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Yamareco

記録ID: 1840285
全員に公開
積雪期ピークハント/縦走
道北・利尻

厳しかった新雪の利尻!

2019年05月03日(金) [日帰り]
 - 拍手
GPS
--:--
距離
16.0km
登り
1,734m
下り
1,718m

コースタイム

日帰り
山行
7:30
休憩
1:50
合計
9:20
5:05
5:10
75
6:25
6:25
45
7:10
7:20
30
7:50
8:05
10
8:15
8:15
40
8:55
9:10
15
9:25
9:25
20
9:45
10:10
10
10:20
10:20
10
10:30
10:30
30
11:00
11:00
10
11:10
11:45
35
12:20
12:20
20
12:40
12:40
30
13:10
13:15
30
13:45
ゴール地点
天候 ガスのち晴れ
過去天気図(気象庁) 2019年05月の天気図
アクセス
利用交通機関:
鴛泊港から歩いて山頂まで。標高がそのまま標高差になる。
コース状況/
危険箇所等
私の親戚が利尻山の雪崩で命を落としてる。その件もあって今回この季節の登山も家族からは反対されたが、絶対に無理はしないからと説得してなんとか登らせてもらった。それほどの危険な山だというプレッシャーをもって今回は臨んだ。
9.5合目の沓形コース分岐までは積雪期と言えども大きな問題はない。しかし、そこから上は全くの別世界で厳冬期の冬山であった。滑落は致命的になるので、滑り始める前に止める道具と準備が必要。
その他周辺情報 鴛泊港から登山口へ歩いて20分ほどでキャンプ場「ゆーに」がある。1泊500円。また、ゆーにの向かいには利尻富士温泉(500円)がありキャンプ者にも非常に便利。登山口にも北麓キャンプ場があるが、営業開始が5/15〜である。温泉がある分、ゆーにのほうが勝っているだろう。
なお、鴛泊には食品店や食堂が非常に少ないので、買い物はすべて稚内で済ませておいた方が良い。
初山別村より利尻。目的の山が全部見えるというのは気合が入ります。
2019年05月01日 17:12撮影 by  COOLPIX AW130, NIKON
2
5/1 17:12
初山別村より利尻。目的の山が全部見えるというのは気合が入ります。
稚内のフェリーターミナルで令和の書初めイベントが…。
2019年05月02日 10:21撮影 by  COOLPIX AW130, NIKON
2
5/2 10:21
稚内のフェリーターミナルで令和の書初めイベントが…。
きれいなターミナル。
2019年05月02日 10:23撮影 by  COOLPIX AW130, NIKON
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5/2 10:23
きれいなターミナル。
ミゾレ交じりの雨のなか出航。
2019年05月02日 11:06撮影 by  COOLPIX AW130, NIKON
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5/2 11:06
ミゾレ交じりの雨のなか出航。
ペシ岬。礼文島経由で3時間かかってようやく利尻に到着。
2019年05月02日 14:03撮影 by  COOLPIX AW130, NIKON
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5/2 14:03
ペシ岬。礼文島経由で3時間かかってようやく利尻に到着。
港から20分ほど歩くと利尻富士温泉。この向かいにキャンプ場「ゆーに」があります。
2019年05月02日 14:40撮影 by  COOLPIX AW130, NIKON
2
5/2 14:40
港から20分ほど歩くと利尻富士温泉。この向かいにキャンプ場「ゆーに」があります。
テントを張るころからひどい雨になりました。この後何も出来ずテントにカンヅメになります。明日は早く晴れるといいのだが…。
2019年05月02日 15:00撮影 by  COOLPIX AW130, NIKON
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5/2 15:00
テントを張るころからひどい雨になりました。この後何も出来ずテントにカンヅメになります。明日は早く晴れるといいのだが…。
日の出とともに出発。雨はやみましたが、天気の回復は遅い。ここは3合目の甘露泉。
2019年05月03日 05:03撮影 by  COOLPIX AW130, NIKON
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5/3 5:03
日の出とともに出発。雨はやみましたが、天気の回復は遅い。ここは3合目の甘露泉。
ポン山と鴛泊の街。遠くに礼文島も見える。
2019年05月03日 05:59撮影 by  COOLPIX AW130, NIKON
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5/3 5:59
ポン山と鴛泊の街。遠くに礼文島も見える。
6合目で標高700m。まだ1000m以上も登らねばならない。
2019年05月03日 06:24撮影 by  COOLPIX AW130, NIKON
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5/3 6:24
6合目で標高700m。まだ1000m以上も登らねばならない。
ようやく晴れてきた。7合目からクランポン装着。完全冬山装備で臨みます。
2019年05月03日 07:11撮影 by  COOLPIX AW130, NIKON
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5/3 7:11
ようやく晴れてきた。7合目からクランポン装着。完全冬山装備で臨みます。
鴛泊港。ペシ岬も目立ちます。
2019年05月03日 07:16撮影 by  COOLPIX AW130, NIKON
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5/3 7:16
鴛泊港。ペシ岬も目立ちます。
トレースがはっきりしている。先行者がおそらくいる。
2019年05月03日 07:17撮影 by  COOLPIX AW130, NIKON
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5/3 7:17
トレースがはっきりしている。先行者がおそらくいる。
せっかく晴れたのに長官山から上はガスだ。
2019年05月03日 07:27撮影 by  COOLPIX AW130, NIKON
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5/3 7:27
せっかく晴れたのに長官山から上はガスだ。
8.5合目の小屋。2階から出入りするが中は確認しなかった。ここら辺から昨夜の新雪がたっぷり積もって吹き溜まっている。
2019年05月03日 08:17撮影 by  COOLPIX AW130, NIKON
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5/3 8:17
8.5合目の小屋。2階から出入りするが中は確認しなかった。ここら辺から昨夜の新雪がたっぷり積もって吹き溜まっている。
9合目で標高1410m。あと1合だが300mも登らねばならない。気持ち的・体力的ともにここまでで6割といったところ。
2019年05月03日 08:56撮影 by  COOLPIX AW130, NIKON
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5/3 8:56
9合目で標高1410m。あと1合だが300mも登らねばならない。気持ち的・体力的ともにここまでで6割といったところ。
9.5合目の沓形コース分岐。
2019年05月03日 09:26撮影 by  COOLPIX AW130, NIKON
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5/3 9:26
9.5合目の沓形コース分岐。
上は完全なる冬山だった!!
暴風が吹き荒れている。ここで滑落したら一巻の終わりなので慎重に。
2019年05月03日 09:34撮影 by  COOLPIX AW130, NIKON
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5/3 9:34
上は完全なる冬山だった!!
暴風が吹き荒れている。ここで滑落したら一巻の終わりなので慎重に。
滑ったらアウトの箇所を3か所ほど経て山頂到着!
2019年05月03日 09:47撮影 by  COOLPIX AW130, NIKON
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5/3 9:47
滑ったらアウトの箇所を3か所ほど経て山頂到着!
山頂はなぜか風がほとんどなかった。
2019年05月03日 09:53撮影 by  COOLPIX AW130, NIKON
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5/3 9:53
山頂はなぜか風がほとんどなかった。
上は青空なのに横が晴れないよ(泣)。
2019年05月03日 09:58撮影 by  COOLPIX AW130, NIKON
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5/3 9:58
上は青空なのに横が晴れないよ(泣)。
突如姿を現したローソク岩。
2019年05月03日 09:59撮影 by  COOLPIX AW130, NIKON
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5/3 9:59
突如姿を現したローソク岩。
凄まじい迫力だ。
2019年05月03日 09:59撮影 by  COOLPIX AW130, NIKON
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5/3 9:59
凄まじい迫力だ。
残念ながらガスが晴れぬまま山頂を辞す。
2019年05月03日 10:08撮影 by  COOLPIX AW130, NIKON
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5/3 10:08
残念ながらガスが晴れぬまま山頂を辞す。
さっきの岩まで戻ってきたら、おお!
2019年05月03日 10:16撮影 by  COOLPIX AW130, NIKON
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5/3 10:16
さっきの岩まで戻ってきたら、おお!
おおお!
2019年05月03日 10:22撮影 by  COOLPIX AW130, NIKON
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5/3 10:22
おおお!
晴れたぞ〜〜〜
しかし山頂はすさまじいガスと暴風だ。
2019年05月03日 10:23撮影 by  COOLPIX AW130, NIKON
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5/3 10:23
晴れたぞ〜〜〜
しかし山頂はすさまじいガスと暴風だ。
ほんと真冬だ。
2019年05月03日 10:28撮影 by  COOLPIX AW130, NIKON
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5/3 10:28
ほんと真冬だ。
凄まじい山頂部。よくあそこまで行ったもんだ。
2019年05月03日 10:30撮影 by  COOLPIX AW130, NIKON
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5/3 10:30
凄まじい山頂部。よくあそこまで行ったもんだ。
下界も見えてきた。昨夜の新雪たっぷりだ。
2019年05月03日 10:36撮影 by  COOLPIX AW130, NIKON
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5/3 10:36
下界も見えてきた。昨夜の新雪たっぷりだ。
凄い迫力だ。
2019年05月03日 10:46撮影 by  COOLPIX AW130, NIKON
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5/3 10:46
凄い迫力だ。
なんというデジタルな天気なのだ。
2019年05月03日 10:50撮影 by  COOLPIX AW130, NIKON
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5/3 10:50
なんというデジタルな天気なのだ。
ヒマラヤと言ってもバレないですか?
2019年05月03日 10:55撮影 by  COOLPIX AW130, NIKON
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5/3 10:55
ヒマラヤと言ってもバレないですか?
長官山
2019年05月03日 11:01撮影 by  COOLPIX AW130, NIKON
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5/3 11:01
長官山
利尻振り返る。ほぼ完全に晴れました。
2019年05月03日 11:16撮影 by  COOLPIX AW130, NIKON
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5/3 11:16
利尻振り返る。ほぼ完全に晴れました。
山頂部。もう冬山以外の何物でもない。
2019年05月03日 11:16撮影 by  COOLPIX AW130, NIKON
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5/3 11:16
山頂部。もう冬山以外の何物でもない。
カッコよすぎます利尻。
2019年05月03日 11:17撮影 by  COOLPIX AW130, NIKON
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5/3 11:17
カッコよすぎます利尻。
こんな山が島だとは信じられません。
2019年05月03日 11:37撮影 by  COOLPIX AW130, NIKON
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5/3 11:37
こんな山が島だとは信じられません。
鴛泊とペシ岬。
2019年05月03日 11:59撮影 by  COOLPIX AW130, NIKON
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5/3 11:59
鴛泊とペシ岬。
長官山振り返る。
2019年05月03日 12:28撮影 by  COOLPIX AW130, NIKON
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5/3 12:28
長官山振り返る。
標高は600mを切ったがこの雪庇の迫力はすごい。
2019年05月03日 12:30撮影 by  COOLPIX AW130, NIKON
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5/3 12:30
標高は600mを切ったがこの雪庇の迫力はすごい。
甘露泉まで無事戻った。
2019年05月03日 13:14撮影 by  COOLPIX AW130, NIKON
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5/3 13:14
甘露泉まで無事戻った。
ゆーにのキャンプ場からは利尻の先っちょが見えます。
2019年05月03日 13:52撮影 by  COOLPIX AW130, NIKON
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5/3 13:52
ゆーにのキャンプ場からは利尻の先っちょが見えます。
派手に荷物を広げてパッキング。このスペースの贅沢さよ。
2019年05月03日 14:45撮影 by  COOLPIX AW130, NIKON
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5/3 14:45
派手に荷物を広げてパッキング。このスペースの贅沢さよ。
利尻山神社に無事を報告。
2019年05月03日 15:05撮影 by  COOLPIX AW130, NIKON
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5/3 15:05
利尻山神社に無事を報告。
ありがとうございました。
2019年05月03日 15:10撮影 by  COOLPIX AW130, NIKON
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5/3 15:10
ありがとうございました。
出航時刻までペシ岬を散策。
2019年05月03日 15:42撮影 by  COOLPIX AW130, NIKON
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5/3 15:42
出航時刻までペシ岬を散策。
利尻登ったあとはこの程度の山で結構つらかったりする。
2019年05月03日 15:43撮影 by  COOLPIX AW130, NIKON
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5/3 15:43
利尻登ったあとはこの程度の山で結構つらかったりする。
海岸線。
2019年05月03日 15:47撮影 by  COOLPIX AW130, NIKON
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5/3 15:47
海岸線。
港は何の変哲もないが、見上げると異常でしょ、これ。
2019年05月03日 15:48撮影 by  COOLPIX AW130, NIKON
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5/3 15:48
港は何の変哲もないが、見上げると異常でしょ、これ。
出航。汽笛が思わず涙を誘う。
2019年05月03日 16:45撮影 by  COOLPIX AW130, NIKON
2
5/3 16:45
出航。汽笛が思わず涙を誘う。
さようなら利尻。厳しい面を見せてくれたけど、無事に登らせてもらって感謝してる。
2019年05月03日 16:45撮影 by  COOLPIX AW130, NIKON
3
5/3 16:45
さようなら利尻。厳しい面を見せてくれたけど、無事に登らせてもらって感謝してる。
洋上の鋭鋒ここに極まれり。
2019年05月03日 16:52撮影 by  COOLPIX AW130, NIKON
1
5/3 16:52
洋上の鋭鋒ここに極まれり。
いつまでも眺めていた。
2019年05月03日 17:06撮影 by  COOLPIX AW130, NIKON
3
5/3 17:06
いつまでも眺めていた。
稚内入港とともに日没。金曜ロードショーのテーマが似合う。
2019年05月03日 18:12撮影 by  COOLPIX AW130, NIKON
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5/3 18:12
稚内入港とともに日没。金曜ロードショーのテーマが似合う。
うほほほほ〜〜〜
2019年05月03日 19:48撮影 by  COOLPIX AW130, NIKON
4
5/3 19:48
うほほほほ〜〜〜
撮影機器:

装備

個人装備
長袖シャツ 長袖インナー ハードシェル タイツ ズボン 靴下 グローブ アウター手袋 予備手袋 防寒着 雨具 ゲイター バラクラバ 毛帽子 着替え 予備靴ひも ザック ザックカバー アイゼン ピッケル スコップ 昼ご飯 行動食 非常食 調理用食材 調味料 飲料 ガスカートリッジ コンロ コッヘル 食器 調理器具 ライター 地図(地形図) コンパス 計画書 ヘッドランプ 予備電池 GPS 筆記用具 ファーストエイドキット 常備薬 日焼け止め ロールペーパー 保険証 携帯 時計 サングラス タオル ツェルト ナイフ カメラ ポール テント テントマット シェラフ ヘルメット

感想

5/2(木) 雨
 ミゾレまじりの雨の中、稚内からフェリーは出航した。礼文島経由で3時間かかって利尻島鴛泊港に到着。幸い雨は上がったので歩いてキャンプ場ゆーにまで行く。受付をしてテントを張っていると再び雨となり、その後夜まで止まなかったのでテントの中に缶詰になってしまった。食事を作れる準備はしてきたのでご飯を炊いておかずを乗せ、たらふく食べて明日に備えた。
 暗くなるとようやく雨が止んだので、向かいの温泉まで入浴に行った。この気温だと山の上は間違いなく雪であろう。昨晩から24時間ほど降り続いたので相当な積雪量のはずだ。明日は果たして無事に登れるだろうか?期待と不安が交錯しながら9時前には就寝した。

5/3(金) ガスのち晴れ
 3時半に起きると雨は降っておらず視界も良い。天気の回復は遅いが風もそれほど強くなく、登るのには全く問題はないコンディションだ。ポン山の散策道から登り甘露泉に出てたっぷり水を汲んだ。
 ポン山を巻き、4合目を過ぎると徐々に雪が出てきた。5合目と6合目の間は夏道は出ていたり出ていなかったりで残雪の踏み抜きが非常に多く、しょっぱなから嫌になってしまった。7合目からは完全に雪の上になるのでここからクランポンを装着し、夏道を気にせず歩くことにする。幸いトレースもあるのだが、いかんせん踏み抜きが非常に多く体力が吸い取られていく。この当たりから太陽が現れてテンションが上がるが、長官山から上はガスに入ってしまい、また落胆してしまう。
 避難小屋の前でスキー履いた単独行者に追いつき二言三言交わす。彼は小屋で天候回復を待つとのことだが、私は時間もないので先に進むことにする。小屋の手前でもう一人引き返してきた単独行者に出会った。これより上は新雪でトレースがなくなり彼が先頭だったそうだ。ガスで視界も悪く非常に厳しいそうで、このまま下山するという。私はもう少し粘って先に進むことにした。天気も回復傾向なのでこの先は晴れる可能性大だ。
 しかしこの先は非常に厳しい登山だった。9合目手前で彼のトレースは無くなり、私の一人旅になった。風もかなり強くなり視界は相変わらずなく、ルートファインドに非常に気を遣う。夏道はあるので、その痕跡をなんとか見つけようと周囲に細心の注意を払うが、アンテナを張っていれば経験上いろいろ発見があるものである。通行区分用のロープだったり、登山道補修用の板だったり。意外と手掛かりになるのはヤブの刈り払い時の灌木のナタ目だ。これらに注意していればルートはそこそこつながる。
 9.5合目で雪に埋もれた看板を発見。掘り返してみると沓形ルート分岐の標識だった。ここから山頂はもうすぐのはずだ。これはいける!とテンションをさらに上げるが、ここから利尻山が最後の牙をむいた。風は暴風になり、両側ともすっぱりと切れ落ちた尾根を行くことになる。3か所ほど、落ちたら死ぬだろうという急な痩せ尾根を通過。下りはもっと危険だろうが今はそんなことも考えていられない。ようやく利尻山山頂への看板が現れその少し先に祠があり北峰の頂上だった。新雪ノントレースの悪条件の中、ついに山頂に到達できたのだった。思わずガッツポーズをして吠えた。
 山頂はなぜか風がほとんど当たらなかった。上から日は照っているが、横が全く晴れないので景色が全く見えない。しかし2度ほど一陣の風が吹いたかと思うとローソク岩が姿を現し、眼下には沓形の海岸線も見ることができた。思わず「おお!」と声をあげる。しかしその後は全く晴れなかった。残念ながら山頂を辞すことにした。
 沓形分岐までの危険個所は生きた心地がしなかった。クランポンの爪を最大限に効かし、滑った瞬間に滑落停止できるよう準備しながら下った。その後天気は見る見るうちに良くなり、雲がかかっているのはほぼ山頂だけになった。新雪の景色は最高で、ところどころ美しい景色をため息をつきながら眺めた。
 9合目まで順調に下り、ようやくホッと息をついた。ここからはたぶん生きて帰れるだろう。9合目の下でスキーの彼が登ってきた。小屋で晴れ間を待っていたそうでしてやったりだった。私もあと1時間遅ければ山頂で晴れただろうが、今日最初に山頂を落とせたことが私の中で物凄い輝きを放っていた。彼と少し話をしたが、装備は完璧で足取りもしっかりしていた。おそらく山頂まで行けただろう。
 長官山で大休止していると愛知から来たという若者がトレッキングシューズとストックという軽装で登ってきた。この装備で山頂まで行けますかね?と聞いてきたので、いや無理だと思うよ、滑ったら止まらずに死ぬよ、と率直に言ってやる。今日のコンディションではアイゼン+ピッケル両方無いと命に係わるだろう。でも沓形分岐まではこのままで行けるだろうから、そこでもう一度判断したらどう?とアドバイス。とても残念そうだったが、槍ヶ岳もこれほど迫力無いですよね〜と景色には満足そうだった。そして、私もその言葉に大きく心から頷いた。
 白波が見えるほど近い海を見ながらの残雪をザクザク踏みしめる下り。日本、いや世界を見渡してもこんな登山ができる小島は無いだろう。最後の最後まで素晴らしい天気と景色に興奮冷めやらぬまま、登山口に到着した。ゆーににもどり、利尻山の尖った穂先を見ながらゆったりとテントを片付けるのは至福の時だった。利尻山神社とペシ岬にあいさつをし、この日最後のフェリーで稚内に戻ったのだった。

ーーーーーーーーーーー

20年以上前の学生時代の夏、利尻にわたり登頂を狙ったが残念ながら雨で登山はできなかった。今回、令和の切り替わりの長期休みというラッキーな機会を利用して念願の利尻に登ることができ大満足です。新雪で覆われたノントレースの悪条件をものにできたというのも良い思い出になりました。

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ハイキング 道北・利尻 [日帰り]
利尻山(鴛泊コース・ピストン)
利用交通機関: 車・バイク
技術レベル
3/5
体力レベル
4/5

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