日光白根山 【日本百名山4座目】 【関東百名山7座目】 【ぐんま百名山8座目】


- GPS
- 08:00
- 距離
- 6.3km
- 登り
- 599m
- 下り
- 594m
天候 | 曇り後雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
|
コース状況/ 危険箇所等 |
危険箇所:特になし |
写真
感想
●DJRの記録
山の恐ろしさを身をもって体験した山行だった。
登山中何度もレインウェアとザックカバーを装備した登山客とすれ違った。
僕らが行く登りは多少小雨がぱらついてはいたものの、対処するような状況でもなかったので構わず山頂を目指した。
そのときは上は悪天かな?などと悠長に考えながら、目の前の急登を一歩ずつ確かめながら消化していった。
曇天の中、登山道から見える景色もさほど印象にない。
黙々と山頂を目指すぼくら。
森林限界を迎えると、足元はだいぶガレてきていつもより体力を奪われた。
やっとこさ山頂に到達して恒例の写真撮影。
山頂付近を纏っていたのは間違いなく雷雨を呼ぶ雲だったことに、そのときは全く気づかず、今回もガスってんなーと残念がる僕たち。
ひとまず休憩ということで昼食の準備にとりかかり、バーナーを灯すとポツリポツリと雨粒が肩を叩いてきた。
辺りを見回すと、さっきまでいた登山客はみんな見る影もなく撤退して綺麗さっぱりの山頂だった。
ここで初めてマズいと思った僕らだった。
急いで下山準備を始めると、雨脚がだいぶ強くなってきた。
遠くの空では雷鳴が鳴り響き、だんだんと近づいてくるような気がして悪寒が走った。
辺りは雨雲と地面をたたきつける水しぶきで真っ白になっていた。
もはや呼吸するのもやっとくらいの大粒の雨が容赦なく僕らを痛めつけ、体温を奪っていった。
視界不良のせいで下山ルートを見失い、あたふたする僕らを容赦なく雷が襲う。
遮るもののない山頂での雷があんなに恐ろしいものだなんて想像もつかなかった。
雷の頻度も多いうえ、距離も数十メートルに感じて本当に生きた心地がしなかった。
とにかく高度を下げて、森林限界の入り口を目指し、自分たちより高いものの下に逃げ込もうと、それだけを考えて姿勢を低くしながらガレた下りの斜面を突っ走った。
とにかく先行してルートを確保しなければと急ぐ僕。
振り返るとMOPIのすぐ真後ろに雷が落ちて、赤いレインウェアのシルエットが白い稲光にくっきりと浮かび上がった。
あのときは本当に焦った。背筋を走る強烈な悪寒。
泣きながら急斜を下るMOPI。励ましの声も雷鳴と横殴りの雨がかき消した。
森林限界終了直前まで猛烈なダッシュを見せるぼくら。
やっとこさ登ってきた道に回帰するも、安心する間もなく、けたたましい音をあげて落雷がその歩を縮めてくる。
さっきまでの道が豪雨で滝のような流れを作っていた。
GORE-TEXの靴ももはやずぶ濡れ状態。
なんとか木の下まで漕ぎつけた。
安心している場合ではないと、とにかくひたすらに雷から逃げて下山の歩を進めた。
途中遮ってくれる木がない箇所は姿勢を下げて全力で駆け抜けた。
そうこうしているうちに雨は止み、雷鳴も聞こえなくなるくらいには天気は回復していった。
下山後は見違えるほどに穏やかな表情を見せる日光白根の頂を見上げながら、天空の足湯で疲れて冷え切った脚を暖めた。
本当に生き長らえてよかったと喜びを分かち合ったぼくら。
同時に山の怖さと自然の尊さをこのとき初めて思い知った。
いろんな人がいろんなところで「山をなめるな」と謂ってみたり書いてみたりしてはいるものの、これまでなんとなく実感がなかった。
生まれて初めて自然の猛威に命を脅かされる体験をして、やっとこのことばの重みを理解するに至った。
あらゆる点で勉強になった山行だったし、命を大事にしたいと改めて考える契機になったと思う。
今回登山の恐ろしい側面を見せられて、山頂に立つことの難しさと尊さをまじまじと実感するようになったと思う。
また登山そのものがもつ深みや豊かさに、益々惹きつけられた僕たちだった。
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