記録ID: 35522
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ハイキング
蔵王・面白山・船形山
トホレコ(日本縦断徒歩旅行の記録)23・安達太良山へ(アプローチ編)
2006年08月27日(日) 〜
2006年08月29日(火)


- GPS
- --:--
- 距離
- ---km
- 登り
- ---m
- 下り
- ---m
コースタイム
8/27 原ノ町運動公園〜新田川
8/28 新田川〜八木沢峠〜草野
8/29 草野〜川俣〜二本松
8/28 新田川〜八木沢峠〜草野
8/29 草野〜川俣〜二本松
過去天気図(気象庁) | 2006年08月の天気図 |
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アクセス | |
コース状況/ 危険箇所等 |
8/27 今日もよく眠れた。ここ数日すっかり涼しくなってさはやかな陽気だ。蚊も大人しくしている。青空は「まだまだぁ、夏はこれからだぜぇ?」なんてうそぶいてやがるが、そんなのに騙されるのはおめでたいセミくらいなもんだ。雲も風も稲穂も、みんな知ってる。夏はもう終わったのさ。 原ノ町を去る前に、昨日行った“ゆめハット”とかいう、あの立派なホールへ再び乱入。パソコンを借りて、新田川について少々調べてみる。新田川というのは原ノ町を流れる川なのだが、地図で見ると激しいゲジゲジマークが続いている。よほど立派な沢のやうに思えるのだが、Bosayo様に聞いてみても、そんな渓谷は知らない、という。折角だからちょっと寄り道して覗いてみやうかと思ったのだ。とは言ってもフェルト足袋があるじゃなし、カメラを濡らす訳にもいかないし、本格的な沢登りに現を抜かす訳にもいかないのだが。 ネットで調べてみると“廃道マニア”が新田川沿いを歩いた記事などアップしていたりする。何処にでも、どんなジャンルにでも変態というのはいるもので。その記述によれば、新田川上流にダムを作る計画があったのだが、途中で中止になったという。その時の作業道が62号線とやらに続いているらしい。下流の方にはかつての森林鉄道の軌道跡が残ってるとか。いまいち細部がはっきりしないが、なんでも道は右岸側についているやうだ。“すごいゴルジュが発達している”みたいな記述は見られなかったが、まあ、行ってみても面白いだろう。 その後、買いものをしたりしてダラダラしていたので、ようやく昼過ぎになって新田川沿いの道に入る。今にも途切れさうな、頼りない道だ。そうこうするうちに発電所で行き止まり。釣り師と覚しい御一行がわぁわぁやっている。「なんだ、兄ちゃん、キャンプか?」なんて聞かれたが、「まあ、そんなとこです。」などとテキトーに答えておく。この先沢沿いを歩くには渓流シューズくらいは必要そうだ。 発電所の周りをうろついていたところ、斜面上を続くパイプのそばに作業道と覚しい道が続いているのを発見。別に立入禁止という風でもない。結構な急斜面だがどっかに通じてそうな気配。荷物を背負って登ってみる。ひーひー言って登っていくと、別の林道に出る。何処から来て何処へ向かう道なんだろう。さっぱり分からん。まあ、なんでも上流の方へ向かってるみたいだ。 ここからだと発電所周辺の風景が見晴らせる。一応記念撮影しておくことにする。21mmならうまく収まるだらう。この間「被写体にレンズを合わせているわけじゃない」みたいな事を偉そうに書いたばかりだが、この場合、あくまで記念撮影なわけで。という事でレンズを交換しようと、ウェストポーチのポケットをまさぐっていると、何としたことか、不覚にもレンズを落としてしまう。 「むぎょおおぉぉ、お、俺の21mmがぁ。四万八千円がぁ〜。」 という叫びも虚しく、お気に入りの広角レンズはカランコロンと良い音させて、急斜面を転がり落ちていく。そう、このレンズは東京は中野の“フジヤカメラ”で中古品を四万八千円で購入したモノなのだ。オリンパスOMシリーズは既に製造中止になって久しく、骨董と化しつつあるので割りと高額だったりする。この21mmは広角のわりに口径が小さく、F3.5と明るさもほどほどで僕のお気に入りだった。癖のある描写は一度ハマると病み付きになる。アメ横みたいなゴチャついた街並みをこのレンズを持って歩くと最高に楽しいのだ。その21mmが、今、目の前の斜面を転がり堕ちていく・・・。なんてこった。 斜面の途中で止まったのを回収してみると、幸いレンズの前玉は無傷のやうだった。しかし後玉には結構深いキズが入ってしまった。他にピントリングとプレビューボタンが逝ってしまった。まあでも、何とか撮影は出来るかな?広角だし、ピントは無限大から動かさなければ良い訳で・・・。などと強がってみるも虚しい。はひ〜ん。 気を取り直して、林道を上流へと辿ってみる。わりとしっかりした道である。人が通っているやうだ。しばらく行くと「蛇穴鍾乳洞1.7km→」とかいう看板が出てくる。蛇穴鍾乳洞?聞いてないよ。そんなもん、ホントにあるのか?などと思ううちに、その蛇穴鍾乳洞に着く。林道より下の方に踏み跡が続いている。入口は広い洞窟って感じ。少し入ると正面に5メートル位の梯子が設えられている。洞窟ははるか頭上に続いているらしい。デカい脚立を広げて立てかけてあるだけの代物で危なっかしい。登ってみるとそこから更に横穴が続いている。かなり狭い。大人ならハイハイして行かねばなるまい。僕のチャチなヘッドラムプでは、照らしても光が届かない。(弘前のホームセンターで買って、その日のうちにスイッチが壊れた奴。)そうとう深い闇だ。先の方がどうなっているのか全く分からない。変に生温かいやうな風が、その闇の向こうから静かに吹いてくる。こわい。かなりプリミティブに恐い。やみくろに喰われさうだ。さっさと逃げ帰る。知っての通り、僕は臆病者である。ケービングって遊びは、僕にとって本当に理解不能な遊びだ。あんな不気味なところにズリズリと進入していったりして何が楽しいのか。さっぱり分からん。 再び林道を行く。手で掘ったと覚しき小さなトンネルが出てくる。この辺まで来ると道はだいぶ荒れてくる。車では通行出来ないだらう。トンネルの中は真っ暗である。ヘッドラムプを点けてみても、足元さえロクに見えない。使えねぇなぁ。思いっきりぬかるみにはまったりした。 さらに2時間ほど行くと道が途切れてしまう。少し辺りをうろついて見るが、道らしきものはない。薮の中をうろうろしてるうちにズボンの右足の膝の辺りがビリビリにやぶけてしまった。ザックを背負う時に一度膝の上に乗せるので、生地が薄くなってしまっていたのだ。時刻は四時をまわり、めんどくさい事になっても嫌なので、引返すことにする。1時間も詰めれば道に出るやうな気もしたが、まあいいか。地形図もないし、確信が持てん。 蛇穴鍾乳洞まで戻ったところで沢筋におりてみる。岩棚になっていて河原はないが、岩の上で寝れそうだ。近くには結構な水量の支沢が入って来ている。支沢?そんなもん渡った覚えはねえぞ?行ってみると、なんと、地下水が轟々と地表に溢れ出ているのだ。まさに生まれたての水。感動だ。多分、鍾乳洞とつながっているんだろう。 幸い薪もあったのでささやかに焚火。ラッパを吹いてみると対岸の岩場に反響して気持ちいい。山の神さま、騒がしくてごめんなさい。 テントを張るのは無理だったので岩のすき間に挟まってごろ寝した。僕はこう見えて、知る人ぞ知るゴロネイストである。台湾遡渓の計画に参加した折には「札幌ごろねの会」を標榜して、ひたすら焚火の傍を寝床とし、ゴロネイズムを追求したものだ。どーでもいいな。 FMが入ったので8時から「一枚の写真から」を聴く。この番組はBosayo様がパーソナリティを勤めるFMふくしまの番組。ウィークディは夕方4時45分から15分間の放送だが、日曜日には総集編をやるのだ。(総集編の放送は終了してしまったようだ。詳しくは番組ホームページをどうぞ。) ☆一枚の写真から→http://www.fmf.co.jp/syashin/ 噂はかねがね聞いていたのだが、ホントにやってんのね、当り前だけど。なんかカンドーした。 8/28 昨日来た道を引返し、橋まで2時間弱。途中、軽トラに乗ったおっちゃんに話しかけられる。どうやら昨日見た釣り師御一行の一人のやうで。このおっちゃんの言うには、昨日の林道は上で別の道に通じているんだという。俺もそう思ってさ。でも、完全に薮の中に消えてたもん。おっちゃん、「そんなハズはねえけどな・・・」なんて言ってたけど。じゃあ、まあ、そういうことにしておくか。 安達太良山を目指し進路を西へ取る。なんでも安達太良山には沢沿いについた風流な登山道があるそうだ。桧原湖に向かうにはどうしてもどこかの峠を越えねばならない。どうせなら車道を行くよりは、登山道から越えたほうが楽しかろう。仙台でちゃんと1/5万の地形図も購入しておいたから安心だ。海抜ゼロメートルからの登山、てところか。 八木沢峠を越えていく。標高500メートル程度の峠だが、侮り難く辛い。やけに身体がダルいのは、一晩中岩の間に挟まっていたせいだらうか。峠を越えるとすぐに民家の姿が現れる。こちら側は里が近い感じ。すかさずコーラ一気のみ。 草野というところで、晩飯の買い出しなどしておく。といってもめぼしいものもなく、モヤシを買ったのみ。あいの沢というところを目指して先を急ぐ。あいの沢には温泉があるやうだ。道端に看板が出ている。しかし「あいらぶ湯」という、おやじギャグ風のネーミングからしてあまり過度な期待は出来ないだらう。まあこの際なんでもいいや。キャンプ場とかもあるみたいだし。 あいの沢から県道を逸れて脇道に入っていく。看板には「すぐそこ」などと書かれているが、それは車での話。歩くとそれなりに時間かかる。しかも坂道で、結構登らされるはめに。なんだよ。知ってたら来なかったかもな。 温泉まであとわずかってところで4時45分となりにけり。おもむろにザックを降ろし、道端に陣取ると天蓋からラジヲを引っ張り出す。「一枚の写真から」の時間なので。この行動は事情を知らない人が見たら、かなり怪しく思うかもしれない。え?ラジヲ?なんでこんなところで・・・とかって。でも、始まっちゃったものはせうがない。さひわひにしてこんな田舎の脇道を通る人とてない。 「一枚の写真から」という番組は、毎週写真を一枚ピックアップして、そこに映っているものにまつわる話を職人さんや専門家などに訊きに行くという趣旨のものである。ラジヲなんでBosayo様がどんな写真をチョイスしたのか分からないが、今週のテーマは“台風”のやうだ。レコードはセルジオ・メンデス&ワンダ・サー。なかなか良い。ちょっと出張で他所から来たボサノバ・ファンなんかが、何気なくつけたラジヲからこの番組が流れて来たら、ちょっと驚くんじゃないだらうか。おっ、福島はわりとセンスがあるね・・・なんてね。日によってはBosayo様の弾き語りによるスタジヲ・ライブなんかもある。地元では結構人気があるみたいで、もう3年以上続いている。“夕暮れのジェットストリーム”などと呼ばれる御長寿番組になるやう、ぐゎむばって貰いたいものだ。スタジヲ・ライブを集めたCDも2枚出ている。「サンバ・カンソンを中心にしたレパートリィ」と言えば、ボサノバ・ファンなら「ほほう?」と思うんじゃないだらうか。ゆっくりとしたボサノバのリズムで囁やくやうに歌うサンバ・カンソンの名曲の数々。Bosayo様の渋い選曲で、ブラジル音楽の底力を垣間見ることの出来るアルバムとなっています。などと、頼まれもしないのに宣伝してみた。Bosayo様、こんな感じで如何でせうか? さて、件の温泉であるが、温泉なんだけど温泉じゃない。どういうことかというと、温泉と同じ成分を湯の中に溶かし出す装置で人工的に造った温泉なんだそうだ。これは当社自慢の技術らしいが、あんまり興味ないかも。 キャンプ場が近くにあったが、敢えてそちらには近付かず、芝生の広場の脇にあった四阿で野営。シーズンはずれで至って静か。晴れていれば星がキレイなんだろうなぁ。 8/29 今日も熟睡出来た。世間では「秋からは陸を敷いては眠れない。」なんてことも言われているが、テント生活には至って快適な季節になって来やがった。9時頃ゆっくり出発。風にフサフサと揺れる白い薄の穂など撮影しながら歩く。気分が良くなって「ススキの中の子ぉ〜」などと中学生の合唱コンクール風に唄い上げつつ行く。テノールが「なんにん、なんにん?」、ソプラノが応えて「なんにん、なんにん?」、アルトも「なんにん、なんにん?」。やがて感きわまったやうにして「な〜、なぁなぁなな、なぁなぁなな、なぁ〜」とソプラノの独唱。やや声量を落としたユニゾンで「なんにん、だ・ろ・なぁ。」という感じ。誰もいないのをいいことに“エア・指揮者”などやりつつ、熱唱である。あー、どうでもいい。 川俣という町の手前で、町を見下ろす辺りから、遠景を広角で・・・などと思ってカメラを構えていると、シャッターがうまく切れない。レンズを外して確認してみると、なんと、絞りとボディを連動させるツメやその周辺のビスがごっそり外れている。やはり先日の衝撃でかなりガタが来ていたのだ。ついに絞りも調節出来なくなった。露出はシャッタースピードで調整することにして、絞り固定、ピント∞ならまだ使えるのか?札幌に残してきたシグマの“スーパーワイド24mm”を取り寄せないとダメかも。 川俣のセブンイレブンでカップめんとパンを買ってランチ。バスの待ち合い室がいい感じ。軍鶏が名物らしい。ブルージーな町並みだ。 ここから二本松へ向けてどういうルートを採ろうか迷ったが、なしくずし的に117号線に突入。結構な山道だが、野々村輝になりきってシャカリキに歩いていく。(註・野々村輝は、ロードレースをテーマにした曽田正人の出世作「シャカリキ」の主人公。登り坂だとやたら速くなるというクライマーである。念のため。) こんな人里離れたところにも小学校があると見えて、ランドセルを担いだ子供が2、3人向こうからやって来る。なんかちゃんばら的なことをしながらわぁわぁ言っている。その中の一人の子が、ふと、すれ違いざまこちらを見上げて「がび〜ん」というやうな顔をした。何かそうとうショックを受けたに違いない。あたかも、初めて火星人を見た時のやうな顔だ。一体何がそんなにショックだったのか、俺にも分からん。こっちだってショックだ。あんな顔されちゃ、「お、学校はもう終わったのかえ?」なんて気安く声をかけることも出来ない。泣き出さないうちにそそくさと立ち去るのみだ。 下川崎という所まで歩いた所で丁度時間となりにけり。商店でカルピス買って、恒例のラジヲの時間。今日も今日とて野良ラジヲ。ワンダ・サーは今日はデイシャを英語で歌っていた。夕空を眺めつつ二本松へ。モノクロフィルムをチョイスしたことを後悔するやうな空の色。 あたりが闇に包まれる頃、ようやく二本松に到着。どうも町の造りが変わっている。細長く延びた町が途中小高い丘に寸断されている。とりあえず駅前に行ってみるも、あるのはシャッターの降りた商店とパブやスナックばかりで、ろくに食事も出来そうに無い。なんなんだらう。ズボンも新調したかったのだが。このぼろズボンにはもう一仕事してもらわねばならないやうだ。地図で確認するといい感じの運動公園が近所にあるやうだ。ところが、ちょっとした丘をふたつも越えて行かねばならない。なんなんだ?こんな丘はテポドンで平らにしてしまえば良いんだ。などとバチ当たりな悪態を付きつつ、九時頃ようやく公園着。野球場の裏手で野営。さっさと寝ようと思ったが、やたら湿度が高く、蒸し暑くて眠れやしない。 |
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