今冬季最後は阿弥陀岳南稜/核心部は樹林帯の凍結部分だったか?いやいやP3ルンゼのクライムダウン怖し
コースタイム
幕営地07:00 →阿弥陀岳山頂12:05→赤岳鉱泉15:00
天候 | 初日曇り 二日目 晴れ 三日目 晴れ |
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過去天気図(気象庁) | 2012年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス タクシー
下山時は美濃戸口からバス |
コース状況/ 危険箇所等 |
*旭小屋から稜線への登り口が少々分り辛い。小屋の左手方向をすこし下る。 *尾根に上がってからの樹林帯は凍結箇所あり、アイゼンを装着したほうがいい。滑落した。 *青ナギからP2まではとくに危ない箇所はなし。 *バンドのトラバースは、雪が落ちて凍結した岩が露出、危ない。ロープを出したほうがいい。 *P3のルンゼ、下部から雪が程よくついていて登りやすい。 *ルンゼ上部は氷壁になっているので、最後のピッチは小さなリッジを右へ。ここを間違うと泣く。 *P4手前のトラバースも氷結した岩。ロープを出し確保したほうがいい。 *P4は最上部のピナクルを支点に。 |
写真
感想
一週間ほど前から高層天気図とにらめっこし、19日は絶対に晴れる!と確信。
阿弥陀岳南稜ルート決行しました。
初日旭小屋から尾根に上がると時々小雨がぱらつくような状態。
樹林帯の凍結部分でいきなり2mほどパートナーを巻き込んで滑落。
軽い打撲とハードシェルに小さな穴の被害。
出発前々日にスーパーのエスカレーターで滑落したのに続き、まさかの失態。
いい方に解釈して、用心用心と言い聞かせながら、
真っ直ぐな長い登りに喘ぎながら幕営地を目指しました。
青ナギの少し手前で先行パーティーがテント設営中。
そのテントの20m程先に、一夜の宿を設営。
気温はさほど低くなく、湯たんぽを入れたシュラフで夜は暖かく快適でした。
4時半に起床して朝食、身繕い、テント撤収し7時ちょうどにスタート。
青ナギはシーンとして美しい、風景画の中を歩いているような感覚。
おとなりのパーティは30分ほどはやく出発。
トレースに感謝しながらぐんぐん高度を稼ぎました。
P1あたりからアルパイン的になってくる。
トレースはところどころ明瞭でない部分があり、
気を抜くと行き詰ってしまう。
それでもP3ルンゼの取り付きまでは、さほど難しいところはなくあっという間に到着。
トラバース部分が雪が落ちて氷結した岩が露出しているので、少々緊張しました。
それにしても南稜から見る赤岳の雄姿は素晴らしい。
雲が流れ、刻々と光が変わる。
しばし歩みを止めて山との一体感を味わいました。
南稜の核心部であるP3のルンゼ。
取り付きのトラバースは他のトラバースに比べて雪が多く、
カニさん歩きで無難に横断。
ルンゼも程よく雪があり、快調に登攀。
しかし上部の氷壁に入り込んでしまい、進退が窮まってしまいました。
アイス用のツールでないとここを突破するのは困難。
後から登ってきたパーティーのリードの方から右方向へのトラバースを勧められ、
いったん5mほどクライムダウン。
両足はパンプ寸前。アイゼンの前爪はなかなか上手く氷を捉えてくれません。
アックスも撃ち込めども氷が岩から剥がれるだけで効かない。
左手は藁をもすがる思いで露出している草を掴んでいる。
うー、涙。
それでもなんとかトラバースできるポイントまで下りて、
小さなリッジの右へ上がり雪面を登攀。
セカンドで登ってきた同行者Aは肝を冷やしたと思います。ごめんね。
P3を抜けてP4取り付きまでの尾根はほんとうに素晴らしい眺めでした。
眼前にはP4が立ちはだかる。見下ろせば長い長い南稜がゆるやかな弧を描いている。
前方右手には手の届きそうなところに中岳から阿弥陀岳へ登る登山者が見える。
そして赤岳の雄姿。
P4取り付きのトラバースは凍った岩にほんの20センチ程度幅のバンドがあるだけ。
幅は10メートルにもみたないが、ある意味ここが今回のもうひとつの核心部。
先に横断してセカンドを確保。
Aからはこちらが確保しているポイントが見えなかったので不安だったと思います。
それでも無事通過し一気にP4を抜けました。
ここはリードはロープをいっぱい伸ばして、一気にP4上部のリッジまで登り、
ピナクルを支点としてセカンドを確保するのがいいと思います。
P4を抜けると山頂の広場に飛び出す、この感じもとてもいいです。
山頂は快晴、360度の大展望。
パートナーAと後続のパーティーといっしょになって登頂の喜びを分かち合いました。
阿弥陀岳山頂から下降。北稜を登っているパーティーが見える。
コル手前の下部の急斜面で同行者が不安を訴えたため、
ロープを出して大きな岩を支点にして確保、50mフルに使って下まで降りてもいました。
その後は中岳へのリッジを途中まで登り、
中岳沢を左に見ながら沢の最下部へ向けて下降。
中岳沢にはトレースはなく、大きなデブリも見当たらなかったので、
雪崩の危険性は大きいと思います。
緊張から解放されたからか、急に腹部が痛くなり始めてしまいました。
激しい胃痛に、しばし立ち往生。休み休み歩いて無事赤岳鉱泉に到着。
胃が痛いのもわすれてビールで祝杯。
18日と違い19日の夜は寒気が強まり、テント内も完璧に凍りつく寒さ。
疲労とお酒のせいで、暖房にストーブをつけたままうたた寝。
火事にならなくて良かった!!猛反省。
三日目はのんびり起きて、朝ごはんを食べ、テント撤収。
美濃戸のおばちゃんとこで肉うどんを食べて11時20分のバスに乗りました。
途中、樅の湯に寄ってまったり。
風呂からあがると全身にどっとここちよい疲労感が。
今季冬山の最後を飾る、素晴らしい山行でした。
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