遭難の後始末‥ならず(敗退)

天候 | 8/13 快晴(暑過ぎ) 夕立有 8/14 晴時々曇 小雨有 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
(300円/日) ライダーハウス ともしび (露天温泉付き) 8/14 ライダーハウス ともしび 泊 相部屋(1,000円)露天温泉付き 夕 食 (1,000円)すき焼 超大盛! |
コース状況/ 危険箇所等 |
•明神 〜 上宮川コル: 踏み跡・ペンキマークは明瞭 倒木が邪魔な数ヶ所は、各々探すと迂回踏み跡有 •上宮川コルのトラバース: 樹林帯から視界が開けた沢筋のガレ場に出たら、右手の谷を挟んだ白ザレ壁方向に向かうガレ場は踏み跡が薄いが、ケルンやペンキマークを辿ると白い杭を経由する正規のトラバース道に続く ※ガレ場の沢筋を上がり過ぎた前回は踏まれていないユルいガレザレ・草地が多くなり苦労した •遭難碑 〜 ひょうたん池: 一部、急傾斜のザレや深い藪漕ぎ有、下りは慎重に 踏み跡が複数分かれる箇所も有るが、丹念に探せばペンキマーク、ケルンが目に付く •ひょうたん池 〜 ラクダのコル: 撤退し行かず終い、残念 |
その他周辺情報 | 前泊: 信州健康ランド 立寄: 安曇野の道の駅(堀金の里) 蕎麦、常念天丼(山頂盛)が美味 |
写真
感想
滑落遭難事故からちょうど1年、ずっと気掛かりであった、ヘリ救助頂いた際に残置したザックの回収に臨みました。
今回に向けて、心身のリハビリやグッズ類の新調、高尾山や丹沢へのトレーニング、先月の奥穂お試し予行を経ての実行でしたが、余りの暑さにバテたことや台風の影響による天候の悪化懸念、現場での心身の不安や揺らぎ、等々 マイナス要素が重なりまして、、「もう2度と救助要請は出来ない、したくない」との想いも後押しとなり撤退判断した次第です。
遭難救助のレコ、御礼巡りのレコを記して来て、今回のザック回収のレコにて遭難関連は一区切り付けようと思っていました。
‥しかし結果は何ともショボくて締まらない内容となってしまい残念です。こんなことなら日記程度に留めてレコにあげるまでもないか、とも考えましたが、改めて色々気付かされ考えさせられる山行となり貴重な機会になったので、レコとして記し整理しておこうと思った次第です。
今の自分自身の身の程や心身のレベルを実感しましたし、予想もしなかった「遭難のトラウマ」かのような心の動揺に驚き、今後の山への向き合い方を見直すことになりそうです。
•トレーニング時と本番での違い:
膝の怪我(亜脱臼、靭帯断絶)による影響は、筋力は怪我前レベルには未だ戻っていませんが膝装具を着けてのボルダリングでの動きや落下では心身共に懸念や不安は無く、先月の涸沢〜奥穂ピストンも支障無くこなせたので、岩場や藪漕ぎで手腕を多用するような動きは特に問題無いのですが、手掛かりが無く膝に負担が増すような急な草付きやガレ場ザレ場が続くと心身共にちょっとキツく、「帰りに2倍の重荷背負ってココを降りるのは酷だなぁ嫌だな」と滅入る気持ちになりがちでした。
滑落事故以前は、ヒリヒリするような難所要所でもアドレナリンが増すような高揚感を楽しむような、ポジティブさや楽観?リスクの軽視? のような心持ちが先に立ちましたが、今回はネガティブで気が重く腰が引けてしまうような、マイナス寄りのストレスばかりが先立ってしまいまして「、、これでは楽しめないな」と感じることが多かったようです。
•前回との違い:
明神〜ひょうたん池の区間(標高差 750m)は、前回は4時間弱でこなして更にラクダのコル(標高差 更に+500m)まで一気に登りましたが、今回はひょうたん池まで6時間要し、やっと辿り着いた感が有りました。暑過ぎてバテたことが第1ですが、下る時のことを考えてルーファイや危険箇所のチェックを丁寧に行ったことも影響したようです。また、怪我した膝への負担を最小限にしたい?がための無意識な「ソフトに着地」な動きも亀脚の要因なのでしょう。
それにしても時間がかかり過ぎですね。こんなペースではいつかは再訪したい北鎌も、1泊ビバークで抜けるのは無理かもしれません。
•遭難のトラウマ:
先月の奥穂の際も、度々振り返っては「ココで落ちたらヤバイ」と下方の傾斜ばかりを気にしつつ登っていましたが、手掛かりが有れば特に過度な緊張感を抱くようなことは有りません。一方、手掛かりが無いガレやザレ、草地で急な傾斜や大きな段差になると気持ちが萎縮する感触が有ります。これはもうずっと消えないのかもしれず、こんな自分の弱さ(というよりは新たな警報装置とも言えそうです)と付き合いながら山と向き合うことになりそうです。しかしこれはある程度想定内でした。
むしろ新たに発覚して驚いたのは「風雨荒天下のビバーク」への心身の拒否反応です。
ひょうたん池でテント設営中に急に強い夕立が来て、慌ててフライシートに包まってやり過ごしたのですが、池脇のテン場はどうやら粘土質のようで水捌けが悪く上方からの踏み跡伝いに川のように流れて来る水があっという間に結構な水溜まりとなり、かなりのストレスでした。
遭難した際に強風雨でポールが倒れたツェルトの中で芋虫状態になり、背中に地面に溜まる水の冷たさを感じ寒さでガチガチ震えつつ一晩凌いだのですが、この時の感触が蘇るようでフラッシュバックのような逃げ出したい
落ち着かない気持になりました。
•撤退・撤収の判断:
携帯の電波が入ったので明日の天気予報(テンクラですが)で最寄りの前穂のを確認すると、明日夜以後下山日の明後日はずっと荒れる予報です。ラクダのコルへのザック回収は、早出すれば降雨前にテントへ戻れる見込は有りましたが、翌朝に荒天の中ザック2個の重荷を背負って嫌らしい急傾斜のザレやガレ、草付き(:いずれも手掛かりも懸垂支点も乏しい)を下るのは危険だと冷静に判断出来ましたが、理屈としての可否判断を上回ったのは、感情面での「風雨荒天下で一晩過ごすのは嫌だ、勘弁して欲しい」という心の声でした。今回はフライシートの有るテントでしたがそれでも拒否反応が出たくらいですので、もう孤独なソロのバリルートでのツェルトビバークは天候次第では耐えられないメンタルになってしまったのかもしれません。
•今後の登山:
ソロのバリエーションから背を向けることは考えていなかったのですが、さすがにリスクが高めの岩場は当面?は避けて、ルーファイ中心; 例えば横尾本谷からの北穂池とか、湯俣から千丈沢〜千丈乗越経由での槍、などを頭に浮かべていました。
しかし、「ツェルトビバークが怖い」という何とも情けないwチキンハートなヒトに成ってしまった?のであれば、これらも叶わないプランなのかもしれません。
バリルート卒業後のシフトチェンジとして考えていた、裏銀座や雲の平方面他への「のんびりテン泊行」や「軽装での小屋泊行」に移行すべき頃合いなのかもしれません。
•残置ザックについて:
今回、回収できず大変不本意で残念でしたが、このような心身の状態ではもう叶わない目標かもしれません。今後もずっと残置したままとなりそうで申し訳有りません。
ただ、滑落事故直後は1年後に回収山行を実行に移す姿はとても想像出来なかったので、この先また再トライする意欲と目処が高まることもゼロではないのでしょう。もしそうなった際には今回以上に綿密に天気や体調含め準備計画したいと思います。
一方で、もう過去ばかりを引きずらずに、体力や時間他 残された機会は限りがあるだろうから別の新たな楽しみに回すべきだな、という気持も有ります。
〈後日追記〉
2年経ち未だ回収できずコロナ禍で高山山行も控えめな中、最新の明神東稜レコで残置ザック状況を拝見し心境等日記に綴りました(ザックは熊に荒らされた?のかも)
遭難時の残置ザック - hatsuさんの日記 - ヤマレコ https://www.yamareco.com/modules/diary/34604-detail-248546
今回もダラダラ綴り長くなったようです、スミマセン。
ご覧頂き有難うございました。hatsu
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する