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Yamareco

記録ID: 189039
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山滑走
朝日・出羽三山

大峰の修験者、月山に詣でる

2012年05月04日(金) [日帰り]
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tomcat その他1人
GPS
04:25
距離
7.8km
登り
779m
下り
780m

コースタイム

5月4日

9:00月山リフト・トップ
10:18P1728
11:20月山
12:58月山リフト・トップ
13:10リフト下部
天候 5月4日 曇り時々小雨、ガス
過去天気図(気象庁) 2012年05月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
コース状況/
危険箇所等
リフト上部から稜線までは忠実に夏道をトレースすればよい。
といってもガスの場合はコンパスに加えてGPSがなければ視界が効かないために先行者のトレースがない場合、前進に苦労するだろう。

稜線に上がる前の支尾根にクラックがあることに予想外の驚きがあった。
稜線上では雪が溶けて岩肌、藪が露出している個所多数あり。

下山後は、仙台屋旅館がおすすめです。モダンなつくりで調度品が素敵。
500円で入浴可。
Yさん無事下山。
姥沢小屋の雪上車。なにげに初心者マークが申し訳なさそうに右下に掛けられているのが可愛らしい。
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姥沢小屋の雪上車。なにげに初心者マークが申し訳なさそうに右下に掛けられているのが可愛らしい。
モンベルと共に姥沢小屋。
モンベルと共に姥沢小屋。

感想

5月3日

月山の山麓へ車を走らせている途中から雨が本降りになる。志津温泉に軒先を並べる五色館で入浴をすませ、弓張平幕営地をめざす。

止まない雨。会のエスパースはゆったり目の大きさだけれども、使い古されて大雨の際の撥水効果にはちょっと間に合わない。翌朝ベトベトになることを考えどこか公共施設の軒先を探して回るも、結論としてスキー場に最も近い姥沢小屋に素泊まりすることになった。

ここで問題発生。姥沢小屋は駐車場から徒歩で雪上を歩かなければならない。ただし、雪上車が送迎してくれるという。結局、車から鍋用のガスコンロやらスキー機材やら登山道具一式をまるで家財道具一切合財を持って夜逃げでもする家族のように、我々は雪上車に搬送し姥沢小屋へ移動することになった。風邪吹きすさぶ暗闇の中、監獄車まがいの車窓から見える景色は何もなし。ただ、キャタピラがやかましく雪と格闘しながら前進する音と共に何度も躯を建て横に揺らされながら5分ほどたったろうか。くるりと車体がコーヒーカップをぐるりと回すように一回転して停まった。キャタピラは自立回転するからUターンという言葉を知らないのだ。

本来なら、素泊まりをさせてくれないらしいが、特別に炊事場で調理することに目をつむって頂いた。正面玄関に大量の荷物を置いた我々をみた泊まり客は何と感じただろう。思い出すだけでも笑いがこみあげて来た。

酒田市で仕入れた蟹と山形市内で手に入れた野菜、そしてMさんが長野の山野で採って頂いたコシアブラをおひたしにして、ささやかな晩御飯を頂いた。



5月4日

雨はそしてガスは夜の間に大人しくなっていた。

雪上車がスキー板をリフト乗り場まで運んでくれるという。いたれりつくせりだ。
朝食後、リフト上部はガスで視界が効かなかったが、月山登頂を決行する。

Mさんは午前中の間ゲレンデを滑る事になり、Yさんと私で行動開始。
夏山スキーのメッカと言われるほどのスキー場だからいまの積雪量は未だ7〜8Mと半端ない。
リフト上で「バックカントリー、登山者の方はリフト上部は視界が効かない為くれぐれも自己責任のもと行動をお願いします」とのアナウンスが流れる。

リフトで一気に1500M付近へ。
こういう時にコンパスに加えてGPSが本領を発揮する。
リフトトップに固まっていたバックカントリー集団を抜き、先行して我々は稜線を目指した。
基本的には夏道にそってシールでトラバース気味に稜線へ出る。
ここまで標高差200M程度だから、大したことはない。しかし視界が50Mも見えない。

P1650から稜線に登る直下で小クレバスともいうべきクラックに出遭う。
支尾根にこんなにひび割れたが発達しているとは驚きだった。
向きを変えて直登に変更、稜線上の三角点にあがると雪面は消え、籔の禿げ山になっていた。

この一週間でかなりの雪が解けたという。
との談は鍛冶小屋付近ですれ違った出羽三山(月山、羽黒、湯殿を総称する)の修験者約30名たち。
偶然にもヤマレコに記録を掲載されているので参考にされたいが、弥陀ヶ原方面から月山を踏み、湯殿山へ抜けるのだと言う。

金剛杖と編笠をかぶった修行一行が突如として山頂付近に表れた姿には驚かされた。
Yさんが「我々は大峰から来た修験者だといったら驚くかな」と言われたが、まんざら嘘でもなかろうと思う。

思えば、私を山へ誘ってくれたのは岡山県に拠点を置く五流尊瀧院の修験者Iさんだった。大峰の山上ヶ岳へ日本山岳修験学会の名誉会長である宮家準先生と共に30人以上の大集団でもって大雨の8月の中、夜中3時から登拝したのだった。周囲は法螺貝に錫杖を手に持った白装束の山伏ばかり。私はゴアテクスの登山靴だったが、それでも靴に水がゴボゴボと貯まるほどに(当時はスパッツなんて持っていなかった)酷い山行だった。ガスの中、湯殿山方面に吸い込まれるように消えていった修験者たちを見届けながら、9年前の一コマを私は思い出していた。

日本山岳修験学会
http://www.sangakushugen.jp/index.html

鍛冶小屋から頂上付近まではスキー板とザックをデポし、ピークにあがった。当然視界は効かない。ゲレンデからの今日の登頂は我々がはじめてだろう。

帰りはクラックの場所を避けるため、稜線に上がった地点までは滑走を楽しみ、あとは往路のトラバースにそって斜滑降。ゲレンデに帰ってくるとホッとする瞬間だ。いつもながら下りは早い。

Mさんと帰りの約束をしていていた12時を軽く回ってしまったが、13時にゲレンデ下部に到着。
私たちの帰りを心配したのか、リフト乗り場の兄ちゃんが「どこまで登られましたか」との質問。「頂上まで」と答える私に「ナイス、ファイト」と肩を軽く叩いてくれた。

下山後、五色館の向かいにある高松宮が泊まられたという仙台屋で汗を流した。ここで閑話。Mさんが、昨日の五色館の浴中に出合った女性は奈良市内から岩手の友人を頼って月山にスキーに来ていたそうだ。そして、今日も仙台屋でもその女性と浴中で出会ったという。しかも私の最寄り駅の出身だというから、とてつもない確率の低さと偶然性に驚いてしまった。

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