記録ID: 2167446
全員に公開
積雪期ピークハント/縦走
塩見・赤石・聖
芝沢ゲートから畑薙ダムへ(聖岳・上河内岳)
2019年12月31日(火) 〜
2020年01月02日(木)


- GPS
- 56:00
- 距離
- 32.2km
- 登り
- 3,333m
- 下り
- 3,168m
コースタイム
1日目
- 山行
- 6:25
- 休憩
- 0:40
- 合計
- 7:05
2日目
- 山行
- 9:10
- 休憩
- 0:35
- 合計
- 9:45
3日目
- 山行
- 7:10
- 休憩
- 1:00
- 合計
- 8:10
同じ場所へ戻ってくるピストン山行よりも、ワンウェイで違う場所へ下山する方が好きなので、遠山郷〜聖岳〜上河内岳〜茶臼岳〜畑薙というルートを考え付いた。以前よりも体力の衰えを感じていたこともあり、2泊3日でしかも比較的難関が少ない本コースとなった。
12月31日(火)曇りのち午後時々晴れ 【芝沢〜西沢渡〜薊畑分岐】
当初の予定では29日出発だったが、30日に雨予報が出ていたため、結局2日遅れの出発となった。予報では曇り勝ちであるが午後に晴れ間が期待でき、その代わり急激に気温が低下とのこと。昨日は1日延期した分岐阜県の城跡巡り(可児市明知城、中津川市苗木城など)で時間をつぶしていたが、1日中冷たい雨に見舞われテンションやや下降気味。今朝は宿泊地の飯田市から遠山郷神楽の湯まで移動し、そこから天龍観光タクシーで芝沢ゲートまで乗り付けた。事前の予約電話では、冬場の道路事情から大野あたりまでしか行けないとのことだったが、実際は難なく芝沢ゲートまで運んでもらえることに。若く感じの良い運転手だったが、地元出身のようで、土地の話を色々と興味深く聞くことができ、特に最奥の大野集落には現在高齢者1世帯のみというのが印象的だった。
さて、1時間余りで芝沢に着くと、意外にも車がすでに7〜8台駐車と大賑わい?空は曇っているが昨日の雨に比べれば御の字といったところで、気温もプラス5度程度と高め。当然雪は全くなし。スタートして間もなくすると土砂災害で林道が崩壊しており、山側に大きく迂回を余儀なくされる地点に差し掛かるが、よく見ると河原側が復旧工事中のようで、そこを通過すれば労なく先へ進めそうなことが判明。ただし本来は歩行者立ち入り禁止なのでこっそりと通り過ぎる。易老渡を通過し、便ヶ島へ到着すると、先行の男女2人パーティに追いつく。聞くと、聖、上河内、茶臼を縦走し、易老岳から下山という周回コースで、本日は苔平あたりで幕営とのこと。登山者も一杯入っているのでトレースは問題ないと話していてが果たしてどうなることやら。便ヶ島に車が入れなくなり久しいが、立派な山小屋を始め、自炊施設の揃ったキャンプ場、ダイドーの自動販売機(もちろん使用不可)、衛星電話(こちらは使用可)まで完備していた。
西沢渡まで旧森林軌道跡を歩くが、途中落ちたら命がないような急斜面のトラバース道で一か所崩壊気味の箇所があったが(写真)、ロープがないとかなりいやらしいと思った。西沢渡では名物?のゴンドラで沢を渡ったが、対岸からロープを懸命に引っ張ることになるが、これが前回(10年前)よりもひどく重労働で、年齢を感じずにはいられなかった。ここで余計な体力を消費したことから、薊畑分岐までの標高差1000M以上の急登がひどくこたえ、苔平を過ぎて標高が上がり気温が低下したこともあり、休憩するたびに体が冷えて、中々先に進まなくなってしまった。雪は標高2000M付近から急激に増加したもの、トレースがしっかりしていることからラッセルは皆無であるにもかかわらずだ。それでも西沢渡から夏時間よりもやや短めの4時間あまりで薊畑分岐に到着。晴れ間が見え始めたが、凍えた身には風が強烈であり、速やかにテント場探しへと移った。結局薊畑からやや下降した樹林帯内にテント場を確保し設営を行ったが、テントに入ってしばらく震えが止まらず、日がまだあるにもかかわらず、恒例の周辺偵察などやる気も起こらなかった。こんな調子で明日聖岳と上河内岳越えができるのかと不安な気持ちになってしまった。
夜はラジオで紅白歌合戦をやっていたので暇つぶしに流していた。多分気温は左程低下していないと思うが、体力の過剰な消耗など体調管理がうまくいかなかったこともあり、夜半はかなり寒く感じた。特に、着用していたのが顔の表面全体を保護するタイプのフェースガードではなく、中央がぽっかり開いた「もじもじ君」型のタイプだったので、異様に鼻の周りがスース―し、しかもそこから寒気が体の中に入ってきて辛かった。顔全体を覆う「スーパーストロングマシーン」タイプの方が良いと思う。
1月1日(水)晴れのち午後時々曇り 【薊畑分岐〜聖岳〜聖平〜上河内岳〜奇岩竹内門先2549地点付近】
午前3時頃、上空を見上げると満天の星だった。予報通り晴れのようだが、懸念の風については夜中でも時々強風の音がしていたため分からない。今日は茶臼小屋まで行きたいが、最悪上河内岳を越えて樹林帯で幕営しても良いくらいの気持ちでいた。行程が長いため夜明け前の5時半に出発。昨日偵察していなっかたので分からなかったが、トレースはばっちり付いているのでワカンはなくても良かった。小聖の手前でテントを発見するが、中に誰かいるかどうか不詳。もうすでに聖を目指しているのだろうか?ワカンをデポし、小聖に着いた辺りからヘッドライトが不要になるくらい周囲が明るくなり始めた。東空には富士がはっきりとその姿を現すようになり、よく見ると東側は雲海になっているのが分かった。そして太陽の光線らしきものがチラチラし出すと、周囲はたちまちオレンジ色に染まり始めた。重い荷物を背負い、凍り付くようなテント泊に耐え、強風やラッセルに苦しんできたのも、すべてがこの瞬間で吹っ飛んでしまうのだから雪山は止められないと思う。その幻想的な時間は10分程度かと思う。このような美しい初日の出は生まれて初めてだが、感傷に浸っている暇などなく、難所の急登に差し掛かる。完全にクラストしているため先行者のトレースが分からず、ルート取りを誤らないように慎重に登らなければならない。結局直登っぽくなるが、振り返ると断崖絶壁のように見えて足がすくむ。幸い登っている最中強風はあまりなかったが、ようやく頂上に達すると強烈なのが襲い掛かってきた。たまらず写真を数枚収めてから即座に下山に差し掛かる。景色は兎や赤石など北面の山々が望めるようになった他、劇的に変わるわけではない。
下山はアイゼンを効かせテンポ良く下りれば、登りに感じる恐怖感はない。眺めるとチラチラ蟻の行列のような登山者が登ってくるのが見えた。あっという間にテント場へ到着し、デポした重い荷物を背負い上河内へ向けて出発だ。ところで、途中すれ違った登山者のおじちゃんが「上河内方面へのトレースがない」と気になることを話していた。聖平まで降りると、案の定そこから先の上河内方面へのトレースが消えていた。樹林帯を抜けさえすればという気持ちで突っ込むと、ワカン着用でも一歩一歩が深く潜り、しかも荷物が重いためしばらく芋虫のようにもがき苦しむことに。最悪引き返そうかとも考えたが、何とか前進できそうなギリギリラインの雪量だったため、結局引き返すタイミングを逃したとも言える。南岳への登り局面に入り、二重稜線っぽいところを進んでいる最中に、5Mほど進行方向右手側にトレースがあることに気づいた。動物のでなく間違いなく人のものだ。わりと新しそうだったので、もしかして途中で交差せずに対向者とすれ違っていたのかもしれない。もうすでにラッセルの程度は軽減されていたとはいえ、そのトレースを頼りに森林限界を越えて登っていくと、視界を遮るものがなくなり、やがて南岳へ到着。聖平から標準の2倍かかったが、改めて見下ろせばよくここまで我慢したと自分を褒めてやりたくなった。一方上河内岳まではすぐ近くにまで来たが、あともうひと踏ん張りである。体力を使い切ったので這う這うの体だが、強風とともに上から襲い掛かる氷粒の攻撃に耐え、何とか上河内の肩に到着。空身で上河内岳へ向かうが、ここでも強風のため長居は無用ですぐに引き上げた。形が良く遠くから見ても良し、上から眺めても良しの山だと思う。その後奇岩竹内門を過ぎて森林帯に入ったので、無理をせず行動を終了しテントを張ることにした。何とか上河内越えが達成できて良かった。
1月2日(木)晴れ 【奇岩竹内門先2549地点付近〜茶臼小屋〜横窪沢小屋〜畑薙大吊橋〜沼平〜白樺荘】
連日の夜明け前出発(午前5時)。トレースは森林帯から突然進行方向左手の尾根上へと進路を変えた。よく見るとトレースの一つはスノーシューのそれであり、ワカンでたどると深く潜ってしまう。この登り地点前後が最後のラッセル地帯であり、そこを越えると尾根上のクラスト道となり、基本的には踏み抜きが少なくて済む。茶臼小屋分岐までは平坦か下り基調だとばかり勘違いしていたため、ややルート取りが不安になってきたが、ようやく明るくなり始めたあたりで茶臼小屋へ降りる分岐の標識を発見して一安心。茶臼岳へは結構標高差があるように感じたため登頂はパスし、さっさと下山開始。昨日と同じモルゲンロートの楽しい時間が間もなくやってきそうなタイミングであったが、早く下山して白樺荘の温泉&ビールにありつきたい欲望が勝った。しかも、同所発14:40のバスに間に合わないといけないので、あまりゆっくりしていられない。茶臼小屋を過ぎると樹林帯の単調な下山路であり、一目散に下を目指すが、すぐに気温が上昇し汗だくになった。1時間少しで横窪沢小屋着。ここで流水が現れたため水分補給し出発。完全に下山モードだったが、実はここからが今回の核心だった。まず最初に横窪峠越えの切れ落ちたトラバース。何年か前の台風被害でルートの付け替えを行ったようだが、それでも途中微妙な箇所に凍結があり、アイゼンなしではかなり怖い。しかもアイゼンなしで途中まで突っ込んだため、条件のかなり悪い場所で着用する羽目になってしまった。そして、ウソっこ沢までの超急こう配の下山路。何気ない道でも、一歩間違えて足を踏み外せば死ぬ。これは下山中の疲労困憊の登山者にとっては結構きつい。ウソっこ沢から先は同じく先の台風被害で吊橋がいくつか崩壊し、代用の橋がかかっている。そこ自体は問題ないが、沢沿いなので時々「落ちたら死ぬ」の急斜面トラバースが現れる。しかも道幅が異様に狭いうえに傾斜している。それが畑薙大吊橋まで続くので気が抜けない。畑薙大吊橋が可愛く見えるくらいだ。
沼平では年末年始期間ということで駐在している警察官に下山届を提出。以前の登山者の記録では、ここでみかんをもらったという記述があったので期待していたがもらえなかった(笑)。ここまで来ると穏やかで温かく、日向ぼっこが気持ち良いが、風が吹くとそこはやはり冬なので急に寒く感じた。13時過ぎにようやく白樺荘に到着。念願の温泉とビールが待っていてくれた。また、ざるそばの味は絶品だった。
その後予定通り井川地区自主運行バスに乗り、途中乗り継いで静岡に18時過ぎ着いた。
12月31日(火)曇りのち午後時々晴れ 【芝沢〜西沢渡〜薊畑分岐】
当初の予定では29日出発だったが、30日に雨予報が出ていたため、結局2日遅れの出発となった。予報では曇り勝ちであるが午後に晴れ間が期待でき、その代わり急激に気温が低下とのこと。昨日は1日延期した分岐阜県の城跡巡り(可児市明知城、中津川市苗木城など)で時間をつぶしていたが、1日中冷たい雨に見舞われテンションやや下降気味。今朝は宿泊地の飯田市から遠山郷神楽の湯まで移動し、そこから天龍観光タクシーで芝沢ゲートまで乗り付けた。事前の予約電話では、冬場の道路事情から大野あたりまでしか行けないとのことだったが、実際は難なく芝沢ゲートまで運んでもらえることに。若く感じの良い運転手だったが、地元出身のようで、土地の話を色々と興味深く聞くことができ、特に最奥の大野集落には現在高齢者1世帯のみというのが印象的だった。
さて、1時間余りで芝沢に着くと、意外にも車がすでに7〜8台駐車と大賑わい?空は曇っているが昨日の雨に比べれば御の字といったところで、気温もプラス5度程度と高め。当然雪は全くなし。スタートして間もなくすると土砂災害で林道が崩壊しており、山側に大きく迂回を余儀なくされる地点に差し掛かるが、よく見ると河原側が復旧工事中のようで、そこを通過すれば労なく先へ進めそうなことが判明。ただし本来は歩行者立ち入り禁止なのでこっそりと通り過ぎる。易老渡を通過し、便ヶ島へ到着すると、先行の男女2人パーティに追いつく。聞くと、聖、上河内、茶臼を縦走し、易老岳から下山という周回コースで、本日は苔平あたりで幕営とのこと。登山者も一杯入っているのでトレースは問題ないと話していてが果たしてどうなることやら。便ヶ島に車が入れなくなり久しいが、立派な山小屋を始め、自炊施設の揃ったキャンプ場、ダイドーの自動販売機(もちろん使用不可)、衛星電話(こちらは使用可)まで完備していた。
西沢渡まで旧森林軌道跡を歩くが、途中落ちたら命がないような急斜面のトラバース道で一か所崩壊気味の箇所があったが(写真)、ロープがないとかなりいやらしいと思った。西沢渡では名物?のゴンドラで沢を渡ったが、対岸からロープを懸命に引っ張ることになるが、これが前回(10年前)よりもひどく重労働で、年齢を感じずにはいられなかった。ここで余計な体力を消費したことから、薊畑分岐までの標高差1000M以上の急登がひどくこたえ、苔平を過ぎて標高が上がり気温が低下したこともあり、休憩するたびに体が冷えて、中々先に進まなくなってしまった。雪は標高2000M付近から急激に増加したもの、トレースがしっかりしていることからラッセルは皆無であるにもかかわらずだ。それでも西沢渡から夏時間よりもやや短めの4時間あまりで薊畑分岐に到着。晴れ間が見え始めたが、凍えた身には風が強烈であり、速やかにテント場探しへと移った。結局薊畑からやや下降した樹林帯内にテント場を確保し設営を行ったが、テントに入ってしばらく震えが止まらず、日がまだあるにもかかわらず、恒例の周辺偵察などやる気も起こらなかった。こんな調子で明日聖岳と上河内岳越えができるのかと不安な気持ちになってしまった。
夜はラジオで紅白歌合戦をやっていたので暇つぶしに流していた。多分気温は左程低下していないと思うが、体力の過剰な消耗など体調管理がうまくいかなかったこともあり、夜半はかなり寒く感じた。特に、着用していたのが顔の表面全体を保護するタイプのフェースガードではなく、中央がぽっかり開いた「もじもじ君」型のタイプだったので、異様に鼻の周りがスース―し、しかもそこから寒気が体の中に入ってきて辛かった。顔全体を覆う「スーパーストロングマシーン」タイプの方が良いと思う。
1月1日(水)晴れのち午後時々曇り 【薊畑分岐〜聖岳〜聖平〜上河内岳〜奇岩竹内門先2549地点付近】
午前3時頃、上空を見上げると満天の星だった。予報通り晴れのようだが、懸念の風については夜中でも時々強風の音がしていたため分からない。今日は茶臼小屋まで行きたいが、最悪上河内岳を越えて樹林帯で幕営しても良いくらいの気持ちでいた。行程が長いため夜明け前の5時半に出発。昨日偵察していなっかたので分からなかったが、トレースはばっちり付いているのでワカンはなくても良かった。小聖の手前でテントを発見するが、中に誰かいるかどうか不詳。もうすでに聖を目指しているのだろうか?ワカンをデポし、小聖に着いた辺りからヘッドライトが不要になるくらい周囲が明るくなり始めた。東空には富士がはっきりとその姿を現すようになり、よく見ると東側は雲海になっているのが分かった。そして太陽の光線らしきものがチラチラし出すと、周囲はたちまちオレンジ色に染まり始めた。重い荷物を背負い、凍り付くようなテント泊に耐え、強風やラッセルに苦しんできたのも、すべてがこの瞬間で吹っ飛んでしまうのだから雪山は止められないと思う。その幻想的な時間は10分程度かと思う。このような美しい初日の出は生まれて初めてだが、感傷に浸っている暇などなく、難所の急登に差し掛かる。完全にクラストしているため先行者のトレースが分からず、ルート取りを誤らないように慎重に登らなければならない。結局直登っぽくなるが、振り返ると断崖絶壁のように見えて足がすくむ。幸い登っている最中強風はあまりなかったが、ようやく頂上に達すると強烈なのが襲い掛かってきた。たまらず写真を数枚収めてから即座に下山に差し掛かる。景色は兎や赤石など北面の山々が望めるようになった他、劇的に変わるわけではない。
下山はアイゼンを効かせテンポ良く下りれば、登りに感じる恐怖感はない。眺めるとチラチラ蟻の行列のような登山者が登ってくるのが見えた。あっという間にテント場へ到着し、デポした重い荷物を背負い上河内へ向けて出発だ。ところで、途中すれ違った登山者のおじちゃんが「上河内方面へのトレースがない」と気になることを話していた。聖平まで降りると、案の定そこから先の上河内方面へのトレースが消えていた。樹林帯を抜けさえすればという気持ちで突っ込むと、ワカン着用でも一歩一歩が深く潜り、しかも荷物が重いためしばらく芋虫のようにもがき苦しむことに。最悪引き返そうかとも考えたが、何とか前進できそうなギリギリラインの雪量だったため、結局引き返すタイミングを逃したとも言える。南岳への登り局面に入り、二重稜線っぽいところを進んでいる最中に、5Mほど進行方向右手側にトレースがあることに気づいた。動物のでなく間違いなく人のものだ。わりと新しそうだったので、もしかして途中で交差せずに対向者とすれ違っていたのかもしれない。もうすでにラッセルの程度は軽減されていたとはいえ、そのトレースを頼りに森林限界を越えて登っていくと、視界を遮るものがなくなり、やがて南岳へ到着。聖平から標準の2倍かかったが、改めて見下ろせばよくここまで我慢したと自分を褒めてやりたくなった。一方上河内岳まではすぐ近くにまで来たが、あともうひと踏ん張りである。体力を使い切ったので這う這うの体だが、強風とともに上から襲い掛かる氷粒の攻撃に耐え、何とか上河内の肩に到着。空身で上河内岳へ向かうが、ここでも強風のため長居は無用ですぐに引き上げた。形が良く遠くから見ても良し、上から眺めても良しの山だと思う。その後奇岩竹内門を過ぎて森林帯に入ったので、無理をせず行動を終了しテントを張ることにした。何とか上河内越えが達成できて良かった。
1月2日(木)晴れ 【奇岩竹内門先2549地点付近〜茶臼小屋〜横窪沢小屋〜畑薙大吊橋〜沼平〜白樺荘】
連日の夜明け前出発(午前5時)。トレースは森林帯から突然進行方向左手の尾根上へと進路を変えた。よく見るとトレースの一つはスノーシューのそれであり、ワカンでたどると深く潜ってしまう。この登り地点前後が最後のラッセル地帯であり、そこを越えると尾根上のクラスト道となり、基本的には踏み抜きが少なくて済む。茶臼小屋分岐までは平坦か下り基調だとばかり勘違いしていたため、ややルート取りが不安になってきたが、ようやく明るくなり始めたあたりで茶臼小屋へ降りる分岐の標識を発見して一安心。茶臼岳へは結構標高差があるように感じたため登頂はパスし、さっさと下山開始。昨日と同じモルゲンロートの楽しい時間が間もなくやってきそうなタイミングであったが、早く下山して白樺荘の温泉&ビールにありつきたい欲望が勝った。しかも、同所発14:40のバスに間に合わないといけないので、あまりゆっくりしていられない。茶臼小屋を過ぎると樹林帯の単調な下山路であり、一目散に下を目指すが、すぐに気温が上昇し汗だくになった。1時間少しで横窪沢小屋着。ここで流水が現れたため水分補給し出発。完全に下山モードだったが、実はここからが今回の核心だった。まず最初に横窪峠越えの切れ落ちたトラバース。何年か前の台風被害でルートの付け替えを行ったようだが、それでも途中微妙な箇所に凍結があり、アイゼンなしではかなり怖い。しかもアイゼンなしで途中まで突っ込んだため、条件のかなり悪い場所で着用する羽目になってしまった。そして、ウソっこ沢までの超急こう配の下山路。何気ない道でも、一歩間違えて足を踏み外せば死ぬ。これは下山中の疲労困憊の登山者にとっては結構きつい。ウソっこ沢から先は同じく先の台風被害で吊橋がいくつか崩壊し、代用の橋がかかっている。そこ自体は問題ないが、沢沿いなので時々「落ちたら死ぬ」の急斜面トラバースが現れる。しかも道幅が異様に狭いうえに傾斜している。それが畑薙大吊橋まで続くので気が抜けない。畑薙大吊橋が可愛く見えるくらいだ。
沼平では年末年始期間ということで駐在している警察官に下山届を提出。以前の登山者の記録では、ここでみかんをもらったという記述があったので期待していたがもらえなかった(笑)。ここまで来ると穏やかで温かく、日向ぼっこが気持ち良いが、風が吹くとそこはやはり冬なので急に寒く感じた。13時過ぎにようやく白樺荘に到着。念願の温泉とビールが待っていてくれた。また、ざるそばの味は絶品だった。
その後予定通り井川地区自主運行バスに乗り、途中乗り継いで静岡に18時過ぎ着いた。
天候 | 曇り→晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年12月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス タクシー 自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
遠山郷・芝沢間:凍結なし、落石あり 西沢渡・薊畑間:2000M前後から積雪。ラッセルなし 聖平・聖岳間:小聖岳までトレースはっきり。頂上直下は急登でルート選択慎重要する。 聖平・茶臼間:森林帯はラッセル。 茶臼・畑薙間:横窪から下は要注意 畑薙・井川間:問題なし |
その他周辺情報 | 下山後白樺荘で日帰り温泉 |
写真
お気に入りした人
人
拍手で応援
拍手した人
拍手
訪問者数:1404人
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する