苦労する。ここでピッケルのシャフトが折れた
その先の夏道にはロープが張ってあった。夏道からハングした雪堤に乗るためには、左の藪から回り込まなければならない
2018年04月28日 11:35撮影 by  Canon PowerShot D30, Canon
4/28 11:35
その先の夏道にはロープが張ってあった。夏道からハングした雪堤に乗るためには、左の藪から回り込まなければならない
頂上直下の分岐点。左は展望台、直進は東峰。当然、直進
2018年04月28日 11:44撮影 by  Canon PowerShot D30, Canon
4/28 11:44
頂上直下の分岐点。左は展望台、直進は東峰。当然、直進
東峰の頂上に着いた。真北に大渚沢を隔てて雨飾山がそそり立っている。前沢奥壁が威圧的だ
2018年04月28日 12:15撮影 by  Canon PowerShot D30, Canon
4/28 12:15
東峰の頂上に着いた。真北に大渚沢を隔てて雨飾山がそそり立っている。前沢奥壁が威圧的だ
その東側に金山と天狗原山が望める。50数年前の夏に、雨飾山からここを通って周回した時、強烈な落雷で天狗原山を越えられず、収まるまで1時間待った
2018年04月28日 11:50撮影 by  Canon PowerShot D30, Canon
4/28 11:50
その東側に金山と天狗原山が望める。50数年前の夏に、雨飾山からここを通って周回した時、強烈な落雷で天狗原山を越えられず、収まるまで1時間待った
雨飾山と金山の間から、海谷山塊の昼闇山が顔を覗かせている。5年前の4月に、ここから雨飾山の北面や鬼ヶ面山などを眺めてノスタルジーに浸った
2018年04月28日 11:51撮影 by  Canon PowerShot D30, Canon
4/28 11:51
雨飾山と金山の間から、海谷山塊の昼闇山が顔を覗かせている。5年前の4月に、ここから雨飾山の北面や鬼ヶ面山などを眺めてノスタルジーに浸った
東方向、薬師岳の上に妙高山が頭を出している。乙見山峠を越える林道が引っかき傷みたいだ
2018年04月28日 11:50撮影 by  Canon PowerShot D30, Canon
4/28 11:50
東方向、薬師岳の上に妙高山が頭を出している。乙見山峠を越える林道が引っかき傷みたいだ
南東方向には、平らな堂津岳の上に高妻山、乙妻山が見える。7, 8年前の5月に奥裾花自然園から堂津岳を往復したが長かった
2018年04月28日 12:14撮影 by  Canon PowerShot D30, Canon
4/28 12:14
南東方向には、平らな堂津岳の上に高妻山、乙妻山が見える。7, 8年前の5月に奥裾花自然園から堂津岳を往復したが長かった
その堂津岳から南に伸びる尾根を辿ると東山に着く。一度登ってみたいけれど、岩場が厳しそうで、もう無理だろうなあ
2018年04月28日 12:14撮影 by  Canon PowerShot D30, Canon
4/28 12:14
その堂津岳から南に伸びる尾根を辿ると東山に着く。一度登ってみたいけれど、岩場が厳しそうで、もう無理だろうなあ
南西から西にかけて、北アルプスの鹿島鑓ヶ岳から白馬岳の北の山々が望める。しかし春霞でぼんやり。手前のコブが大渚山三角点と避難小屋がある展望台。でも、これでは行っても眺望は利かないだろう
2018年04月28日 12:16撮影 by  Canon PowerShot D30, Canon
4/28 12:16
南西から西にかけて、北アルプスの鹿島鑓ヶ岳から白馬岳の北の山々が望める。しかし春霞でぼんやり。手前のコブが大渚山三角点と避難小屋がある展望台。でも、これでは行っても眺望は利かないだろう
ウッドシャフトが折れたピッケル。石突きの直ぐ上で折れたのでシャフトは十分な長さがあるから、雪に刺さればホールドとして使えそうだ
2018年04月28日 12:17撮影 by  Canon PowerShot D30, Canon
4/28 12:17
ウッドシャフトが折れたピッケル。石突きの直ぐ上で折れたのでシャフトは十分な長さがあるから、雪に刺さればホールドとして使えそうだ
展望台は東峰より低いからパスして下山する。上りで手こずった夏道と雪堤は、下りでは簡単に通過出来た。雪稜となり、途中から頂上を振り返る
2018年04月28日 12:44撮影 by  Canon PowerShot D30, Canon
4/28 12:44
展望台は東峰より低いからパスして下山する。上りで手こずった夏道と雪堤は、下りでは簡単に通過出来た。雪稜となり、途中から頂上を振り返る
標高1510m辺りの肩を過ぎて急な雪壁を下る。折れたピッケルでも雪が柔らかいので十分差し込め、ホールドとして使える
2018年04月28日 12:59撮影 by  Canon PowerShot D30, Canon
4/28 12:59
標高1510m辺りの肩を過ぎて急な雪壁を下る。折れたピッケルでも雪が柔らかいので十分差し込め、ホールドとして使える
二重に崩れた雪庇の跡は山側の切れ目の底を下りると楽だった
2018年04月28日 12:59撮影 by  Canon PowerShot D30, Canon
4/28 12:59
二重に崩れた雪庇の跡は山側の切れ目の底を下りると楽だった
一番の悪場に差し掛かる。リングを抜いたストックと、折れたピッケルを両手に持って後ろ向きで降りる。足場がバケツ並みに掘れるので安定して下れた
2018年04月28日 13:04撮影 by  Canon PowerShot D30, Canon
4/28 13:04
一番の悪場に差し掛かる。リングを抜いたストックと、折れたピッケルを両手に持って後ろ向きで降りる。足場がバケツ並みに掘れるので安定して下れた
傾斜が緩ければ前向きで、40度を越える雪壁になれば後ろ向きで、と、状況に応じて態勢を変えながら順調に降りられた
2018年04月28日 13:06撮影 by  Canon PowerShot D30, Canon
4/28 13:06
傾斜が緩ければ前向きで、40度を越える雪壁になれば後ろ向きで、と、状況に応じて態勢を変えながら順調に降りられた
大分降りてきて尾根の傾斜もなだらかになった。もう安心だ
2018年04月28日 13:14撮影 by  Canon PowerShot D30, Canon
4/28 13:14
大分降りてきて尾根の傾斜もなだらかになった。もう安心だ
1365m峰を越えれば湯峠は近い。下りは夏道より雪面を歩いた方が早いし楽だ
2018年04月28日 13:42撮影 by  Canon PowerShot D30, Canon
4/28 13:42
1365m峰を越えれば湯峠は近い。下りは夏道より雪面を歩いた方が早いし楽だ
湯峠まで降りて来た。上る時には右手の藪の中を通ったが、下りでは雪面を一気に降りる
2018年04月28日 13:53撮影 by  Canon PowerShot D30, Canon
4/28 13:53
湯峠まで降りて来た。上る時には右手の藪の中を通ったが、下りでは雪面を一気に降りる
湯峠から林道を歩き、鎌池をショートカットするため、上りに使った支尾根の下降点まで来た
2018年04月28日 14:18撮影 by  Canon PowerShot D30, Canon
4/28 14:18
湯峠から林道を歩き、鎌池をショートカットするため、上りに使った支尾根の下降点まで来た
支尾根を降りると、1180m圏コブを含んだなだらかなコブだらけの迷路。帰路を考えて往きに付けた赤テープを見つけるとホッとする
2018年04月28日 14:57撮影 by  Canon PowerShot D30, Canon
4/28 14:57
支尾根を降りると、1180m圏コブを含んだなだらかなコブだらけの迷路。帰路を考えて往きに付けた赤テープを見つけるとホッとする
標高1140m付近から急傾斜になるが、自分で付けた赤テープに助けられながら順調に降りられた。ベタだった雪面も切れ間が現れてきた
2018年04月28日 15:17撮影 by  Canon PowerShot D30, Canon
4/28 15:17
標高1140m付近から急傾斜になるが、自分で付けた赤テープに助けられながら順調に降りられた。ベタだった雪面も切れ間が現れてきた
雪が消えた道を下って行くと、県道の路肩に停めた愛車が見えてきた。真っすぐ降りられれば近いが無理。上りと同じに旅館経由で降りるが、ここから12, 3分でゴール
2018年04月28日 15:35撮影 by  Canon PowerShot D30, Canon
4/28 15:35
雪が消えた道を下って行くと、県道の路肩に停めた愛車が見えてきた。真っすぐ降りられれば近いが無理。上りと同じに旅館経由で降りるが、ここから12, 3分でゴール
撮影機器:

感想

大渚山は長野県最北部の小谷村にあり、小谷温泉の裏山で雨飾山の展望台である。
今シーズンは、まだピッケルやアイゼンを使うような雪山には登っていないので、シーズン最後の雪山登山を狙って大渚山に出かけた。

無雪期ならば大渚山には簡単に登れる。小谷温泉から湯峠まで舗装された林道が通じていて、峠から1時間で頂上に着けるらしい。しかし、豪雪地帯のここは4月も末なのにまだまだ雪がたっぷり残っている。林道は雨飾荘の直ぐ先で通行止になっていた。この林道を湯峠まで歩いて行ったら長い上に退屈だ。そこで、小谷温泉からトレッキングコースを辿って鎌池の脇で林道に出ることにした。

標高950m付近から残雪を踏むようになり、1050mを越えると全面雪となった。この辺りまで上ると、最初は頻繁に付いていた赤リボンもほとんど見かけることがなくなった。上りは良い、高みを目指して登って行けば良いのだから。しかし、帰路を考えると、何の特徴も無い急な山腹をひたすら突き上げているので、下りのルート探索が思いやられる。このため、下りで迷いそうな所に赤テープを付けながら登って行った。

鎌池がある1170m圏の台地に出ると、この迷路はさらにひどくなった。なだらかな小さなコブがあちこちにある。鎌池には寄らずに、その南の支尾根を上って直接林道に出るショートカットルートを採る積りである。支尾根は直ぐに見つかったが、やはり帰路が憂鬱。帰りに林道からこの支尾根を降りてきても、コブだらけの迷路を抜けて温泉へ降りるルートに的確に入れるかどうか不安だ。このため、ここでも赤テープを追加しながら進んだ。

比較的雪は締まっていたので、往きに付けた自分の足跡は微かで、この陽気では下山の頃には消えてしまうだろう。だから、往復の場合は、帰路で迷い易い個所に、往きの段階で赤テープを付けてながら進む。なお、自分が付けたテープは帰路で回収することを心掛けている。

下山時、この赤テープが役立った。どこも同じに見えるコブだらけの平坦地を進み、特徴がない急な山腹を下りて行くので、ルート詮索に緊張する。この際に、自分が付けた赤テープを見つけるとホッとする。お陰で迷うことなく無事に下山できた。

湯峠から大渚山頂上までは予想以上に厳しかった。特に、1510m圏で頂上稜線の肩に出る少し手前が緊張した。この辺りは平均傾斜が30度ほどだが、部分的には40度を越える雪壁が連続している。
鎌池の手前は林の中で締まっていた雪も、この辺りでは強い日差しにさらされて雪は柔らかくなっていた。アイゼンを履いてはいるが、キックステップすれば、大きな足場を刻めるので安定して登れることができた。このため、雪壁と言える程の急斜面でも、上りでは登攀を楽しむ余裕があった。

肩に出て一息つき、後はなだらかな尾根を辿れば頂上に簡単に着ける、と踏んだ。でも、これが甘かった。
標高1530mから再び急登。しかし雪面ではなく、溝状の夏道が所々に露出していて、その前後は雪堤と言った状態。一度夏道に降り、再び雪堤に乗ろうとするが、段差が1m以上もある。周りは藪。仕方ない、一度枝に乗ってから雪堤に移ろうとした。アイゼンを履いての枝乗りは不安定極まりない。さらにそこから雪堤に乗り移るため、雪にピッケルを差し込み、これをホールドにして体をずり上げようとしたら、ポキッと言う音とともにピッケルが抜けた。危うく転げ落ちるところだった。

見ると、石突きの直ぐ上でウッドシャフトが折れている。さあ困った。どうしよう。ピッケル無しでこのルートを登降することは危険だ。あと頂上まで標高差で30m程だが、登頂は諦めるか。
でも、折れたピッケルで厳しいのは、先ほど登って来た肩直下の雪壁だ。頂上まで行っても、ここで退却しても、あの悪場を折れたピッケルで下らなければならないのは同じ。

と言うことで、気を取り直して前進、一応、東峰の頂は踏んだ。しかし、三角点がある展望台までは行かなかった。春霞で北アルプスはぼんやりしか見えないから、行っても眺望は楽しめない。また、東峰の方が高いので、わざわざ低い展望台まで往復することもないだろう。なお、折れたピッケルであの悪場を無事に降りられるかしら、と言う不安が働いて、展望台まで行く気が起きなかったのかもしれない。

しかし、下山は案ずるより産むが易し。結果は思った程の厳しさも無く無事に悪場を下りられた。
雪が柔らかいので、石突きが無くてもピッケルのシャフトは十分刺さった。これを片手に持ち、もう一方にはリングを抜いたストックを使って後ろ向きで降りれば、40度を越えた雪壁でも安定して下降でき、何の不安も無かった。
悪場を過ぎ、少し緩やかになった雪稜を前向きに下れるようになった時には、さすがにホッとした。

今回は、往きには残雪の山を楽しむ余裕があった。しかし、下山時には、シャフトが折れたピッケルで40度を越える雪壁を下ったり、迷路のような台地や何の特徴も無い急斜面の下降でルート探索に緊張したり、とスリリングな場面に遭遇した。
でも、それだけ充実した山行でした。

折れたピッケルは、写真で分かるようにウッドシャフトである。50数年来愛用してきた骨董品級で、携行していると珍しがられた。今は100%メタルシャフトだろうから、折れることは考えられないだろう。
さて、来シーズンはどうしよう。今更メタルシャフトのピッケルを新たに購入するのも業腹だ。もう後期高齢者なのだからピッケルを使うような山には登るな!という御神託なのかしら。でもこれもまた寂しい限りである。

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