森山岳〜裏比良の秋の池巡り


- GPS
- 04:26
- 距離
- 8.6km
- 登り
- 850m
- 下り
- 842m
コースタイム
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2021年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
森山岳西尾根;踏み跡はないが尾根は明瞭であり道迷いの心配は少ない 森山岳からオトワ池;踏み跡は薄く地形が複雑 送電線鉄塔尾根;送電線巡視路に従って尾根の南側の植林に入るとここは数年前の台風により非常に荒れている。詳しくはレコにて |
写真
感想
午前中は京都市内で用事があったので、午後の短い山行を考える。北山に向かおうか比良に向かおうかと逡巡しながら鯖街道を北上する。大原から見上げる法華山の山頂部は既にベージュ色に色づいているのを見て、森山岳と裏比良の池を訪れることにする。幾度となく訪れているところではあるが、森山岳にダイレクトに突き上げる西尾根を登ることにする。今年の雪の季節に下降したところだが、無雪期に歩くのは三年前の初夏以来だ。
京都市内の気温は30℃近くまで上昇するとの予報だったので暑さが気がかりではあったが、花折峠のトンネルを越えたところでの道路脇の電光掲示板の気温は21℃を示している。実際、安曇川に沿って国道を下降してゆくと急に涼しく感じられる。中村の道路脇の広地に車を停めると木戸口まで歩いて移動する。
左手の植林の斜面に取り付き、鹿のトレースを拾いながら斜面をトラバースして進むと忽然と
段丘が現れ、その中心には深い掘割の古道が通じている。道の両側には苔むした石垣で区切られた階段状の平地がいくつも連なり、かつてここに集落が存在したことを静かに物語っている。
ところどころで道を塞ぐ杉の倒木を避けながら集落跡を奥へと進むと、やがて右手から聞こえる沢音が大きくなり、谷を流れる沢と交差する。以前に初夏に歩いた時とは比較にならないほど沢の水は少なく、容易に対岸に渡渉することが出来る。
植林の緩斜面を正面に明瞭な尾根が現れる。尾根の南側斜面は大きな崩落地となっており、尾根からは花折峠に向かって蛇行しながら進んでゆくR367と皆子山の展望が広がる。しばらくは植林の尾根のかなりの急登が続く。
標高680mほどで少し傾斜が緩やかになるとようやく自然林の疎林が広がる快適な樹林となる。
下生はないのでどこでも歩くことは可能ではあるが、踏み跡やテープの類はない。ところどころで樹林の切れ目から展望が大きく開け、背後に峰床山が姿を見せる。
Ca980mのあたりで唐突に急登は終わり、なだらかな尾根を歩く。潅木の尾根からは右手には森山岳の山頂部が見える。再び樹林の中に入るとわずかにひと登りで、草原状の森山岳の西峰に至ると、武奈ヶ岳の展望が大きく広がる。
森山岳の山頂はそこが山頂であることを知らなければ通り過ぎてしまいそうな地味なところだ。樹に打ち付けられたほとんど文字の読めない木製の山名標が辛うじてそこが山頂であることを知るよすがとなっている。
山頂からは北東の尾根を辿るるつもりではあったが気がついたら汁谷に向かう東尾根に入り込んでいた。戻り直して北東尾根に入ると尾根の先で樹林が切れて再び武奈ヶ岳とその両側に脇侍のようバランスよく配置された比良岳と白滝山の眺望が視界に飛び込む。毎度、ここを訪れるたびに思うが、武奈ヶ岳の南側からの眺望に関してはこの森山岳の北東のピークからの展望が随一だろう。
は北西の斜面を下って裏比良の森へと踏み込む。いくつもの小ピークが寄り集まって複雑な襞を形成し、迷宮のような地形を形成しているところだ。なだらかな丘陵の間にひっそりと身を潜めるように散在する池を訪れるのはこの山域を訪れる愉しみとなっている。美しい自然林が広がる周辺は季節毎の景色の移ろいもあって尽きせぬ魅力を提供してくれる。
丘陵の間へと下降してゆくとかつては池であったのだろう。一面に苔の生えた湿地が現れる。まずは南の端の池を訪れる。この季節のせいか池の水がかなり少なく、池が一回り小さく感じられる。初夏の時期には池からは蛙の鳴き声が賑やかに聞こえるところではあるが、この時期は既に虫の気配も感じられない。
次いで長池との間にある池を訪ねる。ここは音羽池に匹敵するほどの広さのある池ではあるが、池の半分ほどは既に干上がっており、湿地化している。
池の東側に回り込むと送電線巡視路のプラスチック階段が現れるので、あとは送電線巡視路に従って長池にたどり着くことが出来る。予想していたことではあるが、やはり長池は池の大部分が干上がり、池の中央部にわずかに水溜りが残っているだけであった。この数年間、訪れるたびに湿地部分が拡大して池が小さくなっていくのが病に侵されていく姿を見るようで、痛々しく感じられる、
長池のすぐ北側にあるスギヤ池には辛うじて水を留めているといったところだが、この池が干上がるのも時間の問題だろう。池の東側にある数本の杉の周りには一面に苔の生えた湿地が広がり、かつてはこのあたりまで水があったのだろうと思われる。
既に完全に干上がってしまったカラスゴ池の湿地を通り過ぎてオトワ池に向かう。音羽池は昨年の秋はアオコが大発生して池の水面が完全に覆い尽くされていたが、果たして今年はどうかと気になるところだ。
オトワ池にたどり着いてみると、水面には確かにアオコが浮かんではいたが、アオコが覆っているのは池の半分ほどであった。池が反映する蒼空の透明さを感じることが出来るのが嬉しい。時刻は既に16時を回ったところ、樹林の中に差し込む琥珀色の斜陽が日が短くなったことを物語っていた。
再びスギヤ池に戻るとここで右折して送電線鉄塔尾根へと向かう。送電線鉄塔尾根に入るとこの尾根の下降は早い。深い谷の対岸で夕空に浮かび上がる峰床山のシルエットはすぐにも見えなくなった。山の陰に入ったせいであたりは急に薄暗く感じられる。
巡視路に従って左側の植林の中に入るとここは数年前の台風により荒れに荒れているところなので、イワヒメワラビの繁茂する送電線の下の草原の中を鹿の踏み跡を拾って下降する。最後の鉄塔の一つ手前の鉄塔からは右手の自然林との境界を進む。
最後の鉄塔まで下ると右手の尾根との間に馬酔木の濃密な藪が待っているので、その手前から右手の斜面を下降する。谷に向かって下る尾根はかなりの急下降になるので、右手の斜面をトラバース気味に下降してひとまず谷の上流に下降する。あとは谷沿いを下ると送電線巡視路との合流地点まで楽に下ることが出来る。
ここでも沢は水流が非常に少なく、合流地点の手前で沢にかかる小瀧には勢いが感じられない。小滝の下で左岸に渡渉するとすぐにも送電線巡視路と合流する。ここからは右岸の植林の中へと入ってゆく。この植林はヒルの多発地帯ではあるが、この日はヒルの姿は見かけなかった。
最後は正面に中村の小学校を見下ろしながら送電線の下の伐採された急斜面を下る。斜面を下ると、夕方の17時を知らせる放送が狭い谷間に響き渡った。国道に降り立つと空には青空が広がってはいるものの、17時を過ぎたばかりにしては暗く感じられる。
冬の雪が少しでも多く比良に積もってくれて、池の寿命が続いてくれることを願いながら帰路につくのだった。
コメント
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森山岳の古い名板はもう読めなくなりましたか。以前はこれしかなくて、木に同化してるから探すのに苦労したものです。
紅葉の時期にまた行きたくなりました。12年前に長池・森山岳間のピーク巡りをしたことがあります。たしか12ピークだったような。その時に次は谷筋を歩こうと思ったけど、まだ実現していません。底なし沼があるから一人では怖くて。知り合いが単独で歩いてて股間まで片足突っ込んでしまって抜け出すのに苦労したと言ってました。
長池〜森山岳の間の小ピークはいくつあるか知りませんでしたが、地図では全く表現されていないピークがいくつもありますね。google mapの写真でみるとかなりの数のピークがあるように見えます。
以前もコメントをいただきましたが、湿地化している池に足を踏み込むと意外にも深く沈み込むので、大変なことになりますね。雪の季節なら大丈夫でしょう。
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