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Yamareco

記録ID: 279105
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無雪期ピークハント/縦走
奥武蔵

武甲山〜日向沢ノ頭縦走

2009年06月13日(土) [日帰り]
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GPS
--:--
距離
25.8km
登り
1,751m
下り
2,296m
天候 晴れ
過去天気図(気象庁) 2009年06月の天気図
アクセス
コース状況/
危険箇所等
 先週に引き続いて第2回キナバルトレーニング山行で単独で出かけた。カミさんは土日とも勤めがあるとのことで単独となった。ま、二人で行くよさもあれば一人で行くよさもある。それぞれに楽しみ方があるというものだ。ひとりならば自由に自分のペースで歩ける。自分の調子と合わせてルートが決められる。自分自身と語らいながら歩く。そんな山である。二人ならば経験が共有できる。話し相手もいる。そんな山になる。
 さて先週は家を9時に出発して芦ヶ久保の登り口が11時といささか遅すぎた反省から、始発電車に飛び乗ることにした。前週は出発が遅かった割りには稜線上の行動を5時ぎりぎりまで頑張ることができて久々に自由に思い通りに歩くことができたことに満足感を覚えまた自信も少し戻ってきていた。これだ!と久々に思えたのである。ましてや職場では厳しい毎日の連続だ。自由が束縛されると本来の自由を求めたくなるのもまた至極当然のことだとうそぶいたりする。そんな自分の自由な時間が山で確保されるのである。本来個人が持っている当たり前のことが当たり前ではなくなる都市生活とはかくも息苦しいものなのである。

 先週は、二子山〜武川岳〜妻坂峠〜大持山〜鳥首峠〜名郷と縦走が出来たのだが、子持山は夕暮れで時間もなく気力も萎えて往復できなかった。また武甲山との尾根筋が未踏で残ったのもどうしても気になった。それで無駄とは思いつつ、やはりその未踏の尾根を埋め、かつ奥多摩への稜線をつなげることにしたのである。これで奥武蔵の高い山もほぼ終わりであろうということでもある。
今回のコースには有間山がある。以前、有間山のある地形図を見て等高線の間違いを発見して喜んで国土地理院にその地形図を添付して投書したことがある。しばらくして国土地理院からありがとうございました。次回の修正のときに修正します。という手紙があったのだが、地形図はそのまま私の地形図が返送されてきていて、新しい地形図を代替に期待していたのにそれが添付されていなかったのにがっかりした。そんな思い出がある有間山でもある。当時は有間山には登山道は皆無であったと記憶している。あれが中学生か高校生のころだったから、それから考えると、30年以上経過してからのこの山への初登ということになる。そんな因縁の有間山である。
朝4時58分の東伏見の始発に乗る。結構イケイケおねえさんなんかも乗っていてやや不思議な始発である。所沢で乗り換えて6時50分ころ西武秩父線の横瀬駅に着く。やっぱりなんだかんだ言って2時間はかかる。そこから呼んであったタクシーの人となる。すぐにメーターが800円に入ったので、「あれ最初の2Kは、初乗り運賃なんじゃないの」と憤然と言うと、「こちらの地方ではゲイシャが2K以上だとそこから割り増しになるんですよ」と運ちゃんは平気な顔。結局、生川の一の鳥居で2510円も取られることになる。たった15分ほどしか乗っていないのに!。
運ちゃんの話では、5月は鳥居の周辺が自家用車で一杯になるほど武甲山は人気がある。しかし6月は梅雨ということもあって少なく、今日も登山者はあまりいないらしい。今日もあとお一人くらいですよ・・・と言う。いやこちらはすいていた方がいいんだという。
石灰石を採掘してしまい頂上が失われて残念だというと今は2〜3年前の半分しか生産していないと歯切れが悪い。石灰は橋脚などに使われているが産業界からの需要が落ち込んでいると説明してくれた。
結局秩父の町は石灰で生きタクシーもまた石灰で生きているということなのかも知れない。
昔はこの道もひどい道だったんですよーという声を聞いているうちに一の鳥居に着く。ついてみて明るい雰囲気に驚いた。ついこの前、岳友の畑川と来たときには鬱蒼とした雰囲気の一の鳥居だったが、明るく開けて駐車場が出来ている。最近できたのだという。
おりたら白髪のおばあさん単独行者がひとり登山届けを書いている以外は誰もいない。車が数台。
7:05すぐに歩き始める。おばあさんは足が速い。すたすた歩いてサッサといってしまった。この前は畑川と話しながら歩いたのであまり地形が目に入らなかったが、今回はそうも行かぬ。自分の位置を確認しながらとなると自然にどんなところを歩いているのかが気になる。天気は曇りだ。
右側の沢を渡るとそのままその沢を左側に見ながら登る舗装道路である。
そのうちに小さなマス養殖池が出てきて対岸にある林道が橋をわたって当方にくる。さらにそのまま沢を左に見ながら林道を登るとその林道がそのまま対岸に渡ってそこからいよいよ登山道が始まる。ここでさきほどのおばあさんを抜く。おばあさんは足取りは軽いのだが、3分に一回くらい長い休みを取るのである。それで間が徐々に縮まっていたのだ。 ジグザグを切りながら沢をいくつか渡ると18丁目にある不動滝だ。
簡単に登れる滝のように見える。水を飲む。そのあとも快調に飛ばす。やがて大杉の広場。
8:00ここで小休止をとる。夫婦と見られるカップルがいる。彼らが行ってしまうとしじまに閉ざされる。ときどき思い出したようにハッパの音が聞こえる。こうしてまた武甲山が破壊されていく。ハッパの余韻が消えると静寂に包まれる。目の前の大杉は何人の登山者を迎え入れてきたのだろう。いつもここで登山者を迎え見守りそして見送ってきた。なにか大杉が威厳をもってつぶやいているような気がした。鳥が鳴いている。かけがえのないひと時という感じである。そんな感想をもちながらトーハトオールレーズンをむしゃむしゃ食う。ちょっと湿気ている。いかん。しかしうまい。
8:10発。そこからジグザグを切り、やがて登山道は二手に。この前は右を行ったので、今回は左の階段コースを行く。こちらの方が荒れていない。しかし後半は急な階段が100段ほど続く。途中水場と思しき場所は30cm四方のコンクリートで水溜りが出来るようにしてあるが、水は涸れており落ち葉がぎっしり詰まっていた。もう涸れてからずいぶん経つのではないだろうか。やがて、尾根上へ。子持山が望める。8時40分。第一展望所からの展望はガスが多くいまひとつ。この前来た方が断然よかった。頂上にいた人に写真を撮ってもらう。見下ろすとアリのように見えるトラックが土曜日だというのにせっせいと唸りをあげて石灰石の運搬中だ。かなり五月蝿い。こうやって武甲山はなくなっていく。
昔の武甲山がどうだったのか。古いガイドブックを見て見ると、頂上の地形は平坦で秩父側にむかって右側にすなわち東側にゆるやかに頂上が伸びていて、頂上の景色はかなりよかったようだ。
今回の目的はもうひとつ。三角点を確認することだった。この前はろくに調査もせず柵を乗り越えて本当の頂上あたりをうろうろしたが見つけることができなかったのだ。
第1展望所には武甲山と書いた10cm四方のコンクリート製の四角柱がころがっており、これを三角点と誤認しているWebも結構あったが、こんなものは三角点ではない。
本当の三角点はどこにあるのか。それは鐘楼のウラにあると書いてあるWebがあったので、それを頼りに鐘突き堂を訪れる。
第ニ展望所の脇にある小さな鐘突き堂のわきの草付きをあるくこと数歩。目立たないところに4隅を石で護衛された古ぼけた三角点をハッケンした。普通の三角点は目立つところにあり場合によっては欠けたりしているものだが、この三角点は草に埋もれていて目立たないためにほとんどの人がやりすごすのではないかと思う。それゆえ、やや年老いたヒゲの爺やといった風情の三角点であった。

 8:55分、写真をとって辞す。20人ほどの女子中学生の団体とあい「なんだ結構登ってくるじゃないの!誰だよ、6月はすくないと言ったのは・・・」と思いつつ、子持山への尾根みちへと繰り出す。断然、道が細くなり、やはり武甲山の道はOveruseであるのだと感じた。荒れ過ぎだ。
子持山はガスで見え隠れしているがやがてガスで見えなくなった。道はいい。細い道が続き好もしい。
9:15シラジクボ通過。クボは久保であり窪であろうがシラジとは何であろうか?
両側から道が上がってきている。そこから登りに入る。左側はもっぱら植林帯である。
9:50子持山頂上。頂上の少し前で高ワラビ尾根の道を合わせる。頂上は狭いが展望はよさそうだ。本来武甲山が望めるはずだが今日はガスの中。それでもときどき薄日が指す。暑くなってきた。ハエがうるさい。うるさいとは五月蝿いと書くので、5月のハエだけかと思ったら6月のハエもうるさいとはどういうことか。平地にハエがいるのは仕方がないがどうして山の頂上にまでハエがいるのかいつも不思議に思う。山の静けさを破るのはおばちゃん軍団とハエである。そういえばさっきからせみも鳴いている。こちらは季節の風物詩として容認していいなあ。
10:00に写真を撮って出発。それにしてもひとりぼっちの頂上で写真を撮ってセルフタイマーでじーっってやって撮る瞬間にひとりで笑顔を作るというのもなんだか滑稽だ。なぜ写真は笑わなければならないのだろうか。写真は常に上質の時間を切り取っているということが期待されている。ぶすっとした写真は見るに値しない。写真とはVisual系の存在なのだ。
10:20大持山通過。途中に露岩がありそこから素晴らしい展望があった。私はその露岩を「中持山」と命名した。そのくらいすばらしい景色であった。
ここからは、先週来た道だ。ながく山をやっているが、同じ頂上を2週続けてきたのはたぶん初めてであろうか。本当に自分も物好きである。それにしても先週は夕方の大持山頂上であり、また疲労も蓄積していた。もう子持山への往復の気持ちは萎え、早く下山しようと倦んでいた。それに比べて今はどうだろう。朝の気が満ちている。木の間からは時折朝日がさして、空気もさわやかだ。すがすがしい。自分は変わっていない、山が変わった表情を見せてくれている・・・・なんて思っているけれども実は変わったのは自分なのだ。自分が勝手に山の印象を違って受け止めているだけなのだ。ということに気が付いただけでも2週続けての訪問は十分に意味があったと思えた。
10:25妻坂峠からの道を合わせる。ここから急な下り。足取りは軽い。
10:55ウノタワ。タワとは尾根が撓(たわ)んでいるからタワだろう。ここは尾根が広く、ナギの入への下降路が指導標の示す方向に行ってもわかりにくいので注意が必要だ。ポイントは左よりに進めば下降路のフミあとが見つかる。ここで単独行の登山者にある。両耳にイヤホンを付けて一眼レフをぶら下げている。会釈のみ。さきほどの中学生にあって以来だ。
11:25鳥首峠着。先週はここから下った。丁度夕方5時だった。少し休むことにする。パンを食べたり水を飲んだりする。風がさわやかだ。
11:45発。尾根上を行く。ずっと樹林帯だ。夏のあつい時期は風が通らずたまらないだろうが、直射日光を避けられるという利点もある。今日も日焼け止めは塗っているが、あれはあまり好きじゃない。女性は化粧を毎日するのはいやなものなんだろうなと同情したい気分にもなる。
途中で沢入の頭を通過し、とちゅうのショウジクボの頭という指導標があるところで、汗びっしょりで日焼け止めが浮いてしまっている男の単独行者に出会う。どちらから?
名栗湖から金毘羅山〜藤棚山〜ワラビ山と来ました。有間山から南はいったことがないんですけど、どうですか。地図でも破線になっているんですが・・・とその人の2009年版の地図をみたら有間峠から南に尾根に沿う形で林道ができておりそこから実線で日向沢ノ峰〜蕎麦粒山の稜線に突き上げている。なんだしっかりした道があるんじゃない!と思うとほっとした気分だったが、未知の尾根の格が下がった気分でもあり期待していたのにという複雑な気分だった。それでもそのひとの破線だって十分通れますよ!という言葉に励まされたのも事実だったのである。
12:25ヤシンタイの頭。ワイヤーが張ってあって西側、すなわちヤシンタイ谷の一面が丸坊主である。ちょうど伐採が終了したところで目の前の有間峠を越えてくる林道のトラックに丸太を積載しているようでもあった。展望はいいが、これまた伐採直後の山の斜面というのも美しいとはお世辞にも言えない。
12:45相変わらずのいもコブを登ったり下りたりということを繰り返して橋小屋の頭に到着する。このあたりの山を昔は有間山と言っていたようで、この山とすぐ南の山を合わせて有間山と言っていたようである。大きな表示板がある。静かな頂上である。ここから南はヤブと手持ちの地図には書いてあって不安であったが、非常に良く踏まれている。
ダレも来ないと思っていたら、女性の単独行者が来た。ナンパして聞いて見たらもうひとつの有間山すなわちタタラの頭を往復してきたとのことだ。でも男性がひとりタタラの頭から南下して行きましたよ。と聞いてそうか行く人はいるのだ〜!とまた心強く思ったのだ。もうひとりろくに挨拶もしない男性登山者は声もかけずにやりすごし、2つ3つコブをこえながら進むがこのあたりになると急にササヤブが濃くなってくる。展望は皆無で人の丈のササに包まれるようになってくる。刈払いは広いので問題はないのだが、面白みには欠ける。こりゃ、刈払いがなかったら大変だわ。
13:15 タタラの頭に到着。三角点は満身創痍で三方の角が欠けてしまっている。展望もササと樹林に囲まれてない。タタラとは製鉄にまつわる言葉であるが、何かこのあたりと関係があるのだろうか。写真だけ撮ってさっさと南下する。いよいよ未知の世界だ。しかし、フミあとは良くついている。登山者が多いことがわかる。ササの世界が続く。展望は皆無である。ときどき林道を行くオートバイの音が聞こえる。峠が近いことを思わせるが、急なのぼりがあったりでなかなか峠に付かない。このころからだんだんと足が疲れてきた。休み休み登る。
13:50 尾根から離れ左に急降すると林道に着いた。舗装が行き届いた非常にいい道。右に下りて峠にいくと、これから行く尾根の左側に峠のわきから林道が分岐している。ガイド地図(昭文社2009年版)は私の目指す蕎麦粒山への尾根を目指す登山者はこの林道を使うようになっている。私の持っているガイド地図は2007年版なのでその林道の記述がなく、単にこの有間峠を乗り越えているだけである。
有間峠には3台の車が止まっていた。景色はよいがそんなものにかかわってはいられない。時間も遅く、この林道を通っていては仁田山(1211m)を巻いてしまうので自分的主義ではどうしても稜線を行きこの仁田山の頂上も踏みたい!
ということで峠の切りどおしの脇に登山道を探すとあるある。これを登る。しかしだ。すぐにササのヤブに突入だ。下もむかしの登山道はしっかり踏まれているが刈り払いが不十分で両側からかぶさっていて数mしか先がみえない。ここでTシャツのうえに長袖のシャツを着て、ササダニやツツガムシに刺されないようにする。が暑い!たまらん。無心にササを漕ぐ。フミあとはしっかりしているので迷うことはない。仁田山のわずかなのぼりが疲れもてつだってきつい。はぁはぁ言いながら登ると、突然、目の前に現れたモノがあった!ぎゃー!とお互いに声を上げた。登山者だった。向こうも単独で不安だったのだろう。いやぁ驚いた。どうしたんですか?いや、林道を通るのがいやだったのでどうせだったら、むかしの登山道をとおろうと思って・・・。いや私もそうです。あんたもですか。しかしお互いに物好きですねー!いやぁほんとに。この先もずっとこんな感じですよー。ササだらけで・・・。いやわかってますよ。頑張ってください。ってな会話をさくさくと数十秒かわすとお互いに相手が来たヤブ道に突入していった。どうせこの仁田山を越えればしっかりした道があるのがわかっている。心配はないが。
14:05やがて仁田山。曇っている上に樹林中の芋Peak。仁田山のさびしい表示板がなければやりすごしてしまうかも知れない。でもいい。
ここで初めてコンパスを使う。登山道はガイド地図ではまっすぐだがよく見ると直角に左に曲がる。直進するフミあともありそうだがそれは西の尾根に下りていく道だ。よく確認してしっかり左折して進む。
しばらくすすむとササが切れて、解放される。笹を右にみながらのフミあとをすすむと左側に並走する林道が見えてくる。やがて林道に数mまで接近し、林道からのフミあとを合わせるとそこからは格段によいふつーの登山道となる。
いよいよ脚が疲れてときどき攣りそうになる。時間はまだ早いのだがそのまえに自分の脚がダメになるとは、自分の足を過信していたと反省。このまま動けなくなって下山できなくてはまずい!との不安がよぎる。何人かの登山者が下山してくる。その中を自分はよろよろしながら登っている。大丈夫?。くも行きも怪しい。暗い気持ちになってくる。なんとしてもこの尾根を登りきって奥武蔵の尾根と奥多摩の尾根を踏破して繫げたい。
14:35送電線のあるピーク。休むことにした。まだ3時になっていないんだ。まだ頑張れる。風がある。マンゴープリンを一気に食べる。水をがぶがぶ飲む。ラーメンを食べていないが食欲がない。すぐに出発をする。今日は高水三山の方に行こうと思ったが、とてもじゃないが無理だ。歩けなくなっても大丈夫なように早めに林道に下りることをほぼ意思決定する。
14:55ほうほうの体で蕎麦粒山の稜線に躍り出る。これで繋がったと思うとほっとした。すぐに左におれて高速道路のような縦走路を行く。
多少の憧れをもって見つめていたこの尾根道だったが、結論からいうと橋小屋の頭から南はササが繁茂し面白い尾根道とは言えなかった。未知の匂いのするダレも来ない桃源郷には程遠かった。すぐに3人のPartyと出会う。
15:05日向沢の峰の直下で棒ノ折への道を分ける。足が棒でなけりゃ棒の峰!だったが、なんてシャレを言っている余裕もない。そこまでコースタイムで2時間近くかかる。こりゃ早く林道に下りないとやばいことになる。足がもつかどうか・・・。踊平から川井駅への林道を辿ることにする。長いが安全コースだ。
15:10日向沢の峰通過。
15:25踊平。感じのいいコル。できればここでテントを張りたいような場所。
ここからZigざぐの道を急降する。樹林帯の道。下りているうちにどういうわけか、むかし、川乗山に登山に来て道に迷いこの踊平にひょっこり出て、その指導標をみつけ日暮れ時に遭難だーなんて言いながら夕日と競争で獅子口小屋へのこの道を下ったことを思い出した。そうだそうだこの道だったんだー。あれが中学生か高校生のころだった。

15:45やがて獅子口の小屋跡に到着。礎石の石畳はあるが雑草の生えた平地と化している。話はまだ先がある。そのときに宿泊した獅子口小屋には老夫婦と孫娘がいて登山者の手伝いをしていた。われわれはコタツに入りトランプをやっていたがその孫娘にも声をかけて一緒にトランプに打ち興じた。とてもかわいい娘でどういうわけか其の後、文通を開始することになった。そう文通の時代だったんだな。その娘は林道沿いにある大丹波のわさび漬けをつくっている獅子口屋の娘だった。其の後、桜美林大学に進学するまで文通は続いたが自然消滅してしまった。そんなことを思い出しながら獅子口の水場に行く。35年前と同じように獅子のように口をあけてとうとうと水を出していた。ひとすくい飲むとおいしかった。
15:55発。テクテク下る。まだ足はもつれてはいない。ひたすらわさび田のある登山道を下り、そこから林道に這い上がってまたテクテク下る。もう安心だ。途中で水を汲み家へのおみやげにする。獅子口でどうせなら汲んで来ればよかったとおもう。
やがて茶屋が現れる。キャンプも今はまだ季節が到来していないんだろう。閑散としている。やがてかの娘が住んでいた大丹波の集落。やたらに白い葉っぱが混じる美しい樹が生えている。聞くとマタタビなんだそうだ。途中、山肌に張り付くようにしてひときわ大きな3階建ての建物があり獅子口屋とある。あぁあの娘のところだなぁとおもう。
商店のオヤジが通りに出ていたので獅子口の山小屋のことを聞いたらわれわれを世話をしてくれた老夫婦はとうにこの世になくその息子も80歳、だれも山小屋を引きついでくれるものがなかったので閉めたとのこと。いまは獅子口屋は孫が経営しているがもう50代だと言っていた。さぁ、孫娘はいたかな、もう嫁に行っていると思うよ。どこかで元気に暮らしているんだろう。
18:40夕暮れの川井駅。駅の階段15段が辛い。ベンチにどかっと腰を下ろす。スポーツ帰りの高校生たちが騒いでいるのを耳にしながら夕暮れの奥多摩の山並みがシルエットとなってどこまでも続いているのをぼーっと眺めていた。
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