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Yamareco

記録ID: 3882238
全員に公開
アルパインクライミング
八ヶ岳・蓼科

【鬼ラッセル】八ヶ岳広河原沢左俣→阿弥陀中央稜

2022年01月01日(土) [日帰り]
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もっち その他1人
体力度
3
日帰りが可能
GPS
11:24
距離
9.9km
登り
1,094m
下り
1,092m
歩くペース
標準
1.11.2
ヤマレコの計画機能「らくルート」の標準コースタイムを「1.0」としたときの倍率です。

コースタイム

日帰り
山行
11:12
休憩
0:12
合計
11:24
距離 9.9km 登り 1,094m 下り 1,097m
5:01
31
船山十字路
6:21
185
広河原二俣分岐
9:26
214
15m大滝下
13:00
13:10
152
中央稜夏道トラバース道分岐付近
15:42
15:43
20
16:03
16:04
21
16:25
船山十字路
天候 朝方曇、のち快晴
過去天気図(気象庁) 2022年01月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
諏訪南ICから船山十字路まで。
他には1台しか停まっておらず、ガラガラ。
コース状況/
危険箇所等
前日までの大雪で、滝が凍結する前に積雪してしまい、普段とだいぶ異なったコンディションだったと思われる。
10m3段まではトレースが少しあったが、そこからはノートレースで腿ラッセル〜上部では胸ラッセル。最後の10m滝の手前でたまらず阿弥陀中央稜夏道の稜線トラバースの分岐あたりに回避。稜線に乗るまでもほぼ胸ラッセル。
そこからは中央稜の夏道沿いに降りたが稜線トラバースのあたりは踏み跡がほぼ全く無く、目印も赤テープが稀にある程度で、かなり難しいルーファイが要求された。途中からは踏み跡がうっすらあり、中央稜の取り付きまで降りるとクリスマスルンゼ方向の分岐を含めてくっきり。

ロープは2回使用(最初の3m小滝とメインディッシュの15m大滝)
懸垂下降1回(3m小滝の高巻き時)

【広河原沢左俣の状況】
・1本目の3m小滝:滝壺が凍結しておらず左岸から高巻き&ロープで懸垂。
・8m、10m3段:半分近く埋まっていて、全てフリーで通過。
・6mCS:凍結しておらずかなり微妙だったがフリーで通過。
・15m大滝:この沢の核心。5mほど埋まっていた。右(左岸)側は凍結甘く左からゼロPIN含めスクリュー4つで通過。見た目よりかなり立っていて思ったより怖かった。
・8mCS:完全に埋没。単なる鬼ラッセルで直登。

阿弥陀中央稜はシャクナゲの群生エリア(2000m前後)より上はほとんど踏み跡なし。特に夏道トラバース部分は巻きの開始ポイントも巻いている途中も非常にわかりにくく、特に下りではルートロストのリスク大。ルーファイ力や事前リサーチ力が要求される。かといってこの部分の稜線上を通過するにはマルチピッチ必須と思われる(記録が見当たらないので詳細不明)ので、結局巻くしかない。
その他周辺情報 原村のもみの湯。村民は500円、村外民は650円、かなり混んでいた。
http://www.lcv.ne.jp/~mominoki/hotspa.html
ルート図。本来は最上流の10m滝から中央稜に上がるのだが、15m大滝をクリアしたのでここで良しとしようということで最後の大滝は回避。
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ルート図。本来は最上流の10m滝から中央稜に上がるのだが、15m大滝をクリアしたのでここで良しとしようということで最後の大滝は回避。
船山十字路からスタート。路面は凍結ゴチゴチ、最初から積雪。ぼくは初冬に南稜up〜中央稜downで来て以来実に7年超ぶり。
船山十字路からスタート。路面は凍結ゴチゴチ、最初から積雪。ぼくは初冬に南稜up〜中央稜downで来て以来実に7年超ぶり。
広河原沢の二俣までは踏み跡明瞭。
広河原沢の二俣までは踏み跡明瞭。
二俣付近で突如踏み跡消失。下山時に実はもう少し上流に続いていることがわかったのだが暗くて見えず、ここから左俣へ突っ込んだ。
二俣付近で突如踏み跡消失。下山時に実はもう少し上流に続いていることがわかったのだが暗くて見えず、ここから左俣へ突っ込んだ。
岩屋。泊まれそうだがこの季節にわざわざこの場所に止まる必然性なし。
岩屋。泊まれそうだがこの季節にわざわざこの場所に止まる必然性なし。
最初の3m小滝。滝壺が凍っていない。
最初の3m小滝。滝壺が凍っていない。
この通り水たまり。
この通り水たまり。
しばらく考えて左から直登しようとしたがあっさり踏み抜いてしまったので、諦めてロープを出して高巻き。やれやれ、いきなりか。。。
しばらく考えて左から直登しようとしたがあっさり踏み抜いてしまったので、諦めてロープを出して高巻き。やれやれ、いきなりか。。。
このうっすい氷は流石にフリーで登るのは怖い。
1
このうっすい氷は流石にフリーで登るのは怖い。
若いリーダーにロープで先導してもらってから懸垂下降して沢に戻る。
1
若いリーダーにロープで先導してもらってから懸垂下降して沢に戻る。
3m小滝の上もまだしばらくは踏み跡あり。
3m小滝の上もまだしばらくは踏み跡あり。
次の8m。雪に覆われているように見える。
次の8m。雪に覆われているように見える。
近寄ると下半分は雪で埋まり、左側だけ凍結しているので、そこをフリーで直登。
近寄ると下半分は雪で埋まり、左側だけ凍結しているので、そこをフリーで直登。
その上もまだトレースあり。
その上もまだトレースあり。
雪がとんでもなく多く、まるでこの時期の八ヶ岳にいる感じがしない。
雪がとんでもなく多く、まるでこの時期の八ヶ岳にいる感じがしない。
ゴルジュを直登。
1
ゴルジュを直登。
氷柱。でかい。
だいぶ雪が深くなってきてほとんどトレースがなくなってきた。
だいぶ雪が深くなってきてほとんどトレースがなくなってきた。
3連の10m滝1つ目。もはや雪で埋まりすぎてよくわからなくなってしまったがフリーで直登。
1
3連の10m滝1つ目。もはや雪で埋まりすぎてよくわからなくなってしまったがフリーで直登。
リーダーはちゃちゃっと直登。
ぼくが登れそうなところは先にフリーで登らせ、登った後にアドバイスをくれる。
リーダーはちゃちゃっと直登。
ぼくが登れそうなところは先にフリーで登らせ、登った後にアドバイスをくれる。
雪で埋まっているけど2つ目の10m滝。
雪で埋まっているけど2つ目の10m滝。
近づくとちょっとだけ凍っている。ここもフリーで直登。
近づくとちょっとだけ凍っている。ここもフリーで直登。
そして3つ目、最後の10m滝。
そして3つ目、最後の10m滝。
これもフリーで直登。
これもフリーで直登。
リーダーもサクッと直登。
リーダーもサクッと直登。
3連10m滝を越えると景色が広がって八ヶ岳らしくなってくる。
2
3連10m滝を越えると景色が広がって八ヶ岳らしくなってくる。
造形美。
6mCS滝はボルダーの要領で直登。
6mCS滝はボルダーの要領で直登。
リーダーも続く。
リーダーも続く。
CS上からは完全にトレース消失。ここからは交代でラッセル。この辺はまだひざなので大したことはない。
CS上からは完全にトレース消失。ここからは交代でラッセル。この辺はまだひざなので大したことはない。
メインディッシュの15m大滝が見えてきた。
メインディッシュの15m大滝が見えてきた。
さあ、行くぞ。
リーダーがリードで登攀。ゼロPIN含め細かく4つのスクリューを埋める。
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リーダーがリードで登攀。ゼロPIN含め細かく4つのスクリューを埋める。
思ったより立っており、腕がパンプしてアックステンションで休憩。
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思ったより立っており、腕がパンプしてアックステンションで休憩。
ぼくはスクリューを外しながら必死の登攀。まだ初心者レベルなので余裕なし。
ぼくはスクリューを外しながら必死の登攀。まだ初心者レベルなので余裕なし。
メインディッシュごちそうさまでした。ハアハアしすぎてメガネが凍っている私。
メインディッシュごちそうさまでした。ハアハアしすぎてメガネが凍っている私。
ここからはいよいよ鬼ラッセル開始。
ここからはいよいよ鬼ラッセル開始。
8mCS。埋まっててわけわからん。
8mCS。埋まっててわけわからん。
埋まっているので比較的楽に直登。
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埋まっているので比較的楽に直登。
八ヶ岳ブルーが見えてきたが、まだ標高2400m弱。
2
八ヶ岳ブルーが見えてきたが、まだ標高2400m弱。
美しい雪の世界。他に誰も入っておらず、我々の息遣いとギアがカチャカチャなる音以外は何も聞こえない静寂の世界。
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美しい雪の世界。他に誰も入っておらず、我々の息遣いとギアがカチャカチャなる音以外は何も聞こえない静寂の世界。
8m滝らしいがただの雪壁直登。
8m滝らしいがただの雪壁直登。
いよいよ激しくなってきた。
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いよいよ激しくなってきた。
ラッセルくらいは役に立とうと必死にもがく。この辺から胸ラッセル。
ラッセルくらいは役に立とうと必死にもがく。この辺から胸ラッセル。
あがいてもあがいてもなかなか進めず、一気にペースダウン。
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あがいてもあがいてもなかなか進めず、一気にペースダウン。
稜線っぽいのが見えてくる。
稜線っぽいのが見えてくる。
ひたすら1時間半ほど腿〜胸ラッセルで標高差50m程度しか上がれずようやくたどり着いた広々とした雪原、景色として見る分にはいいが、ここを歩かなければならない。
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ひたすら1時間半ほど腿〜胸ラッセルで標高差50m程度しか上がれずようやくたどり着いた広々とした雪原、景色として見る分にはいいが、ここを歩かなければならない。
正午が過ぎ、時間的にも余裕がなくなってきたので最後の10m滝は諦めて阿弥陀中央稜方向へトラバースするもここでも胸ラッセル。。。
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正午が過ぎ、時間的にも余裕がなくなってきたので最後の10m滝は諦めて阿弥陀中央稜方向へトラバースするもここでも胸ラッセル。。。
樹林に入ってようやく少し楽に。やっと中央稜が見えてきた。
樹林に入ってようやく少し楽に。やっと中央稜が見えてきた。
中央稜に乗り上げる。権現、編笠方面がよく見える
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中央稜に乗り上げる。権現、編笠方面がよく見える
八ヶ岳ブルーと阿弥陀南稜。写真からも烈風が吹いていることがわかるだろうか。
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八ヶ岳ブルーと阿弥陀南稜。写真からも烈風が吹いていることがわかるだろうか。
中央稜標高差約350mの残り。山頂を目指したらとても明るいうちに降りられそうにないので。。。
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中央稜標高差約350mの残り。山頂を目指したらとても明るいうちに降りられそうにないので。。。
阿弥陀岳をバックにここから下山開始。
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阿弥陀岳をバックにここから下山開始。
夏道トラバースでまたも腰ラッセルの上、散々ルーファイに苦労した後にようやくオンルート。デジカメのレンズが凍ってうまく写らない。
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夏道トラバースでまたも腰ラッセルの上、散々ルーファイに苦労した後にようやくオンルート。デジカメのレンズが凍ってうまく写らない。
これで何とか明るいうちに降りられるかな。。。この場所でもかなりの風。
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これで何とか明るいうちに降りられるかな。。。この場所でもかなりの風。
樹林帯まで降りてきてようやくうっすらトレースがでてきた。
樹林帯まで降りてきてようやくうっすらトレースがでてきた。
それでも膝ラッセル。
それでも膝ラッセル。
アイゼンはいたままの急な下りなので足にくる。
アイゼンはいたままの急な下りなので足にくる。
クリスマスルンゼとの分岐でようやく装備を外す。一安心。
クリスマスルンゼとの分岐でようやく装備を外す。一安心。
陽がだいぶ西に傾いてきたが、何とか日没前に下山できそうで一安心。
陽がだいぶ西に傾いてきたが、何とか日没前に下山できそうで一安心。
飛ばしに飛ばして中央稜取り付き点から50分で下山。正月早々過酷だった。。。でも、アイスもちょっとできたしロープも出したし鬼ラッセルもあったし、総合力が試された2022年最初のお山、めちゃめちゃ楽しかった!!
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飛ばしに飛ばして中央稜取り付き点から50分で下山。正月早々過酷だった。。。でも、アイスもちょっとできたしロープも出したし鬼ラッセルもあったし、総合力が試された2022年最初のお山、めちゃめちゃ楽しかった!!

装備

個人装備
長袖シャツ 長袖インナー ハードシェル タイツ ズボン 靴下 グローブ アウター手袋 予備手袋 防寒着 雨具 ゲイター ネックウォーマー バラクラバ 毛帽子 ザック アイゼン 行動食 水筒(保温性) コンパス 計画書 ヘッドランプ 予備電池 保険証 携帯 時計 サングラス ナイフ カメラ ハーネス ヘルメット 確保機 ロックカラビナ カラビナ クイックドロー スリング ロープスリング セルフビレイランヤード アイスアックス アイススクリュー イボイノシシ ダブルアックス フィフィ アックス用リーシュ プルージックコード ダブルロープ50m×2

感想

広河原沢左俣
ルートグレード:3級
ピッチグレード:IV+

皆さん、本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

東京から長野に移住して以来、山菜採り、フリークライミング、アイスクライミング、トレランと、これまで経験しなかった、あるいは避けてきたカテゴリに友だちからいざなわれたおかげで、新たなお山の領域を知ることができました。

2022年最初のお山は、20歳近く若いけれど経験豊富で頭脳明晰なお仲間に誘われて広河原沢左俣へ。まさか2022年正月からアルパインをするとは思いませんでした。

アイスクライミングのグレードとしては比較的容易だけれど、とにかくとんでもない量の雪にぎっしりと埋め尽くされていて遡上での鬼ラッセル、そして下山でのノートレースの難しいルーファイ、そして体力勝負と、新年早々アルパインの総合力を試される山行となりました。

登攀技術は頼りがいのある若いお仲間がしっかりとリード、セカンドビレイをしてくれ、ぼくはただただ拙い技術で必死に登るだけで済みました。
二人で交代しながらガシガシとラッセルしたものの、トップもセカンドも対して変わらない程の深い雪に悪戦苦闘。体力は何とか足を引っ張らずに済みました。
そして中央稜からの下山はトラバースルートが非常にシビアでルーファイ力を問われました。ここは唯一と言っていいぼくの得意分野。一度間違いかけたもののロストすることなく取り付き点に下山できました。

まー、とにもかくにも「広河原沢左俣」に強烈な右ストレートを叩き込まれた2022年最初のお山でした。キツかったけど楽しかった!

今年もたくさんのお山に登りますよ。楽しく、安全に。
勉強もお山も全力で、が今年のモットーです。
皆さんも楽しく、ご安全にお山を登って、多くの素晴らしい体験をできますように。

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