小惑星の彷徨!:ハワイ 「マウナ・ロア」

コースタイム
過去天気図(気象庁) | 2013年06月の天気図 |
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アクセス |
利用交通機関:
タクシー
カイアル・コナの街から、車で2時間30分〜3時間。公共交通機関はない。 レンタカーorタクシーor運転手付チャーター車(いずれも事前予約が必要) *私は、運転手付のチャーター車を日本から事前予約。 朝3:30にホテルからピックアップしてもらい、その日の16:00に登山口まで迎えに来てもらった。60000円。おやつやミネラルウオーター、果物をサービスしてくれた。 予約先:*HawaiiOutdoorGuides.com* <http://HawaiiOutdoorGuides.com> Phone: 1 888 886 7060 Local: 808 937 5472 [email protected] ・レンタカー使用の場合、アプローチに使う「サドルロード」や「オブザベートリー・ロード」での事故には、保険が適用されない。 ・駐車スペース マウナ・ロアのオブザベイトリー・トレイル登山口(気象観測所手前)に3台ほど。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
【登山に必要な情報の入手先】 ・地図(日本の登山地図のような、登山道やコースタイムを記入したものは無い。下記のサイトから25000分の一に相当する地形図を入手し、過去の登山記録やガイドブックを参考にして、大体のルートを記入して持参した。) http://www.usgs.gov/pubprod/ ・磁針偏角差の計算式(目的地の緯度&経度を入力すると偏角差を求められる。2013年6月16日のマウナ・ロアは東偏9、62度) http://www.ngdc.noaa.gov/geomag-web/#declination ・火山&気象情報 http://www.nps.gov/havo/index.htm ・ガイド・ブック 「ハワイトレッキング」 近藤純夫著 平凡社 【トレイル】 ・3本のルートがあるが、届出が要らず日帰りができるのは、北面から入山する「オブザベートリー・トレイル」のみ。高度障害がなく、普通に歩けるなら、往復9時間〜10時間。 【オブザベートリー・トレイル の状況】 ・登山口の標高は、3399m。山頂は4169m。標高差770m。世界一の容積をもつ巨大な山なので、登山道の傾斜は緩いが、高所の影響を受けやすい人は、きついかも知れない。 ・一番迷わず山頂へ達することができるルートは、「オブザべートリー・トレイル」から「サミット・トレイル」を経由するルート。このルートには、比較的大きなケルンが積んであり、分岐には簡単な標識が立ててある。晴天時なら迷うことはないだろう。 ・古い登山記録に出ていた、「旧道」や「ノースピット・トレイル」は、名称を記した標識は一切無く、ケルンも不明瞭。私は、一部、このトレイルを使ったが、途中でケルンがなくなり、結局、地図と磁石でサミット・トレイルに登りあげて山頂に達した。ロスタイム30分。 ・トレイルヘッドから溶岩の上を歩くので、目印になる立木や特徴的な地形は何もない。溶岩の上にはトレースもない。ケルンをたどるが、ところどころ間遠になる。また、濃霧の時は行先のケルンが視認出来なくなる。 ・下山時、標高4000m付近のサミットトレイルとオブザベートリー・トレイルの分岐付近で濃霧発生。続いて雹と雷に見舞われた。ケルンが見当たらず、地図とコンパスで窮地を切り抜けることができた。 ・山頂は、広大なクレーターを囲む火口壁のピークであり、不用意に縁に近づきすぎないこと。 ・トイレは無い。持ち帰る事。 【服装】 ・夏の北アルプス登山に準ずる服装 + 防寒着 + トレッキング用手袋 |
写真
00:50にコナのホテルを出発。中腹のオニヅカ・ビジター・センターで高度順化を兼ねて星の観察をした後、山頂へ。一番左が日本の「すばる望遠鏡」
感想
・夫が、ハワイ島にスキューバ・ダイビングに行くという。ハワイ島には富士山よりはるかに高い「マウナ・ケア 4205m」&「マウナ・ロア 4169m」がある。
・「マウナ・ケア」は海底からの高さが世界一。
「マウナ・ロア」は山の容積が世界一。
「キラウエア火山」は火山活動が世界一。
三つの世界一に登るためについていくことにした。
・期間は、6月12日〜6月20日。体験ダイビングも含め、1日おきに3山に登る結構ハードな旅となった。
・「マウナ・ケア」山頂付近は、日本のスバル望遠鏡をはじめ各国の望遠鏡が設置してある天体観測の一大基地。ここから天体観測をしない手はないだろう。
・一方、「マウナ・ロア」は、中腹に観測所はあるものの、山頂まで手つかずの自然が残されている。勿論、今回の主目的は「マウナ・ロア」登山である。
・そこで、高度順応を兼ねて、先に「マウナ・ケア」山頂での天体観測をし、3日後に「マウナ・ロア」登山を組み入れた。
・現地エージェント5社、日本のエージェント3社に、「マウナ・ロア」登山のガイド手配を問い合せたが、ツアー登山も個人手配ガイドも全て「やってない」という回答。
・そこで、単独登山に方針を変更。
・ホテルから登山口までは、公共機関はなく、車で移動しなければならない。片道2時間30分〜3時間かかる。レンタカーで移動することも考えたが、9〜10時間の登山に、往復5〜6時間の運転は、今の私には相当、きつい!
・八方手を尽くした結果、現地エージェントの1社のみが、送迎を引き受けてくれた。
・ダイレクトに、現地公共機関に地図や磁北偏角差や登山上の注意について問い合せたが、どこも親切に対応してくれた。問い合わせ先は、前掲の通り。
【マウナ・ケア】
・天体観測と山頂からのサンライズを組み合わせた現地ツアーに参加。
・00:50にホテルからピックアップしてくれる。
・中腹の「オニヅカ・ビジター・センター」で天体観測。この間に高度順応。日の出の時刻に合わせて車で山頂へ。この日の気温は1℃。
・太平洋の最高地点から見るサンライズは壮大、荘厳!
・4205mの山頂は、望遠鏡施設の向かい側に有り、10分ほどで登れるが、現地の人々の聖地で祭壇が祭ってある。私は、遠慮した。
・「オニヅカ・ビジター・センター」から山頂へ登る「マウナ・ケア・フムウラ・トレイル」がある。往復14時間。
【マウナ・ロア】
・情報コラムにも書いたが、チャーター車でホテルと登山口を往復。登山は単独である。
・3:30にチャーター車で出発。5:55到着。私は、2日前に高度順化をしていたので、何でもなかったが、ドライバーはしきりと頭痛を訴えていた。一気に車で3400m近くまで登ってきてしまったので、無理もない。
・無数の寄生火山の集合体であるようなマウナ・ケアと違い、山頂に最大幅4kmもの大クレーターを頂く、巨大な山である。
・トレイルは、溶岩を積み上げたケルンを辿る。溶岩で覆われた山肌なので、ケルン以外の目印がない。岩と空とのスカイラインは絶えず見えているが、山頂クレーターの火口壁に達するには、30分のロスタイムを含めて6時間を要した。
・一番目印が整備されている「オブザベートリー・トレイル」から「サミット・トレイル」をたどるのがベスト。このルートだけが整備されていた。
・私は古い記録を頼りに、「サミット・トレイル」への分岐から「ノースピット ・トレイル」に入ったが、途中からケルン無くなってしまった。双眼鏡ではるか上に「サミット・トレイル」のケルンを見つけ、道なく道を歩くこと30分のロスタイムでやっと合流できた。
・誰にも合わず、山頂に到着。鶯色のクレーターの巨大さに言葉を失う。未だかって見たことのない景観!
・下りは、忠実に「サミット・トレイル」を辿ったが、「オブザベートリー・トレイル」との合流付近(標高4000m)で、悪天候に見舞われた。
・瞬く間に、濃いガスが発生。稲妻と共に大粒の雹が降り始め、落雷を回避する為に溶岩の上にうつぶせになって、過ぎ去るのを待った。「遭難」の二文字が頭に浮かび、体の下で、現在地を夫にメールした。
・ガスが取れ始めたので、ケルンを探すが、全く無い。双眼鏡で探すが、溶岩のとんがりなのか、ケルンなのかもはっきりと見分けられない。
・そこで、出国前に、磁北線を書き込んで持参した地図と磁石で進行方向を見定めて、また、道なき溶岩の上を歩く。30分ほどで、最後に置いたN037の黄色い紙のケルンに辿り着く。
・16:11に駐車場到着。朝の時と同じ女性ドライバーが冷たいジュースで出迎えてくれた。
・前日の天気予報では、この日は「降水確率:0%、14:00頃ガス発生 確率:20%」であったが、海洋性気候に加えて4000mを超える高山の天気は、目まぐるしく変化。地図とコンパスは、必携!
【キラウエア火山 標高1243m】
・ハワイ島の半分、500kmを走る1日のドライブツアーに参加。9:10ホテル・ピック・アップ。21:00ホテル着のロングツアー。
・下記の所に立ち寄った。
マウナ・ケア国立公園、ヒロの街、キラウエア火山、ブラック・サンド・ビーチ、サウスポイント
・キラウエア火山の最高地点にジャガー博物館がたっており、その前が駐車場。車を降りた所が山頂という超お手軽登山(?)
・キラウエア火山では、地球の巨大なエネルギーに圧倒された。
・ブラック・サンド・ビーチでは、野生を守る姿勢に感銘を受けた。
・サウス・ポイントでは、1500年前にこの島へ初めてやってきたポリネシア人の不屈の魂と、自然を利用した航海術の確かさに感銘を受けた。
マウナケア、コハラ山、キラウエアへは行きました。マウナロア、フアラライがまだなので、大変参考になりました。
sarueiji さん、おはようございます。
ハワイというと、ワイキキビーチしか思い浮かびませんでしたが、5つの火山で構成されたハワイ島は、圧倒的な地球のエネルギーを実感できる所でした。
洋上に浮かぶ島は、海洋性気候のため目まぐるしく天候が変化します。無事に下山するためには、事前準備が欠かせません。私の記録が、そのためのお役にたてるなら幸いです。
mizuki
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