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Yamareco

記録ID: 21151
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積雪期ピークハント/縦走
霊仙・伊吹・藤原

金糞岳(金居原→・967北尾根→金糞岳→鳥越峠西尾根→高山)

2002年02月16日(土) [日帰り]
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GPS
07:30
距離
19.7km
登り
1,303m
下り
1,286m

コースタイム

2月16日金居原(8:30)→・967(12:00)→・1103分岐(13:15-14:00)→金糞山(15:50-16:10)→鳥越峠西尾根→二股キャンプ場(19:30)
天候 晴れ
アクセス
利用交通機関:
電車 バス タクシー
コース状況/
危険箇所等
ひどい名前の山だ。糞の字が強烈だ。岐阜、滋賀県境の伊吹山地では伊吹山に次ぐ1300mクラス。2月の雪山は、雪の質や天気が読めないのであまり遠出やロングな山は行けない。しかし半月ぶりくらいの移動高気圧がやってきて休日に重なった。

例によって誰の都合も空いてないので、鉄道とバスで行ける計画を立てる。金糞は、どこからも奥深いのだが、北西の滋賀県木之本町金居原から南に登る尾根経由がよさそう。少々遠いが金糞の西に延びる分水稜線からアタック、南に延びる長くて緩やかな尾根を浅井町高山に下山する。朝イチで名古屋を出て路線バスを乗り継いでも一日で行ける算段だ。長野からやってくる急行ちくまが朝五時名古屋に着く。若者やおっさんなど、だらしなく眠りこけた乗客をのせ、夜行は出発。米原から北陸線を木之本まで。夜が明けると伊吹山が姿を見せ、屋根や田畑にはうっすら雪が積もっている。滋賀県は北陸の季節風が吹き抜けるのだ。木之本の宿場町らしい駅でバスを待ち、歴史の古そうな山間の街道筋へ。客は僕だけ。途中通学途上の子供が氷が張った大きな防火用水のかめをのぞき、いたずらしているのが見えた。短時間で北国に来てしまったと痛感。思えば若狭と伊勢湾に挟まれ、琵琶湖のあるこのあたりは北陸と太平洋岸の距離が日本で一番近い所ではないだろうか。

終点金居原は梁を赤く塗った伝統家屋ばかりの集落。目星の尾根にとりつき、ひたすら登る。尾根は下部100mほど急なだけ。地図でなるべく緩い尾根を選んでいたのでそこは計画通りだが、今日は無風快晴の上、雪がねっとりと思い。やばい。これはペースが上がらないパターンだ。東の方向、あまり高くは無いが端麗なピラミッドが見える。地図から察するに天狗山だろうか。おそらくこの場所から見なければこうもきれいな三角では無いのだろうが、これを見てしまうとこの山も株価上昇だ。この尾根上は杉の植林が密に生えていて、行く手を阻むばかりか尾根の方向の変わり目で何度か方角を狂わす。

案の定、分水嶺の尾根標高点967についたときには4時間近く経っていた。それにしてものどが渇く。ペースが上がらない。遠くからクログロと見え、心配された尾根上の杉の密林は、南側の雑木林を巻いて楽に通過できた。しかし1103 分岐に至る頃にはヘトヘト。計画では雪崩を避け、ここから南の尾根を下る予定だが長大だ。ラッセルも多そう。今からピークをアタックすると一応の目安の最終バス17:45 分に間に合わないのは確実だが、どうしたものか。水を作りながら考える。単独行ではたいていここでひよるのだが、なぜか行ってみようかという気になる。一杯飲んだ玉子スープが効いたのかも知れない。

ここに来て初めて、金糞山が見えた。近そうで遠そうだ。この山塊では、1200mを越えた山だけにある、白い威容だ。伊吹山は北から見ると西側のセメント会社による削られ面がくっきり。美しい山なのにまるで積み木のような幾何学形状になっている。あの石灰岩で、日本中がつまらないコンクリート建造物だらけになったのだ。金糞の前衛の1270峰は山頂に大きな雪庇をぐるぐる巻いている。その手前で雪庇付け根のヒドゥンクレバス深さ1mほどに突然落ちる。ひやり。1270峰の下りは巨大雪庇とその側面硬くて急な斜面でヒヤヒヤするところ。単独行だとスキー滑落で骨でも折ったらアウトだ。長い斜面を登って広い山頂に至る頃には、あたりは薄紅だ。この時間になって日中かすんでいた琵琶湖方面が鮮明になってきた。初めてみる山々が湖北に白い。武奈ヶ岳とおぼしき山、福井県境方面には白くごつごつした存在感ある山々、三周ヶ岳方面か。そして能郷白山が白い、その後ろには下から上まで真っ白な白山、北アルプス、乗鞍、御岳、中アと今日は視界がいい。夕方のピークはいいなあ、帰りが大変だけど。頂上まで8時間か。天気が良すぎてペースが落ちたのが敗因。天気は安定しているので星明かりで帰れる。

予定の尾根はうんざりしそうなので、鳥越峠西の尾根を下る事にする。まっすぐの林道が山腹を走っていて、時間が短縮出来そうだったので。山頂からシールはずして大滑降。標高差250m程を一気に滑り降りた。表面クラストの重い雪に全然期待していなかったけど、長さ130センチの短スキーでターンがし易かった。振り返れば、見よ黄昏の山頂南斜面にRNAのような僕のシュプール。この滑降だけでもこの山行に価値あり。鳥越峠付近まで登ってきている二人分のスキートレース発見。浅又川源流の急斜面を滑りに来たものらしい。ここまで来てなんで山頂斜面を滑らないのか不可解だが、雪崩の弱層テストをやった後もあり、なんだか親近感がわく。下降尾根は傾斜に乏しく、今日の雪質では前進しない。ラッセルする羽目に。彼らのトレースは登山道を行っているが、尾根を左にそれ、雑木林の急斜面を降り、林道を行くことにする。急斜面では満足の滑降。林道はやはり滑らず、ラッセル。途中水を飲もうとザックを開けたらたたんで置いたシールが落ち、クラスト斜面をころころ50mほど落ちてしまった。拾いに行ってラッセルして登って消耗。日が暮れた。今日は三日月、明かりは期待できない。ヘッドランプを出す。遠く琵琶湖とその湖畔に町の灯り。「滋賀のみやこよ、いざさらばー」とか、「町にはちらほら灯りがついた、ラッセルいそげや、おおシーハイルー」とか歌いながら。一人だと余裕をかます相手も居なくてつまんない。林道後半は例のトレースが合流したおかげでスキーが滑りだした。ありがたい。それでも延々この林道は8キロ。二股キャンプ場でなぜか携帯電話が通じ、タクシーを呼ぶ。長浜まで6000円。特急しらさぎで名古屋へ。はからずも充実の一日。
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