幌尻岳 新冠ルート (新冠ポロシリ山荘) 百名山18座目
- GPS
- 24:29
- 距離
- 34.1km
- 登り
- 2,382m
- 下り
- 2,378m
コースタイム
北電ゲート15:25〜15:50いこい橋16:05〜18:40新冠ポロシリ山荘
9月18日
新冠ポロシリ山荘5:48〜6:45渡渉〜8:46水場〜9:41乗越〜9:48幌尻岳10:11〜10:14乗越〜10:51水場10:59〜12:10渡渉〜12:45新冠ポロシリ山荘 13:08〜14:55いこい橋15:12〜15:30北電ゲート
天候 | 晴 北海道の9月半ばとは思えないほどとても暑かった。 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自転車
出発前には新冠町に林道の状況等要確認です。 新冠の民宿「ふかふか亭」で自転車(マウンテンバイク)を事前にレンタル。 18キロの林道移動にとても重宝しました。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
<概況> 年間20組程度しか利用しないと言われる「新冠ポロシリ山荘」 登山道の荒廃が進んでおり、バリエーションルートと言っても差し支えない。 <林道> 9月1日に林道が開通したばかり。 当初のアナウンスでは 「10月開通=登山は出来ない」 とのことだったので、このルートはNGと思い込んでいた方も多いかと思います。 奥新冠ダムまでは「北電」のクルマが入るらしく比較的よく整備された林道です。 4WDでなくても走れるような状態です。(勿論クルマの乗り入れは禁止です) 奥新冠ダムから先は急に道が荒れだします。 新冠ポロシリ山荘まで2kmの標識から湖畔沿いすすむ地図のルートとは違う山あいのコースを進む。 進む方角が違う上に道がさらに荒れだし坂も一番キツイところなので、少々不安に思うかもしれませんが間違ではありません。 <いこい橋> あの悪名名高い「いこい橋」ですが「これでもか!!」というほどに厳重にそびえたっています。 回転式扉もヒト一人通るのがやっとです。 リュックは降ろさないと通れません。 自転車は、前輪を外し、ペダルを左右の扉の隙間を通すという要領でくぐらせることが出来ました。 <登山道> 新冠ポロシリ山荘から渡渉までの藪漕ぎ区間と渡渉から幌尻岳頂上までの急登区間の二つに大別することが出来る。 新冠ポロシリ山荘〜渡渉 新冠ポロシリ山荘から渡渉までの区間で藪漕ぎがある。 残念ながらテープはあまりない。 踏み跡不鮮明で一進一退を強いられることがあります。 (退いても数十mまでの話です) 渡渉について 渡渉が一度あるが、木の板が渡してあり、濡れずに進むことが出来た。 この木の板が無くてもストック等があれば石を上を注意して渉れば濡れずに越えることが出来る。 渡渉〜幌尻岳頂上まで 渡渉後は稜線上を一気に幌尻岳まで登り詰める急登区間です。 この稜線上に倒木が多くある 整備されていないので、倒木があっても撤去されずそのままである。道を進むためには倒木は四つん這いになって潜る箇所も数ヵ所ある。 私はリュックを引っ掛け、気がつかぬ間にファスナーが開いて地図、虫除け等の荷物を数点落としてしまった。 <その他> 帰り道・・林道を奥新冠ダムへ進まないように 私は「行き」が真っ暗闇の中進んだので気が付かなかったのですが、新冠ポロシリ山荘から2?ほど下ったところにある奥新冠ダムへの分岐へ入ってしまいました。 下りの時は右手が登り、左手が下り の分岐だったので、左手の下り道を進んだらダムに降りてきてしまいました。 右手の登りが正解です。 昼間に林道を進んだ方なら間違えることは無いでしょうケド(汗) ダムからひたすらモト来た道を登り返すのもシンドイものがあります(涙) |
写真
感想
神戸空港を8:00に出発するANAで千歳空港に到着
千歳空港でレンタカーを借り、苫小牧のイオンモールで食料・ガスカートリッジを購入
苫小牧から一時間半走り新冠村の民宿「ふかふか亭」で自転車を借りてから北電ゲートを目指す。
北電ゲートまで林道をクルマで1時40分程度走行しなければならない。
最後はカーステのAMラジオが全く入らなくなった。
北電ゲートでは一台クルマが停まっていたので、新冠ポロシリ山荘宿泊者はもう一人居ると期待したが、残念ながら1時間ほど林道を進んだところですれ違った。
これで今夜の新冠ポロシリ山荘一人宿泊決定。。
<北電ゲート>
15:25一番左手のゲート端のさらに左端から自転車を押して通過
ここから約18キロ標高差350mを進まねばならない。
それもかなりアップダウンがある。林道の累積標高差は600mは軽く越すだろう。
ホンとは自転車を漕いで進みたいが、僕の脚力でそれは無理。登りは殆ど自転車を押して進むことに・・・
熊の落し物も多くある。それも新鮮なものも・・・
<いこい橋>
北電ゲートから約3キロ25分で悪名高き「いこい橋」
ここまでやるか?と思うほど厳重なゲートです。
MTBから荷物を降ろし、前輪を外す。
自転車をゲートの下を通すのだが、それでもペダルがゲートに干渉する。
ペダルは左右ゲートの隙間を通すのがコツ。
ゲートを通るだけでリュックや体じゅうがホコリまみれになる。
ゲートを通り自転車を組み立て、リュックを荷台に固定。
このリュックを固定した、紐なのだが、自転車用のゴムタイプの紐。
振動が多い林道ではこの先紐が何度も緩み、その度に紐を縛らねばならなくなった。
これだけでもかなり精神力と体力を消耗した。
<くまよけ鈴と叫び>
家から熊よけの「鈴」をたくさん体に付けてきたのだが、いこい橋に着くまでに振動等で取れてしまった。
仕方が無いのでこの後は「熊よけ」のためにひたすら叫びながら進むことに。
約一時間ほど進んだところで、山道で叫ぶと、約十m程度横で大型の獣が大慌てで熊笹を中を逃げてゆく音が・・・
(涙)
メチャクチャ怖い・・・
この後、叫びながら進むと件のくだりの人とすれ違う。
この行程で唯一の「人」
きっと叫びながら自転車を押してきた僕のことを変人と思っただろうに・・・
<日暮れ>
17時30分過ぎには日が暮れて周りは真っ暗「かもしか山行」に・・・
ヘッドライトと自転車のライトを頼りに真っ暗闇の林道を進む。
奥新冠ダムを過ぎ「新冠ポロシリ山荘まで2キロ」の道標を越すと、林道は地図とは違う方向へそれも急登で進み始める。
GPSで確認しても明らかに違う方向へ進む。
急登のうえに道が一気に荒れてきた。
先ほどまでの林道は、クルマが走ることが出来る林道であったが、奥新冠ダムをすぎからはクルマが走ることは出来ないほど林道は荒れている。
「この道で良いのか??」「間違っているんじゃないの??」
そんな疑問と不安ばかりで頭の中がいっぱいになる。
でも分岐は無かった・・
「毒食らわば皿まで」
そう腹をくくって、真っ暗闇の林道を、ひたすら前へ進む。
途中から勾配がゆるくなり自転車を漕いで進むが、時折、林道に覆いかぶさる枝が顔に当たる。
<獣>
暫く進むと自分の向かう方角が新冠ポロシリ山荘へ向いてきた。
その時、数十m先に4つの緑色の反射板が・・・
と思ったとたんその反射板が動いた
鹿か熊かは判らないが大型の獣の目だ・・・
コ・・・コワい(涙)
それでも大きな声で叫びながらひたすら林道を前へ進む。
しばし進むと緩やかなくだり坂になり、そしていきなり目の前に「新冠ポロシリ山荘」が暗闇の中、姿を現した。
勿論誰も居ない。
無人である。
<新冠ポロシリ山荘>
無人の避難小屋であるが、比較的設備はよく、2階建てで、窓もある。
また暖炉もある。
鍋・シェラフマットがあり、私もそれらを利用しました。
小屋のすぐ横に川が流れているが、真っ暗闇に着いた私には、目の前の水場まで行くのに少し往生しました。
宿帳みたいなノートがあり、それによると私は今年約5組目の利用者であるらしい。
夕食はレトルトご飯とレトルトカレーを湯煎したものにお味噌汁一杯。
夜中、トイレに小屋の外に出た。
空には無数の星たちが輝いていた。
真っ暗闇の山あいなので星がとてもよく見える。
9月半ばというのに夜になってもまだ暑く、寝袋が無くても寝ることが出来た。
9月18日
夜明けとともに目が覚めて、川に下りて顔を洗う。
<登山開始>
6時前に大声で叫びながら小屋を出発
<藪こぎ>
暫く歩くとブッシュの中を歩くのだが「道が無い」
よくよく探すと踏み跡らしいものがあるのだが、すぐに見失ってしまう。
今年に入って5組目の登山道・・・
踏み跡なんて殆どなく、ものの見事に登山道は「自然」に帰っている。
テープもたまにあり重宝する。
途中沢沿いを歩く場合もあるが、ここもすぐに道を見失う。
数回右往左往してようやく渡渉場所へ
渡渉場所は木の板が渡してあり水に濡れることはない。
<急登>
渡渉が終わり、少しだけブッシュの中を歩くと一気に標高差1,000m以上の急登に差し掛かる。
熊笹がなくなり踏み跡はハッキリしてくるのだが、この急登、途中に多くの倒木がある。誰も歩かない登山道、とうぜん整備もされていない。
倒木の下を四つん這いになって進むor乗越える
という選択肢があるのだが、殆どは倒木の下をくぐることになる。
倒木の下をくぐった際に気がつかぬ間にリュックのファスナーが開いてしまい、地図・虫除けなどを紛失してしまった。
ショックである(涙)
一旦稜線からハズレ沢へ出る。
沢(水場)でしばし休憩し、暫く進むとまもなく森林限界を超す。
森林限界を超してから岩場の道は(今までと比較して)とても歩きやすい。
稜線が見えており、まだまだ先は長いが目標がハッキリと見えるのは励みになる。
振り返ると新冠ポロシリ山荘すぐそばの幌尻湖が見える。
岩場では周りから「ナキウサギ」の鳴き声が絶え間なく聞こえてくる。
たまにナキウサギの影を見るのだが、ハッキリと見ることは出来なかった。
乗越に着くと、戸蔦別岳(とったべつだけ)そしてその先の山々が見える。
<頂上>
幌尻岳山頂も人の気配ゼロ
戸蔦別岳(とったべつだけ)が目の前に大きく見え、さらにその奥も山々が続く
180度どこを見渡しても山・山・山・・・
とても山深い・・・
<下山>
しばし休憩ののち、一気に下山。
下山中もずっと
「ここで捻挫して動けなくなったら24時間はだれも救出に来てくれないだろうなぁ〜」
という嫌なことばかりが頭をよぎる。
途中の水場でハイドレに満給水。
稜線を下り渡渉後、また少々道に迷う(汗
新冠ポロシリ山荘に下山後、山荘にて昼食を食べる。
<林道を下る>
新冠ポロシリ山荘から自転車に荷物を括り付ける時は、リュックのベルトを利用してリュックを荷台に縛り、自転車の紐はあくまでも補助として利用した。
こうすることによって行きの時とは違い、荷崩れすることなく自転車を快適に利用することが出来た。
2キロ進んだところで分岐がある。
右手登り・左手下り
行きは真っ暗闇を進んだので景色に記憶に無い。判断に迷う。
山を下る=下りを選択したところ、奥新冠ダム発電所へ降りてしまい、行き止まり。
もと来た道を登り返す。あぁシンド・・・
下山時太陽がサンサンとあたりとても暑い。
幸いにして暫く走ると殆ど日陰になったのでかなり救われた。
自転車での下山時の行程半ば、8名程度のツアー客に出会ったが、急な下り坂だったため当方の自転車が止まることが出来なく、一気にすれ違うだけであった。
いこい橋で自転車をバラして、ゲートの下を自転車を通し、再度自転車を組み上げます。
ここからはもぅ半分到着した気分になります。
残り三キロ、北電ゲートまで一気に行きました。(と言っても数箇所自転車を押します)
最後も一番端のゲートの向こう側の隙間を自転車を押して通過。
すれ違ったツアーの方々のクルマでしょう。
昨日は停まっていなかったバン車が一台停まっていました。
ここから先約2時間をかけて林道を下ります。
新冠ダムの先でダム関係者のクルマでしょうか?私の通過(追い越し)と同時に動き出した車が居ました。
「もしここで事故っても助けてくれるヒトが居る」
そう思えるだけでとてもホッとしました。
熊が居る山へ一人で入山
「人が居ないというのは心細い」ということをつくづく実感した山行でした。
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