キナバル山とヴィア・フェラータ (ロウズ・ピーク・サーキット) Mt.Kinabalu

- GPS
- --:--
- 距離
- 28.9km
- 登り
- 3,069m
- 下り
- 3,335m
コースタイム
09:08 Timpohon Gate発
09:17 0.5km地点 (標高1,935m)
09:31 1.0km (2,039m)
09:56 1.5km (2,164m)
11:21 3.5km (2,634m)
12:09 4.0km (2,745m)
12:32 4.5km (2,898m)
12:57 5.0km (3,001m)
13:27 5.5km (3,137m)
13:57 Pendant Hut着
6/28
03:00 Pendant Hut発
03:21 6.5km (3,426m)
03:58 7.0km (3,653m)
04:29 7.5km (3,800m)
04:48 8.0km (3,929m)
05:04 8.5km (4,008m)
05:21 Low's Peak (4,095.2m)
06:22 3,776m地点
06:57 Via Ferrata スタート (Low's Peak Circuit)
11:03 終了
11:27 Pendant Hut着
12:02 Pendant Hut発
15:20 Timpohon Gate着
天候 | 6/27 晴れ時々曇 6/28 曇時々雨、時に快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2013年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス タクシー
飛行機
- コタキナバルから山麓までは現地ツアー手配バンにて約2時間 |
コース状況/ 危険箇所等 |
- 登山道は驚くほどよく整備されていました。テクニカルな危険個所はなし。但し、夜間登山になることや、富士山以上の高度になるので、防寒や高度順応への対応がそれなりに必要です。 - 今回初めてやったヴィア・フェラータ (Via Ferrata)。アジアでは初、また、長い方のルート(ロウズ・ピーク・サーキット/Low's Peak Circuit)は世界最高所にあるヴィア・フェラータとのこと。登攀具を使うのも初めてでしたが、ルートはきちんと整備され、また前日に山小屋で行われた事前講習会でいろいろと教えてくれるので、実際に身の危険を感じることはありませんでした。 |
写真
感想
山登りを主目的として海外に行くのは今回が初めて。楽しみです。
行き先はマレーシア、ボルネオ島のキナバル山。以前テレビでみて、その立派な山容に惹かれました。また、富士山より高い山にも登ってみたく、自分にとって新手のアクティビティ、ヴィア・フェラータ(Via Ferrata, 以降VF)も体験してみたかったので、ここに決めました。
出発一週間前に、現地の登山ツアーや航空券、ホテルなどを自己手配。キナバル山は入山者数に制限があり、スロットが埋まってしまうこともたまにあるらしいので、ラッキーでした。今回は準備時間が無く、ガイドブックの類は一切持たず、情報は全て現地調達で済ませます。
クアラルンプール経由でコタキナバル入り。"ボルネオ"というイメージから、とんでもない田舎かと想像していましたが、良い意味で裏切られました。それなりに都会で、金曜の夜などは車の渋滞発生。割となんでも手に入るし、ご飯も美味しい。いい所でした。
そもそもマレーシア自体、ASEAN諸国の中でも一人当たり所得がシンガポールとブルネイに次いで3位。経由地のクアラルンプールも経済発展していて驚きました。
さて、キナバル登山は現地の2泊3日ツアーに参加しましたが、一日目はコタキナバルから麓の街まで移動して終わり。実質的には1泊2日でした。3日ツアーなので、初日に移動&登山スタートして小屋泊、二日目に山頂&VFして再び小屋泊、三日目に下山、天候によっては予備日に使うと勝手に解釈していたので、少し損した気分(笑)三日目はかなりタフなスケジュールになりそうです。小屋から標高差800m登って山頂着、300m下った所から世界最高所のVF開始、500m下って一休み、そこから1,400mを一気に下山。
標高差2,200mは、去年須山ルートからプリンスルート経由の御殿場ルートで登った富士山のパターンに似ています。
キナバル山は世界遺産であることもあり、かなりコントロールされた中での登山になります。また、登山道は素晴らしく整備されていました。
幾つかポイントを。
[* 以下は2013年6月時点の情報です。今後変わる場合があり得ますので、ご旅行時は最新情報をご確認ください]
- 必ず登山ガイドが必要。単独登山者にも一人つく。外国人には英語ができる人をつけてくれるようで、コミュニケーションは問題なし。
- 必要に応じてポーターも頼める。荷物1kgあたりRM10(今の為替レートはRM1=JPY33位)と聞きました。頼む荷物が少ない場合は登山ガイドがポーターも兼ねます。
- 荷物は麓の管理事務所で預けることができる。(RM10)
- 登山者全員登録が必要。一人一人、ユニークなIDと名前が印字されたIDカードを渡され、入山中は必ず着用している必要あり。途中でチェックポイントがあり、入山者数とそのステータスが管理されています。
- 上記の通り、登山スケジュールはあまり融通がきかなさそう。
- 日帰り往復以外は、3,250-3,300m地点の山小屋のどれかに宿泊します。今回は、VFを予定していたので、運営会社直轄のペンダント小屋/Pendant Hutに宿泊。VFを予定している人はほぼ全員ここに泊まるようでした。ざっと見て、キャパは60人程の小さな施設。当日は20人位が宿泊。
- キナバル山は、宿泊施設のキャパの関係で予約が取れなければ登山もできない。一日最大200人程度とのことでした。キナバル国立公園に来る人は年間20万人以上、そのうち山頂を目指すのは10%程度の2万人位、と聞きました。
- 無事に登頂できると、通し番号と自分の名前入りのカラフルな証明書を発行してくれます。
- ペンダント小屋はとても綺麗。トイレは水洗、電気もケチることなく、温水シャワー("Hot"ではなくあくまでも"Warm" Showerだと言ってましたが)も使える。この小屋はソーラー発電。発電機の音もせず静か。
- お茶やコーヒー飲み放題。
- 部屋は、キナバル山にあるいくつかのピークのうち日本語のピーク名がついた"Oyayubi Peak"の親指部屋(笑)でしたが、二段ベッドか4つで、最大8人。当日は4人でした。日本の山小屋のように"来るもの拒まず"状態にはなりませんので快適。
- 暖房はなし。とはいえ、用意された寝袋で十分暖かったです。
- ディナーは近くにある一番設備が整ったラバンラタ小屋/Laban Rataでとるシステム。ここは一段と綺麗な施設で、食事はビュッフェ形式、味も口に合い、テーブルは地元マレーシアからきた若者グループと一緒に。一人で行ったので質問責めに(笑)
さて、今回楽しみにしていたVFは、ケーブルや鉄の足場などで整備された崖の道を、インストラクターに確保されつつ一緒に行きます。途中、吊橋、3本ケーブル橋、2本ケーブル橋、が登場して変化をつけます。インストラクターに聞いた所、なんでも、設計者は日本人だとか。
運営会社のHP (http://www.mountaintorq.com/via-ferrata/activities/lows-peak-circuit ) にはロンリープラネットから抜粋した以下の記述も。
"The route’s thread-like tightrope walks and swinging planks will have you convinced that the course designers are sadistic, but that’s what makes it so darn fun – testing your limits without putting your safety in jeopardy. (Lonely Planet, 11th edition)"
日本では聞いたことがなかったのですが、まあ認可されないだろうなあ、という感じ。
ここキナバル山のVFには二種類あり、短いのが"Walk The Torq"、長いのが"Low's Peak Circuit"。長い方は、世界で一番高い所にあるVFとしてギネスブックにも認定されており、未経験の身ながら、少し調べた結果、グレードはフレンチAD, "Fairly hard, suitable for accompanied beginners"とあるので、大丈夫と踏んでこれを選択。
VF前日にペンダント小屋で行われる簡単な説明会に参加しないと、当日のアクティビティには参加できないので、みんな集まります。
ところが、そこで判明したのが、20人位の中で長い方をやるのは自分を含めて3人のみ、という事実。それがインストラクターから発表されると、短い方を選んだ人達、多くは屈強系の欧米人が皆、羨望と憐みを交えた複雑な顔を向けてきます... みんなこっちやるんじゃなかったの?大丈夫か、俺(笑)
2007年12月から開始したとのこと、すかさず、今までに事故があったか質問すると、爆笑が沸き起こる中、「よく聞いてくれた、今まで事故は一件もないよ!」との回答でした。
ディナー後は殆どやることもなく、19:30には就寝。ここで問題が...
時間が早過ぎて眠れない(笑)ゆっくりペースで登ったので、ものすごく疲れているわけでもなく、かえって目が冴えてしまいます。なんとか休もうとするも、今度は二段ベッドの下に陣取るマレーシア人のおじさんが強烈なイビキ。寝返りもひどく、その度に上は震度2。
結局殆ど眠ることが出来ず、起床時間の午前2時を迎えてしまいました... こんな時は大体、悪いイメージが浮かぶもので、VFの吊橋渡っている時に突然睡魔に襲われたら、などと負の妄想が止まりません(笑)
気を取り直して、軽く朝御飯を取り、登山ガイドさんとの待ち合わせ時間2:40。小屋を出たのは3:00でした。富士山でも夜間登山は渋滞が面倒くさそうだったのでスキップしていましたが、ここキナバル山でも、やはり渋滞。階段を青息吐息で進む人達を抜くに抜けず、諦めて闇の中をゆっくり進みます。
途中、雨脚が強くなり、滑って落ちるとヤバそうな斜面もありましたが、気付いたらあまり問題なく山頂に辿り着いていました。日の出前であることと雨で何も見えず、ピーク自体もその姿をハッキリ確認することなく、下山開始です。
空が段々明るくなって来ると、周りのピークが次々に出現。完全に別世界。素晴らしい光景に目を奪われつつ下ります。最初にここに来たヒュー・ローの一行は自分達が他の惑星にでもいると思ったことでしょうね。
長い方のVFは、富士山と同じ高さ、3,776m地点からスタート。ギネス認定世界最高所にあるVFです。この高さでも雪が降らないので、ヨーロッパや北米のVFに比べて高所に設定し易かったのかな。
後のスケジュールを考慮し、7:30迄にこのスタート地点に辿り着けなければそこで終了、というルール。自分は少し早く、6:20頃には着いてしまい、一時的にガイドさんと別れ、風吹きすさぶ中、待機。20分ほどしてVFトレーナー登場。
そこでまたまた驚きが。何と、こちらの長い方のコースを事前に選択していたイギリス人2人が、土壇場で短い方に変更したと告げられました。つまり、今日百数十人キナバル山に登る中、長い方のVFにチャレンジするのは自分一人...(笑)
まあなんとかなるだろうと、気持ちを切り替え、むしろマンツーマンでフォローしてもらえる訳なので、自分のペースで行けるし、色々教えてもらえそうで、ラッキー、と思うことにしました。
気分が変わると天気も変わるのか、晴れ間が見えてきました。最高の眺め。
最初から、500mの急な崖を下っていきます。強烈。高いのがダメな人で即リタイア、という例もよくあるらしく、「先日も岩に張り付いて一歩も下れずギブアップしたカップルが居たよ」とのこと。それも無理ない高度感。
ただ、不思議と怖さは感じず、着実に進みます。
日本のサブカルはここでも大人気。インストラクターは、こちらが日本人と見るや、「自分のことは "のび太" と呼んでくれ」と言ってきました。違和感ありありでしたが、そう呼ぶことに(笑)
インストラクターと2人だけなのでサクサク行きますが、「この感じなら2.5時間位で終えられそうだけど、天気も良いし、せっかく来たのだから、それじゃあ味気ないよね」と。確かにここで急ぐ理由もないので、景色を存分に楽しみ、いろいろな話をしながら、抑え目のペース、4時間ほどで完了。
それなりに体力も消耗したので、ペンダント小屋で一休み。下山迄油断は禁物。後半は雨にも降られましたが、無事に帰還しました。
今回は準備期間が短かったにも拘らず素晴らしい体験ができ、現地の登山ガイドさん、VFインストラクター始め、皆さんに大感謝です。
久しぶりに海外へ行きましたが、なんというか、いろいろなことから解放される感覚。近々また行きたいですね。
コメント
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おはよっす!
まことに下賎な話ですが・・大阪人なもんで・・
この登山で飛行機代、ホテル等でいくらぐらいなんですか?教えていただければ行ってみたいです。
英語は簡単な会話程度でも大丈夫でしょうか?
ふふふ・・面白そうですね
でわでわ
uedayasujiさん、はじめまして!
日本発の4-5日間ツアーだと、16-18万円 + 燃料サーチャージ (+一人参加だと 一人部屋追加料金)、というのが相場のようです。
今回は直前の手配だったので、5日間相当で、航空券(燃料サーチャージ込) + 現地ツアー費 + 宿泊費が計15万円程度でした。
複数人で参加して、時間的に余裕を持って航空券を取れれば、費用的にはさらに安くなります。大阪からだと週数便コタキナバル直行もあるようなので、時間の制約がある場合はそれを使う手もありますね。
登山中の英語によるコミュニケーションは、目的がはっきりしているアウトドア活動なので、緊急事態や、より広い・深い話題を扱う必要がなければ日常会話レベルで十分です。ヴィア・フェラータ講習時の聴き取りがつらいかもしれませんが、目の前でパネルや用具を使って説明してくれるので、大体お分かりになるかと思います。
キナバル山、天候に恵まれれば最高の登山になります。是非楽しんできてください!
各種ニュースで既報の通り、ボルネオ島北部で発生したM6.0の地震(震源は地下10km、キナバル山からの距離は54km)により、キナバル山も大きな被害を受け、登山者が多数山頂付近で足止めされたとの報に驚いた。6/6日本時間19:00時点で11人の方が亡くなったと報道されている。残念過ぎる。
2年前に自分が登っていたとき、山頂付近でVia Ferrataをやっていたときに地震が発生していたら、完全に巻き込まれていた。地殻変動のタイムフレームから見たら2年は誤差の範囲。他人事とは思えない。まだ日本人登山者一名を含めて行方不明の方々がいらっしゃる。なんとか無事に下山できますように.....
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