白倉三山〜戸谷流域周回☆ある日森の中🎵


- GPS
- 03:51
- 距離
- 8.3km
- 登り
- 744m
- 下り
- 740m
コースタイム
天候 | 曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年09月の天気図 |
アクセス | 小川の集落を越えて、松原橋の南詰目の道路脇の広地に |
コース状況/ 危険箇所等 |
烏帽子岳〜白倉三山は一般登山道あり 南岳西尾根は踏み跡なし |
写真
感想
前夜0:20分にハノイを出発する便に乗って早朝に関西空港に到着する。空港から外に出た途端に蒸し暑さが体を襲う。この数日間、季節が戻ったかのような天候が続いているらしい。ハノイと気温はさほど変わらないが、湿度はこの日の朝の日本の方がはるかに高いようだ。
荷物を一通り解き、ひと落ち着きすると、自宅の近くの北山での短い山行を考え、白倉三山に照準を絞る。興味深いのはこの白倉岳を山レコで検索するとあがってくるのはほとんどがFairy Trailのトレラン大会の記録である。この山に登るのは一般登山道がついている朽木側からになり、また白倉岳から中岳、南岳と連なる稜線を縦走すると登山口と下山口が離れているので、バスか自転車を併用しない限り車道歩きが長くなる。
白倉岳の山頂の西側に美しい林相の山毛欅林があることを教えて頂き、この西尾根が気になっていたのだった。白倉三山は眺望が楽しめないことになっているが、白倉岳の西尾根には尾根上に送電線が走っており、随所で好展望が期待できそうだ。
京都市内を出てR367を北上すると大原に入ると急に涼しさを感じるようになる。花折峠を越えると電光表示板の温度計は22℃を表示する。梅ノ木でR367を左折し、久多川に沿った狭い渓谷に入る。昨年の台風の直後には多数の杉の倒木により急峻な斜面は痛々しい様相を呈していたが、いつの間にか倒木はかなり整理されたようだ。渓谷の周囲の自然林の木々はすでに淡く色づき始めており、紅葉の美しさを予感させる。
どこの尾根から登るか最後まで逡巡したが、送電線尾根を登り、南岳の西尾根を下ることにより周回を完遂するコースを考える。針畑川に沿って北上し、小川の集落を過ぎたところで。道が再び針畑川を渡る松原橋の手前の道路脇の広地に駐車する。橋の手前からは左手の山の中へと入っていく林道が続いている。
林道を歩き始めると、針畑川の河岸段丘に広いススキの原が現れる。そのすぐ隣には杉並木を挟んでイワヒメワラビの草原が広がる。かつては田畑だったのではないかと思われる。緑と茶色のコントラストが見られるのもこの時期ならではだろう。整然とした矩形の土地割からするとかつては田畑だったのではないかと思われる。蝉時雨の代わりに道の両側からは鳴り響く虫の音に迎えられて林道を進む。
林道の終点にたどり着くと、期待通り、右手の杉の植林の斜面を登ってゆく送電線巡視路が現れた。斜面を登るとすぐにも杉の植林は終わり、アカマツの自然林の尾根に乗ると、電線鉄塔を目指して広々とした尾根を登ってゆく。背後には三国岳から経ヶ岳、市後谷山を経て南東に伸びる県境尾根の展望が広がり始める。風がほとんどなく、妙に湿度が高いようだ。気温はそれほど高くはないが、大粒の汗をかくことになる。
尾根の上部に出ると北側の眺望が大きく広がり、百里ヶ岳から西に伸びる江若国境の景色が飛び込んでくる。尾根の傾斜も緩やかになり、蒸し暑さも和らぐ。
p858で尾根は大きく方向を変えて東に向かい、すぐ目の前に白倉三山の稜線と対峙するようになる。巡視路はp858の南側斜面をトラバースして鞍部へと向かう。鞍部からは再び百里ヶ岳を中心に北側の江若国境の山々を展望するが、これまで随所に見られた好展望地も終わりである。巡視路は斜面の北側をトラバースしながら次の送電線鉄塔へと向かっていくが、ここからは尾根上の薄い踏み跡を辿り、斜面を登ってきた杉の植林の中へと入ってゆく。
尾根が広くなだらかになるとすぐに踏み跡は不明瞭となる。尾根上は南が現れるが、多数の杉の倒木で荒れている。p892は混合林の殺風景なところである。p892を過ぎると尾根上にはようやく踏み跡らしきものが現れる。ピークを越えて小さな鞍部にたどり着くと途端に山毛欅の林へと変わる。この辺りの山毛欅はまだ色づいていないようだ。山毛欅の林相を愉しむうちにまもなく烏帽子岳に到着する。PH氏の手になる小さな山名標が針金がちぎれて、Fairy Trailの山名標の足元に落ちている。応急処置で針金を繋げると近くの樹に懸けさせて頂く。
烏帽子岳からは一般登山道となり、途端に歩きやすい。比良のあたりは天気も良さそうだ。白倉岳からは小さなアップダウンを繰り返し、大きな台杉がある中岳、南岳へと辿りつく。展望は開けることはないが、樹間からは琵琶湖と武奈ヶ岳を垣間見ることが出来る。
南岳からは西尾根へと入る。最初は尾根の形がわかりにくく、尾根芯と平行に走る南側の支尾根を下っていたことに気がつき、本来の西尾根にトラバースしようとしたところ、この二重尾根の間の下の方から聞きなれない妙な規則的な音が聞こえてきた。それが獣のものであることに気がつくまでは結構な時間を要したように思われる。気がつくと平らな窪地で木から地面に降りる真っ黒な獣が目に入る。熊だ!
どうやら子熊のようで、すぐ近くに親熊がいるのかもしれない。熊はこちらの存在には気がついていたのかは分からないが、木から降りると左手の尾根の斜面を下ってゆく。熊が立てる奇妙な音も急速に遠ざかっていった。
熊の音が去っていったのを確認し、本来の西尾根に無事トラバースすると、明瞭な尾根の形が現れる。尾根上には全く踏み跡はない。しかし歩きやすい尾根とは言いがたく、この尾根でも随所に倒木が尾根を塞ぐように横たわっている。
標高750mのあたりで右手の斜面から登ってきた杉の植林地が現れる。尾根は南西の方向に曲がるが、やや北西に伸びる支尾根を辿ることにする。主尾根を辿ると尾根の下部でかなりの急斜面になっており、県道への着地が困難な可能性があるからだ。
尾根の北側斜面は植林地が広がるものの、尾根芯の周りは下藪のない快適な自然林が続いてゆく。北に伸びる支尾根を見送ると南西方向に尾根を下る。等高線の間隔も狭まり、多少の急斜面ではあるが、無理な斜面ではない。最後は杉の植林地となるが、すぐに林道に着地した。
小川の集落から駐車地まではわずかに1km弱の車道歩きである。ススキの穂や満開の彼岸花や秋桜花が短かいが変化に富んだ山行に余韻を与えてくれる。
帰りがけに南岳からの西尾根末端を確認すると県道の法面はコンクリートの擁壁となっているが、谷沿いの小さな祠の上は擁壁が切れて尾根に取り付くことが可能である。しかし、地形図の通りかなりの急斜面であり下りに使うのは危険と思われる。
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