【別山ルートからは】早月尾根から剱岳【行ける気がしなかった】
- GPS
- 13:00
- 距離
- 13.8km
- 登り
- 2,289m
- 下り
- 2,293m
コースタイム
天候 | 9/21 晴れ。快晴ではないが雲は殆ど無し |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2013年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
一箇所だけ崩落していて事実上の1車線(ただし信号なし)があった。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
立山から見ると物凄くアップダウンがあるように見えたが、登りはひたすら登り、下りはひたすら下りでピークは巻いていく。そういう意味ではアップダウンはない。 とり付き〜早月小屋:樹林帯の登り。平坦なところは少なく、何しろ長い。早月小屋手前1時間半くらい?のところにマークの無い2股道があった。間違えたら戻ればよいと思って左に行ったらかなりの岩場。ただし薄いペンキと踏み跡があり、ルートも明瞭だったが登りきったらロープが張ってあった。旧ルートであろう。帰りはルート上を行ったがボコボコした樹林帯。 早月小屋〜2800m地点:物凄い胸突き八丁。ストックは小屋を出てすぐにしまった。それまでとの変化が大きくしんどかった。 2800m地点〜山頂:核心部の鎖場。よく整備されていて足場はしっかりしている。登りはなんということはなかった。下りは一箇所だけ岩がせり出ていて、跨ぐと足の置き場が見えないところがあった。私がビビリなだけであろう。恥ずかしながら後ろの人に先に行ってもらい足の置き場を教えてもらって通過した。 *後日聞いた話ですが、この日は小屋泊まりが大変混雑していて予約なしで遅めにに着いた方は「小屋はいっぱいです。下山できませんか?」と聞かれたそうです。また、テント場も場所が無くて、小屋近くに張らざるを得ない状況だったとか。 下山後は車で上市側に40分の湯神子(ゆのみこ)温泉へ。下山で一緒だった方に教えていただいた。確認はしていないが素泊まりも出来るそうです。 食事は有磯海SAで有磯黒ラーメンを食べた。その後疲労が出て8時間車で爆睡。さらに糸魚川で降りて深山の湯が開くのを待って駐車場で2時間寝る。結局痺れを切らして白馬のみみずくの湯に入って松本へ帰宅。 |
写真
感想
6年前に戸隠山にいったときのことです。有名な蟻の戸渡りの少し前に鎖場のヨコバイがあって1本目の鎖の端までいくと自分の背中側に伸びている鎖に移らなければならない場所があった。登山者が多く、私は前の人が次の鎖に移る時に手前のアイボルトで待っているとツアーの皆様がガンガンヨコバイを上がって隣まできた。前の人はようやく通過してくれたものの、使ったステップは遠くて見えなかった。私の番になった時に背後に人がいたため焦りが出た。右足を置く足場を決めきるほんの数秒前に右足を思い切り伸ばしていた。左手にそれまで使っていた鎖を右手に次の鎖を掴んでいたが右足を伸ばしたため左足は浮く・・・一瞬周りの動作がスローモーションに見えた。「あぁ、初心者でもない人が鎖場で落ちる時はこんな時かな」と頭をよぎった。
結局、何事もなく戸隠山には登頂し下山できたがそれ以降鎖場は苦手になった。その後は怪我もあって山への気持ちも薄れてしまい登山も殆どしていなかったが、今年ようやく復帰できた。そんなこんなで行っていない剱岳。ヤマレコなどで別山ルートの写真を見ると私向きのルートには思えなかった。
一方で薬師岳から見た早月尾根はボコボコとしているがキレイな尾根。一般登山道レベルに限れば樹林帯の上り下りはそれほど苦手ではない。また、アプローチしやすい別山ルートから行くと早月尾根には行かなくなるのかなぁとも思った。私が剱岳に行くならばここからであるべきだ。
9/20仕事を終えると風呂に入ってすぐに松本ICへ。2日前には足掛け9年間つかってきたPAINEのザックの腰のバックルが破損した。すごく不吉な予感もしたが前日の仕事を早めに切り上げ、弊店間際のICIスポーツに駆け込んでミレーのザックを購入。週末に限れば今週末が今月一番の好天になると思われたためだ。
休憩や買い物を含めて6時間程度で馬場島に着いた。午前1時、すでに駐車場の空きは殆ど無かった。いろいろな登山計画を持っている人がいるのであろう。テントを設営している人もいればヘッドランプでこれから入山する人もいた。
空を見れば雲は殆ど無し。明日は間違いなく好天であろう。加えて9月、気温がそこまであがるとは思えない。ロングルートにはこの上ない条件だ。これで達成できない登山計画は実力に見合っていないと思うべきであろう。
標高差のあるルートのため睡眠は絶対にとりたかった。毛布に包まって車中泊。運転の疲れもあって中々寝付けない。思えば最近は悪天候を言い訳に温泉目当ての山行ばかりしてきた。心なしか毛布も硫黄臭い。。。いや、これは何か違う。私のオナラだ。ぬおぉ・・・。
寝付けないなどと言いながらしっかり眠っていて時計を見ると4時過ぎだった。駐車場所を探してウロウロしている車もあったが、停めてある周りの車から人の気配がしない。すでに出発したのだろうか。駐車場から明らかに剱岳のシルエットが見えた。あんな遠くに見える山に登るのか・・・
いそいそと準備をして4時40分に出発。空は若干明るくなり始めているが視界はない。ヘッドライトを点けてナイトハイクになる。下山でのナイトハイクは何度かあるが入山ではしたことがない。けれどルートは広くて明瞭。時折動物が動く音がしたがトラブル無くゆっくりと標高を稼いだ。
1400m地点辺りから明るくなる。ヘッドライトを閉まってじりじりと尾根を歩く。確かに長いが思ったとおりの樹林帯。歩きやすい。1600mくらいまではナイトハイクでも何とかなりそうだ。とは言えさすが馬場島。私も1800mあたりまでに先行パーティーを抜いたがトレランを含む健脚者が多く、バンバン追い越された。
抜いた中には親子連れもいた。子供はどうみても10歳以下に思われた。子供は樹林帯にウンザリして足が止まっている。ダダをこねてお父さんが説教をしている。若いお父さんが相当なベテランであることは見かけでわかったが大丈夫なのだろうか・・・
私もいい加減ウンザリしてきた。7合目からの蓼科山なら3往復くらいできそうな気がする。。。7時40分、ようやく早月小屋に着くと先行者が休憩してた。小屋の従業員らしき人がガラガラとドアを開けて出てきて歯磨きをしながら「いや〜みなさんお早いですな!」と声をかけてくれた。表情がうれしそうだ。とても励みになった。
小屋を越えると急激な胸突き八丁の岩場。見晴らしはかなり良くなって気分も上がるが、標高面でも2600m地点までコースタイムでは1時間半で400m近くを上がる。。。両手を使って這って歩いているような感じ。恐くはないが延々と登る。これほどとは。。。
2800m地点にはあと0.7kmの看板。ここからが鎖場の核心部。ここで後ろを振り返ると後ろから人が来ているのが見えた。なんとさっきの親子連れだ。頑張るなぁ。。。結構ハイペースだなぁ。。。いや、明らかに速いぞ。。。ってかどんだけ速いんだよ!
お子さんが終始先行していたがボディバランスが素晴らしい。また急峻な場所でも躊躇が無い。爆速で抜かれた。下山中も抜かれた。彼らは私より2時間以上早く日帰りしたであろう。山で誰かと競うつもりはまったく無いが、わたしは登山歴9年(下手の横好き)、あの子は生まれて9年経っていないであろう。怪我なくお父さんの指導を吸収していけば一般の方では到達できない領域に行けるのかもしれない。
すごい子供を見たショックでその後しばらく記憶がない。有名なボルトも右足を置けば安定していた。なんだかんだで山頂へ。山頂では別山ルートからの人で賑わっていて、山頂の看板を撮影するのも待つ状況。ここまで6時間少々。順調なペースで登頂できた。
写真を撮るのもままならないので少し休んで下山。小屋泊まりの準備をして荷造りしてきたが14時までに小屋に着けば私も日帰りしてしまおうと思った。私はソロのため基本的に山行は自己完結をすべきと思っているが、鎖場のトラバースで岩がせり出している箇所があった。そこだけはどうしても足の着き場がわからなくて、ちょうど追いついてきた人に先にいってもらい足場を教えてもらった。いや〜私はヘタレ登山者だな〜。
小屋まであと1時間くらいのところで変わった様相の人が歩いてきた。よく見るとお坊さん?白装束の井出達。足回りは足袋。ソールは貼ってあるけど。話しかけてみると、「山頂でお経を上げるのが日課なんです。でも、諸々の事情でどうしても取り付きはお昼過ぎになってしまうから、夕方までに小屋まで下りて後はヘッドライトで馬場島に下りてます。下りるといっつも夜ですわ。」・・・へぇ・・・それって毎日9時間くらいで往復してませんか??
もう驚く気もなくなってきた。下山はバテたのと足の爪が割れたのでペースはガタ落ちだったが18時前には下山。
馬場島の写真も撮りたかったが、下山ペースが一緒だった小屋泊まりのご夫婦に教えてもらった温泉の空き時間がよくわからなかったため直ぐに馬場島を離れた。
湯神子温泉に入った後、有磯海SAで夕飯を食べて泥のように眠る。さらに小谷村の温泉が開くのを待って眠る。結局、しびれを切らして白馬へ行って再び温泉へ。ここで祖母谷からきたテント泊さんと意気投合して松本まで送る。
・・・というわけで久しぶりに限界までバテました。早月尾根の日帰りは少なくとも15組はいたでしょう。巻きの多い一本調子の尾根ルート、加えて標高差を一気に稼ぐ道のつけ方、さらにコースタイムが長いわけではない。やりやすいのでしょうか。老若男女、ジャージ、メガネさん、子供、お坊さん、みんな速い。
ルートミスと一箇所わからないステップはありました。とは言え、初めての剱岳にドMルートとも言われる早月尾根を選んだことは間違いではなかったと思っています。何しろ私はマクドナルドでコーヒーを頼むときも「あ!コーヒーのドMサイズってありませんか?」と聞いてしまうほどですから。
ウソです。
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