二ノ瀬ユリ〜北山荘 想いを馳せたんですが・・・ねぇ



- GPS
- 06:36
- 距離
- 11.5km
- 登り
- 784m
- 下り
- 677m
コースタイム
天候 | 曇天 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年12月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス 自家用車
出町柳〜二ノ瀬 380円 貴船〜貴船口 170円 貴船口〜出町柳 430円 |
コース状況/ 危険箇所等 |
滝谷峠〜北山荘は倒木多数 覚悟が必要!かな? |
写真
感想
『北山小屋』
『夏休みものこりすなくなってきた。子供たちにせがまれるので、とうとうみこしをあげて、北山の小屋へでかける。
おやじさんの山登りも、子供たちの海水浴も、過去の夢になってしまいそうな、このインフレ時代に、山小屋行こそは、わが家にとって、いまや取っておきの、楽しい年中行事の一つになりつつある。
小屋へゆく主な道は、鞍馬電車の二の瀬駅で下車して、通称二の瀬ゆりという、尾根道をゆくのと、貴船口駅で下車して、長ゆりという、芹生に通ずる谷道を行って、途中から滝谷へはいるのと、二つあって、この並行した二つの道は、滝谷峠の上で、一つになるが、二の瀬ゆりのほうが陰が多いので、ゆきは二の瀬ゆり、かえりは長ゆりをとったほうが、夏はらくである。
子供たちは去年依頼、もう何回かこの道をとおっているので、ツガの木、モミの木などという休み場をすっかりのみこんでいる。途中五回休んで、そのつぎ小屋につく。
家のまわりで、毎日やかましく鳴いている、クマゼミやアブラゼミの鳴き声のかわりに、下鴨辺りではたえて聞くことのない、ミンミンゼミやヒグラシの鳴き声を聞くのもうれしいが、二の瀬ユリをゆくと貴船山にさしかかるあたりから、エゾゼミのギーという声がしてくる。
植物でいえば、このへんの高さから上が、ブナ帯にあたるのであるが、北山には残念ながら、ブナの自然林は見られない。けれどもエゾゼミが鳴いておれば、もうそこはわれわれが、日ごろ生活している低地とは、いささかちがった自然環境に属する、すこしむずかしくいえば、それはちがった生物の生活帯なのだ。そして小屋の位値はーーそういうつもりで選んだわけではないがーーさいわいそうした高さにある。たったひと晩ではあるが、ちがった生活帯の中で寝とまりできるとは、けっこうなことだと、妙なところでこの小屋の値打ちを、再確認する。
中略
小屋帖を拾いよみしてみると、いまではずいぶんたくさんの人に、この小屋は利用され、また愛されているらしい。都会からわずか半日の距離で、これだけ山深い感じのえられるところも、すくないであろう。とくにこんどの小屋は、まえの小屋とちがい、眺めがよい。二階の窓からの眺めだ。山深い感じも、あの眺めによっていっそう深められるのである。それでいつも、あの前にある杉の木の下枝を二、三本落としたら、もっと眼界がひらけて、あの眺めを十分に楽しめるであろうにと思うのだが、いまだに手をくだすひとが現れてこないのは、すこし物足りない気がする。そういうこちらも、つい木に登るのが億劫になって、こんども伐らずにかえってきた。
(1947年)(北山小屋)今西 錦司 著 河出書房新社 「山の随筆」 より孫引き
コメント
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今西 錦司著の随筆のさわりを読ませていただき、また、弥次さん喜多さんの再訪レコを読ませていただき、私が歩いた時に足を向けなかった(時間がなかった)ことに後悔し、あらためて再訪の決意をいたしました。
今度はじっくりと歩いてみたいと思います。
北山の初心者の弥次喜多が偉そうなこと言ってすみません。
山蛭の季節や雪の頃は北山に足が向くことはありません。
キバラーさんの「北山発見」楽しみにしています。
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