仙丈ヶ岳


- GPS
- --:--
- 距離
- 8.7km
- 登り
- 1,128m
- 下り
- 1,076m
天候 | ガッスガスのち晴れからの梅雨明け |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
|
予約できる山小屋 |
|
写真
感想
2012年7月16日。
この日は甲斐駒ケ岳とは北沢峠を挟んで反対側にある仙丈ヶ岳に登りました。
仙丈ヶ岳は3000m峰でありながら難所・悪場がほとんど無いため初心者にも気軽に登れる山ということで南アルプス入門に最適なんだとか。
そうは言っても3000m峰です。なめてかかるわけには行きません。
登山の鉄則、早出早帰りを守るため、昨日と同じく暗いうちにスタートします。
ちなみに、今朝もテン場は霧か小雨のようなものに包まれしっとりしていました。
さて、登山コースですが、本来計画では藪沢新道をたどり仙丈ヶ岳の山頂を踏んだあと、小仙丈ヶ岳を経由して降りてくる…という周回コースをとる予定だったのですが、この藪沢新道が残雪崩壊のため通行止めとなっており、計画を変更せざるをえませんでした。
そんなわけで、当初の計画とは逆回りになりますが、まずは小仙丈ヶ岳を目指します。
テン場付近からは、メインの登山道に至る近道があります。
まずはここを登ります。
ほとんど真っ暗な中、九十九折の山道を登っていきます。
よく踏まれた道なのでコースアウトの心配はなさそうですが、やはり暗い中初見の道を歩くのは、なかなか緊張するものです。
30分でメインの登山道と合流しました。
合流点は2合目にあたります。
このあたりでだいぶ明るくなってきました。
また、メインルートには大勢の登山者がおり、ちょっとホッとしました。
団体さんの隊列に巻き込まれるのが嫌だったので休憩もそこそこに2合目を後にします。
想像していたよりも急な斜面をジグザグに登っていきます。
うーん、地形図を見た限りではもう少し緩い傾斜だと思ったんだけど…。
ベテランになると地形図を見ただけで斜面や登山道の様子がある程度想像できるといいますが、
そのレベルに達するには何年かかることやら。
木々の隙間から朝日が差し込んできました。
これは天候回復の兆しでしょうか!?
期待が高まります。
ところが4合目付近まで登ると、まるで時間を巻き戻したかのようにあたりが暗くなり始めました。
どうやら急速にガスが流れ込んできた模様。
5合目を目前にしてバラバラバラっという音とともに雨が落ちてきました。
しかも結構強い雨です…。
これはもう雨具の出番です。
5合目をすぎると樹林帯から抜け出し視界が開けます。
晴れていれば。
小仙丈ヶ岳はこれから登っていく稜線や、駒ヶ岳、北岳だけなどを見渡す事ができる絶好のビューポイントとなっています。
晴れていれば。
いや、なんていうか…我々に恨みでもあるんですかね?
今年の天気の神様は。
天気が悪いなかでも花派のツートンにはそれなりに楽しみがあるようで登山道わきの花々の撮影に余念がありません。
小仙丈ヶ岳から仙丈ヶ岳へ向う稜線上、一か所だけ岩場があります。
気を付けて通過すれば特に危険な事はありません。
なんとか天気が回復してくれないだろうか…という願いも虚しくむしろ山頂に近づくほどに風雨は強まっていきます。
とくに風が強くなってきて、濡れた体から体温を奪っていきます。
馬蹄形につづく稜線上からは氷河期由来の地形「カール」が見えます。
しつこいようですが晴れていれば…ね。
遠望が利かないガスの中、ふと気がついたら山頂に立っていました。
なんとなく稜線を歩いていたら着いた…と言う感じ。
記念写真を撮りましたが、またしても標識がなければどこの山かわからない写真ができあがりました。
もうちょっと遠征した感が欲しいよ!(笑
ガスなんて全国どこいっても同じじゃ!!!
もしかしたら晴れるかもしれないから、山頂でしばらく待つか…とも思いましたが、なにせ小雨まじりの横殴りの風がひどく、とてもじゃないけれど「待機モード」になる気になれません。
残念ですが仙丈ヶ岳山頂は10分も滞在せずに撤収です。
はるばる岩手から南アルプスまで遠征してきて、二座連続で眺望なしの山頂。
正直言って落胆の度合いは半端ないです。
登山は自然相手の遊びですから、仕方の無いこと…と頭ではわかっているのですが…。
とりあえず、精神的にアレな時は事故や遭難を起こしやすいでしょうから下りはいつもよりも慎重に行く事にして行動を開始します。
仙丈ヶ岳からの下山は視界が無い時に支尾根に迷い込む危険があるとの事なので指導票をいちいち確認しながら進んで行きます。
まずは山荘まで降りてきました。
ここも山頂同様風が強く、とても外では休憩できそうにありません。
売店ものぞいてみましたが菓子パンが数個あるだけで休憩するにはなにかを注文しなければならないような感じでした。
ふーん、やっぱり北アルプスの山小屋とはだいぶ違うんだなぁ。
まぁ、どっちが北アの山小屋が特別なんでしょうけど。
金を払ってまで休憩する気にもなれなかったので、すぐに下山することにしました。
いくらか降りていくと雨が止みました。
風も弱まったので適当に凌ぎやすい場所をみつけラーメンを作って食べました。
今日初めてホッとできたひととき…。
なんか韓国製のカレーラーメンだったんですが、なんか不思議な味でした。
やっぱ同じカレーラーメンとはいえ、お国変われば味変わる…なんでしょうね。
昼食後、黙々と下山しているとフッと暖かい空気が流れてくるのを感じました。
天気が悪いので、ついつい下ばかり見て歩いていましたが、その暖かい空気が気になって顔を上げると…
あれっ?
晴れてきてる???
まさか、と思って振り向くと先ほどまで山頂付近を覆っていた雲が、今まさに晴れようとしていました。
なんでこのタイミングよ!?
いくらなんでも意地悪すぎねぇ???
(ちなみに、この後再びガスがかかることもなく関東甲信越地方は次の日に梅雨明け宣言が出されます。我々は南アルプスの梅雨明けの、まさに「その瞬間」を見たわけですね。)
あまりの事に呆然としてしまい、しばらくその場を動けずにいました。
登り返そうか?という話しにもなりましたが、その場ではこのまま天気が続く確信も得られず、また、すでに1時間以上下ってきてしまっているので登り返すとなると相当な労力を要することから、それはやめました。
仙丈ヶ岳の特徴であるカール地形は見ることができたわけですが、なんだか納得がいかない、後ろ髪を引かれる思いで下山を決意しました。
馬の背ヒュッテのすぐ下に藪沢新道との分岐点があります。
残雪崩壊のため通行止めの藪沢新道ですが、なるほど、たしかに沢筋には多くの残雪が残っていて今にも崩壊して穴が空きそうな場所がたくさんあります。
とりあえず、大滝の頭(5合目)に向かって沢を渡ります。
分岐点から大滝の頭までは斜面をトラバースする形で道がついています。
なので何本も沢筋を横切るわけですが、中には残雪と落石を従えた沢もありそこを横切るのは若干の緊張を要します。
どうも昨年の白馬での落石以来、そういうのに敏感になってるんですよね〜。
藪沢小屋に到着しました。
ここは素泊まり専門の小屋だそうで、夏期期間は管理人が常駐しているようです。
しかし、時間が時間なのでひっそりと静まり返り、まるで無人の避難小屋のよう。
五合目まで戻ると、今朝は見ることができなかった北岳が姿を見せていました。
五合目から先は、今朝通った道です。
サクサク下って、標準CTより20分ほど早く下山しました。
前半は雨とガス、後半は晴れというなんともめまぐるしい気象変化を体験した仙丈ヶ岳。
しかし、山頂からの眺望を得ることができなかったので、ここもまたリベンジの対象になりました。
途中からでも晴れて景色を見ることができて良かった…とするか一番肝心なところでガスガスだったのに、降りてくるなりぴーかんとは何事か!と思うか。
正直、未だに心の整理を付けきれていない、そんな山行になりました(^^;
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