蓼科山 冬(過去レコです)。
- GPS
- 32:00
- 距離
- 4.7km
- 登り
- 585m
- 下り
- 585m
天候 | 1日目 晴れ。 2日目 嵐。 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2011年01月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
2011年の最初の登山で蓼科山に登る事にした。1月8日、朝7時に家を発ち、関広見ICから高速道路に乗る。快晴で、中央高速道路駒ヶ根あたりからは中央アルプス、南アルプスの峰々が白く輝いて綺麗に見える。蓼科山へは翌日登る予定なので今日は諏訪大社へ初詣に行くことにする。諏訪ICで高速道路を降り、まずは上社本宮へ。「本宮二之御柱」が立つ「四脚門」から、切妻の細長い建物である「布橋」を渡って行くと、東西の宝殿が2棟並んである。寅年と申年毎に交互に式年造営するということで、西宝殿は昨年建て替えられたばかりの真新しい茅葺の建物である。拝所から奥にある弊拝殿に向かって初詣。北参道の「本宮一之御柱」の前で記念写真をとり、車で前社に向かう。こちらは本宮と違い、参拝者はほとんどいない。うっすらと雪の積もった前社、本殿脇に滔々と流れる清流はツララを付けている。「一之御柱」、「二之御柱」、裏側の傷跡が、山の中から引きずり運ばれてきた事を物語る。引きしまった冷たい空気と静けさの中、拝殿にてゆっくりと参拝。まだ時間もあるし、絶好の日和、今日は軽く八子ヶ峰に登る事にし、その前に昼食をとるためマハロカフェに向かう。マハロカフェの駐車場には一台も車は無く、「closed」と書かれている。折角ここまで来てそのまま帰るのも残念なので、念の為覗いてみると娘さんがいて、「水道が凍って出て来ないので、少し待って呉れれば作る」と云う。「お願いします」と店に入り、暖炉の前で立ちながら暖まり、パスタを注文する。店の中でブラブラしていると、外出していた両親が戻って来て、母親が話し掛けて来る。久し振りの客なのか、話し合い手がいないのか、人恋しいのか、わたしが食べている間もずっと話しつづけている。オヤジはヴィクタ―に勤めていたと云う事で、真空管のプレーヤーでレコードをかけて呉れる。レコード版からDVDに移し替える作業も出来るというので、次回来る時にはアカデミーロシアのレコードを持ってくることにする。雪道をすずらん峠に向かい、女之神茶屋の駐車場に車を停める。ハードウエア―を着込み、二重手袋、スノウシューを履いて1時40分、森の中に入る。溝状に踏み固められたしっかりしたトレースが出来ていて、全く不安は無い。30分もしないうちに冬季閉鎖中のヒュッテ アルビレオに到着。快晴、八ヶ岳連峰はおろか、南アルプス、中央アルプス、御嶽山に乗鞍岳、穂高に槍、後立山の白く輝く峰々がくっきりと浮かんでいる。ガイドに連れられた一行がやってきて、「こんなに良い天気の日は滅多にない」、と云って白樺湖方面に向かう。この先に進んでもこれ以上の景色は望めないのでわたしは折り返す。新雪を蹴散らしながら下りるには、ちょっと積雪量が足りない。ヴィーナスラインはいつもの年より雪は少ないと云うものの、雪道を慎重に運転して白樺国際スキー場に向かう。今宵の宿はゲレンデのすぐ前にあるプチホテル。館内には絵が豊富、部屋にも一枚掛けてある。油絵かと見間違うが、この絵達は全て刺繍。オーナーの趣味なのだろう。夕食はダイニングルームで、オードブル、スープ、アーモンドが散りばめられた信州産ニジマスのムニエル、お肉と、一応フルコース。白ワインのハーフボトルを空け、良い気持ちで眠りつく。
翌日、リフトの運転開始は8時半。朝飯をさっさと済ませ、チェックアウト。宿の駐車場に車を停めさせて貰ったまま、ゲレンデへ。蓼科山は雲の中、猛烈なスピードで雲が流れている。ゴンドラ乗り場で登山届を提出。強風に揺れるゴンドラに乗ってゲレンデ最上部まで上がる。スキーヤーに混じってひと組の登山姿の人達がいるのが心強い。「蓼科山登山道→ 7合目登山口まで1km」と記された案内板の所から、賑やかなゲレンデに別れを告げ静かな森の中に入る。梢は揺れているが、森の中は風が遮られ、しっかりしたトレースもあり快適に歩く。スノウシューーがキュッキュッと音を立てて引きしまった雪を咬む。夢の平林道を2度横切り、冬季閉鎖中のトイレが見え、およそ20分で7合目の蓼科神社の鳥居に到着。「熊注意」の看板があるが、ここは標高1、850m、クマさんは冬眠中の筈であり、要らぬお世話だ。写真を撮ろうとするも、デジカメも冬眠してしまっている。雪に埋もれた森の中の静寂を破り、高い木々が風に揺られてきしむ音を立て、時折小鳥のさえずりも聞こえる。馬返しを過ぎると、平坦だった道はゆるやかに登り始めるが、ガレ場は雪に埋もれ夏よりは快適で、今は誰に会う事も無い。風の通り道では雪が吹き飛ばされ、岩が露出している。ここを過ぎ、右に直角に曲がると再び樹林帯の中、風は遮られ、急坂ではあるがスノウシューのヒールリフトを立てて快適に登る。天狗の露地の分岐で単独行の男が休んでいる。わたしは休まず強くなった勾配を登る。2年前の冬に登った時は、もっと雪が多いうえ踏み跡も無く、ラッセルしながら登ったので相当疲れた記憶があるが、今日は快適。急坂を登り切って将軍平に到着。7合目登山口からおよそ1時間半であった。蓼科荘は半分雪の中に埋もれて閉ざされている。前回は右手に蓼科山がくっきりと見えたが、生憎の荒天、それでもうっすらと見え隠れする。スノウシューのヒールリフトを下ろして歩くが、道は直に登りとなり再びリフトアップする。しかしその程度のリフトアップでは全く役に立たない急坂。一歩登ってズルズル、滑りながら登るのでなかなか捗らない。ここを下る時はスノウシューでは危なそう、アイゼンに履き替えよう、でも新雪なのでアイゼンでも危なそう。樹林帯を出るとトレースはふた手に分かれている。真っ直ぐ登る道はさらに急でトレースも不確か。左手のトラバースのトレースの方がしっかりしているので左手に折れる。吹きっさらしの急斜面のトラバース、一歩誤れば何処まで滑り落ちるのやら、なるべく山側に足を運び、へっぴり腰でトレースを辿る。誰が付けたのか知らないが、誰かが通ったことは間違いない。何処へ向かっているのか不安がよぎり出す頃、山頂の下を1/4周程した所でようやくトレースは上に向かい、まずはひと安心。しかしハイマツの上に積もった深雪の急登、足を掛ければ崩れ落ち、膝で足場を作っても崩れ落ち、悪戦苦闘。ようやく一歩登ると、あとは強風で雪が飛ばされた固い雪面で、蓼科山頂ヒュッテがぼ〜っと現れ、頂上台地に登り着いたと安堵す。鼻毛が凍ってチクチクする程の寒さに加え、風が吹きまくり視界は効かず。登って来た足跡もすぐに掻き消され、この広い頂上台地、これより先に行けばホワイトアウトの危険があると判断し、今回はここまでとする。昨日の天気だったら全く違っていただろうに、と我が身の不幸を嘆くが、この厳しさが本当の2,500mの厳冬期の世界なんだだろう。スノウシューのヒールリフトをおろし、ハードシェルのフードを被り、強風にあおられながらも吹き飛ばされないよう踏ん張って下山開始。登ってきた道は転げ落ちると何処へ行ってしまうか危ないので、直登ルートを下る事にする。今にも掻き消されそうな足跡が、うっすらとあるようで無いようで、それを見失わないようにしながら、まずは下に見える長いポールを目指して下る。スノウシューで真っ直ぐ下るには余りに急坂なので、横向きになって一歩ずつ、そろそろと下る。ポールも過ぎ、登って来た時の道に合流してひと安心。そこからは先程登って来た見覚えのある道だが、何だか少し様子が違う。溝状のトレースはステップが無くなり、つるっとした滑り台のようになっている。はは〜ん、わたし達の前に下った人は尻セードで滑って下ったんだ。つるつるの急坂を立って下るには危ないので、思案する間もなく、恐る恐る尻を下ろす。スノウシューを履いた足を上げると、するすると滑り出す。カーブも溝に沿って自然に曲がり、まるでボブスレーのコースを滑っている気分になる。思わず、キャッキャッと声が出る。斜度が緩くなると自然に止り、歩き出す。登って来るときに考えていたアイゼンなんて全く不要。急斜面では再び尻セード。楽し〜い! ステップは完全に消失し、これからここを登る人は大変だろうなと思う。滑り台になってしまっている道だから、お尻で滑り降りるより仕方が無いが、ステップが出来あがっている急坂では、尻セードはやっちゃいけないな。やりたいのなら、新雪の中でやらないとね。とは云え、あっと云う間に将軍平に降り立つ。ここからは只歩いて下るのみ。岩達は雪の下、トレースを離れ、わざわざ新雪を踏み散らして下る楽しさ。馬返しを過ぎるともうその楽しみも無く、トレースを辿って7合目登山口に帰り着く。東屋でひと休みしよう、と見ると、椅子にもテーブルにも雪が積もり使用不能。岩に腰を下ろして、ロールパンを取り出して食べる。蓼科山の頂上が一瞬見えたかと思うと、あっという間に雲に覆われる。猛烈なスピードで流れる雲、山頂は未だ大荒れのようである。ゲレンデまで戻ると、そこは賑やかな別世界。ここから登り始めて四時間半の行程であった。登る時には気がつかなかったが、なんとこんな所にどうやって運んだのだろうか、「本宮一之御柱」が立っている。目を覚ましたデジカメで記念撮影。ゴンドラの降り場からゴンドラに乗り込み、鉄柱に当たるのではないかと思われる程の強い風に揺らされながら下る。
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