阿弥陀ヶ峰〜清水山〜東山山頂公園☆たまには京都の夜景も
- GPS
- 01:30
- 距離
- 7.4km
- 登り
- 349m
- 下り
- 313m
コースタイム
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2018年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 タクシー
|
コース状況/ 危険箇所等 |
阿弥陀ヶ峰からの下りは一般登山道なし 清閑寺から北の京都一周トレイルはよく整備されており、倒木も処理されている |
写真
感想
この日は夜に京都駅の近くの会議室で仕事があるので、午後の御池岳への山行から戻るとネクタイを締めて出かける。西の空に目を向けると雲一つない空が茜色に染まりつつある。私の出番まではまだ時間があるので、少し東山を逍遥する余裕がありそうだ。
即座に京都駅から東に向かうバスの乗り場に向かうが無情にもバスは目の前で扉が閉まる。次のバスが来るまではかなりの時間がありそうだ。それならばと紺ブレをリュックに畳んでしまうと、軽く小走りに七条通りを東に向かう。川端通りを過ぎたところで、ようや先程、私の目の前で扉を閉めたバスが追いついてくる。
東山の京都国立博物館は金曜日なので夜8時までの夜間開館の日であり、大勢の来館客を迎えている。展覧会の内容によっては博物館に立ち寄ることも考えたが、展覧会は「京のかたな 匠のわざと雅のこころ」というものだった。最近、刀剣がブームであるとは聞いたことがあるが、私にはあまり縁のないジャンルだ。しかし、なんと驚いたことに、来館者の多くが若い女性であった。
黄昏の博物館の賑わいをよそに東山通りを進み智積院の前に出る。丁度、先程のバスが七条通りの角を曲がってゆくところだった。智積院の前には最近、新たに開業したfour seasonホテルが石垣の上に、この場所はかつては平重盛の山荘庭園として作庭された積翠園があったところであり、私にとっては想い出深い場所である。果たして今はこの庭園がどのような状況になっているのか大変気になるところではあるが、用事もないのにホテルの中に入るわけにもいかないだろう。
京都女子大学の女学生や教員とすれ違いつつ、女坂を登ってゆく。女子大の門を過ぎて正面の石段を登り、右手に行くと京都を見晴らせる場所がある。残念ながら陽は沈んだ後であったが、この日は残照が美しい。西の空にパステルをぼかしたかのように薄紫色が広がってゆく。
この場所の奥は京都プリンセス・ラインのバスの車庫となっており、真紅に塗られたバスが数多く停まっている。石段の正面を奥に進むと円錐形の山、阿弥陀ヶ峰があるのだが、この山に豊臣秀吉の霊廟、豊国廟があるということは意外にもあまり知られていないのではないだろうか。京都の地図を注意深くみると五条通りが不自然に南にあることに気がつくことだろう。かつては五条通の東に壮麗な豊国社があり、ここに参詣させるために秀吉自身は当時の五条通りを無理やり南に移動させたためである。
まず豊国廟に向かって石段を登ってみる。登り口には往復には20分から40分ほどかかるので、日没時の参詣はご遠慮下さいとあるが、通行止めにはなっていないようだ。長い石段を登り始めると途端に汗が吹き出し始める。ネクタイもシャツも脱いで、速乾のTシャツ一枚で快足に石段を登る。
石段を登りきったと思いきや、門の向こうににはさらに長く傾斜を増した階段が待ち構えているのであった。長い石段を登りきるとようやく大きな石が積まれた霊廟である。周囲は木立に囲まれ、何とも侘しい場所である。かつては極めて絢爛豪華で壮麗を極めた霊廟があったらしい。しかし、関ヶ原の戦いの直後、徳川家康により取り壊され、明治になって再建されたこの霊廟もかつての壮麗さを偲ぶよすがもない。
ここから阿弥陀ヶ峰の北側を覗くと羊歯の藪の中を下る細い踏み跡があるではないか。しかし、明らかに整備のされていない道だ。細かな倒木が多く、しかも蜘蛛の巣だらけだ。あたりは急速に暗くなってゆく。そのせいかどうかはわからないがいつしか踏み跡は不明瞭となり、下方には車道がみえるのだが、道は完全になくなっている。幸いにして下草の少ない斜面であったので、急斜面ではあるが無理矢理、斜面を下ると、国道1号線から東山通りに下る道路に出る。
道を渡って国道の下を潜ると、清閑寺前に出る。さて、ここからは京都一周トレイルに入るので、途端に歩きやすい道である。遂にヘッデンをつける。下からはしきりとピンポンパンポーンと音と放送が聞こえる。清水寺が拝観時間の終了と退出を促しているのだ。清水寺の拝観時間は以外にも遅い。豊国廟よりは余程、清水寺に訪れたほうが美しい夕景を鑑賞するに相応しい場所であった。
西の空は山端が残照で橙色に染まっている。杉林の中から残照を眺められスポットを期待したが、残念ながらそのような場所は見当たらず。ようやく東山山頂公園に辿り着くと、残照がまさに消えなんとするところであった。
公園の夜景が見えるところに向かうと手を繋いだスーツ姿の男女とすれ違う。ということは美しい夕景の時間が過ぎてしまったということか。公園にいるのは若い男女二人のみであった。私が京都の夜景の写真を撮っていると、写真を撮ってくれませんかと二人から声をかけられる。驚いたことに何と制服姿ではないか。女の子から渡されたスマホでは綺麗に写真を撮ることが出来なかったのだが、スマホのせいなのか私のせいなのかはわからない。公園の入り口では貸切のタクシーが待っていたので、先程の高校生が乗ってきたものだろう。粋なことをする高校生カップルがいるもんだ。
さて、ここからはカウントダウンである。粟田口まで一気にかけ降りる。粟田神社の門扉は閉まっていたが、その横から出ることが出来る。三条通りに出てタクシーに乗ると車内でワイシャツにネクタイを締め、再び紺ブレを着込んで京都駅に戻るのだった。京都駅の仕事の会場に着く。
私のグレーのサマーウールのズボンにはいくつものひっつき虫がついているのに気がついたのは仕事が終わってからのことであった。
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
ルートを登録する
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する