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武甲山(ぶこうさん) / 秩父嶺/秩父嶽/御嵩/岳山/秩父山/蔵王山/乳首山/妙見山

最終更新:Yamaotoko7

石灰の大鉱床を抱える秩父の霊山

"羊山公園:芝桜の丘から望む武甲山"
"羊山公園:芝桜の丘から望む武甲山"

武甲山は埼玉県秩父市と横瀬町にまたがる独立峰です。標高は1304mで、日本二百名山、および花の百名山に選定されています。
三角形の威厳ある姿をしていますが、北側の斜面は石灰岩の採掘が進み、年を追うごとに山容は変化しています。

山名はいくつも移ろいでおり、かつての呼称は「妙見山」「祖父ヶ嶽(おおじがたけ)」「武光山(たけみつやま)」などが挙げられます。"武甲山"の名は、日本武尊(やまとたけるのみこと)にちなむそうで、彼が東征の際に、勝利を祈念しこの山に甲冑を奉納したからと伝えられています。

太古は南の海の底

"表参道:石灰岩がごろつく登山道"
"表参道:石灰岩がごろつく登山道"

武甲山の成り立ちは、遠く南の海底火山に由来します。山中からは、貝や原始的魚類・コノドントの化石が発見されており、約2万5千〜3億年前のものと推測されています。
海底の火山活動が収まると上部にサンゴ礁が発達し、やがて石灰岩へと変わります。石灰岩体を載せた海洋プレートは、長い年月をかけて北上し、日本列島を構成する大陸プレートにぶつかりました。海洋プレートは海溝に沈み込んで行きましたが、岩体の一部は剥がれて押し上げられました。剥ぎ取られた地質は「付加体(ふかたい)」と呼ばれ、これが次々と押し寄せることで隆起が続き、山となりました。
武甲山の北側斜面は石灰岩ですが、その下と南側は海底火山の溶岩が変質した緑色岩(りょくしょくがん)です。

現在も掘削が続く大鉱床

"焼山より望む武甲山"
"焼山より望む武甲山"

武甲山を北側から眺めると、人為的に削られた山肌がよく目立ちます。石灰岩の採掘は、大正時代に始まり現在も行われています。
山中にいるとたまに、ダイナマイトの発破音を聞くことがあります。爆破で得られた石灰岩は、垂直に掘られたトンネル内に落とされ、地下のベルトコンベアで加工場へと運ばれています。

"北麓のセメント工場"
"北麓のセメント工場"

武甲山産の石灰は純度が高く良質とされ、セメントの主材料に用いられます。
製造されたセメントは、これまで関東大震災や戦後の都市開発にも利用され、ビルや新幹線、高速道路の建設に大いに貢献しました。地元には雇用を生み、地場産業として経済を支えました。

"階段状に掘削される斜面"
"階段状に掘削される斜面"

かつての山頂は標高1336mでした。1970年代に採掘方法の転換が図られ、山頂から階段状に切り崩すベンチカット工法での掘削が始まります。
そのため二等三角点や「武甲山御嶽神社」は移設されました。新たな標高は41m低い1295mとして三角点が埋設され、旧山頂は1980年に爆破で失われました。現在の標高は1304mですが、2002年の調査で最高地点が9m高く改められたためです。

日本武尊を祀る信仰の山

"武甲山御嶽神社"
"武甲山御嶽神社"

武甲山は古くより、神がおわす山として崇められています。
山頂には「武甲山御嶽神社」が鎮座しており、御祭神のうちの一柱は日本武尊です。神社に通じる登山道は「表参道」「裏参道」など信仰にちなむ名が付いています。

"三十一丁目:丁目石と樹洞の中のお地蔵様"
"三十一丁目:丁目石と樹洞の中のお地蔵様"

表参道の路傍には「丁目石(ちょうめいし)」が置かれています。
丁目石は登拝者のための道しるべで、霊山でよく見かけます。武甲山は「一の鳥居」を1丁目とし、山頂の武甲山御嶽神社を52丁目に数えています。

フェンス越しに秩父盆地を一望する

"第一展望所"
"第一展望所"

山頂の武甲山御嶽神社の裏手には、フェンスに囲まれた「第一展望所」「第二展望所」があります。最高地点は両展望所の間に設置された赤いポールですが、フェンスの外側にあり踏み入ることはできません。

"第一展望所:秩父市街を望む"
"第一展望所:秩父市街を望む"

第一展望所は北側の見晴らしが優れており、両神山や浅間山、赤城山、遠くは北アルプスを見ることができます。
また眼下に望むのは採掘場や秩父市街、春は羊山公園の芝桜が鮮やかなワンポイントを効かせます。

石灰岩地の高山植物が自生する

"武甲山資料館:チチブイワザクラ"
"武甲山資料館:チチブイワザクラ"

武甲山北斜面は、石灰岩質特有の植物が多く生育しており、「武甲山石灰岩地特殊植物群落」として国の天然記念物に指定されています。
武甲山固有種の「チチブイワザクラ」や、「ミヤマスカシユリ」「ブコウマメザクラ」などの珍しい自生していますが、立入禁止区域のため登山者は入ることができません。
貴重な花々は、それぞれの開花期に「武甲山資料館」に展示されて鑑賞できる場合があります。

モデルコース

"モデルコース"
"モデルコース"

4時間49分 6.6km
一の鳥居(58分)→不動滝(43分)→大杉の広場(82分)→武甲山(29分)→シラジクボ(77分)→一の鳥居

"一の鳥居"
"一の鳥居"

ポピュラーな登山ルートは表参道です。一丁目の一の鳥居をくぐり出発します。鳥居の両脇に座す狛犬は、凛々しい姿の狼です。秩父地方に多い狼信仰が、武甲山にも根付いていることが分かります。
一の鳥居の前に駐車場はありますが、駅やバス停は離れています。公共交通機関で向かう場合は、西武鉄道「横瀬駅」からタクシーを利用するか、約2時間歩く必要があります。

"十四丁目付近"
"十四丁目付近"

しばらくは沢沿いの広い道が続きますが、十四丁目を過ぎると登山道に入ります。
周囲はまっすぐに伸びる杉に囲まれています。

"十八丁目:不動滝"
"十八丁目:不動滝"

「不動滝」は十八丁目で、高さ5mほどの滝と水場があります。
水場の脇には水が入ったペットボトルがたくさん並んでいます。これは山頂トイレで使用するための水で、登山者は任意で運び上げに協力します。
小さな祠も据えられており、山行の安全を祈ることができます。

"感謝石"
"感謝石"

二十八丁目から二十九目の間には道祖神祠が鎮座しており、近くには小ぶりの石灰岩がお供えされています。これらは山頂の武甲山御嶽神社で「感謝石」として授けられたもので、そのひとつひとつには願い事が記されています。

"大杉の広場"
"大杉の広場"

三十二丁目を過ぎると「大杉の広場」です。杉の巨木が立つ平らな場所で、休憩に適しています。
大杉の広場より先の道は、木の根がよく張り出しています。石灰岩もごろつくようになり、つまずかないよう注意します。

"山頂トイレに水を供給する登山者"
"山頂トイレに水を供給する登山者"

五十一丁目の山頂広場の隅には、公衆トイレが建っています。
更に進むと五十二丁目の武甲山御嶽神社の境内です。不動滝から歩荷した水は、社務所そばのマンホールから注水します。

"シラジクボへの下り"
"シラジクボへの下り"

登頂後は南尾根へ向かい、周回します。
小持山との鞍部である「シラジクボ」まで、急な下りが続きます。
シラジクボで道は二手に分かれます。ここで左手に下りれば一の鳥居へ戻ります。

"小持山:武甲山を望む"
"小持山:武甲山を望む"

もう一方の道は小持山へ登り返す道です。
時間に余裕があれば、小持山と大持山を経由し、より大きく周回することも可能です。
小持山からは、純然たる山の形をした武甲山を眺めることができます。
登山口 一の鳥居
札所28番 橋立堂
浦山口駅
横瀬駅
基本情報
標高 1304m
場所 北緯35度57分05秒, 東経139度05分52秒
カシミール3D
山頂
トイレ 無料、冬季は利用不可

山の解説 - [出典:Wikipedia]

武甲山(ぶこうざん・ぶこうさん)は、埼玉県秩父地方の秩父市と横瀬町の境界に位置する山である。秩父盆地の南側にあり、標高は1,304メートル。日本二百名山の一つに数えられる。
秩父地方の総社である秩父神社の神奈備山である。無形文化遺産の秩父夜祭は、武甲山と強い関わりがあるとされている。
別名を秩父嶽、妙見山、武光山ともいう。固有種のチチブイワザクラをはじめ石灰岩地の高山植物が群生し、「武甲山石灰岩地特殊植物群落」として国指定の天然記念物となっている。
武甲山は北側斜面が石灰岩質であり、石灰岩の採掘が盛んに行われている。石灰岩採掘により山容の変化が著しく、旧山頂は既に失われている。またこれにより旧山頂にあった縄文時代から近代までにいたる歴史のあった信仰遺跡、巨岩群も消滅している。

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