熊野古道:中辺路、大雲取越え(小和瀬〜那智)〜JR那智駅【和歌山県】


- GPS
- 08:20
- 距離
- 25.9km
- 登り
- 1,468m
- 下り
- 1,519m
コースタイム
- 山行
- 6:55
- 休憩
- 1:22
- 合計
- 8:17
小和瀬P 0731 ― 小口(大雲取越え入口) 746 ― No.28道標 758 ― 円座石 803 ― No.27道標 811 ― あずまや 821 ― 楠ノ久保旅籠跡 829 ― No.24道標 838 ― 胴切坂(下) 850/855 ― 胴切坂(上) 915 ― 越前峠 938/947 ― 橋で沢を渡る 957 ― 石倉峠通行止め迂回路(上) 1000 ―石倉峠通行止め迂回路(下) 1031 ― 地蔵茶屋 1031/1047 ― 林道から大雲取越えへ 1105 ― 大雲取越えから林道へ 1112 ― 色川辻 1128/昼食/1149 ― 舟見峠 1206 ― 舟見峠茶屋跡 1210/1212 ― No.7道標 1225 ― No.6道標 1232 ― 登立茶屋跡 1239 ― 途中休憩 1243/1300 ― No.3道標 1313 ― 那智高原 1319 ― 大戸平 1327 ― No.1道標 1331 ― 妙法山分岐 1336 ― 青岸渡寺、熊野那智大社 1343/1355 ― 飛瀧神社 1406/1415 ― 大門坂(上) 1422 ― 大門坂(下) 1437 ― 大門坂入口 1439 ― 尼将軍参道口 1501 ― 尼将軍塚 1507 ― 補陀洛寺 1543 ― 浜の宮跡 1544 ― 那智駅 1547
● 行動時間 8:16
天候 | 晴れ、曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2021年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 タクシー 自家用車
(和歌山市内=小和瀬駐車場) 小和瀬―越前峠―舟見峠―青岸渡寺―大門坂―補陀洛寺―那智駅 (那智駅=新宮駅=小和瀬=和歌山市内) ●登山口へのアクセス ○小和瀬 ・バスで行くかクルマで行くか。バスは熊野御坊南海バス新宮・本宮大社線の「神丸」バス停から小口へのバスが一日5往復。朝夕のみ運転。本宮大社から及び新宮からのバストの接続が図られている ・クルマは小和瀬のトイレ脇に駐車可能。5台程度か。ちなみに本日は朝7時台にはほかにはクルマはなかった ○那智、大門坂 ・バスかクルマ。紀伊勝浦からのバスがある ・クルマは大門坂の下にある駐車場には無料で駐車できる。上に上がると有料 ○那智駅 ・JR紀勢本線の駅。普通列車のみ停車。本数が少ないので注意を要する ・新宮や紀伊勝浦からであれば、熊野御坊南海バスの便が本数多い (いずれの記述も2021.9現在) |
コース状況/ 危険箇所等 |
○小和瀬〜小口 ・始終端では県道を通行するが、小口トンネルの上部を通る部分は古道 ○小口〜楠ノ久保旅籠跡〜越前峠 ・標高差800mの登り。石段整備がされた広い道取りだが、特に標高500m以降の胴切坂は“踊り場のない階段”のように登り続け。急坂ではないものの厳しい道 ○越前峠〜石倉峠は迂回路〜地蔵茶屋跡 ・迂回路は休止林道。クルマ幅はあるものの、木橋は抜け、落石は放置。時折歩きにくい箇所がある ・地蔵茶屋には、山中ながら自販機があり冷たい飲料が手に入る ○地蔵茶屋跡〜大雲取越〜色川辻 ・前半は林道を歩く。古道らしい道になると緩い昇降がある ○色川辻〜舟見峠〜那智高原 ・林道を見下ろしながら進む。舟見峠では勝浦の町越しに熊野灘を望むことができる ・そこからは、緩やかな下りが続き、那智高原で車道に出る ○那智高原〜青岸渡寺 ・再び古道となるが、石段の連続的な下降 ○青岸渡寺〜那智の滝〜大門坂(上) ・斜面にある門前町。坂道だが、車道とは別に歩行者道があるところが多い ・飛瀧神社は緩やかな石段の道を降りていく ○大門坂 ・大ぶりな石段の道 ○大門坂(下)〜浜の宮跡〜那智駅 ・車道歩きが多い。尼将軍塚のあたりは山道だが、先ほどまでの古道とは異なり、狭いひょろひょろの道。ただし、踏み跡は明瞭 ・補陀洛山寺や浜の宮跡などの見所があるが、熊野三山のもとでもある熊野三所大神社もある |
その他周辺情報 | ●買う、食べる ・小和瀬、小口)国道168号から小和瀬までの間には店舗等はないと思われるので、それ以前に買うなり食べるなりが必要 ・青岸渡寺)那智の滝の辺り、青岸渡寺の付近には土産物、食べ物などがあるが、おそらく早朝深夜には開いていないであろう ・那智駅)近くに道の駅、コンビニ、飲食店がある ●日帰り温泉 ・今回は、小和瀬からの帰途に新宮市高田にある「雲取温泉 高田グリーンランド」を利用。小口から国道への出口にあたる日足には「熊野川温泉さつき」がある (2021.9現在) |
写真
感想
熊野古道を少しでも歩こうと計画を立てた。まず最初に、もっともハードルの高い大雲取越えに行くことにした。和歌山を5時前に出発し、登山口の小和瀬駐車場には7時15分頃に到着した。
今日はまだこの駐車場にもクルマがいない。ちょうどこの時間帯には運行している熊野御坊南海バスの小口線の便が往復するところが目に入る。土曜日だからか、こちらもあまり人の乗りがなさそうだ。
県道からすぐに古道へ。民家の軒先のようなところを抜けると小口トンネル上を越えるあたりは、いかにも古くからの道の様相。自然石を並べたような石段を登り、トンネルをまたぐ。道は広く刈り払われ、よく整備されている。
小口からはいよいよ越前峠に向けての登りが始まる。「Kodo」や「Nachi」といった英語標記が目に入る。さすが、外国人人気の高いスポットだ。
道は幅広に整備されているし、石段主体なので歩きやすいのだが、登りは休むことがない。まず現れる円座石には梵字の彫られた岩があり、いかにも古からの謂れを感じる。楠ノ久保旅籠跡には今や一軒の気配もないのだが、十数軒の旅籠があったというから不思議な感じ。栄枯盛衰そのものだ。案内板に「昔からこの辺りでは野菜はイノシシやシカに食べられるので…」という下りがあるが、イノシシやシカに悩まされるのは何も今に始まったことではないことがわかる。
その先からは、延々とした登り。胴切坂だ。胴が千切れるほどの坂道とのことだが、斜度よりも休みない登りがきつそうだ。ついでにいうと、標高500m付近から800m付近までは、ほぼ直線的に登っており、わずかな角度の差で先が見えたり見えなかったりする。これはこれで、坂の長さを感じさせられ厳しさを実感することにもつながりやすい。
今日最初のピークともいえる越前峠に到着。周囲の眺めはない。峠とはいえ、むしろ山のピークのようだ。
そこからは一転して緩やかな下りを進む。初めてコンクリートの橋が現れ、そこからは林道然とした道取りになる。ところがそこからわずかに進むと、「石倉峠通行止め」が現れる。ちょうど林道が迂回路となり、地蔵小屋には出られるようだが、時間にして40分以上は余計に係るとある。せっかくバス時間をにらんで飛ばしてきたが、そのゲインも失ってしまいそうだ。
迂回路は休止林道のようで、道幅こそあるが、落石は放置され、木橋は腐って抜け落ちている。うねうねと続くその道を行くうちに、今日初めて対向する人とすれ違った。
結局30分ほどで迂回路を抜け、抜けたところにある地蔵茶屋跡で休憩。ここには山中には似合わない飲料の自動販売機が設置されている。ちょうど飲料の入れ替え作業中。頼んで一本売ってもらった。
ここからは林道をしばらく歩き、名前の通りの大雲取越えのあたりを山道で過ごした後、また林道を渡り返すなどして色川辻へ。ここで昼食。食べている最中に、先ほどの飲料機屋さんのクルマが林道を降りていった。
色川辻からは今日最後の本格的な登り。それでも先ほどの胴切坂ほどではないように感じる。舟見小屋跡よりも手前で舟見峠の標示に出会う。確かに、谷から上がってくる道跡もあり、峠というならばここなのかもしれない。そこからさらに登って舟見茶屋跡へ。
一番高そうなところにあずまやがある。登ってみると、勝浦の町が見える。なるほど舟見峠の名前の意味がわかる。中辺路や小辺路を通り、幾度もの山を越えてきた旅人は、ここまで来ると、初めて海が見え、いよいよ那智が近いことを知るということであったのだろう。感動はいかほどであっただろうか。
そこからは下り主体の道が続く。林道が眼下に併走している。登立茶屋跡も過ぎると林道が近づいてきて、それと合流すると那智高原の駐車場へと飛び込む。
一瞬下界の空気を吸った後、もう一度古道は山道になる。階段ばかりで青岸渡寺へと降りていく。この辺りが下りとしては一番急なところ。
やがて那智の滝の濁音が耳に入るようになり、眼前に山並みが開けてくると、青岸渡寺の傍らへと顔を出す。青岸渡寺と熊野那智大社へのお参りを済ませ、那智の滝を目指す。世界遺産らしく美しく整備された門前町の中を抜け段を降りていくと飛瀧神社。那智の滝は、この神社のご神体だ。
瀧を眼前に見る境内奥まで行ってみる。近づくと、落差100mを越える滝の迫力を実感できる。その水筋の美しさもあり、ここをご神体とした昔の人の気持ちもわかる。
そこからは大門坂上部に出て、徒歩で那智駅を目指す。黙々と進めばちょうど電車時間になるはずだ。
その先は、町中歩きが主体。尼御前の辺りで山道になるが、先ほどまでとは異なりどこにでもありそうなひょろひょろの道だ。熊野古道もこの辺りは不人気なのかもしれない。
再び車道歩きを続け、補陀洛山寺へ。その隣には浜の宮跡。熊野三山大神社とある。
そこからは大神社の参道を海側へと進み、すぐに那智駅へ。那智駅からは新宮を経由してクルマを取りに戻る。
実は今回の山行きは、これから先の印象が強いものとなった。新宮からは天気予報を考慮して急遽タクシーで神丸を目指したのだが、その運転手氏が観光タクシー経験を活かしてあれやこれやと教えてくださった。那智の滝の中に見える観音様も、自ら撮影の写真で説明してもらった。その社員を見ると、“そう見える”というレベルではなく、本当に観音様の立ち姿そのもののようであった。
できれば、そんな話を先に聞いていたらよかった。
次に来るときには、ぜひじっくりと見てみたい。
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