津久井城山・生き物ウォッチング記録
- GPS
- 04:31
- 距離
- 6.6km
- 登り
- 236m
- 下り
- 246m
コースタイム
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2013年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
|
写真
感想
雨上がりの好天、先週の畑作りの準備作業で腰が少し痛いので、軽めの歩きと思い津久井城山の生き物ウォッチングに出かけてみた。
昨年、高尾山や山のふるさと村、森の科学館など、いくつかのビジターセンターのガイドウォークに参加してみたが、ボランティアのグループで様々な調査をしているこの城山の観察会が面白かった。先月は通常の自然観察会で、晩春の花と実の観察だったが、今回はボランティア・グループ主催の「生き物ウォッチング」、初めての参加。
今日は北根小屋バス停で下車、小網諏訪神社から城山公園に入る。舗装道路を登りきるとトイレのある「不動平」と呼ばれる四辻でトイレもある。9時半、時間がないので城山山頂にはむかわず、パークセンターを目指して歩く。タカオヒゴタイ、カキドウシ、マルバウツギなどの花名板が次々と現れる。そのほかにもニガナ、キランソウ、ノゲシなども咲いていた。途中、「築井城跡(津久井城山の別名)」の石碑があった。ツツジやノゲシ、アザミなどを見ながら下るとパークセンターが見えてきたので、軽く補給して9時前にセンターに出る。すでに関係者が大勢集まり、上のほうから今日歩く場所の生き物たちをチェックしながら歩いてくる人々もいた。今日は気温が上がりそうなので、始まる前に日焼け止めを塗る。
センター前で挨拶をし、参加者名簿に書き込む。顔合わせをしてスタート。センターのすぐ前のクラフト館前の東屋ほ竹の梁の中に鳥が行き来している。巣立ち直前のシジュウカラの雛と親鳥らしい。様々な鳥がこの公園内で営巣し、今、雛を育ててやがて巣立ちするーーそうした晩夏から初夏の生き物の姿を見るのが今日の目的。
シジュウカラの巣は孟宗竹の梁や柱が腐らないように穴を開けておいたものの中にシジュウカラが入ったもの、他にも小さな穴がたくさん開いていて、ベニカミキリが中に卵を産むという。卵から孵った噛み切りは竹を食べ、成虫になり、巣立っていく。交尾をして卵を竹の中に生み、それを繰り返していくのだ。
今日は雨上がりで滑りやすいので、歩きやすい道を進んでいく。道端にはニワゼキショウ、ユウゲショウ(この二つは帰化植物)、カタバミなどが咲いている。気温が上がり、道が乾いてきたので、少し山道に入る。すると「カラスビシャク」が。サトイモ科の花で姿はウラシマソウをほっそりさせた感じだが、属は少し違うようだ。
少し進むと粉雪が舞うようにミズキの花が散っている。この時期、種ができると一斉に花を散らすようだ。ウワミズザクラなど様々な植物、樹木の花が実になっている。
エノキの葉の付け根にも実が付いている。オオムラサキの幼虫がたくさん出ていたのだが、昨日の雨で今は姿を見せていないのは残念。オオムラサキは秋にエノキの枯葉の下に卵を産む。春になり、気温が上がると孵化して上に上がり、えのきの葉を食べて育ち、成虫になって、また秋に卵を産む。
様々な虫が生まれ出て様々な葉を食べ、虫こぶをつくる。アブラムシ、オトシブミ、ハキリムシ、ハモグリバエなどなどーー。またアワワキムシの白い泡もあり、中を見ると、緑色の幼虫が出てきた。ツツジの葉の上になぜかシデムシがおり、また誰かがカミキリモドキを捕まえた。蓑虫やテングチョウの幼虫、ナナフシの幼態など、次から次に様々な虫が姿を現す。遊歩道の木橋の欄干に蟻が歩いていると思うと、アリグモという蟻に姿を似せた蜘蛛だった。蟻は蟻酸を出す嫌われ者で、姿を似せれば襲われにくく、また蟻に化けて蟻の巣に入って蟻を食べるらしい。蟻は昆虫で体が三つに分かれるが、蜘蛛は二つだ。あっという間に11時を過ぎる。
ナズナの前できれいなテントウムシのような「ナガメ」というカメムシが茎に止まって汁を吸っている。ナズナには種ができていて、枯れる寸前に見える。根を掘って、ナズナは根から栄養や水分を吸収して実に送っているという。その水分をカメムシが吸っている。はじめは微小な大根のようなナズナの根も最後はほとんど姿がなくなるまで栄養を実に送りつくすそうだ。植物や昆虫らの生存のための戦略、闘いは凄い。
様々な鳥の鳴き声がする。ヤブサメ、ガビチョウ、シジュウカラ、ウグイスなどなど。ヤマボウシやホウノキの花などを見ながら進むと、イタヤハマキチョッキリの揺籃があった。木はイタヤカエデに似るが、同種の北米産アメリカハナノキという。このゾウムシの一種は図鑑を見るとずいぶん綺麗な虫だ。
ヤブテマリ、コウゾリナなどの花を見ながら最後に展望台付近にある枯れたネムノキの付近でとまる。様々な鳥が鳴いている。子育ての時期だ。シジュウカラなどの子育てを観察している会員らから、巣作りや餌とりなどに関して自身で描いた絵を見せながら解説。まず巣作りでは最初に家探しを行い、家が定まると今度は家作りの材料を集める。巣の中には獣毛や羽のほか、コケがたくさん使われているようだ。そのコケは例えば、目の前にあるエノキにたくさんついている。また沢方面にも様々なコケがあるが、コモチトウゲコケ、ヒロバツヤゴケなど、丈の長いコケが多く使われるそうだ。木に生えるコケが良く使われるのはとるのがより安全だという理由だろう。コケには殺菌効果、保温性の向上などの効果があるようだ。上のほうの高い木に茂みにはエナガの群れ、うるさいくらいの声だ。
巣作りにはコケ集め3日間、卵を産むまで8日間、抱卵8日間(ここは少しメモが不正確)−−16日たってから親鳥が餌運びをはじめる。餌の3分の2が幼虫、4分の一が蜘蛛類で蜘蛛類は栄養上重要らしいーー肉食なのでたんぱく質補給かなーー
最後に蟻浴の説明ーー野鳥が蟻を羽の中に飼うことは知られているそうだが、会員の観察で、シジュウカラも蟻を取って羽の中に入れていることが観察、撮影に成功。これは蟻に羽の取り付いたダニその他の寄生虫を食べてもらうこと、蟻酸の差中、殺菌効果、また羽がテカテカして輝くのだそうだ。これはほとんどとりだけが利益を得る一方的な関係らしい。このあたりが今日のハイライトで面白かった。ここでまとめの話をし始めると、アサギマダラが飛んできた。台湾など南方から数千キロ越えてわたってくる。すごい蝶だ。ここで餌を食べ、暑い真夏は高原に避暑に行き、秋に戻ってきてキジョランに卵を産み、越冬して春には孵ってキジョランの葉を食べて成虫になるーー。ウイキの解説によると、日本で生まれたアサギマダラは成長して秋に台湾など南方に渡り、そこで子孫を作ってその子孫が翌年、日本に渡ってくるという。同じ固体が行ったりきたりする鳥の渡りとは異なる渡りだが、同じ系統の子孫が同様の行動を続けるわけだ。アサギマダラは蝶の仲間では世界第二位の長距離移動の記録を持つという(10月10日に和歌山県でマーキングされ、放たれたアサギマダラの個体が83後の12月31日、香港で捕獲された(2500kmの移動)のが記録らしい。
ここで今日の「生き物ウォッチング」は終わり。茂みの中の花に来ている蝶や展望台から見える蛭ヶ岳などを撮影し、近くのテーブルでおにぎり弁当(100円のローソン弁当)を食べる。会のメンバーもそこで昼食を食べながら反省会。感想などいろいろ聞かれる。参加者のほとんどは会メンバーと近所の住民。多くは顔なじみで遠くからの参加者は少ないようだ。ホームページで観て知ったというと驚かれたが、直接パークセンターに来て話を聞くかHPで観るかしか、こうした活動を知ることはないだろう。なかなか面白い活動なので、記録をHPに載せればもっと人が集まるだろうと思われる。生物を調べる人々の世界は「生き物屋」「○○屋」というマニアックな人々の世界だ。以前、「グッチョ先生」シリーズを書いている「拾い屋」の盛口満氏(「漂着物の博物誌」は名随筆集にも入っている)の本を何冊か、図書館で借りて読んだが、その中に「生き物屋図鑑」という自身生物の遺体等の拾い屋である生き物屋である盛口氏が出会った多数の「生き物屋」の生態を観察した面白い本だ。そんな面白い「生き物屋」の集まりであるこの会の人々はなかなか面白そう(失礼!)。生き物に関心のある方は一度参加してみることをお勧めする。
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